油彩用メディウム黄変試験
主に各種乾性油と樹脂ワニス、加えて個人的に使用頻度の高い調合画溶液をピックアップし、経年によりどれくらい黄変するのか観察するのが目的。自分としては耐研磨性や耐溶剤性など耐久力に関するデータの方が、どれくらい黄変するかということより大切なのだけど、まぁ、そういうのはまた別の機会にということで。

リンシードオイルはポピーよりも黄変するとか、スタンドオイルは黄変が少ないとか、そのような感じの話を自ら確認しようという意味もあり、まぁ、過去にも適当な感じではやったりしましたが、少し丁寧に行なって、自分用の資料として保管しておこうかと思いつつ、そうは言っても厳密にやろうとするとキリがないので、あくまで自分でふ~んなるほどと納得できる程度、あるいはブログのネタとして他の方々の参考になるかもしれないエントリーぐたいのものだと思っていただければと。

■手順
シナ合板にアクリルジェッソを塗布。斑のないように薄く数層塗って耐水ペーパーで磨く。アクリル系の黒インクで各メディウムを塗る場所の枠を作り、油などの名称を記入(必要と思われる場合はメーカーの名前も記載)。インクが十分に乾いた後、各メディウムを塗布。ちなみに今回はメディウムをそのまま塗布するものと、白と混ぜて塗布する2種のボードを作成。白はW&Nのクレムニッツホワイト(ジンクが混入されてない貴重品、絵具の展色材はサフラワーオイル)を使用。筆は、他のメディウムや溶剤などが混ざらないように慎重に取り扱った。具体的には100均でナイロンの筆を10本ぐらい買ってきて、筆1本につき1メディウムを塗布し、使用した筆は筆洗液とテレピンで仮洗いしたのち、水と石けんでよく洗って乾燥するのを待ってから、別のメディウムを塗るのに使用した。が、べつにここまでしなくてもよかったと思うけど、筆洗液で洗ってすぐに使うと溶剤が混ざるわけで、品質の悪くなっている溶剤の場合は、その影響が現れるかもしれない。100均の筆はものすごく品質の悪いものがあったりするが、ナイロン筆に限ると、このような目的には十分なものだったりする。それより難しい問題は、粘度が高いメディウムはどうしても厚く塗ってしまうという点で、高粘度のメディウムにアンフェアな状態になってしまいがちだが、まぁ、実際に描画するときも同じようなことが起こるだろうから、それはそれで現実に即している言えないこともない。

油彩画用液黄変試験

強い光を当てるなどして加速度的試験をする方法もあるかもしれないが、難しいことはよくわからないので額縁に入れて通常の絵のように飾っておく。これで10年後ぐらいには途中経過を報告できるのではなかろうかと。10年なんてあっという間よ、ほんと。ただし、このブログが10年続くことはまずないであろうが。むしろ続いていたら逆に嫌だけど。

油彩画用液黄変試験

そんわけで、今はひとまずクレムニッツホワイトと混合した場合のサンプルの写真を↓。

油彩画用液黄変試験

| 絵画材料 | 06:13 PM | comments (0) | trackback (0) |
コチニールでウールとシルクに染色する。
自然染色なるものをやったことがなかったので、今回はそれを試してみる。
前からやってみたいとは思ってたのだけれど、正しいやり方などを調べるために書籍など借りてきたりしていたが、いまいちわかりやすい手引き書がなく、というかこんなふうに調べているといつまで経っても先に進まないので、適当にやってみることに。手元に数年前に入手してそのままになっているコチニールカイガラ虫があるので、それを。コチニールっていうと、ヨーロッパ的には、大航海時代に南米から入ってきて、それまでのケルメス染料を駆逐したというやつですね。

まずはカイガラ虫。ずいぶん昔に俵屋工房より購入したのだが、絵画材料としてどう活用すればよいか用途が見いだせずに放置していたもの。
コチニール

染める対象たる布。コチニールの場合、動物性の繊維の方が染まりやすいというので、ウールとシルクを(ヤフオクで)入手。
コチニール

カイガラ虫を擦りつぶした状態。
コチニール

ガーゼにくるんでお湯に入れるとさっそく色が出てくる。
コチニール

十分色が出てきたところで布を投入して煮る。非常に濃く染まっているのがウール、薄いピンク色なのがシルク。さっぱり染まってないのが、私が目を離したすきに親が勝手に入れたなんだかわからない布。ずいぶん違うけど、布の種類によって適温があるらしいので、その辺の違いなのかも。
コチニール

