サクラの樹液を水彩絵具的な定着材として、顔料を塗布してみた。
水彩絵具の媒材としても知られるアラビアゴムの採れる木は、アカシア属のアラビアゴムノキ、代表的なものはアカシア・セネガル(Acacia senegal)というのだそうであるが、アカシア属は関東以北では育たないそうなので、東北在住の当方では栽培は難しいと思われる。しかし最近はかなり蒸し暑くなってきたので、植えてみたら案外いけるかもしれないが、アカシア・セネガルの苗木というのは売っているのを見たことがない。ミモザアカシアはどこでも売っているが、セネガル以外のアカシアでも似たような水溶性のゴムは採れるのだろうか(ちなみに北海道など北の方でもアカシアというのが植えられているけど、それはニセアカシア)。

で、先日、『縄文人になる! 縄文式生活技術教本』なる書物を読んでたら、古代絵具を作るというくだりで、サクラやクヌギの樹液が水溶性であり、顔料を定着したりすることができる、みたいなことが書かれていたので、さっそく近所の桜の木をまわって、樹液を集めてきた。

近所の農業用貯水池のところに生えているサクラの木。
サクラの樹液

樹木からなぜ樹液が出てくるのか、というその理由は、ケースバイケースで、不明な点も多いと聞くが、主たる理由としては、樹皮に傷が付いたところを守ったり修復したりするために出てくるというのであろう。そんなわけで、樹木に傷を付ければ溢れ出てくるけど、大概の木は、よく観察するとどこかに傷がついており、そこから樹液が出ているもので、少量集めるなら、改めて傷つけるほどでもない。新鮮なのを集めるなら別かもしれんけど、ひとまず、すでに出ているものを集めることにした。公園とか誰の敷地かわからないところで集めるときは重要なポイントである。

このような感じで、探せばあちこちに出ております。
サクラの樹液

こういうのをつまんで取るわけですが、
サクラの樹液

中の方は、こんな感じで粘っこかったりする。
サクラの樹液
湯煎して水に溶かせば、固いのでもいけるようであるが。。

ちなみに、手についた樹液は、すぐに乾いて指にこびりついてしまった。なかなかの粘着力であり、しかもすぐ乾いてくれる。媒材として期待できそうである。また、冷水であっさりと洗い流すこともできた。ダンマルを溶かしたのは水で落とすのは難しいが、こちらは水であっさりと流れ落ちる。これがレジン(樹脂)との違いというものだろうか。とはいえ、自分が普段触れる樹脂、ゴム類はごく限られた種類でしかないので、もっといろいろ経験を積みたいところである。

サクラにもいろんな種類があると思うので、別の場所からも採ってみるため、近所の山に行った。
サクラの樹液

ここでもありますなぁ、樹液。
サクラの樹液
まぁ、こっちは、うまく接着できなかったですけど。

サクラの樹液
これ、溜め池近くのサクラで取った樹液。

で、水に浸けて一晩ふやかしたのち、湯煎して溶かす。
サクラの樹液

顔料(レッドオーカー)と混ぜて、画用紙に塗ってみた。
サクラの樹液

紙も貼付けてみたが、ごらんの通り。
サクラの樹液
紙同士がちゃんと接着されており、剥がそうとすると破れた。ということは、紙の接着に充分なくらいの接着力はあるということになる。
ちなみに、湯煎する前の混濁液では、さっぱり接着されなかった。

顔料の方であるが、
サクラの樹液
どっちもサクラの樹液を湯煎で水に溶かしたものだけど、左の方はよく接着されており、ティッシュでさすっても顔料が落ちない。右は残念ながら、ティッシュに顔料が付いてしまう。桜の品種によって違うのか、それとも、樹液の老化等で違ってくるか、まだまだわからぬことが多いけど、とりあえず、桜の樹液で顔料を定着させることには一応成功した模様である。サクラは日本では町中どこかにあるものなので、実践の際は、複数のサンプルを採取して行なうといいかと思う。

| 絵画材料 | 02:49 PM | comments (0) | trackback (0) |










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