古代世界の絵画
最近、古代の絵画に興味があって、画集など購入しているのだけれど、その中で特に印象的だったのが下記。

Berenice Geoffroy-Schneiter, Fayum Portraits, Editions Assouline (2005/1/17)

ファイユーム

古代ローマ帝政期のエジプトはファイユームで棺の顔の部分に填め込むために描かれた肖像画群。技法はエンコスティックで2千年近く経っても新鮮な色彩を保っている点で感心するけれど、描写がすごい洗練されていて、そして洗練されていながらも、どの顔も強烈なインパクトがあって、年代とか関係無しに参考にしたい点である。

ファイユーム

ファイユーム

ファイユーム

| 絵画材料 | 11:20 PM | comments (0) | trackback (0) |
チーズの接着剤について(1)
日本では動物の皮などから得た膠はかなり広い範囲で活用されてきたが、チーズの膠の話はあまり聞かない。カゼイン接着剤はヨーロッパでは液状のものなど売っていてわりと気軽に使用できるが、日本ではそんな感じではない。というわけで、獣皮等の膠に関しては、洋の東西問わず根本的な部分では共通していると思うが、チーズ系の利用となると文化の違いを感じていたりするわけで、チーズで物をくっつける実験をここに試みたい。

参考までに、チェンニーニは以下のようにチーズの接着剤について紹介している。

第112章 石灰とチーズで膠をつくる法
これは木工の親方たちが用いる膠であって,チーズからつくられる.チーズを水にひたし,生石灰を少量加えて,両手で板切れを持ってかき混ぜるのである。2枚の板のそれぞれに膠を塗り,貼り合わせると,2枚は互いにしっかりと接合する.以上で,種々の膠のつくり方については充分である.『絵画術の書』(岩波書店)


現代では市販のカゼイン粉末を水にふやかし、アンモニア水などのアルカリで中和、水溶液化して使用しているが、これらに替わってチーズと生石灰で試してみようかと。先に断っておくと、カゼインについてよく理解しているかと言われれば、微妙であり、まぁ、だからこそ勉強も兼ねるということで、手順が行き当たりばったりな点はご理解の上読み進めるとと共に内容について無闇に信用しないようお願いします。

チーズは何が相応しいかわからないが、固いチーズだと水と混ぜ合わすのは難しいだろうと思い、スーパーでうらごしのカッテージチーズを入手。石灰はチェンニーニの記述に従って生石灰を使用。英語版のチェンニーニも参照したが、quick limeとあるのでやはり生石灰なのだろう(ちなみに後の実験では消石灰でもチーズ単体でもわりと強力に接着された)。消石灰は持っているけど、生石灰はない。買ってもいいけど、多めに買うと保管が面倒だからして、今回は食品用乾燥剤に含まれている石灰を利用する。スーパーで売ってる海苔なんかの容器にいっしょに入っている石灰乾燥剤である。ちなみに袋が膨張しているものは、湿気を吸ってしまった状態なので、既に消石灰になっているとのことである。
チーズ膠

チーズ膠
袋から取り出した生石灰はわりと大きな粒だったので、乳棒で磨り潰すことにした(前述のように生石灰は湿り気を帯びると高温になるため、口や目に入るとたいへん危険なので、たぶん真似する人はいないと思われるがとりあえずご注意ください)。一応、生石灰が湿気ってないか確認するために、石灰をビーカーに入れて水をかけてみたが、見事にジュワジュワっと反応して湯煙を出した。

ところで、なぜ生石灰なんだろうか。カゼインをアルカリで中和して水溶液にというのはわからないでもないが、チーズの場合どうか。アルカリとして入れるのだろうか。消石灰ではだめなのか。生石灰の方が強いアルカリとなるからか。あるいかアルカリ関係なく、消石灰が空気に触れて硬化する意味もあるのか。いろいろ疑問はあるが、何はともあれやってみることに。

まずは、うらごしカッテージチーズをビーカーに入れる。
チーズ膠

少量の水を注いでかき混ぜる。
チーズ膠

で、生石灰投入。水に入れたときのように、ジュウジュウ湯気が出るほどの反応ではなけど、でもビーカーがけっこう暖まりますな。
チーズ膠

丁寧にかき混ぜる。Reed Kayだったかの本に金属を使用するなと書いてあったような機がしたので、筆の柄でかき混ぜている。
チーズ膠
カゼインとアンモニアでやってるときと同じ臭いがしてきた。チーズと水だけで混ぜていたときと違い、いかにも溶けているという様相を呈し始める。

