カラヤンのビデオを借りてくる。
スイス・イタリア語放送管弦楽団の、いい意味でショボい映像を気に入った私は、豪華派の決定版であるカラヤンも観てみたくなったので、さっそく図書館に行って借りてきた。『カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 ブラームス第1番/第2番』。1973年1-3月に制作ということで、たぶんDVDだと「これ」と同等品だと思われる。

べつにカラヤンの映像を初めて見たというわけではないし、というより、いろんなところで目にする機会は多いのだが、前出のスイス・イタリア語放送管弦楽団を見た直後だと、カラヤン&ベルリンフィルはそのあまりの揃いっぷりに、お前らCGかよ!って突っ込みたくなるぐらいに見事な映像美だが、しかし、音楽の内容に関しては、ちょっと自分の好みとはかけ離れているかなという気がしないでもない。第1番はともかくとして、第2番は特に。。。

私などがカラヤンの音楽の優劣をどうこう言う資格はないので、以下は飽くまで自分の好みの問題について語るわけだが、正直、スイス・イタリア管弦楽団の方が遙かに聴き応えがある。どうも、あまりにも上手すぎて、かえって第2番の曲の良さが損なわれてしまったような気がする。あと、家庭で視聴するには、音量の強弱が強すぎて、曲の全体を楽しめない。コンサートホールでやるならいいけど、ビデオとしてはちょっとどうか。よく知り合いからクラシックを聴きたくない理由として挙げられる問題点は、音の強弱が多きすぎて部屋でかけられない、というのが意外に多いのだが、ほとんど聞えなくなったりしたかと思えば、急に大音響になったりする。しかも、テンポが急激に上がって、何が起こったのかと思ってビックリする。ひどいときにはビックリさせようと思って演奏しているとしか思えないやつもいるのだが、このビデオもその一派のひとつであると思う。

また、個人的には、音符と音符の間を流れるようにスムーズに奏でるという演奏方法があまり好みではない。できれば、ひとつひとつの音符をしっかりはっきり、ゆっくりと鳴らしていくような演奏がいい。まるでベートーヴェンやブラームスの楽譜に書かれている音符が見えてくるような感じがいい。音量やテンポを過度に上下する必要はなく、ただ平坦にはっきりと弾いてくれるとそれだけ曲の魅力が浮かび上がる。ブラームを流れるように演奏したら、哀愁が全くなくなりただのムード音楽になってしまう。しかし、これは人によって大きく意見の分かれるところだろう。

もう一点だが、私は正直にいうと、カラヤンビデオのコンサートホールの雰囲気が好きでない。オケどころか、聴衆を含めた会場そのものが演出された作り物であることに並々ならぬ嫌悪感を感じるからである。カラヤンもベルリンフィルも会場も聴衆も実はコンピュータグラフィックスでした、と言われても全然驚かないぞ。いや1973年に作ったなら別の意味で驚きだが。それはともかく、客席に空席が目立っているぐらいの、スイス・イタリア語放送管弦楽団の方が、よっぽど見ていて気持ちがよい。ただし、この件に関しては、自分もつくづく性格が悪いなあと思わずにいられない。演出の意図が見えすぎる作品は楽しめないのだ。ここ数年、めっきりTV番組を見なくなったし、最近のハリウッド映画の感動演出にも嫌気がさして、古い映画しか観ていない。カラヤンのビデオを楽しむには、やはりそういう演出されたものを素直に楽しむ心の広さが必要だろう。私にはちょっと無理がある。今回のビデオの様な偽ライブ風ではなくて、完全にスタジオ化されたベートーヴェンのシリーズがあるが、あそこまでやるとある意味、潔い感じがして、それはそれでよいか、という気分になったりするが。

ネット上のレビューとか読むと、まだまだ世間的には、カラヤンの映像美への評価は凄く高いというのを感じるが、しかし、例えば、スポーツ番組では、昔はある程度の演出があってショーが成り立っていたと思うのだが、今はガチンコ勝負でないと、すさまじい勢いで視聴者から叩かれるような現象が発生しているので、時代は今や、カラヤンの過度に演出された映像や音楽より、いかにも素を撮ったような映像が今後好まれるのではないか、という気もする。


| 音楽 | 10:34 PM | comments (0) | trackback (0) |










http://www.cad-red.com/blog/jpn/tb.php/307

↑上に戻る↑ <<新しい記事 : 古い記事>>
累計
本日、昨日 集計結果
  
■NEW ENTRIES■
■RECENT COMMENTS■
■RECENT TRACKBACK■
  • 昔のキャンバスの木枠は意外とシンプルだったのか?
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■PROFILE■
■POWERED BY■
BLOGN(ぶろぐん)
BLOGNPLUS(ぶろぐん+)
■OTHER■
■LOGIN■
現在のモード: ゲストモード
USER ID:
PASSWORD: