支持体と地塗り (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) [コメントする]

支持体と地塗り (4)」からの続き。


支持体と地塗り (5)


ありがとうございます

asahi さんのコメント
 (2002/11/26 10:41:24)

みなさま、丁寧な説明本当にありがとうございます。
助かります。
下作業はなるべく簡単に(かつ確実に)済めばいいなーといつも思っているので、それだと、mongaさんの、水張りしてジェッソ、ということになるでしょうか。ここで質問させていただく前は、紙を膠張りしてその上にジェッソ塗ればいいかなーと思っていたんですが、水張りでもいいならさらに手間が省けますね。
大学で教授がたまに、ジェッソは表面がビニール質のようになるから、アクリルならいいけど、ジェッソの上に油は、あまり信用しないほうがいいよと言っていますがそのへんはどうなんでしょう?
みんな結構やってますけどね。クサカベの油絵用ジェッソを使えば平気でしょうか?
あと、Karuさんのコメントにある、日本画用のニカワ液というのは、いわゆる油で麻布を膠張りするときのものとおなじものなのでしょうか?
miyabyoさんの教えてくださった論文も参考に読んでみたいと思いました。ロートレックのカルトンの絵は、なにも下処理を施してないゆえの暗化、チョーク化と理解していいのでしょうか?
勉強不足で質問多くてすみません。返答いただけたらうれしいです。では。


紙に油彩

管理人 さんのコメント
 (2002/11/28 05:29:05)

私なんかだと、紙に描いた油絵では、高橋由一の「鮭」を思い出します。これは、紙に礬水を引いて目止め(サイジング)を行なっただけで、地塗りはされていないようなことを読んだ記憶があります。部分的にかなり厚塗りしている箇所もありますが、きちんと礬水引きをやっておけば、油絵具を使っても長持ちするようですね。キャンバスや板絵とはまた違う仕上がりになっているので、この絵は一見の価値ありだと思います。
「鮭」については、昨年の「油画を読む」展や、その他の由一関連の展覧会図録を見ると、由一が行なった下作業についていろいろ書いてあります。

と言っても、たぶん、ああいう絵ではなくて、たぶんボナールやロートレックのような絵をお考えだとは思いますが。


ロートレックのカルトン画について

miyabyo さんのコメント
 (2002/12/01 22:12:17 -
E-Mail)

asahiさんへ

11/22の私のコメントの件
《 ただ、ロートレックがカルトンに描いた絵は、やはり紙が油を吸って、暗化したり、絵具がチョーク化を起こしてしているようです。 》

11/26のasahiさんのコメント
《 ロートレックのカルトンの絵は、なにも下処理を施してないゆえの暗化、チョーク化と理解していいのでしょうか? 》

通常私がコメントする場合は、自分自身の体験、又は、そのコメントの根拠となる書籍や論文を脳裏に浮かべた上でするのですが、このときは、岡鹿之助著『油絵のマティエール』改訂新版 美術出版社 昭和57年(「紙類」pp.166-168) 特に

《 ボール紙には簡単な膠液ひと塗りの地塗りで十分に描くことができる。ボール紙自身の特殊な色とその肌を生かす早い粗描には他の素地に見られない効果を生むもので、このロオトレークが遺した数々のボール紙の傑作が充分に物語っている 》

と言う文章が前提にあって、あらかじめ礬水引きを施されたカルトンの上に描いているにも関わらず、コンディションの悪いカルトン画の例として言及した文章(だったと思います)として記憶に残ったわけですが、ではそう思わせた文章は?と書庫を探してみましたが、今の私には十分に調べる時間もなく、現時点では明示できない状況です。

ちなみに、The Getty Conservation Institute が今年の6月から公開している修復保存関連の論文検索(詳しくは「画材&技法 全般」2002/09/13の紹介をご覧下さい)で、「Lautrec」を検索しましたがヒットしませんでした。ロートレックを正面から述べたものではなかったのでしょう。

以上のことから、上記の私の発言は、ひとまず括弧に括っておきます。そして、ロートレックのカルトン画は、通常「下処理」を施したものを使用していたということは、認識の前提にしておきます。

以上、ご返事いたします。


紙に油彩

asahi さんのコメント
 (2002/12/02 15:07:31)

