バロックオペラ映像まとめ
バロックについていろいろ読みつつ、音楽の方は聴いてみたりなどしているところですが、youtubeで見つけた映像などまとめてみました。自分用メモみたいなところでもあるので、内容の正確性、誤字乱文等ご容赦ください。

史上最初のオペラ、ヤコポ・ペーリ作『ダフネ』は現存していないということですが、ダフネといえば、ベリーニの彫刻でダフネを題材にしたものが、まさにバロック彫刻代表作として言及されたりするので、バロック的な題材といえるのかもしれません。現存する最古のオペラはペーリ作『エウリディーチェ』で、1600年にフランス王とメディチ家マリーの婚礼を祝ってフィレンツェで初演されたとされる、これもまたバロックの始まりを告げるような出来事ですが、この作品については本などで存在を知る機会はあったものの、現代で演奏されることはないのだろうなと勝手に思っていました。が、検索したらyoutubeでいくつか実演の音声らしきものを見つけることができました。考えてみれば、現存最古のオペラとなれば、学究的にも重要なことだし、演奏しようと思うグループは多々あることでしょう。

動画説明欄によると、オペラ誕生400周年を記念して行われた国際会議の一環として、2000年にイリノイ大学の学生等で演奏されたもののようです。
動画では英語の訳まで表示されてなかなか親切です。じっくり見ている余裕はなくて、作業用BGMとして流すような感じで、最後まで聴いてみましたが、確かに世にいろいろ言われるように、台詞をポリフォニーで歌うように表現するということに注力しており、バロック的に演出的な効果は少なめで地味かなという気はしないでもないですが、まだそんな聴き込んでないので、あくまで印象です。なお、王家に名字はないので、后は慣例に出身地を附して呼ばれる為、フランスではメディチのマリー、マリー・ド・メディシスとなるのですが、後にルーベンスにマリー・ド・メディシスの生涯という連作を描かせ、それは現在はルーブル美術館に飾られており、ルーベンスの代表作ともなっていますが、初めてあの部屋に入ったときには、なんちゅう悪趣味な絵だろうと思って素通りしましたが、今ならじっくり見て楽しめそうです。

それにしても史上3番目のオペラ(現存する2番目に古いオペラ)、モンテヴェルディの「オルフェオ」は完成度が高いと言えるでしょう。『オルフェオ』について先日既にかなり書きましたが、ガーディナー指揮で比較的最近演奏された映像がyoutubeに上がっていました。

舞台演出的には、私としては先日取りあげたリセウ大劇場のDVDの方が断然好きなのですが、これはこれで面白い感じもします。現在、オペラと言えば、舞台と客席の間のオーケストラピットに楽器演奏団が収まっていますが、いつ頃からそうなったかは、はっきりしていないようです。もしかしたら、こんな感じだったのかもしれません。ガーディナーなので学術的にいろいろ考えた末かもしれないし、演出家が考えたことかもしれないし、どうなのか、確認している余裕はちょっとないんですが、いずれにしても、バロックなら舞台演出は凄まじく豪華で演出的だったとは思いますが、なんというか、ユニクロというか、部屋着で歌ってるみたいな映像っすね。

モンテヴィルディは18のオペラを作曲しましたが現存するのは次の3作、「オルフェオ」「ウリッセの帰還」「ポッペアの戴冠」。これらを観てゆきたいところです。ちなみに「ポッペアの戴冠」の方は既にDVDを持っているのですが、題材があまり好みではなくて、いまいち楽しめません。「ウリッセの帰還」のDVDを買いたいのですが、今は金がない。ウリッセの帰還というのはイタリア語なのでわかりにくいですが、ウリッセはラテン語ではウリュッセウス、英語でユリシーズ、ギリシャ語ではオデュッセウスであり、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』なのだろうと思います。なお、映像ではアーノンクール指揮のDVDは3作揃っており、まぁ、探せばyoutubeにあがっているのもあるのですが、アーノンクールは未だにちょっと苦手なもので・・・。モンテヴェルディに続く作曲家としてはジャン=フィリップ・ラモーの「優雅なインドの国々」という作品のDVDを既に持っていました。数年前に買ったのですが、なんと未開封のままです。