意味があるかどうかはわからないが、なんとなく湯煎してみる。
チーズ膠

こんなふうになりました。
チーズ膠

で、どろどろの練り物を板の上にたっぷり塗って、2つの板を貼り合わせてみる。
チーズ膠

で、こんな感じで乾燥するのを待つ。
チーズ膠

一昼夜が過ぎた時点で、既にガチガチに乾燥しているように見えたが、念のため2日置いてから、クリップを外し、貼り合わせた板を力一杯剥がそうと試みる。
チーズ膠
が、もはや素手では絶対に剥がすことは不可能(間に金具を差し込んでグリグリやるとさすがに割れた)。

ところで、チェンニーニでは「チーズを水にひたし」と簡単に書かれてあるけど、どんなチーズか?水に浸すとはどんなふうにか?という疑問が残る。で、こんどはテオフィルスを参照してみることに。

XVII祭壇および扉の板について またチーズ膠について
柔らかいチーズが細かく刻まれ、乳鉢の中で熱い湯で、乳棒をもって洗われ、幾度も注がれた湯がそこから澄んで流れ出るまで〔洗う〕。その上でこのチーズは、手で薄くされて、冷水の中に固くなるまでおかれねばならない。これらの後、平らな木板の上で、別の木をもって極めて細く磨られ、こうして再び乳鉢に移されねばならぬ。〔これに〕生石灰(3)を混ぜた水を加えて乳棒で、酒渣がそうであるような密度になるまで、念入りに擂られるように。この膠で接着された板は、それらが乾いた後では、湿気でも熱でも分離させられ得ない程、相互に接合する。『さまざまの技能について』中央公論美術出版


チーズを熱い湯で洗うという部分は重要なポイントかもしれない。先に読んでおけばよかったが、今回は手遅れということで。それにしても、テオフィルス曰く「それらが乾いた後では、湿気でも熱でも分離させられ得ない程、相互に接合する」というのは、実際その通りで、かなり適当にやったものでも、半端でない接着力である。

| 絵画材料 | 11:20 PM | comments (2) | trackback (0) |
ハイクォリティ・ラビットスキングルーキャンバス
ホルベイン画材さんより、ハイクォリティ・ラビットスキングルーキャンバス(以下RSGキャンバス)のサンプルを頂いたので、さっそく試用してみることに。
RSGキャンバス

RSGキャンバスの詳細に関しては下記を参照のこと。
http://www.holbein.co.jp/topics/index.html#20090129rabit
頂いたのは、F6号のRSGキャンバスなので定価¥7000。細目、中目、荒目の3種あり、中目をリクエストさせてもらいました。

ラビットスキングルーによる膠引き済の張りキャンバスであり、地塗りは自分で行なう。
RSGキャンバス
膠で目止めしてあると、湯などで再び溶かして絵画層と支持体を分離したりすることもできるのだけど、再溶解できない材料で目止めしたものはそれができないため、すでに確立している修復方法が使えなかったりする。これ、楽器とか工芸品でもそうらしい。

機械張りではなく手張りで、糸の方向と綺麗に平行になるように細心の注意を払って張ってあるとのこと。
RSGキャンバス

せっかくなので、マクロレンズで撮影したキャンバスの表面も。
RSGキャンバス
自分で膠引きしたことのある人ならわかると思うけど、斑無く綺麗に塗るのはけっこう難しく、特に波打ったりして苦労した人は多いかと。キャンバスを自作する場合、一番難しいのは膠引きの段階とも言えるし、おそらく自分で調整したいのは地塗りの部分であろうから、膠引き済の張りキャンバスというのはなかなか現実的な選択肢であろうか。

今では珍しくなったクサビもついている。
RSGキャンバス

で、いよいよ地塗りだけれども、普段から膠と乾性油の半油性地を常用しているので、今回もそれでいってみる。

膠は(ルフランだったかクレマーだったか忘れてしまったけど)透明なものを選んでみた。
RSGキャンバス

半油性地塗り塗料の作り方は下記を参照のこと。
http://www.cad-red.com/jpn/mt/spt_emln.html

普段は板に描いており、地塗りに使用している顔料は下地用ムードンが中心、チタン白などの白顔料は控えめにしているのだが、今回はキャンバスということで、薄目の地塗りにするため、チタン白の比率をやや高めに設定。
RSGキャンバス

非常に綺麗に膠引きされているが、細かいサンドペーパーで撫でるようにして、若干表面調整した。
RSGキャンバス

刷毛とゴムべらで塗る。
RSGキャンバス

RSGキャンバス
まぁ、ちょっと斑がないわけではないですけど、あまり厚く塗るのもどうかと思ったの、こんなところでいいでしょうか。一応乾性油が入っているので、3ヶ月ほど乾燥期間を置いて使用する。

| 絵画材料 | 09:49 AM | comments (0) | trackback (0) |
FMV-C610とLL-191Aを購入(いずれも中古)
事務用に一台、パソコンを購入。例によってヤフオクで。

