ド・マイエルヌ手記 [コメントする]

ド・マイエルヌ手記


Webmaster さんのコメント
 (2005/08/17 04:13:51)

ド・マイエルヌ/マイエルン(De Mayerne)手稿のスレッドです。

英訳はDonald Fels,Lost Secrets of Flemish Painting
http://www.amberalchemy.com/book.html

※Amazon.co.jp検索しても何故か見つからない。Amazon.comやクレマーピグメント、オフィシャルサイトで注文できる。国内サイトではSkysoftという老舗の洋書サイトで注文できる。

邦訳は『別冊みづゑ』1970 冬に、森田恒之氏による紹介記事あり、解説を伴った抜粋訳を読める。


マイエルン手稿

山崎 さんのコメント
 (2006/07/05 15:12:33)

所蔵先より直接マイクロフィルムで取り寄せる、という方法がベスト。内容は、ドイツ語が主体。フランス語は多分、当時のものか、あるいは余り得意ではなかったか?、のどちらかであるようです。日本語に翻訳するには両言語に堪能な外国人との共同研究が必須となろうかと思います。


ド・マイエルン本人及びその手記の基本文献

miyabyo さんのコメント
 (2006/08/18 02:04:06)


英国国立図書館では、『ド・マイエルン手記』に関連するマニュスクリプトの閲覧そのものが制限されているのが現状。
ただし、British Library のサイトでは、所蔵の稀観本、手稿本、彩飾写本などを一部画像として紹介していますが、その中に『ド・マイエルン手記』に含まれる色見本が2枚公開されています。
この水彩絵具による色見本で留意すべきは、その中のラピスラズリ([lazurium]と記してある)は、実際にはアズライトが塗られていることです。また、残念ながら、この色見本は、後世の、彼の遺産を引き継いだ甥が補遺したのではないかとされています。

『ド・マイエルン手記』は、ラテン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、英語で書かれていますが、主たる言語は仏語です。ちなみに、独語は、170葉の内10葉程度に過ぎません。
ド・マイエルンの両親は仏国に住んでいましたが、宗教戦争に巻き込まれるのを避けてジュネーブに逃れ、そこでド・マイエルンは生まれた。名付け親は、宗教的指導者カルビンの後継者と目されたテオドール・ド・ベゼ(Bèze)で、テオドール・テュルケ・ド・マイエルンの「テオドール」は彼からもらっています。
その後の学歴からも明らかですが、仏語は彼にとって母国語と言えるものでした。

現在『ド・マイエルン手記』として有名なのは、Sloan Ms. 2052なのですが、Sloan Ms. 1990では更に広範囲な諸芸術を網羅しており前者以上に重要だと見られていますが、その全容は今のところ明らかにされていません。

現在参照しうるSloan Ms. 2052の170葉の手稿は、131枚目あたりまではほとんどド・マイエルンの筆跡(1623-44年の日付)ですが、それ以降の筆跡は、マイエルンの死後遺言により相続した甥のJhon Colladonらしく、131枚目以前にも同じ筆跡による書き込みや欄外注がみられるという(ド・マイエルンは1655年に他界しましたが、1674年までの日付がある)。また、本来のマイエルン手稿は、1冊の本のような体裁になって残っているのではなく、大小の紙片に記されたもので、その一部がSloan Ms. 2052やSloan Ms. 1990として現存しているのです。

Sloan Ms. 1990の手稿の内容は、絵画とデッサン、エッチング、彫刻、ガラス、エナメル細工、陶器、金銀細工、染料、といった諸芸以外に、種々雑多な医術や化粧品用の処方、化学薬品・ビスケット・キャンディーの作り方など。変わったところでは、「苺を栽培する最良の時期について」という一処方や、「遠くにいて話すための装置」に関する書簡が含まれています。

したがって、Sloan Ms. 1990を基にしたものも容易に閲覧ができない以上、現時点では、Sloan Ms. 2052を翻刻し独語訳を付したベルガー版が、いくつかの問題はあるものの一般人が目にできる最良の書といえるでしょう。

この手記は、単にドイツ語と日本語が堪能であれば訳せるというように単純なものでないことがお判りになることと思います。


以上は、私の前にレスされた方の内容があまりにも無責任な内容であることを憂慮し、書いた次第です。
情報を提供されようとお思いになるならば、せめて基本文献には当たった上でお願いしたいものです。


