チェンニーニ『芸術の書』 [コメントする]

チェンニーニ『芸術の書』


管理人 さんのコメント
 (2002/11/28 23:34:02)

チェンニーノ・チェンニーニ(Cennino d'Andrea Cennini)の『芸術の書』Il Libro dell'Arte(絵画論、絵画術の書とも訳される)についてのスレッドです。


国会図書館の蔵書

三好 さんのコメント
 (2004/03/23 14:56:44 -
E-Mail Web)

国会図書館には、中村彝・訳が所蔵されていますが、初心者が読んでも分かりやすいのでしょうか?
彼は、途中まで訳したそうですね。さらに、大正時代の言葉遣いだろうなあと思ったのですが、出版社に注文して手に入れようか、どうしようかと迷ってしまいました。
チェンニーニの述べた内容は知りたいのですが、外国語では理解出来ないものですから。ご存知でしたら教えて下さい。


Re:国会図書館の蔵書

管理人 さんのコメント
 (2004/03/23 15:26:53)

三好さん、こんにちは。

ようやくチェンニーニ・スレにも書き込みがあって、嬉しいです。
いろいろ話題が発展するとありがたいです。

中村彝・訳ですが、大正時代の言葉遣いを見ると、最初は戸惑うかもしれませんが、中村彝ははじめの部分しか訳しておらず、残りは別の人が翻訳しているので、実際の技法に関しては概ね現代の言葉遣いで読めます。ただし、色名などがフランス語に合わせてあるなど、多少戸惑うことがあるかもしれません。

中村訳の他に、90年代に翻訳され『絵画術の書』(岩波書店)という題名になったものが、国会図書館にも所蔵されています。こちらの文章はたいへん読みやすくなっています。

どちらも生産中止なので、出版社に注文して手にはいるかどうかは微妙です。中村彝はネット上の古書店で定期的にチェックすれば入手できます。新訳の方は古書店で見つけるのは難しいです。国会図書館では、半分までしかコピーできませんので、都立の図書館で借りて(以下略)。。。

というところでしょうか。


もじゃ さんのコメント
 (2005/01/12 14:56:24)

チェンニーニについてもっとしりたいです!
でもへたくそなのか調べ方がわからなくって・・・絵画の書の成立時期、内容、特色、
その時代の絵画ないし彫刻との関連などなど、
いろ△しえてくださいっっ!!お願いしますっ


チェンニーニ本

はるみ さんのコメント
 (2005/02/22 11:31:27 -
E-Mail)

横浜市美術館の図書室に所蔵されています。館外貸出しはしていませんが、コピー可です。訳者や出版年は覚えていません。 書名はよく耳にしていたので、見つけたときは宝物に出会ったような気がしました。

横浜美術館


石原靖夫@目黒区美術館

キテレツ さんのコメント
 (2005/04/07 18:15:02 -
E-Mail)

チェンニーニ本の訳者でもある石原靖夫氏が目黒区美術館にてワークショップを開講しているようです。 
内容にも「C・チェンニーニ『絵画術の書』を読む」とあり興味あります。

訳本に関して、『芸術の書』中村彝訳、『絵画術の書』石原靖夫訳、ともに現在購入可能です。


管理人 さんのコメント
 (2005/04/09 21:26:07)

フリートーク掲示板でたびたび話題になっていたので、既にみなさんご存じかと思っていましたが、ご指摘が相次いでいるので、訂正しておきます。

チェンニーニの翻訳本は昨年(2004年)相次いで再版されました。
手に入らないというのは再版以前に書かれた記事です。

目黒区美術館のワークショップは下記を参照してください。
http://www.mmat.jp/workshop/2005t/press.htm

フリートーク掲示板にてその中身について、ちょっと話題になっておりましたので、よければそちらもご覧ください。


『トンプソン教授のテンペラ画の実技』

管理人 さんのコメント
 (2005/08/19 04:50:53)

ダニエル・バーニー・トンプソン(著)『トンプソン教授のテンペラ画の実技』が出版されましたが、もう入手した人はいるでしょうか。

この本はチェンニーニと密接に関わる内容だと思いますので、このスレッドで取り上げるのがよいかと思います。

私はAmazonで注文しましたが、発送は4〜6週間以内ということで、届くのはまだ先になるかもしれません。もっとも、原書の方はずいぶん前に入手しましたが。

とりあえず、日本語版を入手された方がいましたら、印象などお聞かせください。


『トンプソン教授のテンペラ画の実技』出版によせて

miyabyo さんのコメント
 (2005/10/05 04:04:48 -
E-Mail)



