バロックオペラ映像まとめ
バロックについていろいろ読みつつ、音楽の方は聴いてみたりなどしているところですが、youtubeで見つけた映像などまとめてみました。自分用メモみたいなところでもあるので、内容の正確性、誤字乱文等ご容赦ください。

史上最初のオペラ、ヤコポ・ペーリ作『ダフネ』は現存していないということですが、ダフネといえば、ベリーニの彫刻でダフネを題材にしたものが、まさにバロック彫刻代表作として言及されたりするので、バロック的な題材といえるのかもしれません。現存する最古のオペラはペーリ作『エウリディーチェ』で、1600年にフランス王とメディチ家マリーの婚礼を祝ってフィレンツェで初演されたとされる、これもまたバロックの始まりを告げるような出来事ですが、この作品については本などで存在を知る機会はあったものの、現代で演奏されることはないのだろうなと勝手に思っていました。が、検索したらyoutubeでいくつか実演の音声らしきものを見つけることができました。考えてみれば、現存最古のオペラとなれば、学究的にも重要なことだし、演奏しようと思うグループは多々あることでしょう。

動画説明欄によると、オペラ誕生400周年を記念して行われた国際会議の一環として、2000年にイリノイ大学の学生等で演奏されたもののようです。
動画では英語の訳まで表示されてなかなか親切です。じっくり見ている余裕はなくて、作業用BGMとして流すような感じで、最後まで聴いてみましたが、確かに世にいろいろ言われるように、台詞をポリフォニーで歌うように表現するということに注力しており、バロック的に演出的な効果は少なめで地味かなという気はしないでもないですが、まだそんな聴き込んでないので、あくまで印象です。なお、王家に名字はないので、后は慣例に出身地を附して呼ばれる為、フランスではメディチのマリー、マリー・ド・メディシスとなるのですが、後にルーベンスにマリー・ド・メディシスの生涯という連作を描かせ、それは現在はルーブル美術館に飾られており、ルーベンスの代表作ともなっていますが、初めてあの部屋に入ったときには、なんちゅう悪趣味な絵だろうと思って素通りしましたが、今ならじっくり見て楽しめそうです。

それにしても史上3番目のオペラ(現存する2番目に古いオペラ)、モンテヴェルディの「オルフェオ」は完成度が高いと言えるでしょう。『オルフェオ』について先日既にかなり書きましたが、ガーディナー指揮で比較的最近演奏された映像がyoutubeに上がっていました。

舞台演出的には、私としては先日取りあげたリセウ大劇場のDVDの方が断然好きなのですが、これはこれで面白い感じもします。現在、オペラと言えば、舞台と客席の間のオーケストラピットに楽器演奏団が収まっていますが、いつ頃からそうなったかは、はっきりしていないようです。もしかしたら、こんな感じだったのかもしれません。ガーディナーなので学術的にいろいろ考えた末かもしれないし、演出家が考えたことかもしれないし、どうなのか、確認している余裕はちょっとないんですが、いずれにしても、バロックなら舞台演出は凄まじく豪華で演出的だったとは思いますが、なんというか、ユニクロというか、部屋着で歌ってるみたいな映像っすね。

モンテヴィルディは18のオペラを作曲しましたが現存するのは次の3作、「オルフェオ」「ウリッセの帰還」「ポッペアの戴冠」。これらを観てゆきたいところです。ちなみに「ポッペアの戴冠」の方は既にDVDを持っているのですが、題材があまり好みではなくて、いまいち楽しめません。「ウリッセの帰還」のDVDを買いたいのですが、今は金がない。ウリッセの帰還というのはイタリア語なのでわかりにくいですが、ウリッセはラテン語ではウリュッセウス、英語でユリシーズ、ギリシャ語ではオデュッセウスであり、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』なのだろうと思います。なお、映像ではアーノンクール指揮のDVDは3作揃っており、まぁ、探せばyoutubeにあがっているのもあるのですが、アーノンクールは未だにちょっと苦手なもので・・・。モンテヴェルディに続く作曲家としてはジャン=フィリップ・ラモーの「優雅なインドの国々」という作品のDVDを既に持っていました。数年前に買ったのですが、なんと未開封のままです。

