木村光雄(著)『自然の色と染め』を読む。
木村光雄(著)『自然の色と染め 天然染料による新しい染色の手引き』木魂社,1997

理系的な説明による天然染色の解説書。
世に数多ある自然染料(または草木染め)の実践書と比べると、化学的な説明を省くことなく、それでいて単に理屈に終わらず終始、実践を重視している点で、なかなか希少な存在。というか、今まで読んだ染色関連の本の中で一番よかった気がする。

しかしながら、本書は最低限の化学的知識がないと読めないっすね。高校時代、物理、生物、地学はけっこう好きだったけど、何故だか化学だけは苦手で、ずっと化学コンプレックスを感じつつ過ごしてきたのが、今回改めて非常にひしひしとそれを実感して自らの素養の無さに絶望した。とは言え、「一般の読者を想定」しているわりには、やっぱり読みにくいような気もするが。いずれにしても、本書のテーマとなっている天然染色の可能性を探るような目標があるわけでもなく、多少色材に関する見聞を広げておきたいという程度の気分なので、書かれているものを全て理解しなければならないということはないから、そんな気にすることもないんだけれど。

もう一冊、続編と言える『自然を染める 植物染色の基礎と応用』,2007も読了。こちらも難しい化学用語が出てくるが、文章が多少柔らなくなっている印象を受ける。特に第2章「染料の立場から見た染色の基礎」は「染色」というものがどういう現象ということを実にわかりやすく説明しており、大変秀逸なテキストと言える。

| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 10:24 PM | comments (0) | trackback (0) |
渡部昇一(著)『講談 英語の歴史』を読む。
先日、DVDで映画『ベオウルフ』(2005年、カナダ他)を観て、ついつい中世写本の図録などを見ているうちに、古英語について知りたくなり、それらしい本をいくつか注文。さっそく届いた数冊を前にして、また無駄なことしてしまったような気がして、微妙な鬱加減になる。古英語なんて、自分の人生にはどう考えも何の縁もないのだが。

しかし、その中でも一般素人向けに書かれた渡部昇一(著)『講談 英語の歴史』PHP新書は気軽に読めそうだったので、ま、一冊くらいと目を通す。英国とその周辺の歴史を、言語の歴史という視点から読んでいるようで、これまで気付かなかった多くの物事に出くわして、読み進めるのが楽しい。というか、実は読み始めたら止まらないといった感じだった。さすがにヒット作を連発する著者の文章は違うと関心。



| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 07:01 PM | comments (0) | trackback (0) |
ヒリヤード『細密画技法論』
新幹線で移動中にヒリヤード(著)『細密画技法論』を拾い読み。ヒリアードと言えば英国最初の巨匠として有名だが、しかし、知っている人は意外と少ない。週刊グレート・アーティスト(同朋舎出版)の58号がヒリアードであったが、今考えてみると、全100号のこのシリーズにヒリアードが含まれていたというのは、スタッフの良心と言えるかもしれない。100人から漏れたユトリロなんかを出してた方がよっぽど売れそうだし。で、58号のヒリアードが出たのは1991年の3月で、大学に進学する直前の時期であるが、この号がなかったら、ヒリアードなんて全く知らずに過ごしていたかもしれない。そのおよそ10年後、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館を訪れたときは真っ先にヒリアードを探しまわったが、一回目に行ったときは結局たどり着けなかった。作品が非常に小さく、水彩画であるために暗い部屋に飾ってあるので(観るときに一時的にライトをつける)、同博物館に行っても観ないで帰ってくる人が多い。というか、非常に奥の方の、ただでさえほとんど人の来ないような場所にある。邪魔されずに見れるので大変良いのだが。そういえば、ウィリアム・ブレイクについて知ったのも、週刊グレート・アーティストだった。でも、ブレイクの方は、日本語の出版物もけっこうあるので、ヒリアード号ほど貴重ではないけど。



| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 04:18 PM | comments (0) | trackback (0) |
Anne Wall Tomas,COLORS FROM THE EARTH を読む。
Anne Wall Tomas,COLORS FROM THE EARTH - The Artist's Guide to Collecting,Preparing,and Using Them,VNR,New York,1980

読もうと思いつつ、なかなか時間が取れなかったが、ここ数日することが無かったので一気に読む。
おお、やっぱ、なんか日本の顔料に関する本とはだいぶ違う。日本の場合は、水簸への力の要れ具合がすごいが、こっちはほとんどどうでもいい感じである。個人的には採取と精製にもっとページを割いて欲しかった気がするのだが、そんなふうに思うこと自体が、ちょっと間違いかもしれない。


| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 11:26 PM | comments (0) | trackback (0) |
海野弘(著)『ハプスブルク美の帝国 バロックから世紀末へ』
海野弘(著)『ハプスブルク美の帝国 バロックから世紀末へ』集英社 (1998/04)

ハプスブルク家と芸術に関する本を最近になって立て続けに読んでいるのだが、ダントツで面白いのは、やはりローパーの『ハプスブルク家と芸術家たち』だったか。あれは、様式のことに関してほとんど書かれておらず、歴史書みたいなものだった。逆に、美術の様式などついて書かれた本は、読書意欲を持続させるのが極めて困難。



| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 10:54 PM | comments (0) | trackback (0) |
『美術品を10倍長持ちさせる本』日経BP社
『美術品を10倍長持ちさせる本』日経BP社

