1780-1867 アングル [コメントする]

1780-1867 アングル


管理人 さんのコメント
 (2001/05/11 22:26:28)

ドミニク・アングルのスレッドです。

Jean Auguste Dominique Ingres
生:1780年、モントーバン(Montauban フランス)
没:1867年、パリ

・各画家のスレッドは基本的にその画家の材料と技法、及び伝記的・歴史的事実や作品等の話題を扱うこととします。
・文献の紹介、材料や技法に関する考察、質問等を歓迎しております。
・文献情報は材料と技法という枠に限らず、その画家に関するものを広く収集できればと思います。
・その他、材料や技法に関する気楽な雑談、模写体験談など、どうぞ。


ワニスの過剰使用について

大西 さんのコメント
 (2001/10/15 12:15:13)

アングルは絵肌について「玉ねぎの皮のような」ものがよいと言っていたようで、実際とても平滑な仕上げにしてありますが実物を見るとたくさんヒビがはいっています。あれはワニスの過剰使用によるという話を聞きましたが、どのように思われますか。


ワニスの過剰使用について 知りたいですね。

bonapa さんのコメント
 (2001/10/18 11:07:35)

大西さん
がおっしゃっているように実物にはひびがたくさんありますねぇ。 原因は何だ?
それは私も知りたいです。
ワニスの過剰使用とすればどの工程のどのワニスがどのぐらい過剰だったのか?? 知りたい。だれかご存知の方教えて欲しいです。

もうひとつ知りたい。のは、イタリアとフランスの修復かのアソシエーションでももめているけど「何を修復とするか?」の問題とかかわるかもしれないですね。 この「ヒビ」が「無理のあった工程を経た結果であるゆえのヒビ」とみなすのか、「通常起こりうる自然劣化であるからヒビでもこれはなおさないずにこれ以上の劣化を防ぐ」というたぐいのものとみなすのか?  それも専門家のご意見を伺いたいですね。

たとえば「修復」の研究がなされて、現在修復家という職業がある時代では「この絵はもうワニスかけなおしの時期だな」と判断されたらヒビがくるまえに表面の保護ワニスは塗りなおすのでしょうから、その場合はアングルにみられるおなじたぐいの「ヒビ」が今後みることはないのか?

どうなんだろ?
アングルに限らずそりゃヒビがまったくないっていう作品もないんだろうけど。。
ヒビになる前に手入れされている気がするし。。どうなんだ??どなたかコメントください。



乾燥剤の過剰使用が原因かもしれません。

ゼレアー さんのコメント
 (2002/06/07 20:46:59)

こんばんわ、ゼレアーです。
私も、アングル作品が好きです。現地に行き、数多くのアングル作品を観てきた経験もあり、克明にメモを取ってきました。ご指摘のように、亀裂やひび割れの作品が意外に多いですよね…
その理由を私なりに考えてみましたが、まずは、ジンクホワイトやビチュームの乱用を疑いました。でも、アングル作品のひび割れは、初期から中期に集中していて、ジンクホワイトが使われ出した1840年代とはタイムラグが大きすぎます。それに、フランドルやラファエロ系の油彩技法をベースとしたアングルには、トラブルを起こすビチュームをわざわざ使う無謀さはなかったと思っています。
それでは、何が原因なのか?…実は、19世紀初めに、マンガン系のシッカチーフがフランスで登場しています。乾燥剤は使い過ぎると、ひび割れを引き起こすことはご存知の通りですが、従来からあった鉛系の乾燥剤よりも、マンガンのほうが乾燥作用が強い、と聞いたことがあります。(マンガンは入手できていないので、まだ試したことはありませんが、たしかに、鉛を混ぜた油で描くと、乾燥が早いです。)
イギリスに遅れて、フランスで産業革命が本格的に始まったのが、ちょうどこの頃で、産業革命の波に乗って姿を現した画材産業の急速な発達とも無関係ではないかもしれません。乾燥剤を入れすぎたワニスの過剰使用、なのでしょうか…


管理人 さんのコメント
 (2002/06/25 23:33:16)

アングルのヒビについては、ラングレの本の支持体のろこに、ちょっと出てきますね。

鉛白による油性の地塗りが厚すぎたから、というようなことが書いてあります。
かなり粗めの麻布を使い、それを平らにするために、厚い地塗りをやったそうです。

「信じ難いほどの厚さの」って書いてあります。

他の画家の例では、薄い地塗りの例でも、平滑過ぎたり、油分が多かったりすると、上の描画層にヒビが入っているものがあるということも書いてありますね。

もちろん、地塗りだけが原因ではないとも書いてあります。


アングルのビチューメン使用について

miyabyo さんのコメント
 (2002/09/11 17:53:23)

アングルについてあまり知りませんが、彼は使っています。例えば「シェルビニ」。その図版がモロー・ヴォーチエ『絵画』大森啓助訳春鳥社1942年にあります。ただ言われている「亀裂」がビチューメンによるものかは判りませんが。
アングルは、こうした災いの経験から以後一切使用しなくなったといいます。
管理人の方がおっしゃっているように下地の厚さもあるかとは思いますが、挙げられている要因以外に、特に肌の部分や、身体と背景との境目は、下層が乾いてから(完全乾燥ではなく表面乾燥)白やヴァーミリオンなどの色材をしつこく擦りつけたというような事をなにかの書で読んだ記憶があります。そうした彼の技法上の癖(圧迫)も、亀裂という結果の遠因になったのかも知れませんね。


アングルのビチューメン使用の参考図版

miyabyo さんのコメント
 (2002/09/14 20:14:22 -
E-Mail)

「シルビニ」のビチューメンに冒された図版が、このHPの絵画技術・修復技術リンクで紹介されている、「画材なび」HPに掲載されていましたので、お知らせします。
 場所は、「3号館 絵画材料史教室」の「絵画作品のトラブル」で、亀裂を紹介した中の「NO.5ワニ割れ」がそうです。部分図ではありますが、参考にはなると思います。


古典と近代の狭間で

ヴェクサン さんのコメント
 (2004/04/03 16:54:04)

始めましてヴェクサンです。興味深く読まさせていただいてます。アングルのひび割れですが半乾きの絵の具の上に粘度の高い乾性油のグレーズをかけてるんじゃないかと思います。どうして半乾きにグレーズかけるタブーを犯したかは。きめの細かい絵肌を作りやすいからだと思います。下地と溶け込ませて表面が光沢のあるビニール状になる。アングルの時代になると透明色だけに頼るグレージングの時代が終わったと思う。コロー等同世代の画家は不透明な絵の具を大胆に使ってる。近代絵画の幕開けだと思います。


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