アントニオ・チェスティの『黄金のりんご』と思わしき音声をyoutubeで見つけました。

オペラ『黄金のりんご』は神聖ローマ皇帝レオポルト1世とマルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャの結婚式で上演されたそうで(1666年?1668年?)、マルガリータはスペインのベラスケスが幼少からの肖像画を描いてウィーン宮廷へ送っていた為、肖像画がたくさん残っているあのマルガリータであり、なかなか濃い感じでバロック繋がりですね。オペラの方は、おそらくバロックオペラ史上最大のイベントだったのではないかと思われますが、オペラ劇場どころから宮廷全体を使ったり、花火を打ち上げたりなどいう具合だったようで、基本的に再現不能なのではないかと思っていましたが、解説書で読んだだけなので、どんな作品なのかは知らず。上記の動画では5時間ですが、コメント欄をなどを見ると本来は8時間であり3時間のカットがあるそうですが。

| 音楽 | 09:34 PM | comments (0) | trackback (0) |
バロック歌劇について語る:モンテヴェルディ『オルフェオ』
音楽に限らず諸芸術のバロック期の始まりはだいたい1600年前後、厳密な年代からどこから始まったかといえば、ジャンルによって見解が異なるかと思いますが、例えば建築なら1580年代くらいとか、何かしら記念碑的な作品が完成した年を当てはめるという手があるかと思います。音楽の場合はオペラといういかにもバロック的なジャンルの始まりをバロックの始まりということに設定すれば、けっこうはっきり年代設定でるかと思います。音楽のジャンルは、徐々に形成されてくることが多く、正確な形成過程自体わからないことが多いのですが、オペラはかなりはっきりしており、ある集団が古代の劇を再現しようと試み、歌いようにセリフを言っていたという想定で、再現してみたのがオペラの発生と言われており、その年代もわかっているので、それをバロック音楽の発生としてもよいかと思います。歴史上最初の歌劇は現存しておらず、現存するものとして最古のオペラはヤコポ・ペーリの「エウリディーチェ」で、1600年にフランス王とマリー・ド・メディシスの結婚の際に、フィレンツェのピッティ宮殿で初演されたということなので、そこをバロック音楽のはじまりとするときっかり1600年です。異論はいっぱいあるかもしれませんが、クラシック音楽に果たしたオペラの役割を考えると捨てがたいところです。

ちょっと話が外れますが、古代劇の再生という意図があるなら、バロックよりも「ルネッサンス」の方が言葉の意味的には合っていないでもないですね。絵画の方も、ポンペイの遺跡が発掘されるまでは、古代の絵画というものがあまり伝わってなかったので、ルネサンスの頃の人が、実際の古代の絵画について触れる機会は相当少なかったと思われます。ですから、実際に影響を与えたのは、建築様式、そして彫刻作品、文芸作品などに依るのでしょう。ましてや音楽となると、古代の音楽は、ピタゴラスやプラトンのような音楽理論だけですから、ルネッサンス音楽といえど、古代の再生とは言い難いものがあったわけですが、これは、先に読んだ中島智章(著)『図説 バロック』(ふくろうの本/世界の文化)に書いてあった話なのですが、言われてみればなるほどと感心しました。

ヤコポ・ペーリの「エウリディーチェ」はマリー・ド・メディシスの結婚の際に上演されたそうなのですが、マリー・ド・メディシスは後にルーベンスに自分の生涯を描かせ、『マリー・ド・メディシスの生涯』という連作が現在ルーブル美術館にありますが、これはまさにバロック絵画の代表ともいえる作品なので、マリー・ド・メディシスはまったく持ってバロック的な生涯であったのでしょう。ヤコポ・ペーリの「エウリディーチェ」は私はまだ聴いたことがありません。きっと探せば売ってると思うので、そのうち聴いてみたいと思います。注目すべきは、歴史上3作目、現存するものとしては、2作目の歌劇作品である、モンテヴェルディの『オルフェオ』です。