おそらく、多くの方々がこの書を待ち望んでおられたのではないでしょうか?
価格も1800円と手ごろで、単なる邦訳にとどまらず、随所に原書の図版とは別途に多くの図版があり、また、チェンニーノ・チェンニーニの『画術の書』からの該当箇所の引用もあり、より具体性のある素晴らしい書であると思います。20世紀のテンペラ画復活に多大の貢献をしたともいえるこの書の邦訳は、日本では、田口安男さんの『黄金背景テンペラ画の技法』が絶版となって久しい現在、長く重版され続けるのではないでしょうか。


今年の夏は、久しぶりに上野の西洋美術館の常設展を観(ドレスデンの企画展を素通りして)、その足で芸大の図書館に寄りました。
目的は、金沢美術工芸大学美術工芸研究所にお願いした書の中で、既に残部なしとのことで入手できなかった、『テンペラ画の研究』(1992年)と『絵画下地の研究−さまざまな地塗り塗料の比較研究−』(1991年)の内容を把握しておきたかったためでした。

内容は、一言で言えば、内外の主だった技法書に見られる処方の追試とその使用感を考察したもの、ということになるでしょうか?
もとより市販されているものではないので、あまり表立って紹介されることのない報告書ですが、自分にあった処方を探しておられる方には有益な情報を多く含んでいることと思いますので、ご紹介しておきます。

今回美術工芸研究所より無理を言って送っていただいた書は、『報告書 昔の顔料の研究』(1996年)と『東方正教会の絵画指南書』(1999年)でした。前者は、小冊子ながら一般の顔料に関する書と違い、昔日の処方書からの引用も多く、また、保存修復報告書からの証左もあり、日本ではユニークな報告書だと思います。

また、後者は、ヘルメネイヤ・トーン・ソーグラポーン(画室の解釈)通称『アトス山の画術書』として有名な、イコンの技法書の邦訳です。
私は、すでに
●Hetherington, Paul,“The Painter’s Manual of Dionysius of Fourna”,The Sagittarius Press, London(1974)

で読んでいましたが、後で触れる石膏の問題で、「いかにして石膏を焼き、混ぜるか」の項をどのように訳されているのか知りたかったのでした。


福岡に戻りますと、ダメ押しで金沢美術工芸大学美術工芸研究所にお願いしてあった『報告書 金箔接着剤の研究』(2002年)と、別途『トンプソン教授のテンペラ画の実技』が、届いていました。

数年をかけてやっと入手した書(コピーや復刻版がなく、原本のために結構な金額でした)に、
●Dossie, Robert, The Handmaid to the Arts , 2vols., London, (1st. ed.. 1758) 1764.
があり、現在読んでいるところなのですが(なぜこの書を入手したのかは省きます)、かなりのページを割いてjapannningに言及してあり、『報告書 金箔接着剤の研究』で、この書についてどのように触れておられるかを見ておきたかったわけです。残念ながら、参考文献には挙げてあるものの、この報告書は「ごく身近にある接着剤、定着剤で箔置きしたらどうなるか」に主眼が置かれ、「通常箔押しを専門とする人たちが用いている、漆、カシュー、ポリウレタン樹脂などの箔用接着剤は、今回の研究では取り扱わなかった。」こともあり、当初の目的は果たせないものでしたが、実作の方では活用できるデータが満載といえるでしょう。

『トンプソン教授のテンペラ画の実技』は、迷うことなく、ある箇所を探しました。
それは、チェンニーノ・チェンニーニのいうゲッソ(ジェッソ)、特にゲッソ・グロッソに関する部分にどのような訳注又は解説があるのか?また、オリジナルの1936年版がDover文庫入りするのに際して、1962年に追加されたトンプソンの註に関して、どのような解説がされているのか、でした(邦訳該当箇所pp. 60-64)。

話は少し遡りますが、ゲッテンス/スタウト『絵画材料事典』(1973年邦訳 p.111)では、チェンニーノ・チェンニーニの書を英訳したトンプソンの'The Craftmann's Handbook'の訳を受けてgesso grossoをパリプラスター(焼き石膏)としていたわけですが、クヌート・ニコラウス『絵画学入門』(1985年邦訳 p.75)では、

