1489 -1576 ティツィアーノ(伊) [コメントする]

1489 -1576 ティツィアーノ(伊)


スレッド作成 : 管理人さん
 (2000/7/21 03:45:00)

ティツィアーノ・ヴェチェッリオのスレッドです。
Tiziano Vecellio
Titian(英)
生:1490年、ピエーヴェ・ディ・カドーレ(Pieve di Cadore ヴェネツィア共和国内)
歿:1576年、ヴェネツィア

・各画家のスレッドは基本的にその画家の材料と技法、及び伝記的・歴史的事実や作品等の話題を扱うこととします。
・文献の紹介、材料や技法に関する考察、質問等を歓迎しております。
・文献情報は材料と技法という枠に限らず、その画家に関するものを広く収集できればと思います。
・その他、材料や技法に関する気楽な雑談、模写体験談等もどうぞ。


ティツィアーノについて要約します。

管理人 さんのコメント
 (2000/7/21 03:53:39)

ティツィアーノはいかにも油絵らしい描き方の始まりと言われています。キャンバスを使用し(板もけっこうありますが)、暗い下塗りに、明るい部分をボリュームのある絵具で描き込んでいく。

それまでは、板に白亜や石膏などの明るい下地を使用し、色のついている部分や、陰の部分を描いていくのが主流だったので、油彩は大変手間のかかるものだったのですが、ティツィアーノの方法で、巨大な絵を、大量に、短時間で描きあげられるようになりました。

絵具においても、展色材から樹脂が減って油分が多くなったようです。絵具を厚く塗って描くようになり、後から大胆に描き直しをするようにもなりました(ただし、最初の段階の素描はテンペラでしていたかもしれないと、いろんな技法書に書いてあります)。

油絵具は経年とともに透明化する傾向があり、暗い地に描かれた絵は、白色の明るい下地に描いたものにくらべて、色の状態が悪くなってしまいます。樹脂分の減少や、描き直しも絵具の耐久性に影響を与えました。ティツィアーノより前のファン・エイクなどの絵が鮮明な色を保っているのに、ティツィアーノ以後の画家の絵が、現在ひどく褐色化しているのは、それらが原因とも言われます。とは言っても、ティツィアーノの絵は、その後のヴェネツィア派のよりも状態はいい方ですが。

というふうに、みなさんいろいろ書き込んでみてください。

では。


補足です。

ゼレアー さんのコメント
 (2002/06/07 23:43:48)

こんばんわ、ゼレアーです。
管理人さんがおっしゃる通り、ティツィアーノの描き方は油彩画らしい技法の出発点であり、フランドル系の労力を減らす、合理的なものだと思っています。私自身も、市販キャンバスみたいな真っ白なグラウンドは使わず、今はもっぱら、茶色やグレーの地塗りを施して描いています。ちょうど、これらの地の色が中間色となり、白と黒で下絵を描いていけば、うまい具合に光から影のグラデーションが立体的に表現されるわけですね。あとは、この上にグレージングで固有色を塗り重ねていけばいいんです。
あと、皆さんもご存知の通り、パネルの材料となる木材の入手難や持ち運びの利便性、より大きなスケールの作品が求められるようになり、キャンバス支持体が急速に台頭してきたことも見逃せません。海運都市ヴェネツィアの性格上、帆船の帆からキャンバス地を確保することも容易でしたし。
その支持体は、絵具の厚塗りや盛り上げがしやすいように、フランドル系の水性ではなく、油性の地塗りを施されたのでしょう。水性だといったん描くと、たやすく絵具を吸いこんで形の修正が難しいのですが、油性だと極端に言えば、絵具が乗ってる状態みたいなもので、当然、一度描いたものを消したり剥ぎ取ったりしながら、構図を変更しやすかったと思います。
画用液は、粗目キャンバス地の大画面で筆の動きを良くするために、樹脂を減らして油を増やした…これが油分の多い理由の一つかもしれません。(管理人様、こんな感じでいかがでしょうか?)


ほうほう

むっちー さんのコメント
 (2002/10/19 21:52:20)

そうやって描くんでしたか。でも、同じようにしてもなかなか名画のようには描けない私。修行が足りん。。。


地中海性気候

karu さんのコメント
 (2002/10/20 08:16:12)

ベネチア派のキャンバスは太めの麻糸による綾織りキャンバスで、非常に目が詰んでいますよね。キャンバス地が白くなったのは明るい画面を好んだ印象派以降だと言われてます。それ以前は中間〜暗色の地塗りが主流だったそうです。同様にデッサンが中間色の紙に描かれることが多いのも合理的な西洋ならでは。日本で白いキャンバスが主流になったのは印象派の流行と日本の近代化の時期が重なったからだと言われています。

フランドルに比べて樹脂が少ないのは風土の差が大きいと思います。年中気候が安定して温暖なイタリアに比べて、天気も変わりやすく多湿な風土の北方では油が乾きにくいこともあり、乾きの早い樹脂は乾性油が酸化重合する間(半年〜1年以上)のつなぎの役割を果たしたのです。同様に日本のような多湿な気候風土には樹脂が合っていると思います。但し樹脂を多用した厚塗りは大きな亀裂が入ることがあるので注意。
※イタリアの中でもヴェネチアの気候はちょっと特殊なのかも知れません。

余談ですがイタリアワインにはヴィンテージ(当たり年)が無いって知ってました?
朽見行雄著「イタリアワインの職人(マエストロ)たち」より。


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