支持体と地塗り (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) [コメントする]

支持体と地塗り (5)」からの続き。


支持体と地塗り (6)


支持体について 補足

Miyabyo さんのコメント
 (2003/01/20 04:40:06 -
E-Mail)



※『支持体・基底材』を、一律『支持体』で表記します。
 以下の議論は、ご自分で支持体(自家製・既製品を含む)を用意され、そこに自分に合った下地を施すという作業をなさっている場合、そのことを第3者に語ったり教えたりすることがない方にとっては、無益な議論です。
 また、あらかじめ下地の施されたボードやキャンバスのみを使われている方にとっては、もともとが支持体と下地がすでに一体になっているのですから、なぜ支持体と地塗り・下地を分けて考えなくてはならないのか、煩わしいだけで生産性のない話、とお感じになるかもしれません。
 
※今、管理人さんの方で、項目、説明内容を改訂中とのことですので、身近な例として使わせてください。 

1.「半油性地の支持体を作る」 は、問題か?

A. こうした表現を見たり聞いたりしたことがあるから、問題ない。
B. 誤解を招く可能性はあるが、許容範囲とみる。
C. まったく別のことを一緒に表現しているので、この表現は問題がある。

おそらく、Aが最も多く、Bはわずか、Cは、「もいます」という程度ではないでしょうか。

私は、最近こちらのHPでフレーム表示が選択できるよう改善されてから、常に画面左側に見えるため、それで気になりだしたのですが、Cに近いBという判断でした。

理由は、実際はCであるものの、「地」という言葉が入っているからなのです。仮に、「地」を入れずに「半油性の支持体を作る」 となっていればとうでしょうか?私はどんな新素材だろう?と喜んで、その資料を取り寄せるでしょう。「地」という言葉が入るかどうかでまったく違ったものになってしまいます。

ただ、そもそもなぜ、『支持体』という言葉がここで必要かが、私には不可解です。

「半油性地を作る」で十分です。こうすれば誤解されることが一切ありません。

支持体の上にくるgroundの性質を油性・半油性にするということであって、けっして支持体そのものが油性・半油性になるということではないのですから。
したがって、管理人さんが

> 基底材、支持体ともにsupportの意味のみで使うという形でいこうと思います。 <

とされた以上は、支持体+下地までが『支持体』だと誤解されかねない表現は避けたほうが良いと考えます。


2.では「油性キャンバスをつくる」はどうでしょう? 
画材屋でも、はたまた製造元でも「油性キャンバス」という表現をしているかもしれませんが、管理人さもせっかく『半油性地』という表現を1.の例でされていますので、ここは「油性地キャンバス」とされたらどうかと考えます。

ISHIIさんのレスに、supportに対して >素地という言葉を使う方もおられます。< 

とありますように、supportが素地、groundが地。


佐藤一郎さんの『絵画技術入門』では、『支持体と地塗り』の章では、まず、
1.麻布を用いる地塗り と 
2.木板を用いる地塗り に分けて、
その上で、それぞれの下地のヴァリエーションが書かれてあります。

整理の仕方によっては、支持体という言葉も使いようだと思います。


以上、意見とします。ご一考ください。


管理人 さんのコメント
 (2003/01/23 06:03:13)

Miyabyoさん、こんにちは。

いつもありがとうございます。
気が付いた点があれば、どんな細かい点でも、お知らせいただけると嬉しいです。
この件に関しては、他にも修正しなければならない箇所がいくつもあるので、徐々に直していきます。
そのつど、よく考えて修正する必要があるので、ご指摘を受けてから、すぐには直りませんが、よろしくお願いいたします。

不具合報告板を設置しました。
http://www.cad-red.com/cgi-bin/tmwp/wforum/wforum.cgi

以後、修正が必要と思われる箇所は、そちらの方に書き込んでいただけると嬉しいです。そうすると、修正する方も、見る側の方も、修正が必要な箇所を一元管理できると思いますので。
よろしくお願いいたします。

>「半油性地を作る」

該当のページは、地塗りだけではなくて、支持体の話から地塗りまで紹介しているので、「半油性地を作る」だけでは、少し違うような気もします。

実は支持体と地塗りを別のカテゴリにして、紹介する方法もだいぶ以前から考えていました。そうすれば、支持体に板を使うこともあれば、キャンバスを使うこともあるし、そのあとに、地塗りは地塗りで解説する方がすっきりします。ホルベインの「専門家用顔料とその素材」というパンフレットが、良い例だと思いますが、地塗りの解説がシンプルになって、とても良いかもしれません。