アントニオ・チェスティの『黄金のりんご』と思わしき音声をyoutubeで見つけました。

オペラ『黄金のりんご』は神聖ローマ皇帝レオポルト1世とマルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャの結婚式で上演されたそうで(1666年?1668年?)、マルガリータはスペインのベラスケスが幼少からの肖像画を描いてウィーン宮廷へ送っていた為、肖像画がたくさん残っているあのマルガリータであり、なかなか濃い感じでバロック繋がりですね。オペラの方は、おそらくバロックオペラ史上最大のイベントだったのではないかと思われますが、オペラ劇場どころから宮廷全体を使ったり、花火を打ち上げたりなどいう具合だったようで、基本的に再現不能なのではないかと思っていましたが、解説書で読んだだけなので、どんな作品なのかは知らず。上記の動画では5時間ですが、コメント欄をなどを見ると本来は8時間であり3時間のカットがあるそうですが。

| 音楽 | 09:34 PM | comments (0) | trackback (0) |
バロック歌劇について語る:モンテヴェルディ『オルフェオ』
音楽に限らず諸芸術のバロック期の始まりはだいたい1600年前後、厳密な年代からどこから始まったかといえば、ジャンルによって見解が異なるかと思いますが、例えば建築なら1580年代くらいとか、何かしら記念碑的な作品が完成した年を当てはめるという手があるかと思います。音楽の場合はオペラといういかにもバロック的なジャンルの始まりをバロックの始まりということに設定すれば、けっこうはっきり年代設定でるかと思います。音楽のジャンルは、徐々に形成されてくることが多く、正確な形成過程自体わからないことが多いのですが、オペラはかなりはっきりしており、ある集団が古代の劇を再現しようと試み、歌いようにセリフを言っていたという想定で、再現してみたのがオペラの発生と言われており、その年代もわかっているので、それをバロック音楽の発生としてもよいかと思います。歴史上最初の歌劇は現存しておらず、現存するものとして最古のオペラはヤコポ・ペーリの「エウリディーチェ」で、1600年にフランス王とマリー・ド・メディシスの結婚の際に、フィレンツェのピッティ宮殿で初演されたということなので、そこをバロック音楽のはじまりとするときっかり1600年です。異論はいっぱいあるかもしれませんが、クラシック音楽に果たしたオペラの役割を考えると捨てがたいところです。

ちょっと話が外れますが、古代劇の再生という意図があるなら、バロックよりも「ルネッサンス」の方が言葉の意味的には合っていないでもないですね。絵画の方も、ポンペイの遺跡が発掘されるまでは、古代の絵画というものがあまり伝わってなかったので、ルネサンスの頃の人が、実際の古代の絵画について触れる機会は相当少なかったと思われます。ですから、実際に影響を与えたのは、建築様式、そして彫刻作品、文芸作品などに依るのでしょう。ましてや音楽となると、古代の音楽は、ピタゴラスやプラトンのような音楽理論だけですから、ルネッサンス音楽といえど、古代の再生とは言い難いものがあったわけですが、これは、先に読んだ中島智章(著)『図説 バロック』(ふくろうの本/世界の文化)に書いてあった話なのですが、言われてみればなるほどと感心しました。

ヤコポ・ペーリの「エウリディーチェ」はマリー・ド・メディシスの結婚の際に上演されたそうなのですが、マリー・ド・メディシスは後にルーベンスに自分の生涯を描かせ、『マリー・ド・メディシスの生涯』という連作が現在ルーブル美術館にありますが、これはまさにバロック絵画の代表ともいえる作品なので、マリー・ド・メディシスはまったく持ってバロック的な生涯であったのでしょう。ヤコポ・ペーリの「エウリディーチェ」は私はまだ聴いたことがありません。きっと探せば売ってると思うので、そのうち聴いてみたいと思います。注目すべきは、歴史上3作目、現存するものとしては、2作目の歌劇作品である、モンテヴェルディの『オルフェオ』です。

再びちょっと脇道にそれますが、まずオペラというものについて言えば、オペラというのは歴史上これまでに数多作曲されていますが、オペラハウスの定番レパートリーになっている曲は、その歴史の割にはあまり多くありません。ドイツならモーツァルトから始まって、魔弾の射手とか、ワーグナーの作品とか、イタリアなら、ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニとか、っていうふうに挙げていくとそれなりの数にはなりますが、17世紀からの歴史と考えてみると、それほどでもない数の作品を延々くり返して上演しているわけで、それもだいたい古典派以降の作品で締められています。いや、実際は、ヴェルディとかプッチーニだらけだったりするものですが。モーツァルトなど古い方だと言っていいかと思うのですが、いずれにしても古典派以降の作品であり、バロックオペラというのは滅多なことで聴けるものではありませんでした。オペラというジャンルほど、バロックを体現したものはないと言えるのですが、オペラ座の定番レパートリーはそれより後の作品なのです。が、最近は状況が変わって、けっこう演奏されており、映像化されてもいるので、DVDとかで買えたりします。音楽好きの方が海外に行ってようやく観劇できた作品が、バロックオペラだとガッカリするみたいですが。確かにフィガロの結婚とか、プッチーニとかの方がいいっすよね。定番オペラですら、それなりの予備知識がないと楽しめないのですが、バロックオペラだとさらにハードルが高いと言えるでしょう。いずれまた語りたいと思いますが、バロックという時代であったからこそという要素が多々あって、違う時代で聴いて理解が難しいこともいろいろあるわけです。が、しかし、現存2作目オペラであるモンテヴェルディの「オルフェオ」。これは珍しく、けっこう時代を超越している完成度です。いや、もはやしょっぱなでバロック期オペラの最高傑作になってしまっているのではないか、とも思えるほどです。

『オルフェオ』はバルセロナのリセウ大劇場で上演されたもののDVDがとても良い出来映えなのでお薦めです。日本語字幕も付いてます。

題材はギリシャ神話のオルフェウスの物語。竪琴の名手オルフェオは、新婚の妻エウリディーチェがいましたが、毒蛇に噛まれて死んでしまい、連れ戻す為に黄泉の国にゆくという、誰でも知っている物語です。

youtubeにも上がっているので、それを参照しつつ、ちょっと観てみましょう。
既に立派な序曲っぽいものがありますが、とってもいいですね。

後に、モーツァルトやベートーヴェン等が活躍する頃に、交響曲という形式が台頭してきますが、その萌芽となるのがオペラの序曲であり、このオルフェオの序曲はまさにその最初の一撃といえるでしょう。あるいは交響曲に限らず器楽曲全般のスタートラインかもしれません。

音楽の女神的なものが前振り歌を歌ってくれますが、この時点でもう素晴らしいという他ありません。私などはこの歌だけでワイン一本空けられます。

当時の民衆の音楽がどんなだっかはともかく、現在クラシック音楽と言われるものの流れでは、ルネサンス期までは、対等のパートが織りなすポリフォニーが主流であり、何を言っているのは聞き取りづらい音楽だったのが、セリフを歌うという行為により、しっかりと聞き取り安いホモフォニーになっています。バックバンドやオーケストラを背景にした歌謡曲のようでもあり、これが歌劇のはじまりでありつつ、現代に続く音楽の始まりなのでもあるのでしょう。例えば、日本のテレビで演歌歌手が歌っているのを見て、それが昔からの日本のものだとうっかり思ってしまうかも知れませんが、記譜方法だって西洋の記譜方法だし、単に日本っぽい音階に限っているだけで、スタートはここなのではないか、と。

幸せいっぱいの場面とか、さらに合唱も交えてみたり、娯楽作品としても完成度が高く、とくに合唱はルネサンス期のポリフォニー的要素も残っていて、いろいろ楽しめると言える、バランス良く練られた作品なのですが、それは各自観てもらうとして、とりあえず合唱と主人公オルフェオの歌を聴いてみましょう。


その後、いろいろあって、三途の川の場面です。

三途の川の船頭を歌で眠らせ通過します。

それから、冥界の王ハデスの夫婦も歌で説得するなどして、無事エウリディーチェを連れ帰れそうになるのですが、道中決して振り返ってはならないという約束を破って妻は去ってしまいます。

悲嘆にくれるオルフェオを哀れに思った父であり太陽神であるアポロが雲に乗って登場します。

バロックオペラには、最後に雲に乗った神が降りてきて救いの手を差し伸べるというパターンがけっこうありますが、当時、王侯貴族が舞台に立つことが多く、この場面で、登場して慈悲深いところを見せるという演出もあったようです。このオルフェオがどうだったかはわかりませんが。しかし、これはバロック期にオペラがどのような役割を果したかを語るには重要な要素です。

ちなみに、なんでこんなことを書いたかというと、この曲のガーディナーのCDを買ったわけです。
モンテヴェルディ『オルフェオ』(ガーディナー指揮/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ)
素晴らしい。清明な演奏です。CDで買うならダントツでこれがよいでしょう。

