2019,03,31, Sunday
引き続きいろいろ読んでおります。まずは知識不足のところ、自分の弱点といえる部分を克服する感じで勉強したいと、何故か今頃になって奮起してしまって、しかしそうやって考えてみると、全方位弱点だらけではないかという気がしてきてなかなか終りが見えてこない。まぁ、終りはありませんな。
トーマス・ハウフェ(著)『近代から現代までのデザイン史入門 1750‐2000年』 デザイン史の本の中でも、なかなか出色の出来ではないでしょうか。とくに前半部分は個人的に完璧と思いました。翻訳が少々固くて、特に後半は何を言ってるのか分らないところもありましたが、それはともかくとして、人物の紹介や図像の選択などが良くて、教科書としてはなかなか素晴らしい本であります。けっこう網羅的な感じなので、この本の内容を解説してゆけば、デザインについて大いに語れそうな感じであります。 三井秀樹(著)『美の構成学 バウハウスからフラクタルまで』 構成学についての本ですが、前半はバウハウスについて、後半が構成の概要となっていますが、この流れはやはり正しいのでしょう。美大受験生などで、色彩構成、立体構成になかなか身が入らないというか、意味がわからないと感じている人はこれを読むと、きっとやる気が出てくるのではないでしょうか。比例のところでは、やはり黄金比を古代からの美の原理として絶対視しておりますが、そこはちょっと最近の本では否定されつつあるところです。 海野弘(著)『アール・デコの時代』 こちらは学術的な本というよりは情熱的な随筆集的な感じでしたが、今まで関心がなかったジャンルについてぐいぐいと興味を引き起こされるようなところがあって、ちょっとしたカルチャーショックな本でした。 中村るい(著)『ギリシャ美術史入門』 最近、古代彫刻に興味があって、いろいろと小難しい本を読んでいたところですが、ちょっとなかなか基礎的なところが不勉強で読むのが大変だったので、入門書を物色してたどり着いたのですが、これは素晴らしい。単にわかりやすいというだけでなくて、新しいという感じがします。アルカイック期からクラシック期の解説に重点がおかれおり、一般的知名度の高いヘレニズム期についはわりとあっさりしております。しかし読み終えてみるとそれが正解なんだなぁと思いました。以前からなんとなく疑問に思っていたことがバッサリと書かれてあって、気分的にモヤモヤしていたところがスッキリしたという気がして、たいへん気持ちが良かったです。 というわけで、今回の4冊はいずれもたいへんお薦めですので、まだの方は是非読んでみて欲しいところです。 |
2019,03,22, Friday
法人も解散し、決算も終了し、残るは官報掲載期間が過ぎるのを待つだけなのだけれども、仕事がない日は一日中本を読んでいて、運動不足にならないようにたまに散歩し、夜はワーグナーとか聴きながらワイン飲んで寝るのだけれども、もちろん読んでいる本を美術系をメインにするべきと考えて読んではいるのですが、どうしても世界史とかの本も読んでしまうのだけれども、世界史の知識は美術史には欠かせないものであり読んで悪いことは何も無い。しかし、古墳の関連の本をついつい読んでしまうのはなんとかしたいところでありますが、それはともかくとして、読んでも読んでも読んでおくべき本がなくならないどころか鼠算式に増えてゆくので切りがないのですが、まぁ、いずれは急にどうでもよくなったりして終わるのだろうと思うところです。なお、ワインは1日にボトル半分まで、日に20回腕立て伏せをする、というのが今年の目標です。が、それはともかく最近読んだ本について・・・
別冊みずゑ61 特集ルーベンス ド・マイエルン手記の概要が書かれている号で、それを目当てにずいぶん昔入手した本ですが、今回は黒江光彦先生が書かれたルーベンスの生涯などにもしっかり目を通してみました。というか本当はかつて一度読んだはずなのだけれども、改めて読んでみたら全く記憶になくて当惑しました。読んでみて思ったのだけれども、これはルーベンスについてかなり詳しくないとほとんど何を言っているかわからないかもしれません。十数年前の自分では全く脳に入らず、記憶にも残らなかったのでしょう。予備知識を前提として書かれていると言えるかもしれないけれども、それほど長い文章ではないので、既に知っていると復習にしかならないところもあり、少々納得いかないところもありますが、ちょっと違う角度から見ているところもあって、やはり目を通しておかずにはいられないというか。 白石太一郎(著)『古墳の被葬者を推理する』(中公叢書)2018/11読了 美術の本を読まねばならぬと思っていたのだけれども、思わず古墳の本を読んでしまいました。これはけっこう安心して読める本です。文献から推移するタイプの本は、なぜそのような結論が出るのか納得いかないことが多いし、ちょっと他説を口汚く罵る本が多くてあまり見たくないところですが、それと比べて本書のような考古学者の本は理論的で自分に合っている気がして新著が出ると買ってしまいます。 森下章司 (著)『古墳の古代史: 東アジアのなかの日本』 古墳の推移がとても理論的に説明されており、それに加えて東アジア全体の流れも叙述されるというダイナミックさも加わって読んでいて非常に面白かった。後半は他文化の墳墓の話が多くなり、ちょっと読み疲れて流し読みしてしまいました。 それからウェルギリウスの『アエネイス』を読み始めまたのですが、ラテン語は読めませんのでもちろん日本語訳ですが、韻文だと読みにくいと思って散文訳を購入したんですけど、とても面白い。ラテン文学の最高峰として名高い作品ですが、こんなに面白かったのか。もっと早く読んでおけばよかった。そして思わず固有名詞を調べながら読んでしまうのですが、そこがまた面白いんですが、そのせいでなかなか先に進まないのです。まだ途中までなので、いずれ機会があればコメントしたいところですが、地名が特に興味深いです。古典の知識がまだ足りなくて徐々に読んでいきたいとは思っているところです。なお、目下読んでるのはKindle版の小野塚友吉翻訳というものです。 |
2019,03,13, Wednesday
動画公開しました。私が鳥越さんにルーベンスの生涯について語るという謎の動画第2弾です。今回は音楽家のモンテヴェルディが登場。そして音楽のバロック誕生にルーベンスも居合わせるという話です。絵画以外の人物も拾っていきながら続けていたいと思っています。通常は絵画だけを追っていって説明されることが多いのですが、それではかなり一面的なことしか分らないと思われますので、彫刻、建築、政治などについても大いに絡めていかねばならないという気がしまして。ルーベンスについては政治情勢が外せない要素なのでふつう言及されるわけですが、それに加えて音楽もという感じで幅を広げてゆきたいと。 モンテヴェルディは音楽界においてルネサンスとバロックを繋ぐ大作曲家でありますが、一般的な知名度は後期バロックのJ.S.バッハ、ヴィヴァルディ、ヘンデルなど比べると低いと言わざるを得ませんが、歴史的な重要度では抜きんでていると思いますので、取り上げてゆきたいところです。なお、しばらく後の話になりますが、マントヴァは後継者争いの為に混乱に陥り、モンテヴェルディの作品の多くがこのときに失われてしまいます。そしてイザベラ・デステ他が収集したマントヴァの美術コレクションも散り散りになるのですが、それはルーベンスがイタリアを去る時の動画述べられたらと思います。そして次回はバロック美術に大いに影響を与えたであろう、ラオコーン像を始めとした古代彫刻を中心にルーベンスのローマ時代について話をしたいと思いますが、そもそも私は美術史が専門ではないので、是非、突っ込みやご指摘、追加情報などをコメントしてくださればと思います。 |
↑上に戻る↑ :