 『ド・マイエルン手記』を活字出版したもの(2006年現在、独訳、仏訳、イタリア訳、英訳がある。)
●Berger,E.“Beiträge zur Entwicklungsgeshichte der Maltechnik”,vols.3, pp. 92- 410, Münchn, 1897-1904.改訂版 4vols.(1901-12),Sändig(1975-79).
 ベルガー『絵画技法発展への寄与』対訳付。今でも『ド・マイエルン手記』の内容把握に関しては、不完全とはいえ全体像を知りうる最も重要な基礎文献。
●Faidutti, M. / Versini, C. ,“Le Manuscrit de Turquet de Mayerne”, Audin Imprimeurs Lyon (刊年無)
 構成がベルガーと一部異なっており、しかも内容が重複しているところや、省かれている部分(fol. 123〜133独文で書かれている部分)もある。オリジナルは、1965-7年にかけて“Peintures, Pigments et Vernis”に分載されたが、原本に発刊年はない。ただ、書籍や論文の参考文献一覧によっては、1968年、1974年、1975年など記してあるものがある(ほとんどは未記入又は「刊年無し」としている)。
●Rinaldi, Simona,“Pittura scultura e delle arti minori 1620-1646: ms. Sloane 2052 del British Museum di Londra in testa al front.: Teodor Turquet de Mayerne”, Letteratura artistica, 1995. 全305頁 pp. xi+305
 『ド・マイエルン手記』の伊語版 テキストは従来のSloan Ms. 2052を使用。底本はベルガー版だが原文なし。解題や註にはV.D.グラーフ以降の成果を含む。 
●Donald C. Fels, Jr., Richard Bedell (Translator), “Lost Secrets of Flemish Painting: Including the First Complete English Translation of the de Mayerne MS B. M. Sloane 2052”, Alchemist Paints & Varnishes, Incorporated, 2002 387pp. $75 
 この英訳本を出版した著者は、主に昔の処方を手がかりとした溶油やメジュームを製造販売している。底本にはベルガー版を使い、ベルガーの誤訳もそのまま訳している(原文なし)。手記の内容を知る上では使えるとしても、文献としての価値は乏しい。
●Gudrun Bischoff: Das De Mayerne-Manuskript. Die Rezepte der Werkstoffe, Maltechniken und Gemälderestaurierung (= Institut für Museumskunde an der Staatlichen Akademie der Bilden Künste Stuttgart. Weisse Reihe; Bd. 20), München: Fachbuchhandlung Anton Siegl 2004, 327 S., ISBN 3-935643-10-1, EUR 29,80
体裁はベルガー版とは異なり、原文はない。また手記の頁に沿ってではなく、顔料、ヴィヒクル、ワニス別に分類した構成になっている。(なお、ベルガー版の再復刻版が2000年に出ているらしい)


   『ド・マイエルン手記』に関する論考
●Van de Graaf, Johannes Alexander,“Het de Mayerne Manuscript als Bron voor de Schildertechniek van de Barok”, Utrecht 1958(Mijdrecht:Drukkerij Verweij,1958)
V.D.グラーフ『バロック絵画技法の原典ド・マイエルン手記』
『ド・マイエルン手記』研究に必須の論文。ただし、研究対象が絵画材料や技法に限定している。ベルガー版の考察にいくつか異議を唱えている。一例を挙げると、ベルガーは、手帖は年を追って頁が進んでいると見ているが、余白の頁があったり日付に移動があったりでランダムであることを指摘している。若干の誤字誤訳の指摘もある。オリジナルに残るインクの色なども記してあって、手記の状態がわかりやすい。巻末に『ド・マイエルン手記』より論考に関係する部分の抜粋あり。
●Werner, A. E.,“A ’New’ de Mayerne Manuscript”, Studies in Conservation, volo.9, pp. 130-133 (1964).
 Sloan Ms. 2052とSloan Ms. 1990の関わりについて述べている。
●Trevor-Roper, Hugh“Mayerne and his Manuscript”, in Millar, Oliver(edit) / Howarth, David (edit.),Art and Patronage in the Caroline Courts:Essays in Honour of Sir Oliver Millar, Cambridge Univ. Press, 1993 
 
※『ド・マイエルン手記』の研究に関しては、博士号取得論文としては何冊かありますが、それは研究者用ですから、比較的入手可能なV.D.グラーフ以外はここでは挙げません。また、『ド・マイエルン手記』に言及した論文は多数ありますが、割愛します。


   ド・マイエルンの生涯や医者としての功績に関する文献
●Gibson, T.,“A Sketch of the Career of Theodore Turquet de Mayerne”, Annals of Medical History, new series vol. V, pp. 315-326, New York (1933)
 医者としてのマイエルンの功績を知るのに有益。
●Gibson, Tomas (trans.),“Letters of Dr Theodore Turquet de Mayerne to the Syndics and Executive Council of the Repablic of Geneva”, Annals of Medical History, vol. 9, No. 4, pp. 401-421, New York (1937) 
 マイエルンの2nd May 1611-10th June 1622の手紙
●Gibson, T.,“The Iconography of Sir Theodore Turquet de Mayerne”, Annals of Medical History, 3ed series vol. , pp. 288-296, New York (1941)
●Nance, Brian,“Turquet De Mayerne as Baroque Physician ― The Art of Medical Portraiture”, Clio Medica 65, Brian Nance, 2001
●Hugh Trevor-Roper, Europe's Physician : The life of Theodore de Mayerne, Yale University Press, 2006. p.352.
 この書は、2006年11月刊行予定。ヒュー・トレヴァー‐ローパー(1914-1-2003)の死後の出版であり、最後の著書。

以上、私が所持するものの中から一部をリストアップしました。
『ド・マイエルン手記』に興味のある方には有益かと思います。


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