しかし、映像と字幕もあった方がいいので、まず手初めにという感じでしたら、下記DVDがお薦めといえるでしょう。
モンテヴェルディ:歌劇《オルフェオ》リセウ大歌劇場2002
めっちゃプレミアついてますけれども。

| 音楽 | 03:17 AM | comments (0) | trackback (0) |
ガーディナーのバロック音楽のCDを3種買いました。
最近、バロック芸術について熱心にいろいろ読んでいたんですが、その中でも中島智章(著)『図説 バロック』(ふくろうの本/世界の文化)というのが、個人的な印象としては最も良い本ではないかと思うようになってきました。建築や都市計画を中心に扱われており、絵画や彫刻は二の次的になっているような気がしますが、まさにそこがバロックを語る上で重要だと思うようになりました。そして、音楽についてもしっかり語られている点もよろしいかと。バロック美術と、バロック音楽はそれぞれの専門家が別の本で述べるようなものという思い込みがありましたが、こちらはしっかり言及されている、しかも音楽を教科書的に述べるのでは無くて、バロック音楽をかなり深く、そして楽しみつつ聴いてきたのだなぁというのが伝わってきて、それを読んでいたら、私も聴きたくなってきました。バロック音楽初期の大作曲家モンテヴェルディの著名なオペラはかつてDVDを買いあさりましたが、他にも初期から盛期バロックの重要なオペラ作家は居ましたので、それも買わねばならぬ。といろいろ物色しているところです。ちなみに、探して驚いたのは、バロックオペラ最大のイベントと思われるマルカントニオ・チェスティの「黄金のリンゴ」の音声らしいものが、youtubeに上がっていたことですが、それはまぁ、機会があったら述べたいところです。絵描きや美術愛好家にはバロック好きの人は多い、そして音楽好きの人にもバロック好きの人は多いのですが、実はほとんどの人はバロックというものの、ほんの一部しか知らない、あるいはたまたま現代人に理解しやすい部分だけを抜き取ってそこだけでバロックのイメージを作っているようなところがあると思います。それはそれでまぁ、いいのかもしれませんが。音楽でバロックと言えば、誰もがバッハを思い浮かべますが、バッハは確かにバロックを代表する作曲家ではありますが、しかし、本当にバロックを体現した作曲家は、もっと他にたくさん居て、一般的には忘れているのではないかと。モンテヴェルディはけっこう知名度も高く、そして、現代でも評価が高いと思いますが、その辺のちょっと音楽が好きな人に聞いても誰も知らんことでしょう。よくバッハのことを音楽の父と言いますが、どう考えてもルネサンスポリフォニーから、バロックオペラの橋渡しをしたモンテヴェルディの方が、現代のクラシック音楽の父ではなかろうかと。まぁ、しかし、そんなことは置いておくとして、とりあえず、ガーディナーのCDをまたいろいろ買いました。まずは、バッハの管弦楽組曲(ガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ)、バッハの管弦楽組曲は誰も知っている名曲揃いですが、私は特に第2番ロ短調が好きです。短調のバロック曲というだけで、心を揺さぶられるものがありますが、これは長年、ミュンヒンガーのCDを愛聴しておりましたが、このガーディナーの演奏は、それと比べるとあまりのスピード感で、早口言葉かよ、という感じなのですが、序曲は旋律が聞き取れない程でした。しかし慣れるとけっこう癖になります。こちらの方がずっとバロックっぽいなという気もします。こちらに慣れてしまうと、戻れないような気もします。しかし今のところ、どちらか一方を選べと言われたら、ミュンヒンガーの方を選ぶとは思いますが。そしてヘンデルのオラトリオ「メサイヤ」(ガーディナー/モンテヴェルディ合唱団)、メサイヤは大仰な演奏が多くて、あんまり好きではないのですが、こちらはヘンデル時代を再現するかのようなピリオド演奏です。一回聴き通してみましたが、清明で聴きやすい演奏です。そして、たぶん小編成だと思いますが、盛り上がるところは盛り上がります。CDで聴く場合はこちらの方がよいかもしれません。しかし、メサイヤって英語なんですね。ラテン語、ドイツ語、イタリア語と違って、英語の宗教曲ってちょっと違和感ありますな。それから、カリッシミ:最後の審判(ガーディナー/モンテヴェルディ合唱団 )。こちらは盛期バロックの作曲家。安かったので思わず買ってしまいました。バロックという時代はけっこう長い。そして、まだまだ知らないことがたくさんある。古典派以降の音楽はめぼしいものはだいぶ聴きましたが、バロックはまだまだカオス的に膨大な世界が広がっているので、こちらを探っていきたいところです。

| 音楽 | 03:16 AM | comments (0) | trackback (0) |
ティントナー:ブルックナー交響曲全集を買う
また無駄なものを買ってしまいました。
ティントナー
ティントナー/ブルックナー:交響曲全集
http://www.hmv.co.jp/news/article/1401300027/

