炭と煤の違い。
『たのしい科学あそび 炭と墨の実験』なる本を県図書館の子ども図書室から借りてきたのだけれど、なかなか侮れない内容である。クッキーやコーヒーの缶で炭を作る方法も紹介されていたが、先日木炭を作ったときの様子と非常に似ており、そんな感じの実験がイラスト付きで多々紹介されている。ちなみに缶を使った炭の作りの際、フタに開けた小さな穴からガスが出てくるのだが、私はそのまま放置していた、あるいはむしろ火が着かないように気を付けていたのだけれども、この本によると、そのガスに火を付けて燃やしておくと部屋に煙が充満しない、というアドバイスが。。まぁ、私の場合、ガレージでやってたので、そんなに気にするほどのことでもなかったけど。

それはともかく、ここ数週間で集めた炭やら煤やらを触っていると、同じ炭素の黒でも、両者はずいぶん性質の異なるものであることを実感しつつあります。

先日作った骨炭、ちょっと思うところあって、水洗いしたり、水簸したりできないかと水に入れてみたのだが、鉱物顔料みたいにすぐにではないけど、一晩ほど待つと、顔料が残らず底に沈む。
骨炭
これは膠などの分散を助ける媒質がないので、分散液を長く保っていられないという理由もあるかもしれないが、『炭と墨の実験』によると、炭を砕いた粒では大きすぎて、膠液だったとしても、やがてはみんな底に沈んでしまうということである。墨(煤)ならば、より粒子が細かく、分散状態を保つことができ、いわゆる墨汁などを作れるという。

で、先日集めた亜麻仁油の煤も水と混ぜてみる。
煤(油煙)

このように、水と煤だけでは、反発しあってうまく混ざらない。煤が寄り集まってよれよれの塊となる。
面白いことに、水の下じゃなくて上に溜まった。

分散液を作るためには膠やPVAなどの媒質がなければならないとのこと。ちなみに、膠液は使ったことのない人には準備に手間取るからか、『炭と墨の実験』の中では洗濯糊、いわゆるPVAを使う感じでまとめられている。

私の場合は、アラビアゴム水溶液を投入してみた。
煤(油煙)

おお、それなりに混ざりあってるではないですか。
しばらく待っても、とくに分離するという様子もない。

まぁ、膠液を加えて団子にした墨を練るなどしたら、たぶん、もっと綺麗に分散するとは思うけど、団子にするほどの量の煤は採れなかったしで。

試し塗りしてみたんですけど、べつに悪くないんじゃないでしょうか。
煤(油煙)

それにしても、触っていて改めて感じたが、炭は意外とあっさりしていて、手が汚れにくいし、汚れても洗えば綺麗に落ちるけど、煤は手や衣類が汚れると、非常にしつこくて石鹸で洗ってもなかなか落ちない。しっかり手を洗ったつもりでも、こうやってキーボードを叩いてると、2万円近くもした東プレのキーボードが汚れてしまったりする始末。

| 絵画材料 | 02:58 PM | comments (4) | trackback (0) |
初めまして。きれいな墨色ですね。
美大で絵を描いたり、個人で絵具を作ったりしている者です。思い当たる点がありましたので、コメントさせて頂きました。

水と煤の混合ですが、エタノールを添加すると粒子の分散が可能です。粒子は水簸精製のように沈殿するので、顔料によっては微粒子、粗粒子の採集が出来ると思います。
| タカモリ ユキオ | EMAIL | URL | 2011/01/13 08:29 PM | 2kf60T5E |

情報ありがとうございます。

確かにテンペラ技法などで、水と混ぜる際に混ざりにくい時にアルコールを使用しますし、水と混ぜるときはアルコールがスマートな方法といえますね。

油煙に関しては自製のものでも十分に細かく、特に水簸を行なおうと思って水と混ぜたわけではなくて、膠やPVA、ゴムなどが分散を助けるという先述の本の記述を追いたくて実行しました。しかし、試し塗りなどした感じですと、乳鉢で砕いた炭などと比べて、油煙は非常に細かくて、粗い顔料が混ざっている印象はなく、ここから微粒子、粗粒子の分類はなかなか大変そうに思えますが、実際できますでしょうか?
| 管理人 | EMAIL | URL | 2011/01/13 11:56 PM | sIcqiUZw |

油煙は質の良いものほど粒子が均一で細かいので、ご指摘の通り、微粒子、粗粒子の分類ができたのはごく僅かな量でした。

油煙や煤の黒は、微妙な粒子径のバラツキによって色に深みが出るようなので、私自身も、水簸のメリットはあまり無いように思えました。
ちなみに油煙、煤は製造段階で、火元から煤を集める場所の距離で粒子径が変わるそうです。(火元から遠い場所の方が細かい粒子が集まります)
| タカモリ ユキオ | EMAIL | URL | 2011/01/14 10:39 AM | 2kf60T5E |

いろいろありがとうございます。

また何かお気付きの点あれば、コメントよろしくお願い致します。
| 管理人 | EMAIL | URL | 2011/01/15 08:40 AM | sIcqiUZw |











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