再びちょっと脇道にそれますが、まずオペラというものについて言えば、オペラというのは歴史上これまでに数多作曲されていますが、オペラハウスの定番レパートリーになっている曲は、その歴史の割にはあまり多くありません。ドイツならモーツァルトから始まって、魔弾の射手とか、ワーグナーの作品とか、イタリアなら、ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニとか、っていうふうに挙げていくとそれなりの数にはなりますが、17世紀からの歴史と考えてみると、それほどでもない数の作品を延々くり返して上演しているわけで、それもだいたい古典派以降の作品で締められています。いや、実際は、ヴェルディとかプッチーニだらけだったりするものですが。モーツァルトなど古い方だと言っていいかと思うのですが、いずれにしても古典派以降の作品であり、バロックオペラというのは滅多なことで聴けるものではありませんでした。オペラというジャンルほど、バロックを体現したものはないと言えるのですが、オペラ座の定番レパートリーはそれより後の作品なのです。が、最近は状況が変わって、けっこう演奏されており、映像化されてもいるので、DVDとかで買えたりします。音楽好きの方が海外に行ってようやく観劇できた作品が、バロックオペラだとガッカリするみたいですが。確かにフィガロの結婚とか、プッチーニとかの方がいいっすよね。定番オペラですら、それなりの予備知識がないと楽しめないのですが、バロックオペラだとさらにハードルが高いと言えるでしょう。いずれまた語りたいと思いますが、バロックという時代であったからこそという要素が多々あって、違う時代で聴いて理解が難しいこともいろいろあるわけです。が、しかし、現存2作目オペラであるモンテヴェルディの「オルフェオ」。これは珍しく、けっこう時代を超越している完成度です。いや、もはやしょっぱなでバロック期オペラの最高傑作になってしまっているのではないか、とも思えるほどです。

『オルフェオ』はバルセロナのリセウ大劇場で上演されたもののDVDがとても良い出来映えなのでお薦めです。日本語字幕も付いてます。

題材はギリシャ神話のオルフェウスの物語。竪琴の名手オルフェオは、新婚の妻エウリディーチェがいましたが、毒蛇に噛まれて死んでしまい、連れ戻す為に黄泉の国にゆくという、誰でも知っている物語です。

youtubeにも上がっているので、それを参照しつつ、ちょっと観てみましょう。
既に立派な序曲っぽいものがありますが、とってもいいですね。

後に、モーツァルトやベートーヴェン等が活躍する頃に、交響曲という形式が台頭してきますが、その萌芽となるのがオペラの序曲であり、このオルフェオの序曲はまさにその最初の一撃といえるでしょう。あるいは交響曲に限らず器楽曲全般のスタートラインかもしれません。

音楽の女神的なものが前振り歌を歌ってくれますが、この時点でもう素晴らしいという他ありません。私などはこの歌だけでワイン一本空けられます。

当時の民衆の音楽がどんなだっかはともかく、現在クラシック音楽と言われるものの流れでは、ルネサンス期までは、対等のパートが織りなすポリフォニーが主流であり、何を言っているのは聞き取りづらい音楽だったのが、セリフを歌うという行為により、しっかりと聞き取り安いホモフォニーになっています。バックバンドやオーケストラを背景にした歌謡曲のようでもあり、これが歌劇のはじまりでありつつ、現代に続く音楽の始まりなのでもあるのでしょう。例えば、日本のテレビで演歌歌手が歌っているのを見て、それが昔からの日本のものだとうっかり思ってしまうかも知れませんが、記譜方法だって西洋の記譜方法だし、単に日本っぽい音階に限っているだけで、スタートはここなのではないか、と。

幸せいっぱいの場面とか、さらに合唱も交えてみたり、娯楽作品としても完成度が高く、とくに合唱はルネサンス期のポリフォニー的要素も残っていて、いろいろ楽しめると言える、バランス良く練られた作品なのですが、それは各自観てもらうとして、とりあえず合唱と主人公オルフェオの歌を聴いてみましょう。