しかし、やはり初めて挑戦する人のことを考えると、流れにそって実行すると一枚目は完成できるような解説になっていた方がいいと思って、今のような状態になっています。布を貼ったり、膠水を作ったり、水性の膠水と乾性油を混ぜてエマルジョン塗料を作るといった工程を一通り経験できて、良いのではないか、と思っています。とにかく最初の一歩が踏み出せるように、材料の入手先なども紹介しながら、初めて取り組む人がわかるように、という形にまとめようと思っています。

「半油性地をもつ支持体を作る」が良いかと思っています。これも言葉の意味をよく考えると「半油性の支持体」と同じ解釈が可能になりますが、現状に比較すれば、そういう誤解は少ないと思います。

>「油性地キャンバス」

たしかに、メニューフレームを見ると、気になってしまう点なのですが、これは例えば、googleで検索するときに「油性地キャンバス」と入力して検索する人はまず居ないと思われるので、サイト運営者としては、やはり「油性キャンバス」にしておきたいところです。

なにはともあれ、ご意見ありがとうございます。参考にしながら、いろいろと検討していこうと思います。


支持体」再考 「油性キャンバス」を英訳したら‥‥?

Miyabyo さんのコメント
 (2003/01/26 23:29:45 -
E-Mail)

「支持体」再考 「油性キャンバス」を英訳したら‥‥?

「不具合報告版」に移動してお話しましょう。


コットンキャンバスについて

biba さんのコメント
 (2003/03/05 17:13:44 -
E-Mail)

初めまして。
油絵具には基本的には麻布の方がよいと言う事は分かっているのですが、それでもコットンを使いたい場合、地塗りなどはどうすればよいのでしょうか?

今は、VICの地塗り加工のされたものを使っていて、これは油も使えるとの事です。
なので、この加工に何が使われてるのかが分かれば、自分で麻布をはって、加工できるのに、と思っているのです。ちなみに、マツダのキャンソールを使っても油で描けるそうなのですが、その場合でも麻布のように膠やそれに変わる前段階が必要なのでしょうか?

誰かご存知の方いらっしゃったらよろしくお願いします。


訂正です!

biba さんのコメント
 (2003/03/05 17:14:48)

上の文章で自分で麻布をはって、ってなっていますがもちろん綿布です。ごめんなさい。


Miyabyo さんへ、「北斎の板絵について」

SAYURI さんのコメント
 (2003/03/31 22:34:11)

 はじめまして。
 皆様のコメントを拝見し、勉強させて頂いています。
 
 長野県小布施の北斎館に祭屋台天井画4点(桐板)と、岩松院大間天井画鳳凰図(3cmの厚さの桧板で、12のパネルを組み合わせて畳21畳。)について、御存知でしょうか?

 御存知でしたら、その技法と支持体(地塗り)について、教えて頂きたいのです。

 また、これらの板絵は修復されているのでしょうか?

 我が国の巨匠の板絵の事を、どうしても知りたいのです。
 どうか、よろしくお願い致します。


Re, Miyabyo さんへ、「北斎の板絵について」

Miyabyo さんのコメント
 (2003/04/02 03:33:09 -
E-Mail)

SAYURI さんはじめまして。
ご指名いただいて有難うございます。ただ、残念ながら、国内の作家の情報は薄学で存じません。
したがって、もし指名がなければなんの発言もしなかったところですが、少しは参考になればと、書き込みます。

1.文化財保存修復学会
http://www1.ocn.ne.jp/~jsccp/index-j.html

こちらで学会誌のバックナンバーが検索できます(1951年以降現在までの各号の詳細な目次)。

載っているかいないか保証はしませんが、ひとまず調べてみてください。

文献にはどの程度当たられているのかわかりませんが、一般書籍も国会図書館や、美大芸大の図書館のHPで検索してください。場合によって、大学の「紀要」に記載されている場合もあります。

もしも、載っていなければ、「修復家の集い」(こちらのHPのリンクから行けます)のハンドル名で質問できるところがありますので、試みてください(その1ヶ所以外は実名を名乗る必要があります)。

レスがあるかないか保証はしませんが、もしも一工夫した質問(なぜ知りたいか、知りたいためにどのような努力をしたのか、例えば、文化財保存修復学会のBNを調べたが載っていない、など添えて)をされたなら、きっとレスがあるはずです。

ネット上での応答の基本的な鉄則に(明文化されているわけではありませんが)、短い質問には短く答える、というのがあります。つまり、中身の薄い質問には、多くの人は適当にしか対応しません。