紙に油彩やってみました。
パネルに水張りしてジェッソの薄塗りで。
私の場合、和紙などの風合いを生かしたいというよりも、紙の滑らかではりのある感じを使いたいので、ケント紙でやってみました。
結果としては、自分が思っていた感じにはなりそうな雰囲気です。(まだひと塗り、ふた塗りした段階ですが・・・)紙の柔らかい光沢感が絵具を通して出てくるようです。
で、これから130号くらいの制作をはじめるので、頑張って紙を張ります。ただ、この画面の大きさだと、紙の大きさ的に継ぎ目ができてしまうので、水張りの水に、水性のりを混ぜて貼り付けてみようと思っています。(版画の人から仕入れた方法です。)
ところで、ロートレックの件ですが、詳しくありがとうございます。今度ロートレックの作品を見る機会があったらじっくり見てみたいと思います。


志村正治氏「基底材」ビデオ

管理人 さんのコメント
 (2002/12/09 08:45:43)

Miyabyoさんにも紹介していただいた、志村正治氏「基底材」ビデオ、週末に届いたのでさっそく見ました。
とても良いビデオでした。
約1時間の内容ですが、テンポが良くて、パネル作り、前膠、地塗りについて、次々といろいろな方法が紹介されていきます。
変に細かいことに時間を割かずに、要点をどんどんと解説されています。某NHK教育番組のようなスローテンポ&リフレインみたいなものは一切無くて、見ていて痛快です。
三角定規や雨どいなど、こんな使い方があったのかと、小技のようなものも、たくさん知ることができます。
とくにパネル作りは必見。
1時間の中に情報がギッシリ詰まっています。

というわけで、私からもお奨めします。


膠と胡粉・・・

パセリ さんのコメント
 (2002/12/15 02:13:47 -
E-Mail)