その後、いろいろあって、三途の川の場面です。

三途の川の船頭を歌で眠らせ通過します。

それから、冥界の王ハデスの夫婦も歌で説得するなどして、無事エウリディーチェを連れ帰れそうになるのですが、道中決して振り返ってはならないという約束を破って妻は去ってしまいます。

悲嘆にくれるオルフェオを哀れに思った父であり太陽神であるアポロが雲に乗って登場します。

バロックオペラには、最後に雲に乗った神が降りてきて救いの手を差し伸べるというパターンがけっこうありますが、当時、王侯貴族が舞台に立つことが多く、この場面で、登場して慈悲深いところを見せるという演出もあったようです。このオルフェオがどうだったかはわかりませんが。しかし、これはバロック期にオペラがどのような役割を果したかを語るには重要な要素です。

ちなみに、なんでこんなことを書いたかというと、この曲のガーディナーのCDを買ったわけです。
モンテヴェルディ『オルフェオ』(ガーディナー指揮/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ)
素晴らしい。清明な演奏です。CDで買うならダントツでこれがよいでしょう。

しかし、映像と字幕もあった方がいいので、まず手初めにという感じでしたら、下記DVDがお薦めといえるでしょう。
モンテヴェルディ:歌劇《オルフェオ》リセウ大歌劇場2002
めっちゃプレミアついてますけれども。

| 音楽 | 03:17 AM | comments (0) | trackback (0) |
ベートーヴェンについて大いに語る
歴史上の人物で私が最も尊敬しているのはベートーヴェンであり、ベートーヴェンが突出し過ぎて世の中で他の人物が何をやっていようとも割とどうでもいいかなと思うほどですが、他人にこれを理解してもらうのはなかなか難しいところです。なんと言ったらいいんでしょうか、敢えて説明するとすれば、クラシック音楽にもいろいろなジャンルがありますが、ほとんどのジャンルでベートーヴェンの作品が頂点を極めていると言える点でしょうか。弱点を挙げるとすればオペラ分野であり、ヨーロッパ文化の代表格と言えば、音楽に限らずあらゆる分野の芸術が集約しているのがオペラであって、そういう意味ではベートーヴェンは結局1作しかオペラを残せなかったことを考えると、極めて致命的な弱点と言えるのですが、たとえ1作だったとしても、ビゼーのカルメン級の作品だったら文句はなかったところですが・・・まぁ、しかし実は近年のオペラ文化の衰退っぷりは凄まじく、西洋文化を代表するような格を保てなくなりつつあるということもあり、相対的にベートーヴェンの弱点は克服されつつあります。そもそも、オペラで華々しく成功していたらベートーヴェンではないような気がします。が、しかしいずれにしても、そのような業績面の事などはむしろどうでもいいのかもしれません。ただの小品などにおいても、旋律の誇り高き気高さにおいて、別格のような気がするのです。というわけで、年末年始は訪問者も少ないので、この隙にひっそりとベートーヴェンの交響曲のベスト盤を自分なりに考えて語ってみたいと思います。ベートーヴェンの交響曲は9作あります。まずは第1番から・・・

■交響曲第1番■
交響曲ジャンルでベートーヴェンの本領が発揮されるのは第3番『英雄』からであり、第2番まではまだ初期作品群です。解説書などでは、ハイドン、モーツァルトなどの古典派作曲家の技法を踏襲しつつ、しかしながら所々ベートーヴェンの個性も垣間見える段階である・・・という説明がされていることが多いのですが・・・。しかし実はよく聴いてみると第1番はたいへん魅力的な曲であり、ベートーヴェンの作品全体を聴き込んでみると、第1番は既に完全にベートーヴェン的であり、非常に聴き応えのある曲です。第1番を甘く見る者は素人と言えるでしょう。第1番の魅力が伝わらなかったのは、前世紀の大編成のオーケストラで聴いていた為に、曲と演奏がかみ合っていなかったのではないかと思います。というわけで、お薦めはやはりピリオド奏法の録音がいいんじゃないかと思います。というわけで、推奨版はピリオド奏法のCDの中から、ガーディナー指揮&ORRがベストといえるでしょう。特に第4楽章は快活で、これを聴くと活力が沸いてきます。大編成オケと比較してもむしろかえって立派な感じに聞こえるのは何故なのでしょう。なお、ハイドン交響曲全集など聴いたあげくに再び本曲を聴くと感慨深いものがあるというか、印象がだいぶ変わります。

