岩波書店『新約聖書1 マルコによる福音書・マタイによる福音書」読了
聖書をしっかり読んでみると、西洋絵画の各場面の感動がより深いものになります。あるいは絵画を見ているから聖書も感動的に読めるところもあるかもしれませんが、まぁ、両方が相互作用するのでありましょう。美術鑑賞のうえで、聖書を読んでおくべきかどうか、というのはなかなか悩ましい問題です。興味があるならば、読んでおいた方が断然よろしいでしょう。画集の解説文などを読むだけでは、その美術品から入ってくる情報量は圧倒的に少ないといえます。対象となる美術品が作られた時代でも異なるでしょう。例えば中世の修道院内で作られる写本装飾画ならば、相応の読み解く知識がなければ、ほぼ素通りしてしまうであろうと言えますし、バロック期の大衆に訴える劇的な大作ならば、あまり知らなくても、そこから内容に関心を持つような意図であったと考えれば、それもまたありでしょう。キリスト教徒ですら聖書を全て読んでいるとは限らないのですが、そもそも聖書がラテン語で聖職者だけが読めた時代も長く、その為に図像があったと考えれば、まぁ、知らない状態で、解説を聞きながら見るというのも、それはそれでいいですし。それにしても、解説などを読みつつ精読してみると、マルコ、マタイ、ルカの違いはたいへん興味深いもので、どうしても、それぞれの違いを確認しなくてはいけないような気になってしまって、なかなか先に進まないというところもあります。重複するエピソードの箇所でも微妙な違いで考えたが違うのだというところが多々あって、このようにスタンスの異なる福音書が併存しているというのは、なんとも面白いことであり、それについて考えているだけで、時間が吸い取られてゆく感じあります。さらに新約聖書を読んでいると、旧約聖書からの引用(かなり自由な引用)が非常に多いので、旧約も精通していないとやはりわからぬことも多いと言えます。旧約を通して読んだことがあるという人はどれくらいいるでありましょうか。私が目を通した旧約は、ずいぶん前に読んだ講談社「聖書の世界(旧約/新約)」全6巻なわけですが、記憶が曖昧になってきていると言いますか、そもそもその頃は内容を理解できず、記憶に留めるのも難しかったし、そもそも敷衍訳だったと思うので、改めて読み直したいところであります。聖書意外にもウォラギネの黄金伝説とか、読まねばならぬものをあげると切りがありませんが、とりあえず、聖書は基本であろうか。西洋絵画のギリシア・ローマ神話の部分は、ホメロス(またはウェルギリウス)を読んでいるかで面白さというか、親近感的なものがだいぶ違うような気がしますし、キリスト教絵画についてはやはり聖書は大事といいますか、聖書との相互作用的な感動作であるのではないかと考えているところです。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 11:42 PM | comments (0) | trackback (0) |










http://www.cad-red.com/blog/jpn/tb.php/1608

↑上に戻る↑ <<新しい記事 : 古い記事>>
累計
本日、昨日 集計結果
  
■NEW ENTRIES■
■RECENT COMMENTS■
■RECENT TRACKBACK■
  • 昔のキャンバスの木枠は意外とシンプルだったのか?
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■PROFILE■
■POWERED BY■
BLOGN(ぶろぐん)
BLOGNPLUS(ぶろぐん+)
■OTHER■
■LOGIN■
現在のモード: ゲストモード
USER ID:
PASSWORD: