1697 -1768 カナレット [コメントする]

1697 -1768 カナレット


Webmaster さんのコメント
 (2005/08/15 22:54:13)

カナレット
Canaletto 
本名はアントニオ・カナル(Antonio Canal)
生:1697年、ヴェネツィア
歿:1768年、ヴェネツィア

・各画家のスレッドは基本的にその画家の材料と技法、及び伝記的・歴史的事実や作品等の話題を扱うこととします。
・文献の紹介、材料や技法に関する考察、質問等を歓迎しております。
・文献情報は材料と技法という枠に限らず、その画家に関するものを広く収集できればと思います。


不当な評価の理由は案外……。

K・H さんのコメント
 (2010/03/22 02:46:29)

 2001年の春に東京は上野の森美術館でヴェネチア絵画展があって、初めてカナレットの実物を見たんだけど、そのとき気づいたことがあって、カナレットの絵って、実際の画面の大きさより絵が小さく見えるんですよ。彼の絵が後に不当な評価を受け続けてきた理由は、案外こんなところにあるんじゃないかと。
 結局、絵って、画面より大きく見えるのをよしとするじゃないですか。ピカソの絵なんてどんなに実際の画面が小さくても、非常に大きく見える、だから、ピカソ本人は子供のようになって描けた、なんて言ってるけど、あれはやはりプロ中のプロの絵なんじゃないかと。
 それにしてもどうしてカナレットとグァルディを比べて、みんなグァルディの方がいい、なんて言うんだろう。どうみても私にはカナレットの方が魅力的なんですが(でも絵によっては両者の区別がつかなかったりして、カナレット好きとしては悲しいんですけどね)。


管理人 さんのコメント
 (2010/04/14 00:26:04)

カナレットは西洋美術史を概説する本などでも、まず省かれることもないですし、特に不当に評価されているというわけでもないかと思います。人気があるかと言えば、ないでしょうけれど。
美術館などでカナレットを鑑賞して、いまひとつ共感を得られないということがあれば、それは絵そのものが美しいとか、芸術的な魅力があるとか、審美的な目的のみで見ようとするからかもしれません。カナレットの時代はまだ写真というものがなかったので、そのような状況を察すると、カナレットの活躍した時代では今と違った重要性があったかと察せられます。イギリスの貴族の子弟がグランド・ツアーと言って、大陸を旅して見聞を広めるような行為が流行ったそうで、彼らによりヴェネツィアでカナレットの絵を買い求めるという需要があったそうです(当時のカナレット以外の風景画家にも言えることですが)。カナレットの甥にベルナルド・ベロットという画家が居て、彼もカナレットと呼ばれていたようですが、カナレットと似たような絵を描いています。ウィーン美術史美術館に彼の作品を多く展示した部屋があり、あのような調子で描かれた2メートルを超える大作が並んでいるのですが、ずぶんクドイように見えて、最初に観たときの印象はあまり良くないものでした。主に現地の風景を、たぶんカメラオブスクーラを使用して制作した、記録画のような感じで、絵として美しいかというと、好みの差がはっきり分かれるのではないかと思います。しかし当地に何ヶ月か滞在して、現地の地理とか景色に馴染んでくると、描かれているものが途端に意味を持ち、画面の中の情報量が非常に多く、長時間眺めていても飽きない興味深い作品となりました。場合によっては愛おしさまで感じるようになります。現代なら写真を撮るなどできますが、当時だったら、自分の見たものや体験したものを持って帰ろうと思えば、カナレットの絵は最高のものだったでしょう。金持ちとは言え、当時の旅は大変だったでしょうから、それを購入した当人が、その絵から得られるグランドツアーの思い出とか恋しさとか言ったものは、第三者からはなかなか察せられないぐらい大きなものだったのではないでしょうか。カナレットの場合は、全体の印象を大切に描かれたというよりは、細部まで細かく描写されているので、きっと眺めているだけでもいろいろ思い起こさせるものがあったかと思います。

逆にグァルディの場合は、カナレットと比べて、写真的描写というよりは、全体の雰囲気などを重視し、ときには現実とは違う幻想的な風景の傾向があるため、地域差や時代差を埋める知識や体験がなくても鑑賞できるということが言えるかもしれませんので、時代が変わった今ではより好まれるかもしれませんね。


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