つぎに色を定着させるために媒染するわけなのだが、今回はみょうばんを利用。コチニールの場合、先にみょうばんで媒染してから染めた方がいいとネットに書いてあったのだが、ちゃんと定着するんだろうかという思いがあって、後にしてしまった。とりあえず、少量のみょうばんを入れたお湯をタライに用意して、染液の鍋から取り出した布を入れてみる。
コチニール

うーん、でも、コチニールの液のなかにみょうばんをぶっこんでしまった方が早いんじゃないか、などと考えて鍋にいきなり入れてみたところ、茄子漬け色になってビックリく。キタネェー色だな。
コチニール

しばらくみょうばん液につけたあとに干す。これはシルク。なかなか上品な色じゃないですか。
コチニール

こちらはウール、すごい濃いなぁ。少々斑があるが、これは染液に入れるときにまんべんなく水で濡らされていないとこうなるらしい。
コチニール

完成の図。
コチニール

さて、こうなると、体質顔料に染めてレーキ色が作れないだろうかという話になりそうだけれど、たとえ出来たとしてもブリードが心配で使えないので却下と予め宣言。

| 絵画材料 | 09:17 PM | comments (0) | trackback (0) |
鉛板を酢の蒸気に晒して鉛白を作る実験
「鉛白作りも」というコメントがあったことだし、鉛と酢で鉛白を作る方法を試みてみることに。
要は、鉛板を酢の蒸気にさらすことによって腐食させて白い顔料を得るわけで、蒸気にさすために古今様々な工夫がされてきたわけですが、今回は最も単純な方法、壺の中に酢を入れ、丈夫に鉛板を置くというのでいってみようかと。なお、予め断っておくと、単に興味本位の実験としてやるだけで、効率よくとか品質等は特に考慮してませんので。

鉛の板はどこで買えばいいのかわからなかったので、生け花道具の鉛製花留を購入。他にはトレーニング用の手首や足首に着ける重り、釣り具の重りにも鉛板が入っているので、その辺のお店で入手できると思われ(鉛板はとても柔らかく、厚いものでも曲げたり切ったりということが簡単)。酢に関しては、普通の食酢でもいけるかと思うが、それよりも濃度の高い局方の酢酸あたりが良いだろうと薬局へゆく。ところが酢酸は置いておらず、替わりに氷酢酸を手渡される(氷酢酸は純酢酸と呼ばれる純度の高いもので、引火性及び腐食性なので取扱いにはくれぐれも注意)。というわけで、今回は氷酢酸を水で薄めて使うことに。

鉛と酢で鉛白を作る実験

ガラス容器に酢酸を入れ、その上に鉛板を置いて蒸気に晒すのだが、鉛板が直接酢酸液に触れないように適当な磁器の器を置いて台にし、そこに安定して乗るような形に鉛板を曲げておいてみる。ちなみにガラス容器も磁器も100均で購入。なお、ガラス容器で行なうのは、中の様子の変化を随時確認するため。それにしても、もともと酢の臭いが苦手なのだが、酢酸もキツイ。

鉛と酢で鉛白を作る実験

しっかりとフタをして10日ほど放置し、出てきた白顔料をかき取って、また戻して10日後にまたかき取るということを鉛板がなくなるまで続ける予定だが、たぶん途中で飽きてしまうだろうな。数日かけてゆっくり変化があらわれるのかと思いきや、数時間後には鉛板の表面が白くなり、翌日には写真(下)のように鉛板の表面にびっしりと白いものが。これが鉛白であろうか。

鉛と酢で鉛白を作る実験

ついでに、スーパーで買ったワインビネガー(酸度7.0%)でも試してみる(写真下)。これでも数時間で表面に白いものが出る。

鉛と酢で鉛白を作る実験



| 絵画材料 | 01:25 PM | comments (4) | trackback (0) |

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