鹿の角から膠をつくる
以前、羊の角から、膠を作ろうとして失敗したことがありました。
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あれからだいぶ月日が流れましたが、テオフィルスの書にも書いてあるとおり、鹿の角で試してみておかねばと、以前から考えていました。鹿膠というのも売られていることだし。今回の目的はあくまで「角から膠をつくることができるか確認したい」ということだけですので、念入りにデータを記録したりなどはしておりません。なお、本当は冬にやろうと思っていたのですが、ぼやぼやしているうちに四月になってしまいました。というか、数年間ぼやぼやしてたわけですが。

手順は、かつて牛の皮から膠を作ったときと変わりませんので、詳しくはそちらを参照してください。
詳細:http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=928

今回使用したのは、数年前にヤフオクで入手していた鹿角です。
鹿角膠

ちなみに、角の断面はこんな感じです。
鹿角膠

↓のような電ノコで1cmくらいの厚さに輪切りにしました。
鹿角膠

鹿角膠

テオフィルスでは粉々にした牡鹿の角とありますが、粉々というのも大変そうだなと思いまして。粉々ってどうやってやるんでしょうね。ちなみに電ノコで切るとすっごい臭いです。獣が焼ける臭いでしょうか。切っていると粉もたくさん発生しました。輪切りの角で失敗したら、粉を使ってみたいところですので、とりあえずとっておくことにしました(結局輪切りでうまく膠がとれたので使用せずに破棄しました)。

輪切りの角270gと水500gをグリル鍋に入れて加熱します。
鹿角膠

温度が上がってくると同時に、なんかすごく膠臭がしてきて、さらに膠色のもやっとしたものが湯の中ににじみ出して、これはいけそうだという手応えがありました。羊の角は、全く無反応でしたからね。最初沸騰させ、その後保温状態でというのを考えていたんですが、目を離したすきにまた沸騰してたりして、お湯の温度管理は今回かなりいい加減になってしまいました。

2時間ほど加熱のを保ち、熱い状態にしてみました。
鹿角膠
途中、水が蒸発して少なくなってきたので、100mlほど水を追加、そして、比較的厚く切っていた角を取り出して、さらに加熱を続けました。

で、水がだいぶ少なくなってきたところで角を取り出し、ガーゼで濾しつつプラスチックの容器に移しました。
鹿角膠

ちょっとテーブルにこぼしてしまったので、それと顔料を混ぜて紙に塗布してみることに。
鹿角膠

乾燥後しっかりと顔料が定着されておりました。
鹿角膠

数時間後、プラ容器に入れた膠を確認したところ、一応ゲル化している様子がみられました。
鹿角膠

しっかりと測ったわけではありませんが、牛皮よりは採れる量は少ないと感じました。しかし、予想していたよりは膠が採れるものなんだなとも思いました。獣の皮は事前の処理が大変ですが、角であれば、皮の時に比べて下ごしらえが楽であるかと思います。最低限、砕くか、切るかして煮ればよいのですから。

| 絵画材料 | 10:38 PM | comments (2) | trackback (0) |
コメントが遅くなりました。

芸術家工房においても、膠彩画やそれ以外にも指示体の下地処理のときに、比較的少量の膠が必要になったときなどは良いかも知れませんね。

鹿の角を加工したナイフのグリップなどもあり、様々な鹿の角製品があったことだろうと思われ、「粉々にした牝鹿の角」も工芸品制作後の残分を利用した物も含まれる可能性も考えられそうです。
そのあたりは、皮革から作る膠にも近いものでしょう。
| Bambook | EMAIL | URL | 2015/05/23 10:37 PM | tag6kEg2 |

こんにちは。
身近で手に入りやすい原料だったというのは、やはり大きいでしょうね。
面白いのは、三千本のように抽出して固めなくても、角の欠片のまま保管して膠として、必要なときに煮出して使えそうな点です。

それと、気になるのは、角の種類によって、膠取れたり取れなかったりということがある点です。
羊の角は全く駄目でした。
予想としては、骨の延長線上の角からは取れるが、角質の角だと取れない、というのが考えられますが、どうなんでしょう。
| まつかわ | EMAIL | URL | 2015/05/24 02:08 PM | vjDt4CRY |











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