FMV-C610は前にも落札したけど、今回はPen4に1GBのメモリが付いているので、高スペックはかなり上だったりする(前はceleron)。この機種、だいたい5千円前後が相場だが、メモリが1Gに純正のリカバリCDも付属してたので、送料など含め結局1万をちょっと超えぐらいで落とした。
FMV-C610
多少使用感があり、なんかHDDの駆動音が煩いので、余っていたIBM製のHDDに交換。この機種、ネジを使わずに本体カバーを開けられるので、メインテナンス性はよいのだが、HDD替えるときだけはネジを2本抜かないとダメみたい。かなり手間取ったが一回経験すれば次からは戸惑うこともないだろう。次の機会があるかどうかわからんけど。

で、リカバリCDで出荷初期状態に戻せるのだが、ちゃんとCドライブの容量を設定するツールがついてて、写真みたいに簡単に調整できる。FDISKとかちまちまやらなくていんだから、やっぱ純正リカバリは便利だわ。しかもOSはWindowsXP Proである。メインで使っているXPは2万以上だして、HOME Editionだというのに、1万強のPCがProだとは。
LL-191A
事務用と言ってもメインはCADオペになるかと思われたので、モニタは少々大きめの19インチに。シャープの業務用液晶LL-191A。これも送料含めて1万をちょっと超えるぐらいだった。最近では、ワイド型19インチ液晶モニタが新品でも2万円切っているが、趣味用ならともかく、事務用にはワイド使いずらい。あと、安いワイド液晶は異様に視野角が狭かったり、とパネルの品質が悪くて目が疲れるので、すこし古めの4:3の液晶を中古で得るのがいいかと。それにしても、こんなに安いと製造業とかマジでやる気なくしそうな気がするんだが。

| 家電・パソコン | 10:07 PM | comments (0) | trackback (0) |
辰砂、バーミリオン
Natural Pigmentsにて天然の辰砂顔料を購入。辰砂はべつにわざわざ海外のショップで注文しなくても、日本画の材料を探せばいいんじゃないかという気もするが、日本画独特の色名に慣れていないため、自分には少々敷居が高かったりする。が、そもそも西洋絵画が形になってくる頃には、水銀と硫黄で人工的に作るバーミリオンが使われていたようで、特に天然に拘ることもないし、なんとなく買ってみた程度の話ってところなんで、そのつもりでどうぞ。
辰砂

毒物であるからして、慎重にフタを開けてみると、中はこんな感じ。
辰砂

水銀だけあって、顔料の中でも特に比重が重い。10g入りの買ってみたが、同じ10gでも、他の顔料と比べて滅茶苦茶少ない。え?これしか入ってないの? ケチったの?とか思ってしまうが…。
辰砂
左が辰砂、右がマラカイト。
体積的にずいぶん違うが、重さを量ってみたら、どちらもきっかり同じだった。

なお、各社のチューブ入りバーミリオン(油絵具)を手に持ってみると、重さがはっきりと違うので、それぞれの絵具作りの方向性がなんとなくわかる。重い方が硫化水銀の顔料が多く、軽いものは体質やその他助剤などが多く含まれているのだろうと予想できる。別に体質顔料が多いからと言って悪いという意味ではなくて、それぞれ色作りの目指す方向が違うという感じで、べつにどれが悪いとかいうつもりはないけど、でも、やっぱり重い方を選んじゃいますな。
辰砂
マツダ・スーパー油絵具(買値¥1793)とマツダ・専門家用絵具(買値¥1029)を両手に持って比べると、スーパー油絵具の方がずっしりと重い。試しに計ったみたら、スーパー(21ml)が61g、専門家用(20ml)が38gだったので倍近い差が。ちなみに、画材店の店頭にあったものをいろいろ触ってみたが、最も軽いのがレンブラントのバーミリオンで、15mlチューブという点を考慮しても異様に軽い。しかし、顔料表記はPO73とあるので硫化水銀ではないから、チントとかヒューにあたるものかと思われる。ブロックスはちゃんと「ピロロバーミリオン」って名前なのだが。

おまけ
辰砂
スペイン産の辰砂原石。プリニウスには古代ローマ時代の辰砂の産地はスペインとか書いてあったような。

| 絵画材料 | 12:13 PM | comments (0) | trackback (0) |

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