■交響曲第2番■
第1番同様、様式的には従来の古典派の範疇にあるものの、演奏時間もそれなりに長くなり、なかなか勢いのある曲で、愛聴するファンも多いと思いますが、私も非常に好きな曲です。後の傑作と比べるとまだ小さいですが、従来の交響曲の範疇ではかなりの規模と言えるでしょう。ベートーヴェンは古典派に分類される作曲家ですが、次作の第3番「英雄」はロマン派のスタート地点ではないかと言われるような大曲であり、ゆえに本作がハイドンから連なる純粋に古典派的な交響曲の最高峰ではないか、という説を唱えたいところです。良く言及されることですが、ベートーヴェンの難聴が悪化した時期の作品であり、有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」を書くなど、ベートーヴェンにとっては辛い時期だったにもかかわらず、そういうところをまるで感じさせないところが逆に泣かせるところです。で、お薦めは、ヒコックス指揮ノーザン・シンフォニア・オブ・イングランドです。小編成のオーケストラで演奏しているようですが、ピリオド奏法に慣れてから改めに聴くと、モダン楽器としては丁度よい編成に思えます。指揮者もオケも一般的な知名度は無いと思われ、もう生産されることはないと思いますが、amazonで中古CDが1円とか売られているので、格安で入手可能。または、同じくAmazonで全集がダウンロード販売されています。ガーディナー/ORRのCDも大変お薦めと言えます。速いテンポで進行し、非常にメリハリがあって、大いに盛り上がります。勢いがありすぎて、バランスを欠いているような点が無きにしもあらずなので、初めはヒコックスを、その後にガーディナーをというのが私もお薦めコースです。しかしこの曲はどの録音で聴いても、曲の魅力が十分に伝わるような気がするので、基本的にどのCDでもいいのかと思います。

■交響曲第3番『英雄』■
ベートーヴェンの「英雄」は交響曲界の中でも屈指の傑作であり、交響曲というジャンル自体がこの曲によって大きく変化したと思われるぐらいの影響があったのですが、それどころか音楽史自体がこの曲で分岐するんじゃないでしょうか。BBCが放送したドラマがDVD化されており、『フィルム「英雄」永遠に音楽が変わった日』というタイトルで販売されていますが、全くの誇張というわけでもないと思います。私が一番最初にこの曲の存在を知ったのは高校時代に世界史の先生が「世の中にこんなすごい曲があるのかと思った」というような話をしたときで、それほどすごい曲とはどんなものだろうかと思ったものですが、実際聴いてみると高校生の自分にはよくわからなかったのが正直なところです。この曲の良さを理解するまでは、多少時間がかかるような気がします。さて、本曲で最も気に入っている録音はヘンリー・アドルフ指揮/西ドイツフィルハーモニー管弦楽団というCDです。私が大学生の頃、書店などで格安CDとして売られていたものであり、他の曲と2枚組で500円前後で並んでた記憶があります。まだCDというものが安くなかった時代で、レコードショップで何を買うか、尻から血が出るほど悩みつつ買っていたような時代だったから、この格安品は重宝したものです。最近ネットで検索して知ったのですが、この指揮者、いわゆる幽霊指揮者で、実際には存在しない人物だったとか。アルフレート・ショルツという人が、放送局などの大量の録音の権利をまとめて買い取り、適当な名前やときには自分の名前を付けてCDにして販売していたそうな。そんな中の1枚だったわけです。この英雄のCDは、特に強い個性というものはなく、最初に聴いたときは薄い印象の演奏であり、さすが格安CDのクオリティだと思いました。当時熱心に聴いていた朝比奈隆やフルトヴェングラーと比べると、実に薄っぺらい印象があったのですが、今になって振り返ってみると、このCDが最も繰り返し聴いた「英雄」でした。酷く強調したりとか、そういうところがないせいか、何度聴いても飽きません。第1楽章は最高の演奏といえるでしょう。第4楽章もいいと思います。今ではさすがに売ってないと思いますが、たまにヤフオクに出品されてたりするので是非聴いてみてください。最近よく聴くのはガーディナー/ORRであり、ちょっとないくらいのスピード感が心地よく、これもまたお薦めです。

■交響曲第4番■
ベートーヴェンの交響曲に私如きが何か苦言を呈したりするようなことはおこがましいにも程があるけれども、しかしあえて何か言うとしたら第4番はどうもちょっとどうかなと思うところがあります。序奏から始まって速度が上がって盛り上がる展開は第1番、第2番と共通して、第4ではちょっと演出が過剰気味になった感がなきにしもあらずです。第2番くらいがバランスが良かったような。この曲の緩徐楽章は好きです。いろいろ聴いてはみたものの、お薦め盤は、まだ保留というところです。敢えて挙げるとすれば、ホグウッド/アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックです。しかしまだまだ勉強不足なのでしょう。いろいろ聴いてみたいと思います。

■交響曲第5番『運命』■
この曲の最高の演奏はカルロス・クライバー/ウィーフィルのCDでしょう。異論はあると思いますが、そんなに多くはないと思います。これほど格好良い「運命」は他にありません。格好いいのに、決して軽くないところが凄いと言えるでしょう。なお、私が個人的にこの曲の中で最も好きなのが第2楽章です。これほど心を慰められる緩徐楽章は他にありません。前掲のクライバーのCDは第1楽章の格好良さと、第4楽章の盛り上がりで頂点を極めていますが、第2楽章も素晴らしいものの、何か少々もの足りないような気がします。物足りないというよりは、逆に足りすぎていて、心を慰められないというか。フルトヴェングラーのCDは第1楽章の運命の動機や第4楽章の勢いなどが話題になりますが、私としては第2楽章に着目して、このCDを採り上げたいような気がします。

■交響曲第6番「田園」■
この曲は「田園」という情景を表すようなニックネームが付いているだけあって、いくぶん標題音楽的な傾向がみられます。しかし厳密にはこれはまだ標題音楽ではなくて、純粋音楽のジャンル分けされるようです。「標題音楽」とはブリタニカ国際大百科事典によれば「楽曲の様式。文学的,絵画的,劇的な内容を暗示する主題や説明文,すなわちプログラムを伴った音楽。器楽曲に多く用いられ,絶対音楽に対する。ロマン派におけるシューマンの標題付きピアノ曲,ベルリオーズの標題交響曲,リストや R.シュトラウスの交響詩などが最も代表的なものであるが,国民楽派の風景や伝説を描いた音楽や,瞬間的なイメージをとらえた印象派の音楽も標題をもっている」とされています。その対義語は絶対音楽(absolute music)であり、同事典によれば「音楽以外の制約から解かれた,すなわち他の芸術と結びついていない純粋な音楽をいう。したがってそれは,言語内容を音に響かせようとする意図や,対象的なものを模倣あるいは描写しようという意図,また感情などを表現しようとする意図はもたず,音楽的形式や秩序そのものがその存在の根元をなしている」。標題音楽と絶対音楽に優劣は無いと思うし、どちらも楽しみたいところであるけれども、交響曲という様式は絶対音楽向けのような気がしているし、ベートーヴェンが最も力量を発揮するのも絶対音楽分野のような気もする。そして、一般的な認識ではベートーヴェンの田園は厳密には絶対音楽の範疇だけれど、これが交響曲分野での後に隆盛する表題音楽にかなり影響があったのではないか、それどころか後の標題的な交響曲や交響詩の草分け的存在、いやむしろ発生源ではないか、とも思うので、実はあまり好きな曲ではなかったりします。第1楽章に関してはどのCDを聴いてもそれなりにいいなとは思うのですが、全体を通してどうかというとお薦め盤はまだ保留です。

