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画材&技法 全般 (2)」からの続き。


画材&技法 全般 (3)


Re: 古典絵画の色彩

正典 さんのコメント
 (2000/7/17 01:52:10)

> 初心者で変な質問かもしれませんが教えて下さい。
> ベラスケスやレンブラントなどに使われている深い緑や茶などはどうやって作ればいいのでしょうか?
> それと肌の色がどうしてもうまくいきません。クサカベのジョンブリアンにバーミリオンを重ねたりするのですが、良い方法があれば教えて下さい。

僕は21歳大学生で油絵を始めてまだ2年足らずですが、お役に立てるかどうか解りませんが出来うる限りのお話しをさせていただきます。
まず始めのお話しから、レンブラントの技法は主に明るめの調子の単色
のモデリングの上に鮮やかなグラッシーを重ねているのが特徴です。
貴方がレンブラントような深い茶を表現されたいならば、イエローオーカ位の色調の層を下地に造り、その上から私のお勧めではイタリアンピンク(クサカベ)とサップグリーンを適宜混色されて、グラッシされるとお望みの色調が得られると思います。下地はなるべくリンシード主体で堅牢なシルバーホワイトを多く用いた丈夫なものを造って下さい。
グラッシにはレンブラントの場合ヴェネチアテレピンバルサム、マスチック、サンシックンドリンシード、テレピンの混合物が使われたと考えられております。しかし、私の考えではマスチックは日本のような多湿な国ではブルーミングを起こし,経年変化で脆くなる傾向がありますし、ヴェネチアテレピンはバルサムという脆い針葉樹の樹液を精製して
造ってありますので、この場合はマスチックをダンマル樹脂に置き換えられたほうがよいと思います。
ふーっ、次のお話しです。肌ですか・・・むずかしいですね。僕も
結構研究しました。
ジョンブリアンはやめといた方がいいです。この色はだいたい、カドミウム系の赤と黄、そしてチタン白で調整した絵具です。絵具は三色以上
は混ぜると濁りがひどくなるというのが一般的です。この色は最初から
チューブの中に三色入れてます。
そこで僕はレンブラント絵具(ターレンス社)のイエローオーカーライトをお勧めします。かなり「ライト」な絵具で、これにホワイトで調整すれば、二色でジョンブリアンになります。この色を基調にして貴方の感じた色を加えて混色する事がよいと思います。
バーミリオンも脆いのでやめておかれたほうがいいです。カドミウムレッドライトの方が耐光性も強く信頼がもてます。僕はどちらかというとカドレッドオレンジが主体です。その他コバルトブルー、サップグリーン、バーントシェンナも場所によって適宜基本色に混ぜていきます。
ちなみに貴方はレンブラントに御興味を示されているようですので、もう一つ。レンブラントは肌は不透明色の層を重ねて柔らかい調子を出しています。背景や服のところには多く(もちろん限度を守って)グレーズが施されています。この使い分けの妙が彼の絵の凄いところではないでしょうか。ただ色を何層も重ねるのですから油絵の原則をよく守り、特にいきなりの厚塗りにはご注意をされて下さい。
以上です。お役に立てればよろしいのですが・・・。
頑張って制作されてください。


ここまでが旧画材&技法掲示板の書き込みです

管理人 さんのコメント
 (2000/7/21 04:14:29)

上の書き込みまで旧画材&技法掲示板の投稿記事です(投稿日時が正しくないですが、暇があったら直しておきます)。

前の掲示板ではたくさんの書き込みありがとうございました。新しい掲示板でも、どんどん書き込んでください。
レポート、体験談、疑問などお待ちしています。


Re:古典絵画の色彩 ピーチブラック、等

suneye さんのコメント
 (2000/9/14 08:46:41 -
E-Mail)

ウルトラスーパー超亀レスのうえに、ソムリエが持ってきてくれたワ
インに知ったかぶりして文句をつけて、たぶん最後は平蜘蛛のように
なって謝る、みたいなノリですが、2題。
こんなもんでも話が膨らめば僥倖。

まず。
ヴァーミリオンよりカドミウムレッドのほうが堅牢、とゆーのはたい
がいの技法書に書かれていることですが、たいがいの技法書をあんま
り信用してないわたしとしては、いろいろ実験してみて、いまだにほ
んとにそうなのか確信が持てません。

> バーミリオンも脆いのでやめておかれたほうがいいです。カドミウムレッドライトの方が耐光性も強く信頼がもてます。

たぶんその通りだろうとは思いますし、百年後はどうなるかわかりま
せんが、こちらの実験ではかなりひどい条件でも褪色傾向に有意な差
は出てないんです。あの色味は捨てがたいし、そう心配することもな
いような気がします。カドミウムレッドより値段が高いのが難ですが。

それから。
ジョンブリアンがコンポーゼだからイケナイとおっしゃるなら、サッ
プグリーンを愛用なさるのもいまいちスジが通らないよーな気がしま
す。

ついでに。
各メーカの顔料表を信用すると、意外な色がコンポーゼや代替顔料で
提供されているのに驚かされます。グリザイユをやってる方はどちら
のピーチブラックを使ってるか教えていただけると助かります。
古典的なグリザイユ画法に用いられる黒はたいがい植物性であること
に注目される方にとっては、市販のピーチブラックが鉱物性だったり
骨炭ベースのコンポーゼで作った「青っぽい黒」だったりすることが
あるとゆーのは難儀な話だと思うんです。
桃のタネをうまく焼くコツ、でもいいんですが。


「レンブラント、 フェルメールとその時代展」

MIYO さんのコメント
 (2000/9/20 00:49:02 -
E-Mail)

17 世紀の作品でしたが、技法に[エングレイビング]がよく使われつぃました。これはスクラッチのようなものなのでしょうか?
それにしてもフェルメールが1点とは寂しかった。


フェルメール1点ですかぁ?

bonapa さんのコメント
 (2000/9/21 08:30:31)

MYOさん、こんにちは。
レンブラント、フェルメールとその時代展入場料と中身つりあわないですね。
エングレービングってよく銅版画で使う持ち手つきの
彫刻当刀(とは刃のつきかたが違うけど)のような物をつかって彫ったものですよね。
スクラッチとどう違うのでしょうか?「彫っている深さ」が違うんですかね?


上の正典 さんの質問に似てるんですが。

p712ku7y さんのコメント
 (2000/11/5 01:12:57)

油絵で描かれる白人の肌の暗部の色が、どうしてもなに色かわかりません。緑かがってるのは、分かるんですが、その色が、でないんです。下地塗りの効果をやってみても、イマイチでない。どうすれば出せるでしょうか?
参考までに、ブロンズィーノの愛のアレゴリーとかに、描かれている白人の肌です。


Re:上の正典 さんの質問に似てるんですが。

suneye さんのコメント
 (2000/11/5 05:07:22 -
E-Mail)

ブロンツィーノの現物を観たことがないうえに、
答えになってないかもしれませんが、たぶん、
グリザイユ+グラッシェ。


suneye さんありがとうごさいます。

RE さんのコメント
 (2000/11/6 19:40:29 -
Web)

参考になりました。やってみようと思います。


上のレス

p712ku7y さんのコメント
 (2000/11/6 19:42:00 -
E-Mail Web)

名前間違いました。p712ku7yです。
すいません


グリザイユ

suneye さんのコメント
 (2000/11/7 10:00:06 -
E-Mail)

マトモな攻めかたでは案外難しいかもしれません。

昔の巨匠がグリザイユに使ったのは、シルバーホワイトと、おそらく植物性の黒色
顔料ですよね。だとすると、この黒色顔料をどこで入手するのか、とゆー問題が、
まずあります。
現在容易に手に入るのは、巨匠たちが使っていたのとはまったく異なる組成の顔料
で色を似せたものがほとんどだと思います。これらで複雑な混色や重色に際しても
常に昔の顔料と同様の効果が得られるかどうかは疑問なので、黒色顔料はいろいろ
集めてよく吟味してみる必要があるかと思います。桃の種を自分で焼いてみるなん
て荒技もアリかもしれません。

もひとつ。
伝統的なグリザイユ画法のメディウムとゆーと、おそらくブラックオイルか、それ
に近いものが最適だと思うんですけど、アブナイですよねー。
まあ、どーってことナイんですけど、毒性のある材料を取り扱いにかなりの注意を
要するような状態で処理して作るものですよね、あれは。

このへんの問題は、グリザイユ画法をやってる人なら必ず何らかの形で解決してる
はずですから、ご意見をお待ちします。
実際には伝統的なやりかたをしてる人は案外少なくて、いろいろ独自にアレンジし
てる方が多いんじゃないかと思います。