15年前に「基底材のビデオ」を制作したパセリです。
先に「輸出入・翻訳」の掲示板に書き込んでいましたが、この「支持体」の掲示板が相応しいのでこちら
へ移行いたしました。またその掲示板でのご質問も合わせて支持体スレッドに移行致しました。
どうぞ宜しくお願いします。
 帛韻噺嬖幹悗靴届続擺錣僚ど家との話で感じた事を・・・」
京都にある邦楽器の製作と修理をされている方が来られて・・・
ここ数年、鼓の製作をしているが皮に塗る地塗材が割れて困っている今使っている膠が以前の
ものと違うのではないか?
それで私に記憶がある事を話しました。
4年前かと思いますが京都国立博物館の会議場にて装こう師連盟主催の講演会があって国立
民族学博物館の森田恒之氏が膠の講演をされました。その概要は膠の製造法をビデオで紹介
されて手作りと工場生産による製造方法と膠の使われ方でした。興味深かったのは手作りの
膠作りと膠の利用方法でした。ニベなく・・・とか言いいますがこのニベは膠の事ですが
膠の発祥地は今のモンゴル、昔、膠は軍事物資で弓の製造に欠かせなかったもので今日でも
京都で弓を作っていますが彼らは原材料から膠を作っています。また墨のバインダーとして
も利用されています。私も今でも手紙はたまに書で書きますが趣きがあっていいです!今の
様に筆記具がなかった時代は墨と膠が唯一筆記具で、木版にも使われ使用量が今と比べ物に
ならないほど膠が生産されたそうです。また以前のPCに使われていた5インチフロッピー
は外側が紙製でこの紙の接着には膠が使われていたとの事理由は膠水がゲル化して乾燥する
ので紙の押さえが必要なく便利なので使われたそうです。
現在多く出回っている膠は工場生産で化学処理してあり組成的にはタンパク質100%とメーカ
ーは言っておりその通りでしょうが特に昔の手作りの膠とは違っています。
では具体的にどう違うか?それは本来の膠と違って特に含浸力が違うと言う事でしょうか
また原材料も抗生物質に汚染されているから昔の本来持っている膠と違います。
ここで話が最初に戻りますが和楽器に使った膠がこの様なものなのでヒビがいったりする症状
がでるのではないかとお話しました。結局、現在この工房では私が進めた膠と炭酸カルシューム
顔料を使って鼓の製作、修復に使っておられます。
私は最初に基底材作りに使っていたのはルフラン社の兎膠を使いその後はオーストリア製の皮
膠を使って今は新田ゼラチンのTSSを使っています。その間30年ですが供給出来なかったり
したのが原因です。今のTSSが本来の膠と言えるかどうかと言えば疑問ですが私は30年前に
製作した基底材のサンプル、20年前に製作した基底材のサンプルを臨床材料にして現在の歴史
的遍歴と言う考え方で材料を見ています。勿論いい材料には関心はありますが、メーカーは経
済的に供給出来るものを使うのが常で年とともに材料も変わって行きます。
胡粉も昔は蛤の殻から生産されていましたが今はカキ(オイスター)の殻を使って生産されて
います。中には沈降性硫酸バリュームを胡粉として販売している所もあります。
ですから、絵画材料も歴史的な遍歴で変わるのが当然で皆さんも知っているインディアンイエ
ローも典型的な例ですね!(元々のインディアンイエローは牛にマンゴーの実を食べさせて集
めた尿から体質顔料に染め付けて顔料にしたとか絵画材料辞典に書いてありましたっけ。)
勿論現在のインディアンイエローは有機顔料です。
△海侶納板の管理人さんからの質問の「アクリル系地塗剤と膠系地塗剤の問題点」はこれは頗
る難しいです。要は使い方次第です。双方とも地塗りしてそこそこ時間をおく必要があります
し、作品を置く環境によっても変化しますから!
アクリル系地塗り材で地塗りしたもので油彩画で描いた25年前の作品がありますが別に問題は
おこっておりません。ただ混合技法で下地がアクリルジェッソでアクリル絵具で描き樹脂油彩油
彩で上描きされた混合技法の作品を修復した事がありますが、この場合は樹脂油彩絵具の使い方
が悪かったのか樹脂油彩絵具にひび割れ(この場合のひび割れは引っ張った割れです。)がありま
した。
水性地の基底材に描かれた藤田嗣治の作品も環境がよかった結果、洗浄だけで済んだ作品もありま
す。片やカビが生えていた作品もありました。
徐々にアクリル絵具で描かれた作品も修復する事が多くなって来ていますが、まだ発表する様
な作品の事例が多くないのですが興味深いものがあれば紹介致します。
ただ、前膠の層がポバール(PVA配合とか)の場合に膠をバインダーにした地塗りを施した
ものは剥離する率が高いのでお勧めしません。
最後にもっと文献を調べた上での書き込みをすればよかったのですが、不足の分は気が付いた時
に書き込み致しますのでご容赦して下さい。


Re:膠と胡粉・・・

管理人 さんのコメント
 (2002/12/17 11:55:18)

パセリさん、こんにちは。

スレッドのテーマを気遣っていただきありがとうございます。
返事が遅くなってすみません。

私は、キャンバスは自分の分を作るぐらいなので、それほど膠の供給を気にしたことはなかったのですが、支持体をたくさん生産するとなると、材料が安定して手に入るかどうかは重要なポイントなのでしょう。

というか、自分の分だけ作ってても、やっぱり急にいつもの材料が手に入らなくなると困りますよね。

新田ゼラチンという会社の名前は初めて聞きました。でも、ゼラチン界では大きな会社みたいですね。
TSSってなんでしょう。

ニベは魚のことですよね。
「にべもなく」の由来だそうで。
「接着力の強い膠であるニベが無い」ということで、「にべもない」は、愛想がないの意味になるそうですが。
ニベ膠というのは今でも作られているのでしょうか。

自分で使っている分では、画材店で買える兎皮の膠で問題ないのですが、たまに日本画の膠も試してみます。このサイトでも、以前話題になりましたが、日本画の解説書で言われているような結果がでないことが多いです。たとえば、パール膠(ニベから作った膠?)が接着力が強いらしい、ということで試してみた方もいるようですが、あんまりうまくいかなかったという話も聞いた気がします。