  「ジェッソ・グロッソ」は普通焼成されていない石膏かあるいは「焼いて殺した」石膏、すなわち固まらない石膏
  このとである。これはイタリアの画家によって一般に使用された材料である。「ジェッソ・ソティーレ」は、水を加
  えたあと攪拌して殺して得られた焼石膏(半水石膏)のことである。

とし、

  加熱脱水した固化の速い石膏(焼石膏、又は半水石膏‥‥略‥‥)は、新しい技法書で読む機会があったに
  もかかわらず、かつてイタリアの画家の手で用いられることはほとんどなかった。

と、特に名指しはしていないものの、明らかにトンプソンの解釈を退けています。  

その後、チェンニーノ・チェンニーニのLibri dell'Arteの新訳が『絵画術の書』として辻茂編訳で1991年に出され、その「用語解説」の≪石膏≫の項では、「粗口石膏」の諸説の経緯を紹介した上で、

  第117章で仕上石膏のために別種の膠水が用いられることは好ましくないと断言し、粗口石膏に用いたのと同
  じ膠水を仕上石膏にも用いることを勧めているが、だとすればこれと同じ理由で、膠水ばかりか、石膏そのもの
  も同質のものが、望ましいのではないか、つまり、粗口石膏と仕上石膏との違いとは、ただ粒子の粗密の程度
  にとどまっていて、それ以外の成分上の相違はない方が、あとの仕上がりにとり好ましいのではなかったかと
  考える。(p.190)

との説を述べておられます。
そうした経緯があったものですから、今回の『トンプソン教授のテンペラ画の実技』では、何か新しい展開、もしくはその後の成果が盛り込まれてはいないかと思ったのでした。

しかしながら、≪粗口石膏≫の解説に

  トンプソンは、粗口石膏を焼石膏としているが、ニコラウスは天然あるいは人工の二水石膏であるとしている。(p.61)

と、あるのみでしたから、少々物足りないものを禁じえませんでした。


おそらくびっくりされるかもしれませんが‥‥
まず、ニコラウスの見解の紹介に問題はないのだろうかと思いました。

『絵画術の書』では、ニコラウスの説の紹介で「天然か人工のどちらかの二水石膏」と書かれていますし、
『トンプソン教授のテンペラ画の実技』でも、「天然あるいは人工の二水石膏」としていますが、
確かに、現在通常「石膏」といえば「二水石膏」を示すのですが、ニコラウスは、「焼成されていない石膏」「自然の形の石膏(石膏石)」とはいっていますが、「二水石膏」と限定はしていません。
『絵画学入門』(p.69)では、二水石膏以外に、「天然の無水石膏(CaSO4硬石膏)‥‥も使用された。」としていますから、紹介の仕方にも問題が残ります。

また、『絵画術の書』の「天然か人工のどちらかの」や『トンプソンの‥‥』の「天然あるいは人工の」は、どちらか一方だけが使われたという意味ではなく、ある地域、ある作品により、天然だったり人工であったり、場合によっては双方が混ざっていた、というのが本当のところであるのです。

さらに、書誌学的観点からではなく、近年の保存修復学からのアプローチの結果として言えることは、

ゲッソ・グロッソは主に無水石膏(たまに二水和物がある)で構成されていることが判明しています。

つまり、チェンニーニの書でいうゲッソ・グロッソとは何なのか、ではなく、その当時のゲッソ・グロッソ層にはどのような材料が実際に使用されていたのかの科学的分析によれば、ということです。

ひとまず、ここで筆を置きますが、具体的な文献をお知りになりたい方は、メールをいただければお知らせします(おそらく20件前後になると思われますので、ここでは割愛します)。
その折には、自己紹介も添えてください。


個人的には、上記のことが少々気になりましたが、
とはいえ、この書が邦訳されましたことを素直に喜びたいと思います。


14〜5世紀のゲッソ・グロッソは無水石膏が基本

miyabyo さんのコメント
 (2005/10/07 00:26:59)


読み返しましたら、2ヶ所誤字がありましたので訂正しておきます。

'The Craftmann's Handbook' は'The Craftman's Handbook'で、「Libri dell'Arte」は「Il Libro dell'Arte」です。