で、とりあえず、顔料やメディウムはなんとか自作するか、入手するか、代用品で
間に合わせるとします。で、お望みの色が出るかとゆーと、おそらくなかなか出な
いと思うんです。
マニエリストの神業的な技術によるグラッシェやカンジャンテは再現できるとして
も、植物性黒色顔料独特の青味の上に、おそらく油分や樹脂分の黄変や表面の汚れ
も加わった緑ですよね。
色味の一部に経年変化も関わってるとすれば、その再現にはある程度「古色付け」
に近いテクニックも必要になるでしょうし、そのへんの程度問題の判断もたいへん
厄介な作業になるかと思います。

結局、わたしなんかズボラだから、こりゃマトモな攻めかたじゃ無理だとあっさり
諦めて、手持ちの顔料とアルキッド樹脂による安易なグリザイユもどき(もしくは
カマイユ)の上に、グラッシェやフリュイードで、昔の巨匠たちが知るはずもない
新しい便利な顔料をがんがん重ねていくとゆー、なんの変哲もない描きかたになっ
ちゃいます。ぜんぜん違うけど、けっこういろんな色出ますぜ、なんて。(^_^;)

とゆーわけで、もはやご質問に対してはなんの参考にもならない回答になってるか
と思いますが、昔の絵の肌の色はグリザイユ+グラッシェだと思いますと書くのは
簡単でも、やってみるのはそう簡単じゃないと思います。


suneye さんありがとうございます。

p712ku7y さんのコメント
 (2000/11/7 21:18:44)

具体的な方法を、教えてくれて、ありがとうございます。かなり難しそうですが、試してみます。
あと、自分で考えてみたんですが、下地に緑を、使い上から白系で描くという安易な方法では、白い肌を、表現することは、無理ですか?


グリザイユのつづき

suneye さんのコメント
 (2000/11/11 15:12:55 -
E-Mail)

無理ですかって、そりゃ、他人に訊くような話じゃなくて、ご自分
で試してみるのがいちばんかと思いますが。

形や明暗を描く工程と色を載せる工程を明確に分けちゃうグリザイ
ユェグラッシェとゆー描きかたは、印象派以降の考えかたでは到底
認めがたいものなんですけど、ルノワールあたりでさえ、グレーに
薄く色をかけただけでなんでこんな凄い色が出るんだ、と舌を巻い
ています。
アンダーペインティングの段階でグリザイユを少しアレンジして、
黒のかわりに緑系を使ってみるとかゆーのも、やってる人はいっぱ
いいるんですが(今とっさに思いついたのは牧野邦夫と小磯良平)、
個人的には、緑を持ち出すのは、環境が許す範囲でなるべく伝統的
なやりかたに沿ったグリザイユもどきも1度は試してみた後のほう
がいいと思います。もちろんご随意ですが。

グリザイユェグラッシェの参考文献としては、マール社の「巨匠に
学ぶ絵画技法」なら容易に入手できると思います。もっとも、これ、
ほんとはぜんぜんお薦めできないんですが。勘違いしてるのが原著
者なのか翻訳者なのかはわかりませんけど、ムチャクチャなことも
書いてあります。図版は参考になるかもしれません。
あと、「アトリエ」のグリザイユ特集は、たぶん今ではなかなか手
に入らないかと思いますが、もし古書店等でみかけたら速攻買いで
す。昔の「アトリエ」には笑えるのも多いけど、これは例外。

上に書いた通り、グリザイユ画法とゆーのは、ある種の立場の人に
とっては、まったく受け入れられない、ほとんど許しがたい描きか
たなので、グリザイユをやってるところみつけたら相手が泣いて謝
るまで口を極めて罵り続けるとゆー困った習性がある人を師匠に持
つわたしとしては、ほとんど独学みたいなもんですから、正直言っ
て、とても有意義なアドヴァイスなんかできる立場じゃないんです。
毎回冷や汗もんでレスを書いてます。
グリザイユ画法を実践していらっしゃる方のご意見をお待ちしてま
す。


そうですね。

p712ku7y さんのコメント
 (2000/11/12 01:00:29 -
E-Mail Web)

まず、人に聞く前に、自分で試してみるべきだった。
さっそくやってみます。黒を使ったグリザイユと、緑を使たグリザイユを試してみます。


バロック絵画全般の技法について

岩野 さんのコメント
 (2000/11/29 21:23:29 -
E-Mail)

私は現在大学院においてバロック絵画の技法を研究しておりますが、その手の書籍は少なくほとほとこんなテーマにしなければよかったと後悔しております。どなたかバロック期の技法についてお教えして頂けないでしょうか。よろしくお願いたします。


バロックの技法について

岩野 さんのコメント
 (2000/11/29 21:25:30 -
E-Mail)

バロック技法についての書籍をご存知の方がおられましたらお教え下さい。


Re:バロック絵画全般の技法について

窓の鳥 さんのコメント
 (2000/12/6 09:25:32 -
E-Mail Web)

とても興味深い研究テーマだと思います。
イタリアバロックとスペインバロックの違いや発展形態。
さらに系統的に技法のふ分け等。おもしろい研究ができるとおもいますよ。
取り合えず、手に入る画集と日本の美術館収蔵作品よりの分析からはじめられてはどうでしょう。
明治期の画家「湯浅 勉」がベラスケスの「ラスメニーナス」の模写をしていましたね。たしか福岡の方の美術館に収蔵されていたと思いますよ。


間違えました

窓の鳥 さんのコメント
 (2000/12/6 09:42:01 -
E-Mail Web)

「湯浅 勉」ではなく
「湯浅 一郎」(1868〜1931)でした。
黒田 清輝の下で学んだ様です。


岩野 さんのコメント
 (2000/12/8 19:31:08)

窓の鳥さんアドバイスありがとうございます。今私はバロック絵画の組成に絞って研究しています。が、なかなかその技法書がなく、ラングレーの油彩画の技術にリューベンスがちょっと載ってるだけです。もしよろしければ何か具体的なバロック技法の載っている本をご存じないでしょうか。マール社の「巨匠に学ぶ絵画技法」が絶版になっておりそれにかけていた私は大きなショックでした。よろしくお願いいたします。


岩野 さんのコメント
 (2000/12/8 19:33:28)

どなたかバロック技法に関する書籍をご存知でしたらお教え下さい。iwanokose@c2.ezweb.ne.jp


Re:バロック絵画全般の技法について

管理人 さんのコメント
 (2000/12/8 22:02:09)

僕もそういう本があったら知りたいですね。
バロックに限らず、実際に昔の絵のように描こうとしてもなかなか、ああはならないですよね。
実際に古典技法をやってるという人の絵を見ても、実物を見ると全然違いますからね。ロイスダールとか、なんてことない風景画でも、いざ真似しようとしても、なかなかああはならないです。ただ、数百年を過ぎると当時の色とは当然違ってくるだろうし、もしかしたらバロックの頃の絵も出来たてのときはもっと生々しい色だったのかもしれませんが。

Re:窓の鳥さん
福岡っていうと、藤田由香のボスの模写なんかもありますよね。あれはバロックではないですけど。


Re:バロック絵画の書籍

かわもと さんのコメント
 (2000/12/9 12:13:56)

アマゾンジャパン(amazon.co.jp)で探せるかもしれません。
先程バロック絵画で検索してみたら、 「ルネッサンスとバロック−イタリアにおけるバロック様式の成立と本質に関する研究」ハインリッヒウェルフリン著から始まって(すごく高かったです。19417円)結構ありました。ただ「17世紀バロック絵画」朝日新聞社 など在庫切れもみられましたが。私はたまにこちらのAmazon.comを利用するのですが、このアマゾンジャパンがあることはつい先程他のHPで知ったばかり。なんでも11月1日にオープンになったそうです。いって探してみてください。見つかるといいですね。(もうすでにご存知でしたらごめんなさい。)
 書籍の通販大手米アマゾンドットコムの日本語版
http://www.amazon.co.jp


岩野 さんのコメント
 (2000/12/9 14:30:35)

かわもとさんメールありがとうございました。幾つか参考になりそうなものがありました。なんとかこじつけて卒業できるよう頑張りたいです(笑)
>窓の鳥さん ボスの模写って5年ぐらいかけたやつですか?週刊誌でみたような気がします。ボスは僕のゼミの先生が好きです。本物見たこと無いけど、すごそう。このページは結構古典に関するものが多いですが、奈良よしともとか村上隆とかリヒターとかゲイリーヒュームなど(バラバラですね)現代の画家についてはどう思っていらっしゃいますか?僕は古典の一番先っぽが現代美術だとは思っていますが。


Re:バロック絵画の書籍

suneye さんのコメント
 (2000/12/13 03:24:22)

「巨匠に学ぶ」の日本語版は絶版ですか。前にも書きましたけど、
あんまりいい本じゃないとわたしは思っています。ペーパーバック
は今でも入手可能なようです。

Doerner や Wehlte といった定番のほかに、Knut Nicolaus はいか
がでしょう、って、これも定番ですか。技法書じゃありませんし、
これまた日本語版は絶版のようですが。この本には、わからんこと
はわからんと書いてあります。バロックの技法みたいなもんは、ほ
んとうのところは誰にもわからないと思います。

amazon.co.jp は開店記念期間は送料をサービスしてますけど、 そ
れでも amazon.com の船便のほうが安くて早い場合がしばしばあり
ます。


HOW TO PAINT LIKE THE OLD MASTERS

suneye さんのコメント
 (2000/12/21 14:56:11 -
E-Mail)

「巨匠に学ぶ絵画技法」のペーパーバック版 "HOW TO PAINT LIKE
THE OLD MASTERS" を知人から借りて来ました。

ペーパーバックといってもマール社の日本語版より大判で、図版は
日本語版と同じく、ほとんどがカラーです。
$22.50 ですから、amazon.com か amazon.co.jp なら値引きと送料
で二千何百円とかだと思います。すぐ注文するなら、クレジットが
落ちる頃も円は安そうなので、co.jp のほうがお得かも。

"I make no claims that these are the exact formulas used by
the master painters represented here, since, as I have said
ealier, I do not think ANYONE (原文イタリック) knows the
exact formulas."

とゆーくらいで、巨匠の処方箋なんて誰も知るわけナイし、実際に
絵を描くのに使えなきゃ意味ナイじゃん、みたいな、理論より実践
を重視した入門書ですから、そーゆー意味では役に立つこともいっ
ぱい書いてあります。
文章は少ないうえに処方箋と図版の解説がほとんどですし、たいへ
ん読みやすいですので、たいして苦にはならないと思います。

でも、やっぱり、いまいち素直にお薦めできない本ではあります。


バロック絵画って

トミ− さんのコメント
 (2000/12/28 05:15:13)

はっきし言って構図法に秘密があるように思います。過去のマエストロ達は幾何学に精通していて、一見何気ない作品ほど入念な計算がなされていたりしますよね。色彩やコントラスト、動勢は構図の前では付加物に過ぎません。日本では印象派の人気が示すように、感覚的な構成が優位に立つことがしばしばありますが、それは同時に日本の脆弱な絵画の生みの親でもあります。確か最近シャルル・ブ−ローの書いた「構図法」という本が出版されたので覗いてみてはいかがでしょうか。
 


suneye さんのコメント
 (2001/1/9 01:04:29 -
E-Mail)

精通してたと言えば、幾何学はもちろん神学や図像学にもムチャクチャに
精通してたわけで、パルミジャニーノみたいに絵からすんなり魔術へ行く
奴もおるわけですよね、あの時代には。
今の幾何学とゆー概念でくくれば、せいぜいユークリッドどまりなので、
中学校で教えてる程度のことですけど、構図の話になると、背後にピタゴ
ラスとゆー超大物が控えていて、こっちは三角形がどーたらゆー定理以外
は学校ではあんまり教えてくれないけど、黄金分割から、音楽の調性理論、
あげくに数秘術やら神秘主義まで絡んでくるので、安直な話じゃなくなり
ますよね。

>色彩やコントラスト、動勢は構図の前では付加物に過ぎません。

まあ、たしかに極端に言えばそーゆーことだとは思うんですけど、これ言
い出すと、しまいにゃ、日本人がなんでアブラで描くのよ、みたいな方向
に行ってしまいそうな気もします。


コーヒー さんのコメント
 (2001/1/12 20:12:20)

公募団体についてみなさんはどうお考えですか?先生に入るよう薦められるんですけどあまり魅力を感じません。


岩野 さんのコメント
 (2001/1/17 18:03:07 -
E-Mail)

ラングレーの「油彩画の技術」のなかでリューベンスの溶き油っぽいやつを発明した人でビュッセ、マロジエという人がいますけど、この人たちは画家なんですか?それと、バロック技法というとおおざっぱですが、ああいったマチエールを作り出す秘訣と言うか、手順、仮説とかどなたかご存じないでしょうか。


マロジェ

suneye さんのコメント
 (2001/01/29 08:21:48 -
E-Mail)

ビュッセとゆー人はわかりませんが、Jacques Moroger はルーブル
美術館の修復セクションのトップにいた人だと思います。

「ああいったマチエール」については、どういったマチエールを指
してるのか、もう少し具体的に書いてもらえないと、なんとも...