三千本やその他の膠も、量販店で売っているものは、大量生産のゼラチンに不純物を混ぜたものだという話も、聞いたことがありますが、その辺はやはり気になりますね。べつに、新しい材料が開発されたら、それも取り入れたいところですが、昔からあるものの名前を騙って売っていると、無用な混乱をまねきそうです。
「沈降性硫酸バリュームを胡粉として」というのも困った話な気がします。蛎殻を砕いたものと沈降性硫酸バリウムではかなり違うのではないでしょうか。天然の炭酸カルシウムと、沈降性の炭酸カルシウムでもだいぶ違う気がするぐらいですが。
チューブ絵具のような、すでに製品になっているものはともかくとして、せめて素材になるものは、出所のはっきりしているものを集めたいです。

では、また、ゆっくりペースでいいので、何かお話、お願いいたします。


落語の様なネタの膠

パセリ さんのコメント
 (2003/01/01 14:10:35 -
E-Mail Web)

管理人さんへ

書込みが遅れてスイマセン!
今から20年前のピーク時一人で作る基底材の1年間の製作枚数は約1000枚(0号から
100号)全部オーダーメイドでサイズはバラバラでして膠の量も10kgは越えていた
はずです。ですから途中で麻布や膠が変わると問題でした。1年間の製作プランを考える
必要がありました。
新田ゼラチンのTSSは15年前にオーストリアからの皮膠が間に合わなく大阪の新田ゼラ
チンへこの膠を持って行って、この膠がTSSに近いと薦められたのと京都芸大のフレスコ
学科でストラッポの際にこのTSSを使われて好評だったので私も使い出したのです。
先に人に売っといてから自分が使う(*落語のネタ見たいですが^^)
ですから、この膠に関しての詳しい情報がないのですが比較的安い(1Kg=¥1,200)のも
その理由の一つです。(仕入れ原価はもっと安い)
ニベに関しては管理人さんが書かれた通りですが、私が住んでいる京都は仏具関係が多い
のです、昔はニベの浮き袋からの作った膠を使っていたそうです。四足の動物から作っ
た膠は敬遠されたので!そんな事で昔からニベ=膠の意味で使われています。
パール膠の事は知りません=悪しからず!
膠を製造している方からの書込みがあれば興味深い話が聞けるのですが・・・
それではまた
* この落語の外題は忘れたのですが・・・簡単に要点を言いますと
(私の話もうる覚えで落語に詳しい人がいれば教えて逆に頂きたいのですが・・・)
人からもらった食べ物が傷んでいるかもしれないのでお乞食さんにその食べ物の一部をあ
げたのです。その店の丁稚どんに主人が「お乞食さんの所へ行って彼が食べているのを確
認して問題がないか調べて来なさい!」と言って丁稚どんは主人に「どうもないです!」
と言う。それなら皆さんで「食べましょう」と言う・・・しばらくして問題のお乞食さん
が来て「先ほど頂いた食べものの礼に来て、ところで皆さん美味しく食べた?」と言って主人・奉公人がタマゲルと言うお話しです。


管理人 さんのコメント
 (2003/01/07 01:51:39)

パセリさん、こんにちは。

和蘭画房のWEBサイト、完成に近づきつつあるようで、何よりです。
Webサイト作成は最後の20%ぐらいが大変なんですよね。

> 一人で作る基底材の1年間の製作枚数は約1000枚(0号から100号)

1000枚というのもすごいですね。
私は自分の分を作るだけなので、気楽なものですが。

普段は10〜20号ぐらいのものしか作らないのですが、100号ぐらいとなると、ちょっと大変です。
パネルの場合は問題ないのですが、キャンバスの方は、前膠が難しいです。
生のキャンバスを利用して、作る際の、コツなどありましたら、ぜひ拝聴したいところです。

せっかくなので、新田ゼラチン、ホームページをよく見てみました。
http://www.nitta-gelatin.co.jp/
トップページが↑で、中に入ってから、「部門紹介」→「接着剤事業部」と進んでいくと、それらしいところに行き着けました。

しかし「ゼラチン部」にある「ゼラチン大百科」もいいですね。なかなか勉強になります。
http://www.nitta-gelatin.co.jp/gel-jiten/index.html

ゼラチン部の人って、名刺にゼラチン部って書いてあるのでしょうね。

1Kg=¥1,200は、画材店の小容器に入っているものと比べるとずっと安いですね。
これくらいの価格だと、「基底材」ビデオにあるように、大きなタライに膠水をはって、麻布を付けるようなやり方も、どんどんできそうです。