SAYURIさんが、私を指名したことも中身を濃くする一歩でした。二歩目は、メールアドレスを添えておくことです。質問の意気込みによっては、公開はしたくないが、個人的には教えてもいいと思っている方もおられるでしょうから。個人的にメールがある可能性もあります。

2.入口・出口をまず押さえる。
作品の所有者(個人・法人など)を確認し、直接連絡をとる。例えば、電話口に出た方が、必ずしもすべてを知っているとは限りませんし、基本的には、個人の興味にいちいち対応したくない、というのがありますから、そのことを踏まえて丁寧に、しかも熱く趣旨を先方に伝えてください。

そして、近年に修復・保存をした事実があれば、しめたものです。

問題は、修復報告書はあっても、目的とする「技法と支持体(地塗り)」について書かれてない場合です。ほとんどの場合書かれていません。なぜならば、修復・保存の過程(作品の過去の修復歴の有無などを含む来歴と現状、そしてそれをどのように処置したか)を記録することがメインですから。
したがって、修復・保存の事実がない場合、又は、修復が古すぎるためにその事実はあるが記録が残ってない場合とほぼ同じ状態で、振り出し状態です。

この場合、次の手がかりは、‥‥
例えば、SAYURIさんが挙げられた長野県小布施町にある北斎館は、1998年に「国際北斎会議 in 小布施」を実施しています。その内容は知りませんが、この北斎館の学芸員(事務員ではなく、つまり学芸員のいるweek dayに)にコンタクトを取ればなんらかのヒントが見つかるはずです。その一方で、北斎が生きていた時代18世紀後半〜19世紀前半の日本絵画の状況や技法がわかりそうな文献を読みます。

中でも、司馬江漢は、日本で始めて銅版画を手がけていますし、北斎は江漢の油彩画『相州鎌倉七里浜図』(1796)を、制作されたその年に実見しているようで、その影響を受けたふしのある作品も残っています(狂歌本『柳の絲』に「江島春望」)。北斎の技法を知るうえで、同時代の巨人としてチェックすべき重要人物ですし、狩野派を皮切りに浮世絵を物した江漢に、西洋画に目を向けさせることになる平賀源内あたりまで目を配ると当時の状況が見えてくるだろうと思います。

また、多分既にご存知かもしれませんが、岩松院の天井画『鳳凰図』1849年には、ちょっと種類は知りませんが、膠ではなく植物油が使用されていたと思います。質の良いヴァーミリオン(辰砂)、マラカイト(岩緑青)、リアルガ−(鶏冠石)などの舶来顔料も依頼主に用意させて、全面金箔の上に描いたはずだったと思います。
(こういう表現の場合は要注意です、要はよく知らないからこうなるのです。こうしたレスには特に気をつけましょう!)
いずれにしても、私も知っている上記の情報のオリジナルを探ることも大事でしょう。

余談を少々
江戸後期の美術史を考える上で、浮世絵は欠かせません。ただ、私の言う浮世絵は、「枕絵」を指します。現在の「ポルノグラフィー」のことです。描いたものが性愛のものなので、日本では一部の好事家以外なかなか鑑賞できる機会が少ないのですが、浮世絵の最たる世界は、当時は枕絵でしたし、絵師たちも競って描いていました。諸外国では「枕絵」も同列に置いて評価しています(そうしていないのは日本だけです)。というより、「枕絵」がなかったら今ほどの評価がされているかどうか怪しいほどです。美術系大学の授業でもおそらくほとんど鑑賞する機会はないでしょう。

江戸文学にしてもそうです。多くの出版は「会本(えほん)」でした。つまり、絵と文が合体したもので、もっぱら性の世界を描いています。葛飾北斎も若い頃『間女畑(まめばたけ)』という噺本の艶本を描いています(林義一『艶本江戸文学史』有光書房昭和39年に納められています)。
絵はつたないのですが、私は『風流玉の盃』(1758年?)は好きです。艶本とはいえないほど良い情感を描いています(有光書房昭和41年)。

以上、「北斎の技法と下地について」という演題を頂いて、肝心のお話ができないためにその周辺の話に終始しましたが、それも少々怪しくなってきたことですし、このあたりで。

もし、これぞという史料・資料がわかりましたらぜひ御一報ください。


骨の粉について

銀の鈴 さんのコメント
 (2004/02/25 13:42:13 -
E-Mail)

初めてご連絡さしあげます。ご多忙のこの時期、大変恐縮なのですが、ご相談にのっていただけませんでしょうか。

実は骨の粉末状のものを探しております。小動物でも魚でもかまいません。使用目的は、絵画の下地づくりです。
中世ヨーロッパの手法で、棒状の純銀を絵の具代わりに使って、何かの骨の粉を膠などに混ぜ、それを下地としたという文献が残っています。すでに銀のスティックは入手できたのですが、骨の粉というものはなかなかどこにあたってよいものか見当がつきません。
何か情報をお持ちでしたら、ぜひとも教えていただけませんでしょうか。必要な量は大匙2杯くらいです。

