保存、修復、洗浄 (1) [コメントする]

保存、修復、洗浄」からの続き。


保存、修復、洗浄 (1)


補足。その他の質問。

修復屋 さんのコメント
 (2006/07/31 08:45:22)

 イタリアであるルーベンス(だったかな?)の大きなキャンバス画が裏打ちされることになったとき、裏打ち用のキャンバスとしてグラスファイバー製のものを使うことが検討されたそうです。日本製らしいんですが、どこで手に入るんですかね。湿度変化に対する伸縮も殆どないでしょうし、過剰張力がかかっても、繊維が引き延ばされることもないと思うんですが(当然織られているんで、多少の物理的伸縮はあると思いますが)。絵画用の支持体としては少し興味がありますが、でも恐らくすごく高いのでしょうか。あと気になるのが、下地のくっつきぐあいですね。今までの方法で通用するのでしょうか。ガラス繊維の他の物質との適合性にも興味があります。
 ただですね、キャンバス画に与えられている張力の効果は、何もキャンバス自体やその固定メカニズムにだけ起因しているわけではないんです。実は木枠の影響が非常に大きいという人もいるんです。例えば古代エジプトで石材を鉱床から切り出すのに、木材の水分に対する膨張作用を利用していたらしいんですが、あるオーク材が通常の内部湿度(30%〜40%)から飽和湿度に達することで、10?Cあたり1トン程度の力を発揮するというんです。よって木枠の膨張と収縮の力が、絵画構成要素の中で一番強い力になっているらしいんですが、それだと日本の木造建築とかどうなっているですかね?あれだけ大きい木造建築にそれだけ大きな力がかかる可能性があるのだとしたら、そういった力を逃がすような仕組みがあるんですかね?「正倉院は外壁の板が湿度変化に呼応して僅かに開いたり閉じたりすることで、室内環境が適度に調整されている」みたいなことを中学の社会の参考書か何かで読んだような記憶もありますが。木の文化日本には何かそういったことに対する知恵があるんでしょうか?支持体が木材の場合にはそういった「木の力」が絵画層を通して比較的見やすいんですが、キャンバス画に対する木枠の影響なんかはまだまだこれから検証されていく部分でしょうね。


それグラバスです

山崎 さんのコメント
 (2006/07/31 12:05:10)

『修復屋』様へ。普通は塗装されていますが、修復用には生地のまま使用します。いわゆる「オランダ方式」で使用されることが多いですが、裏打ち後は半透明になり裏側の状態を視認できますので便利?という副産物もあります。価格は高級品のキャンバスと同程度です。余りにも均質な織り目が絵画用としては今ひとつで人気がありません。しかし修復の材料としては、つまり「しっかり固定」という発想が通用する絵画作品を対象とする裏打ちには充分使えます。ところで、木枠の件ですが、20年近く前に航空用アルミでしたか、とにかく温度差による伸縮の少ない金属を木枠の代用品とした修復例があるという話を聞いたことがあります。


ストレッチ木枠

山崎 さんのコメント
 (2006/07/31 12:33:14)

日本では殆ど知られていませんが、海外の美術館や画家は実際に使用しています。見たことはありますが使用経験はありませんから、コメントは書けません。どなたか、使っている方はおられませんか?


修復屋さま、ありがとうございます

山崎 さんのコメント
 (2006/07/31 12:49:28)

失礼。前のページを見落としておりました。キャンバスの張り方、非常に実際的かつ科学的だと思います。この張り方ですと、よく目にする、大雑把な感覚で力任せに張っていくような野蛮な方法と違って、均等な張力をキャンバスに与えることができます。


山崎様、ご返答ありがとうございます。

修復屋 さんのコメント
 (2006/08/02 01:05:34)

 そうですか、グラバスと言うんですか。早速調べてサンプルを取り寄せることを検討してみます。
 アルミ製のフレームはこちらでも存在するんですが、古い絵画に適用されている例は今のところあまりないようです。木枠も歴史的証言の一部として保存しようと、むしろオリジナルの木枠を保存する風潮はより強まっているように感じます。お国柄もあると思いますが、ところ変われば、逆に新しい素材をどんどん使っていこうという考えもあるとは思いますが。
 そういえば最近、岡本太郎の巨大壁画の修復が終りましたね。ブログを拝見させて頂いてたんですが、アクリル板とエポキシ樹脂によって支持体が補強されていました。一つの考え方として、非常に興味深いものでした。あれが仮にイタリアで行われていたとしたら、そこにはどのような作業が選択されていたんでしょうか。
 ともかく、いろいろと有益な情報ありがとうございました。


保護ワニスについて

尋ね人 さんのコメント
 (2010/10/16 19:15:43)

はじめまして。
お聞きしたいことがあるのですが。
油絵の作品制作後、約半年間乾燥させる期間置いてから、
また、一部の表面に薄く加筆をしたのです。
その上で、数週間乾燥させ、保護ワニスを塗る場合、
まだ未乾燥だと考え、通気性のある保護ワニスを選ぶ方が
画面にはよいのでしょうか。
よろしくお願いします。


RE:保護ワニスについて

管理人 さんのコメント
 (2010/10/18 01:52:43)

油絵具の乾燥というのは、層の厚さや、顔料に対する展色材の量で大きく変わりますので、なかなか一概には言えないところもあります。

半年というのも目安のひとつに過ぎず、どちらかというと「半年以上」あるいは「半年から1年」というように指示されているケースが多いかと思います。確か、ラングレの本では最低限一年と書かれていたように記憶しています。

ですので、お話の感じですと、今から半年後でもいいのではないかと思います。


Re:保護ワニスについて

尋ね人 さんのコメント
 (2010/10/22 20:24:22)


加筆した場合も、乾燥については、
同じように考えたほうがいいのですね。
参考にさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。


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