さて、前回のレスの中で、

≪ゲッソ・グロッソは主に無水石膏(たまに二水和物がある)で構成されていることが判明しています。≫

がどういう意味か良く分からないとの問い合わせを受け取りました。

≪ゲッソ・グロッソ層は主に無水石膏(たまに二水和物が無水石膏と一緒にある)で構成されていることが判明しています。≫

という意味です。

予測できたことですが、中には、大法螺を吹いているのではないかという知人のT君のメールもありました。

これは現在でも日本で広く信じられている定説(?)をまったく否定する内容でしょうから、

以下その内訳を少し記しておきます。


文献としては、
●Dunkerton, J., and A. Roy, The Technique and Restoration on Cima's The Incredulity of S. Thomas, National Gallery Technical Bulletin (l0), 1986, pp.4-27.
●Dunkerton, J., A. Roy, and A. Smith, A. , The unmasking of Tura's allegorical figure: A painting and its concealed image, National Gallery Technical Bulletin (11), 1987, pp. 5-35.
●Bomford, D. / Dunkerton, J. / Gordon, D. / Roy, A. ,“Art in Making: Italian Painting before 1400”, National Gallery, London, 1989, pp. 17-19, p. 175.
●Martin, Elisabeth / Sonoda, Naoko / Duval, Alain R. ,“Contribution à l’étude des préparations blanches des tableaux italiens sur bois”, Studies in Conservation, vol. 37, no. 2, pp. 82-92 (1992) 
●Frederspiel, Beare, “Question about Medieval Gesso Grounds”, (Preprints) Historical Painting Techniques, Materials, and Studio Practice, University of Leiden, the Netherlands 26-29 June 1995. The Getty Conservation Institute, 1995, pp.58-64.

などが有益かと思われます(発表年代順)。


その他、予備資料としては、
●Gettens, R. J. / Mrose, M. E.,“Calcium Sulphate Minerals in the Grounds of Italian Paintings”, Studies in Conservation, vol. 1, pp. 174-189, 1954.

●大野彩・佐野千絵『フレスコ画制作に関する材料学的考察:再現古代窯による石灰焼成とその性質』東京藝術大学 美学部紀要第37集2002年 pp.17-53.

の二論文を挙げておきます。
この二論文により、浮き彫りにされるはずのことは、以下の2点です。

1.天然の石膏の場合、採石場では二水石膏の層と無水石膏の層が隣接して見つかることはよくあるという実態を認識しておくことが大切でしょう。つまり、常に天然石膏=二水石膏とはかぎらないのです。ボローニャ石膏やボローニャで採れる天然石膏が、全て二水石膏というのはあまりにも軽率な決めつけなのです。

信じない方のために、ゲッテンスの論文の該当箇所を訳しておきますと、
  「硫酸カルシウムは、二水石膏[gypsum]として産出するほかに、天然無水石膏(CaSO4 *硬石膏)として
 も産出する。その名称からも分かるように、無水石膏はまったく結晶水が欠けている。多くの産出
 地では、不透明の白い塊状鉱石として見つかり、しばしば厚い層を成して二水石膏の下層にある。
 中間帯域では、その二層は大抵交互に重なっている。したがって、無水石膏を含む二水石膏の標本
 が見つかったり、その二層の上下が逆だったりすることは珍しくない。」(p.175)

2.古代窯(あるいは、『アトス山の画術書』に記してあるようなパン窯風の窯)を使って天然の石膏を焼成した場合、その時々の火の強さ、焼成時間、塊の大きさや窯のどの位置にあるか、などによって焼きムラが起こり、その結果、二水石膏、半水石膏、可溶性無水石膏等ができることも認識しておかねばなりません。
つまり、ある温度で焼けば品質的に一様の製品となるというのは現代人の錯覚なのです。一塊の原石も、焼成後外部は半水石膏であっても芯の部分は生煮え状態で二水石膏のままということが、ごく普通にあったわけですし、その原石が火元のそばであれば、火の強さによって石の外側は不溶性無水石膏でも、中心部は可溶性無水石膏、あるいは半水石膏ということもあったのです。