お忙しい中重ねて恐縮の限りではございますが、どうかお返事くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。



RE:骨の粉について

管理人 さんのコメント
 (2004/02/26 23:36:51)

銀の鈴 様

はじめまして。

恐縮の限りではございますが、同じ内容の質問を複数のスレッドに投稿するのはルール違反となっております。

また、このようなご質問の場合は、文献の題名や、年代、その記述が書かれている個所などを明記した方がよいと思います。ご質問に書かれているだけの記述だと、どんな技法かわかりません。

本題ですが、チェンニーニにも似たような技法が書かれていると思うのですが、骨粉の作り方が書いてあるので、その通りに作るのが良いかと思います。

どうしても骨の粉が欲しい場合は火葬場に行けば、というのは冗談で、例えば、ボーンチャイナの材料が牛骨粉だったと思うので、磁器や陶器の材料を探すと骨粉という材料が売っているかもしれません。
あるいは、肥料や家畜の餌として使われているので、そういう方面に問い合わせてみると手に入るかもしれません。
または、薬局で買えるかもしれません。

ただしいずれにしても成分調整されていると思いますし、昔の技法の再現という点では、やっぱりチェンニーニなどの方法で自分で作らないと意味がないんじゃないかと思います。


綿布キャンバスについて教えて下さい。

ayumi さんのコメント
 (2004/05/14 17:35:27)

よろしくお願いします。
綿布キャンバスで、。毅姐罎鯆イ蹐Δ隼廚辰討い泙垢、可能でしょうか。以前12オンスという単位の厚み?の綿キャンバスで100号を張って、だいぶん、たわんでしまったので、すこし厚めの14オンスという厚みのキャンバスでためそうかな、と考えています。
弛まない方法がありましたら、教えて下さい。


綿布への地塗りについての質問

koyan さんのコメント
 (2004/06/21 00:33:54 -
E-Mail)

はじめまして。
今、油彩を描くためにパネルに綿布を膠で貼り付け、その上に吸収性の地塗りを施そうとしています。10%の膠水に胡粉をといてすでに4層ほど塗ったのですが、欲しい白さになりません。で、白色顔料を加えようかと思うのですが、膠水+胡粉(もしくは白亜)+白色顔料という処方がウェブ上や手持ちの本で見当たりません。問題はないのでしょうか。また、問題ないとすれば、白色顔料はどのようなものがよいのでしょうか。どなたかご回答、よろしくお願いします。


RE:綿布への地塗りについての質問

管理人 さんのコメント
 (2004/06/26 03:14:07)

亜鉛華、鉛白、チタン白の顔料を混ぜると白さが増すと思います。本などに普通に載っています(例えば、ホルベインの顔料のパンフレットに載っています)。たいていは炭酸カルシウム1に対して白顔料1と半々の割合で指示しているものが多いと思いますが、チタン白なら3:1くらいでも充分白くなると思います。油彩で使うなら、念のため亜鉛華は避けて、布も麻布にするとより確実だと思います。鉛白は毒性があるので、扱いに注意してください。

欲しい白さというのがどのぐらいのものか分かりませんが、現状であまりに暗かったり、膠の色の影響を受ける場合は、使っているその胡粉を替えてみた方がよいと思います。


ありがとうございます

koyan さんのコメント
 (2004/06/26 21:58:51)

管理人様

ありがとうございます。技法書をよく読むと書いてありました(汗)。チタン白で試してみようと思います。


はじめての白亜地

REENE さんのコメント
 (2004/07/10 04:23:04)

こんにちは。
吸収性の下地を作りたくて、先日はじめて白亜地に挑戦したのですが、いろいろわからない点が多く、困っています。

1.ケント紙をパネルに水張り
2.膠液(7%)を塗る
3.下地塗料
   上記膠液:1
   ムードン(下地):1
   ムードン(仕上げ):1
   水:1
  を4〜5回塗る

いろんな資料を基に、以上のようにやってみたのですが、2日たって乾いた後、ヤスリがけをし、塗れた雑巾で表面を拭くと、なんと地が水分に溶けてしまいました。

Q1.ズバリどこに問題があったのでしょうか。

Q2.下地塗料は熱いうちに施すべきなのでしょうか(ホルベインのカタログには一時間おけとかいてありますが・・・) 