もっと他に買うべき物がたくさんあるような気がするのですが。

最近、ブルックナーの交響曲第3番を良く聴くようになっており、頭の中で絶えずブルックナーが響いている感じなのですが、しかしながらこの第3番、ブルックナーの交響曲の中でも個人的にあまり積極的に聴こうとは思わない曲でした。むしろ初期作品である1~2番の方が好きだったくらいです。もともとブルックナーの曲は、いずれもいきなり魅力がわかるようなものではないのですが、そんな中でも最後までよくわからない曲だというのが正直な印象だったわけです。この曲の理解しがたさは、初めて演奏されたときのエピソードに現れているかと思います。初演はブルックナー自身が指揮をすることになったのですが、当時やはり曲の良さが理解してもらえず、楽章の合間毎に次々と聴衆が帰ってゆき、演奏を終える頃には数人しか残っていなかった。さらに団員までもそそくさと帰ってしまい、ステージにブルックナー1人取り残されたとか。このときのショックでブルックナーは1年間、作曲ができず、毎日ドナウ川に通って川岸の砂粒を数える日々が続いたという話です(普段から砂粒に限らずなんでも数える癖があったそうですが)。クラシック音楽では、今は名曲として知られる曲でも、初演時は意外と失敗しているケースが少なくないのですが、その中でも、ダントツの不遇さで伝説として語り継がれるレベルといえるでしょう。

それはともかくとして、私としては、これもまた理由はよくわからないのですが、最近になってなんとなく部分的にいいなぁと思いはじめ、そして気が付いたらかなりお気に入りの曲になっていました。これは演奏によっても、違うかと思います。CDによってはどの部分を聴いてもさっぱり良くないのですが、いい演奏だと、どの部分も味わい深い旋律のように聴こえてきます。ニ短調ということもあり、どことなく遺作である第9番に通ずる雰囲気が漂っています。

この曲は最初に作曲されたときの状態である第1稿、作曲が自身が後に改訂した第2稿、晩年にさらに改訂した第3稿があるのですが、ふつう演奏されるのは、第2稿か第3稿になります。先の初演の話の時点で、既に第2稿だったようなので、やはり晩年の第3稿と第2稿のいずれで演奏するかが問題となります。その2つのうちでも、校訂者によっても微妙に譜面が違っており、マニアの方々の間で熱く議論されていたりします。ちなみに演奏時間は、第2稿が平均60分、第3稿が55分となっていますで、最終的にけっこうカットされているところが多いと言えます。従って、どちらかというと第2稿の方が好まれる傾向があるようです。ブルックナーは自分の作品をやたら改訂することで知られていますが、技術的に成熟した晩年の改訂の方がよく出来ているのではないかとふつう思うところが、実際は改訂によってカットされる部分が多くて、逆にスケールダウンしてしまうこともあるのです。第3稿はちょっと終楽章が短くて物足りないかな、とか、感じるわけです。

そして、ほとんど話題になっていない第1稿はさらに長い状態であり、70分くらいの演奏時間になります。第2稿改定時に大幅にカットされており、元はかなりの大曲だったようなのです。となると、やはり第1稿を聴いてみなければならんという気持ちになってくるわけです。ネットで検索しつつ、いろいろ調べてみましたが、第1稿の演奏という、かなり限られた音源の中でも特に評判がよいのが、ティントナー指揮のCDでして、そんなわけで、ここまで説明が長くなりましたが、今回購入した件となります。単品で第3番だけのCDを買った方が安く済むのですが、ティントナーという人物の来歴を読んでいたら、思わず全集のBOXを買わずにいられませんでした。

さっそく聴きました。ブルックナー交響曲第3番の第1稿。演奏が遅めのテンポのせいもありますが、全体で77分もあり、ブルックナー後期の大曲に匹敵する作品となっています。第1楽章がなんと30分もかかる。第2楽章もたいへん雄大な感じで、演奏も曲も共に素晴らしいと言えます。第3楽章も。そしてフィナーレも充分に長く、むしろかくあるべきといった感じです。第3稿では短すぎてオマケみたいになっていますが、本来こちらの方がずっとバランスが良いんじゃ思われます。これを聴いてしまうと、もう第3はこれしかないんじゃないだろうか、的に思うのですが如何でしょう。

このBOXには、習作とされる0番、00番も含めて計11曲が収められているので、順次聴いていきたいと思います。放置して忘れてしまう可能性も高いですが。。。

| 音楽 | 10:35 PM | comments (0) | trackback (0) |
作業用BGM
何らかの作業中、または読書中などに最近よく使用しているサウンドです。


こちらは川が流れと焚き火の音です。この手のサウンドをyoutube等で探して、いろいろ聴いてみましたが、個人的にはこれがベストです。


こちらはなかなかノリのよい音楽です。

| 音楽 | 11:39 PM | comments (0) | trackback (0) |

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