■交響曲第7番■
リズムを重視した独特の曲調で、他の作品と少々雰囲気が異なるような気がします。ベートーヴェンの生前に成功を収めて何度も演奏された模様ですが、実は現在、ベートーヴェンを代表するような曲でも、生前は不遇な目にあってる作品は多かったので、そういう意味でも第7番は初見でも理解しやすい名曲だったのでしょう。しかし、リズム重視でわかりやすい雰囲気がある為、私はベートーヴェンにしては外面的な感じの作品だと思っていました。いい曲だけれどもそれほど聴き込んでみるほどの要素はないかな、それほど大した曲ではないような、というか、正直にいうとちょっと変な曲だなと思っていたのですが、ガーディナー/ORRの録音を聴いてからは、全くその考えが変わりました。今では指折りのお気に入りです。この演奏は本当に素晴らしい。古楽器で小編成、異様に速いテンポであり、そんなに迫力があるはずはないのですが、これほど誇り高い第1楽章が他にあるでしょうか。この演奏を聴くとまさに第7番こそがダントツで9曲中最高傑作と言いたくなりますが、しかし、他の演奏を聴くと、そうでもないという気がするので、厳密にいうと、ガーディナー/ORR演奏の第7番に限定されるのかもしれません。

■交響曲第8番■
ベートーヴェンの交響曲は奇数番号に革新的で規模の大きな曲が多く(英雄、運命、第九など)、偶数番号は逆に落ち着いた感じの曲が多いという傾向があります。奇数番号が男性的、偶数番号が女性的と表現さてることもあります。そんな偶数番号の作品の中で、最も有名なのはたぶん「田園」ですが、個人的に最高傑作だと思うのは、第8です。この曲はどの演奏を聴いてもそれなりに曲の魅力は伝わりますが、ヒコックス指揮ノーザン・シンフォニア・オブ・イングランドが特にお薦めです。オケの編成、テンポなど、絶妙なバランスで、初見には最適かと思います。第8番の場合、非常に速いテンポで劇的な演奏が話題になる傾向があるのですが、私はこれくらいがちょうどいいと思います。特に気に入っているのが第4楽章で、バランスのいいテンポと、それでいてどことなく哀感のある音作りが素晴らしいと思います。そんなに知名度の高い指揮者でも楽団でもないので、たぶん偶然なのかと思いますが。現在はAmazonでダウンロード版で全集が出ているの購入可能です。前にも書きましたが、ガーディナー/ORRのCDが非常に素晴らしいです。特に第1楽章は最高の出来映えで、これほど感動的な第8番は他にないというほど立派です。

■交響曲第9番■
フルトヴェングラー&バイロイト(1951)足音入り、これを聴かずして第九は語れないところです。これを聴かないというのは人類としてどうかと思いますが、しかし、これを日常的に聴いている人もそう居ないんじゃないかと思います。いや、けっこういらっしゃるかもしれませんね。しかし、いろんな録音を聴いたうえで、フルトヴェングラーを聴くと感動もひとしおだと思うので、まずは他を挙げるとすると、快速な例としてはシャルル・ミュンシュの録音と個人的に好みです。古楽器演奏ではガーディナー/ORRがよろしいかと思います。これは古典的な急緩強弱を踏襲しつつ非常にコンパクトにまとめているので、ピリオド奏法に拒否感がある人でもすんなり受け入れられるのではないかと思います。まず、第1楽章が活気に溢れており、一分の隙も無いような密度になっています。第4楽章はこれは正直けっこう感動的な演奏なので是非聴いてもらいたいところです。古楽器演奏なので、たぶんコンサートホールで聴いても、おそらくあまり迫力はないのでしょうが(先ほどから古楽器演奏のCDを大いに薦めていますが、大ホールでのライブを聴くとけっこうガッカリすることが多いですよ)、CDで聴く分には超絶感動の嵐的な録音です。古楽器演奏とは思えないくらい正統派中の正統派的な印象を持っています。