あと、よろしければ、藤田嗣治の修復や基底材のお話を詳しく聞きたいです。

では、またの書き込みをお待ちしております。


水張りに関する質問☆

水 さんのコメント
 (2003/01/10 15:39:33)

はじめまして一つお聞きしたいことがあるのですが私は木製パネルにケント紙を水張りして作品を作っているのですが水張りのやり方が今だもって確立できず悩んでいます 120号位を張ると外側があがる形でパネルをそらしてしまい 強くしすぎたと思いゆるめにやると四辺の角がふっくらと丸みが出てしまう状態です 角のエッジは出したいのですが反りも困る 私のやり方は紙の裏をはけで濡らしバスタオルで抑えて調節してからひっくり返してパネルに乗せて表をはけで濡らしまたタオルで水分を調節して後は四辺をガンタッカーで打ち込んで最後に水張りテープで整えるといものです どなたかアドバイスお願いします!


Re.水張りに関する質問&支持体について

Miyabyo さんのコメント
 (2003/01/12 00:35:18 -
E-Mail)


●水 さんへ
まず、私は水張りに関する情報は持っていませんので、支持体の紙の問題を云々する資格はありません。

しかしながら、この質問の問題となっている本質は、今回の書き込みにほとんど情報がない、支持体(基底材)を補強するための木製パネル(キャンバス画で例えるとキャンバス布に相当するのがこの場合『紙』で、木枠に相当するのが『木製パネル』)の方であろうと推察します。

私は主に油彩画を描きますが、その場合の支持体にはキャンバス布又は板を使います。特に後者の場合は作品の大きさによって『板(シナベニア)の厚さ』や裏面への『可動格子又は格子張り』のような補強にも配慮します(「のような」としたのは、初期のものは非可動格子にしてしまっているからですが、さてどうなるか?)。

まず、厚さは30号までは15mmのシナベニア、50号以上は20mmとし、それぞれに40〜50mmの角材で格子張りをやっています。格子張りの間隔や使用角材数は、作品の大きさを加味して決めています(20〜30号の場合、単にキャンバス用の木枠を逆向きにして膠で固定させるのみということもかってありました)。

例え支持体が紙とはいえ、「水張り」といわれている以上木製パネルに膠付けされるわけではないのですから、100号を超えるとかなりの張力が働くと考えます。

今ご使用の木製パネルの強度で問題ないか、特に既成品の場合は、自分用に加工することを前提にして再考されることをお薦めします。


●支持体について 管理人さんへ
この書き込みをする前に、HPの支持体の項を覗いてみたのですが、非常に気になる解説が見つかりました。

1.< 紙、板、布など、絵画を支える材料を基底材(substrate)、または支持体(support)と呼ぶ。 >

日本語の方はこれで一応問題ありませんが、英語の方が問題です。
<substrate>はRalf Mayerの“Art Terms & Techniques”にもありますように、<substrate or substratum=ground or underlayer> で、支持体のすぐ上にくる目止め・地塗り層のことを示します。

ちなみに、<support>の方は、Ralf Mayerは「絵画の下地あるいは絵具層をその上に置くための骨組み The structure on which the ground or the paint layer of a painting is laid.」と定義付けています。

「基底材」と「支持体」の2語は同義語で、「レター」を「手紙」というか「書簡」というかの違いと同じであって、あえて厳密な違いはないと考えるべきです。そしてこの用語は、単に下地や絵画層などを支えるものとしての布、板、金属、石材などの素材を示すだけですから、

<基底材、支持体という言葉は、板だけではなく、地塗りやサイズも含めた状態を指すこともある。混乱を避けるため、本サイト内の文章では、板(又は布や紙)と地塗り、サイズも含めたものを支持体と呼び、地塗り、サイズを含めない、板だけ、あるいは麻布だけのことを基底材と呼んで区別することにした(しかし一般的にそういう慣例があるわけではない)。>

とありますが、むしろ混乱を起こさないために、本来の基本通り、supportの訳語を逸脱しない方が良いと考えます。

例えば、「木の基底材作り」という場合、伐採された木材を厚さ2センチ程度に切断し、加工した板を何枚か並列に並べて横板を打ち付け、そうやってある大きさの基底材とするまでの作業をイメージしますが、私はけっして目止めや下地までを含めることを想定しません。