図書館から借りて読む。隔週で図書館に行って制限いっぱいまで借りてきつつも、ほとんど読まずに返却していたりするのだが、これは文章が非常に読みやすく、内容も興味深いので一気読みした。連載記事をまとめたものなので、体系的な内容ではないのだが、個々の記事として質が高い。美術系に限らず雑誌類はほとんど読まないのだけれど、コピーしたものを送ってくれる人もいたので、いくつかの記事は過去に読んだことがあった。堅い内容ではないので、ハードカバーにせずに、ソフトカバーで多めの部数を刷っていれば、保存に関する一般の認知度に大きく貢献できただろうにと思う。雑誌連載記事でもあるし、再販が検討されることもないだろうなあ。コレクター向けの本として紹介されていることが多いが、半分は制作者向けの内容でもある。



| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 08:31 AM | comments (0) | trackback (0) |
松谷健二(著)『東ゴート興亡史 - 東西ローマのはざまにて』を読む。
松谷健二(著)『東ゴート興亡史 - 東西ローマのはざまにて』中央公論新社

Amazonのレビューが絶賛だったので読んでみたが、さほど紙数は多くないとは言え、文庫一冊使っている割には、微妙に説明が足りないというか、経過や結果のみが書かれているだけで、長めの粗筋を読んでいるような気がした。


| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 09:30 PM | comments (0) | trackback (0) |
加藤隆(著)『『新約聖書』の誕生』 を読む。
加藤隆(著)『『新約聖書』の誕生』講談社 (1999/08)

先日読んだ、箕輪成男(著)『中世ヨーロッパの書物』の中で、熱烈な賛辞と共に紹介されていた本。早速、入手して読んでみたが、これは確かに面白い。新約聖書には矛盾する内容の4つの福音書が収められているが、そのような複数の福音書が書かれるに至った理由や経緯が、実にわかりやすく描かれている。概説だけの説明文では見えてこない背景をかいま見れる点で、一読の価値ありかと。以前は、矛盾する文書が一緒になっている点で、新約聖書の胡散臭さを感じたものだが、まさに矛盾する文書を載せていることの重要性を知り、聖書に対する見方もだいぶ変わった気がする。


| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 10:33 PM | comments (0) | trackback (0) |
青池保子(著)『アルカサル -王城-』全12巻読了。
購入したのはだいぶ前になるが、ようやく読めたという感じか。買ったまま放置状態のマンガ本が山となっているが、マンガと言えど、読むのに相応の時間がかかるものである。

歴史ジャンルが好きなので、レンタルする映画も、購入する漫画本も、ほとんどが歴史に関連のあるものとなっているのだが、映画と漫画を比較すると、漫画の方がはるかに出来映えがいいものが多い。映画の場合は、2時間前後という枠に収めつつ、興行的成功を最優先にしなければならないので、ある人物の生涯を描くには尺が不足し過ぎている。しかも、最近の大作映画は脚本が悪すぎて、戦闘シーン以外の部分に観るべきものがなかったりする。また、大作になるほど、歴史上の人物のイメージより、俳優のイメージが全面に押し出されるようになるので、それも気になる。大作の場合、キャストによって興行成績が大きく左右されるので仕方がなく、逆に低予算のテレビ映画の方が、実像の再現に熱心な場合が多かったりする。尺の方は、大河ドラマみたいに1年やれば、それなりの長さにはなるが、いずれにせよ俳優がどうこうという話題ばかり先行して、見る前から既に興味をそぎ取られる。そもそもテレビ見ないし。

そんなわけで、どちらかというと、映画より漫画の方が好きである。この作品も素晴らしい。史実に沿いながら、マンガとしてアレンジも加えているが、そのバランスが非常に良い。こんな絶妙なブレンドは映画やテレビ番組では不可能。


| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 10:16 PM | comments (0) | trackback (0) |
箕輪成男(著)『中世ヨーロッパの書物 - 修道院出版の九〇〇年』
箕輪成男(著)『中世ヨーロッパの書物 - 修道院出版の九〇〇年』出版ニュース社 (2006/10)

中世の写本と言えば、なんと言っても豪華な彩飾写本を思い浮かべてしまうが、本書は中世出版の大多数を占める彩飾写本の方について語っている。彩飾写本に関する本は、これまでも少なからず読んだものだが、考えてみれば、数の上でも影響力でも本来の主役は非彩飾写本である。美術史家の書いた彩飾写本に関する本と比べると、歴史のダイナミックな流れを感じさせる非常に面白い内容だった。それに、とても読みやすい。理解できない箇所などほとんど見あたらなかった。途中で紹介される本や、参考文献も(読みながらいくつか注文したが)この本と同じくわかりやすい文章で書かれているものばかりである。
実はほぼ同時にカルル・クラウスベルク(著)『ウィーン創世記』三元社 (2000/04) を読んでいたのだが、こちらはまさに彩飾写本を扱った本で、ある創世記写本の挿絵を歴代の美術研究者が如何に読み解いてきたかということがテーマであり、正直に言うと、そんなことはどうでもいいという気分で、読み進めるのが困難だった。まあ、べつに私のために書かれた本ではないから、こんなことも言われても困るだろうが。


| 書籍・雑誌・漫画::文系・美術・歴史 | 09:13 PM | comments (0) | trackback (0) |

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