岩野 さんのコメント
 (2001/01/30 17:46:16)

ありがとうございます。ほんと、ああいったマチエールなんておおざっぱで申し訳ないです。具体的に言うと、筆あとの見えなさ、というか深み。すごく簡単に言ってますけど(笑)フェルメールを見たときほんとに人間が描いたの?と思いました。


suneye さんのコメント
 (2001/02/18 03:12:47 -
E-Mail Web)

歳ばかりくって初心者とは言いにくいんですけど、油彩を使うたび
に新しい発見をしますので、偉そうにレスポンスするのも辛いんで
すが、まあ、単なる話のタネみたいな雑談ってことで、ご了承願い
ます。

同じバロックのオランダ美術に分類されててもレンブラントとフェ
ルメールではマチエールがぜんぜん違いますよね。
連中のマチエールを真似ることができたら、たぶんそれだけで一生
喰っていけるような、すごいことだと思うんです。あれは昔の画工
とゆーより、神さまに近いものがやったことだとわたしは思ってま
す。でもまあ、みんな神さまにしてしまうと話が進まないので。

ごく浅薄な意味では、筆致を残さないマチエールとゆーのは、油彩
独特のエマイユ効果を狙った透明画法の賜物だと思います。薄いグ
ラッシュを何層も重ねて行くうちに、自然に筆の跡は小さくなって
いくとゆー単純な話ですが。
ただし、当時のグラッシュに使われた絵の具がほんとうに今の感覚
で言う、チューブ絵の具を大量の乾性油で薄めたような薄さなのか
どうかは疑問なんです。顔料分が濃くて、樹脂分も非常に多く、相
対的に乾性油や揮発油は案外少ない絵の具を使ってたんじゃないか、
とわしは思ってるわけです。はっきりした根拠はないんですが。
そーゆーのはチューブ絵の具からは作れないので、自分で顔料を練っ
て描いてみると、バロックのようにはならなくて、明治時代の日本
人の絵のようになってしまう。うーむ。

フェルメールの画面の平坦さは、とても筆でやったこととは思えな
い、とゆーこともありますよね。
指にごく少量の乾性油をつけてフリュイード画法を駆使すると、非
常に平坦なマチエールを作ることができますが、フェルメールのは
絶対にこれとは違うと思います。

もっと無茶なのが、ベネチアテレピンで展ばしたとゆー説です。ご
承知のとおり、グリザイユの上に絵の具のインパストを置いて乾性
油を滴下してファンで展ばすとゆーのは安直に思いつきますし、そ
れをやるにはベネチアテレピン(とマスチックの混合)が最適だと
思いますが、そんなことであの驚異的なマチエールができたとは思
えないし、実際にやってみてもあんな風にはなりませんよね。

とゆーことで、誰かがこれがフェルメールの描きかただ、と言って
もわたしはにわかに信用しないし、かと言って、何もわからないの
で、いろいろお試しになるのがいちばんかと思います。

ところで、こちらからもすげー単純な質問を2〜3。

バロック風のグリザイユの黒には何をお使いですか?
乳鉢の使いかたには慣れたけど、思うような黒はなかなか手に入ら
ないんですが。

ブラックオイルやフレークホワイトを指で展ばすとゆーのは、わた
しにはなかなかできないことなんですが、バロックの画法を研究し
ておられれば、避けては通れないですよね。どうなさってますか?

マスチックって、高くないですか? 笑っちゃうよーな話かもしれ
ませんが、一般にバロックの絵がコーパルやマスチックのような今
ではたいへん高価な樹脂をグラッシュにガンガン使ってたことは疑
う余地がなくて、自分の絵の市場価値を考えると、あーゆーのは真
似する気にはなれない、とゆーか、かなりビビるんですが。
こーゆー話をこのボードに持ち込むのは場違いかもしれませんが、
ヘタな絵を売って嫁と餓鬼を喰わせて行くことを考えると、これは
けっこうマジな話で、わたし自身はあんまり笑えないんです。


画材&技法 全般 (4)」へ続く。


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