‥‥といった基本的認識がえられます。

その認識の上に立って、例えば、
●Martin, Elisabeth / Sonoda, Naoko / Duval, Alain R. ,“Contribution à l’étude des préparations blanches des tableaux italiens sur bois”, Studies in Conservation, vol. 37, no. 2, pp. 82-92 (1992) 

を読むと、フィレンツェ及びシエナの多くのサンプルから、
ゲッソ・グロッソでは、
100%の無水石膏、
又は
無水石膏:二水和物の比率が75:25、
又は
無水石膏:二水和物の比率が50:50。

ゲッソ・ソティーレでは、
100%の二水和物
又は
25%の無水石膏を含む二水和物。

といった情報が得られます。既述の基本的認識と重ね合わせれば、その結論が理解しやすいでしょう。

また、既に挙げた
●Gettens, R. J. / Mrose, M. E.,“Calcium Sulphate Minerals in the Grounds of Italian Paintings”, Studies in Conservation, vol. 1, pp. 174-189, 1954.
でも、同じような情報を見出せますが、仏語の論文にないサンプル情報として興味深いのは、ヴェネツィア派のサンプルで、

無水石膏:二水和物=1:1のサンプル1点を除き、他はすべて100%二水和物(二水石膏)であることです。

その上で、結論として、「調査された中でヴェネツィア絵画を除けば、下地の硫酸カルシウム成分は、通常、比率の異なる二水石膏と無水石膏の混合物である。」(p.188)と述べています。

因みに、この論文は非常に重要な情報を多く含みますが、論文の重要な考察(Discussion)のところで
「古い絵画から得られた下地試料のどれにも、チェンニーノ・チェンニーニのいう『ゲッソ・ソティーレ』の存在を見出す証拠はなかった。」(p.187)
といった見解を公表してしまったことに難点があり、その理由からか、当然載せられてもおかしくない
●Roy, Ashok.(editor),“Artists’ Pigments ―A Handbook of their History and Characteristics― Vol.2”, National Gallery of Art, Oxford University Press (1993)
からは外されています。しかしながら、イタリアの、特にテンペラを主体とする時代の下地を研究する場合、今でも重要な論文のひとつといえるでしょう。

以上、簡単に記しておきました。

私のほうが大法螺吹きであるのか、日本の現状のほうが大法螺吹きであるのか、少しははっきりしたのではないでしょうか。
権威(?)や通説にこだわらない私にとって、いつまでも皆で赤信号を歩いている日本の現状を憂います。

これでも認めがたいとお思いの方は、ご自分の信じてやまない思いを肯定する文献を探すなり、上に挙げた原典に当たられるなりして、ご反論ください。


先ほど管理人さんの白土系顔料での≪石膏≫の解説をチェックしました。指摘すべき部分は二箇所。

≪硫酸カルシウムの地層から採掘される天然の石膏はニ水石膏である。≫の部分は誤り。

また、≪我々が絵画の地塗り用に使うのは二水石膏である。≫の部分は誤解を生じやすい。

後者は、例えば
≪現代の我々が絵画の地塗り用に使う石膏は、主に二水石膏又は二水石膏にしたものである。≫が妥当といえます。


≪私信≫
以上、私の見解のバックボーンを書きました。異論がなければ、次回会うときは、T君のおごりで飲みましょう!

Iさん、下地の件でのメールのやり取りの流れで、参考文献を記す機会がありませんでしたが、参考になさってください。


お知らせ

miyabyo さんのコメント
 (2006/09/01 02:44:13)



昨年10月に2回にわたって投稿しましたゲッソ・グロッソに関する展開は、こちらのサイトでは少し難しいのかもしれないと思い、書き改めましたものを今年の6月に「修復家の集い」の方に投稿してあります。興味のおありの方は、そちらの方をご覧ください。

現在、
1. 『トンプソン教授のテンペラ画の実技』出版によせて
2.「gesso grosso」の焼石膏説について
の2つの投稿にまたがって展開されております。

こちらのサイトは、絵を描くという営為に軸足を置くサイトだという思いもあって、ざっくばらんな意見や情報を期待したのですが、やはり、保存修復の現場におられる方々の閲覧が多い「修復家の集い」で広く情報を請うべきと考えました。