※「基底材」という言葉を一貫して使われている黒江光彦氏もラングレの『油彩画の技術』で、はっきり「シュポール(support)の訳語とした」といっておられます。

気になりましたので、ついでですが書き込みました。


>基底材、支持体

管理人 さんのコメント
 (2003/01/12 10:19:57)

実は、他の方からも、メールで同じご指摘を受けていたのですが、直すにいたっていませんでした。
ボヤボヤしているうちに、複数の方の手を煩わせてしまって、申し訳ありません。

せっかくなので、近いうちにサイト内の文章の不具合報告スレッドを作成しておくことにします。

修正方法については、基底材の方を全体を指す言葉に、支持体をsupportの意味のみで使うと良いのではないか、というご意見もありました。
今のところは、基底材、支持体ともにsupportの意味のみで使うという形でいこうと思います。

他にご意見があればお願いします。

文章を書く上で、板や画布、膠層、地塗りなどをひっくるめたものを指す言葉が欲しかったのですが、なにかアイデアがありましたら、教えてください。


Re.水張りに関する質問&支持体について

ISHII touru さんのコメント
 (2003/01/13 03:49:03 -
E-Mail)

水 さま
私もMiyabyoさんとある意味では同意見です。
パネルが変形する水張りの方法について問題とされているようですが、この場合の問題は張り込むパネルの強度だと考えます。
しかし、
カンヴァス画の修復では、濡れた紙が乾燥時に縮む力を利用して支持体の変形を修正します。
この時テンションを調節しないと、支持体の画布が破れたり、張り込んだ木枠が折れたりもします。
このように紙の乾燥による張力は非常に大きな力です。
水さんの
「紙の裏をはけで濡らしバスタオルで抑えて調節してからひっくり返してパネルに乗せて表をはけで濡らしまたタオルで水分を調節」という方法では相当量の水分が紙に入っています。
それが1メートルを越えた寸法での乾燥収縮するのですから、ある意味ではパネルが反ってくれたおかげで紙が破れなかったとも考えられます。
では、どの位の強度を持ったパネルを使用して、どの程度のテンションで張り込めば良いのか?といったHow toについてはここでは書けません。
水さんが、どの程度の厚さの紙を使用されているのか?どの程度の張りを望まれているのか?制作にはどのような材料を使用されているのか?
全く情報がありません。
また、何故パネルに水張りされるのか?何故サイドを折り込む必要があるのか?も不明です。
単に紙を支持体として使用するだけであれば、使用する紙よりも一回り大きな板に張り付ける方法もあります。
この場合ですと張り方によってはテンションを調節しながら張り込む事が可能な方法もあります。
これは、修復で使用する方法を利用するものです。
まず、使用する紙の周囲に幅15冂のクラフト紙を1〜2冂を糊代にして膠や澱粉糊で貼り付けます。
糊が乾いて接着強度が充分に得られた後にクラフト紙の外側3冂を残し、刷毛で水を塗布し充分に湿らせます。
クラフト紙が作業中に乾かないように時折水を塗布しながら、クラフト紙の外周部を板に水張りテープで留めていくという方法です。
テンションを高めたい場合、クラフト紙の幅を広くすれば収縮が大きくなりテンションが上がります。
また、クラフト紙に塗布する水を膠水にしても、膠の乾燥収縮によって大きなテンションが得られます。
逆にテンションがかり過ぎて板が反ってしまった場合、クラフト紙に切り込みや穴を開ける事によってテンションを下げることも可能です。

支持体につきましては、修復の分野ではsupportにgroundを含めることは絶対にあり得ません。
また、素地という言葉を使う方もおられます。
更にはカンヴァス画のsupportには木枠は含まないという考え方もあります。
昔の修復ではsupportの移し替えという乱暴な処置もありましたが、この場合では板を布に置換えるのが通常で、groundは残されました。
絵画の支持体として考えた場合、フレスコ画(特にア・フレスコの場合)支持体とは何を示す言葉なのでしょうか?


支持体と地塗り (6)」へ続く。


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