というわけで、この文章を最後まで読んだ人はまず居ないと思いますが、良いお年を。

| 音楽 | 01:39 AM | comments (0) | trackback (0) |
交響曲のピアノ編曲版譜面をたくさん収録した本を買ったので感想を述べる
最近、交響曲のピアノ編曲版の楽譜を入力するという行為に勤しんでおります(しかもマウスで)。この行為に何の意味があるのかはよくわかりませんが、写経みたいなものなのかもしれません。

というわけで、新たに以下のピアノ編曲版楽譜を購入し、いくつか入力してみたので、レビューしてみようと思います。
The Symphony: The World's Great Classical Music : Intermediate to Advanced Piano Solo : 55 Excerpts from 47 Symphonies by 18 Great Composers (World's Greatest Classical Music)
交響曲ピアノ編曲集

ペーパーバック1冊に18作曲家の47の交響曲から55の楽章抜き出し、1人用ピアノアレンジの楽譜として収録しています。Amazonでそこそこお手軽価格で購入できます。実質55曲というわけえすが、いずれの曲も一部を抜粋した短縮版となっています。ただし、曲によって割かれる紙数にけっこうバラツキがあり、有名なモーツァルトの交響曲第40番第1楽章は6ページの紙数が割かれていますが、ブルックナーの交響曲第7番は3ページで終わっています。あのブルックナーの長大な曲が、なんということでしょう、という感じですが、そもそもこういう本にブルックナーが収録されているというだけでもありがたいことです。譜面の難易度はかなり易しい方だと思います。その為、音が少なくて物足りないような気がしないでもないわけですが、リスト編曲!みたいなごちゃごちゃしたものよりもすっきりしてかえっていいかもしれません。
交響曲ピアノ編曲集

それでは、KAWAIのスコアメーカーFX6というソフトを使って、ポチポチとマウスで入力してみましたので、聴いてみることにしましょう。

■マーラー:交響曲第5番 第4楽章

こちらは比較的多めに紙数が割かれており、珍しくバランスの良い抜粋となっています。この曲の場合は、ピアノで演るなら全曲より抜粋の方がいいかもしれません。

■ベートーヴェン:交響曲第7番 第2楽章

抜粋版とはいえ、何故そこで終わるのだ?と嘆かずにはいられません。

■ブルックナー:交響曲第7番 第2楽章

こ、これだけか。。。

もうひとつ、モーツァルトの交響曲第40番も入力してみたのですが、なかなか気合いの入った編曲でした。しかし、紙数の都合上か、怒濤のクライマックス部分のみ抜粋しており、違和感が半端ないので、これをうまく改修して全曲版にできないものかと検討中です。なかなか音楽の勉強になりそうです。

で、本書について総括すると、交響曲のピアノアレンジはそのまま全曲演奏するには長いので、適度な抜粋というのは有りだと思います。むしろするべきでしょう。しかし、この本だと流石に短すぎて違和感があるので、せめて、各々倍ぐらいあったら、逆にいうと収録曲が半分の数だったらバランス良かったのにな、と思います。

| 音楽 | 08:56 PM | comments (0) | trackback (0) |
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 第1楽章(ピアノ編曲版)
ブラームスの交響曲第4番のピアノ編曲版をパソコンに入力してみました。


なんだかんだで、一番好きな曲なので、一度やってみたかったわけです。譜面は、ペーパーバックで売られている、Brahms: Complete Symphonies for Solo Piano (Dover Classical Music for Keyboard)、それを購入してスコアメーカーで打ち込んでみました。過剰な装飾も無く、バランスの良いアランジ版だと思います。テンポの急緩、音の強弱などをかなり控えめにして入力しました。実際にはちょっとずつ細かく調整していたりするのですが、わざとらくならない程度に控えています。

ちなみに背景は私の制作中写真のスライドショーなので、是非フル画面でみてください。

| 音楽 | 01:16 AM | comments (0) | trackback (0) |

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