絵画技法というのは、残念ながら、まだ境界学問(技法のすべてが学問ではありませんが)のままという思いを日頃しています。
絵画技法を辿る上で参考となる情報は保存修復の現場には多くありますが、かといって、保存修復に携わる方々が絵画技法にどの程度興味を持たれているかというのは、また別問題だと思っています。多くの場合保存修復技術の情報に期待するほうが多くて当たり前であろうと想像するからです。
では、絵を描く者は、あまねく絵画技法に興味を持っているかといえば、必ずしもそうとは限りません。過去の絵画技法には一切関心がない方もおられるでしょう。
これは、美術史家と肩書きのある方にしてもいえることで、実際に絵を描く訓練がない方が多いという状況はあまり変わっていませんし、絵画技法史にまで視野を広げて物を書かれる方は非常に少ない。
つまるところ、美術に携わる多くの方が避けて通っている分野の学問という意味で、まだまだ境界学問といえると思うのです。

随分前のことになりますが、中国地方の某美術館で学芸員をしている知人から、次のような話を聞きました。
その美術館独自(つまり巡回展でなく)のヨーロッパ美術展を開くにあたって、作品の横につけるカードに、材料と技法について略述を試みようとしたのだそうです。また、図録にもそうした解説を盛り込もうとしたのだそうです。そうすると、上司から、
「鑑賞者がそんなもの知ってどうする。そんなことより、この絵を描いたときの画家の環境やロマンスなんかを書くほうが喜ぶんだ」
というようなことを言われて没になったのだそうです。
それを聞いたときに、私は、美術を文字でしか知らない上司なのだろうと知人に同情したものでした。
今でこそ、カードに「テンペラの上に油彩」などと書かれることは普通のことになりましたが、数十年前は、それを書くこともできない状況が日本にはあったのです。

昨今は、絵画の修復そのものをメインに見せる展覧会も増えてきましたし、美術の歴史は、従来からある美術史ひとつではなく、絵画技法の歴史があり、又修復技術の歴史があるという当たり前のことが、少しずつ浸透しつつあります。
それは、美術が持つ広がり(奥深さ)の一端で、更に面白い楽しみ方(興味深い学問)もあるはずなのです。

今回の、こちらでの書き込みを他へ再投稿したことについては、現状では、やはり議論の広がりという点で正解であったのかもしれません。

今後も、個人で運営なさっている管理人さんに感謝しつつ、必要性を感じたときはこちらに書いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

追記
こちらのいくつかの書き込みにある私のメールアドレスは、現在使用できません。一時期スパムの洗礼に遭ったことを機に、光通信に移行し、プロバイダも替わっております。悪しからず。


RE:お知らせ

管理人 さんのコメント
 (2006/09/08 05:06:27)

miyabyo様

いろいろお気遣いありがとう御座います。本来、管理人が話を盛り上げていくべきだったにもかかわらず、役割をさぼってしまってすみませんでした。私のサイトの記述へのご指摘にも返事をしておらず、大変申し訳ないかぎりです。いずれはちゃんと返事を書くつもりです。

実は、以前読んだ、みずゑ1982年冬号の”サンドロ・ボッティチェリの「春」”という記事にも「地塗りの石膏層からは、一般に知られる硫酸カルシウムの二水塩ではなく無水硫酸カルシウム(CaCO4)とわずかだが炭酸カルシウム(CaCO3)が検出された」と書かれていたのですが、miyabyoさんの投稿を読むまでは、その重要性に気が付きませんでした(チェンニーニとは若干時代が後になりますが)。この作品の地塗りもゲッソグロッソとゲッソソティーレの層に分かれているようですが、無水石膏に関しては、はっきりとゲッソグロッソが、とは書かれていませんが、文面からはおそらくゲッソグロッソの方を差していると思います。ゲッソソティーレは「水で消和した微細な石膏」と書かれています。

スパムメールは、最近は、プロバイダのフィルター機能や、ウィルス対策ソフトのスパム対策機能が充実してきたので、そろそろまた気軽に掲載でそうな感じになってきましたね(できれば、掲示板でやり取りしていただいた方が嬉しいですけど)。

余談ですが、ド・マイエルン手記のスレッドはmiyabyoさんのために作成したようなものなので、スレッドの始まりがちょっと変な感じになってしまいましたが、何かありましたら情報提供頂ければ幸いです。


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※注意:スパム(迷惑)投稿が行なわれた場合は、即刻プロバイダ等に連絡し、厳正な対処を依頼します。


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