下地塗料を水で薄めたのがまずかったのかなとも思うのですが、どうにもよくわかりません。

アドバイスよろしくお願いします。


RE: はじめての白亜地

管理人 さんのコメント
 (2004/07/13 13:44:43)

REENEさん、こんにちは。

卵テンペラ、カゼイン、アクリルエマルジョンなどは乾燥すると耐水性になりますが、膠の場合は乾いてもそれらのような耐水性にはなりません。やすりがけにしても、その辺に多少気を遣いながら作業するといいと思います。


白亜地って一体・・・

REENE さんのコメント
 (2004/07/15 23:29:50)

管理人さん、コメントありがとうございます。

乾いても耐水性にならないということは、
ヤスリがけはいいとしても、実際描くときに水を使えないということですよね。
そうすると、テンペラや水彩にはまったく使えないということになってしまい、樹脂液で絶縁して油彩に使う以外に使い道が無いように思うのですが・・・。


Re.ケント紙への白亜地 REENEさんへ

miyabyo さんのコメント
 (2004/07/16 21:16:43)

REENEさんへ

日本画をおやりの方なら何が問題かすぐに指摘できるでしょう。

Q1.ずばり、礬水(ドーサ)を施せばよいのです。これが、REENEさんが、≪樹脂液で絶縁して油彩に使う≫と言っておられる、その絶縁の働きをします。

材料:膠(三千本膠)、水&ぬるま湯、明礬(硫酸アルミニウムカリウム)

配合比は、どのような支持体(紙)を使用するか、どのような季節・天候(湿度や温度)で行うかによっても多少変化させる必要があります。また、沖縄と北海道でも自ずと変わります。

≪ドーサ引き≫は、日本画の描き方をテーマとする書籍には必ず載っているはずですので参考にしたらよいでしょう。
ただし、ケント紙の例は載っていないでしょう。


私はかつて、『画材&技法 全般 (8) 』 ≪インプリマトゥーラについて≫で、アメリカで修行中のUkaさんとやりとりしたところでも述べましたが、技法書にある配合比は、特定の条件と場所で得られたにすぎないデータです。したがって、必ず何種類も配合比を変えたあなた自身の実験が必要です。

そういえば、以前地元で有名な画材屋の部長さん紹介で、某中堅公募展で大賞を取られた方のカンヴァス及び板に施す下地(油彩、混合技法、アクリル画)の相談を受けたことがあります。

私は大まかな手順と配合比を示してから、最低でも1年間はデータを取るようにと助言しました。作業場を一定にし、季節ごとに、また晴天、曇天、雨天など多くの条件下で、配合比を変えて実施するよう付け加えました。

それから1年も経たずに個展の案内が届き、見に行ったのですが、ほぼすべての作品に亀裂がはしっていました。観客が切れるのを待って、「これはいけません。新たな試みを1年以内の作品に用いるのは危険だといったはずでした。おそらくほとんどの作品は半年以内でお描きになったんでしょうから、半年と経たずに亀裂が入ったことになります。どのようなデータをお取りになったのでしょう?」

「‥‥原因は何なのでしょう?」

「ちゃんとデータをお取りになっていれば、こうしたハレの場所で、私がそうした質問を聞くこともなかったでしょうに。」

この時は、あえて回答しませんでした。原因はおそらく膠が濃すぎたのでしょう。もしくは、生乾きの状態で、地を動かしすぎたのでしょう。


もう一人の方は女性でした。たまたま東京に行く用があって、東京セントラル美術館で個展をなさっておられたので、会場でお会いしたのですが、こちらはしっかりデータをお取りになっていたようで、少なくともその時点ではまったく問題ありませんでした。
下地を自製されることで、今までの市販カンヴァスの作品と比較して、画風にもっと幅が出ており、ご本人も喜んでおられた。



上の例からもお判りねがえるかと思いますが、何度かのトライだけですぐに結果が出るものではありません。作家にとっては画業を左右する大切な下地です。同じ大賞を取ったお二人の明暗を分けたのは、そのことをどの程度重要視したかの差です。じっくりデータを取って、自分の望む処方を見つけてください。

Q2.下地を施す温度は、ちゃんと温度を調べたことはありませんが、50℃前後、但し、冬場はやや高め(60℃以上70℃未満)が良い結果を得られることが多い。これとて、やはり実験が欠かせません。


Re.ケント紙への白亜地 REENEさんへ 補足

miyabyo さんのコメント
 (2004/07/16 22:30:29)



Q2.の温度は、パネルに施す場合です。紙に施す場合は、紙の収縮を考慮して、かなり低く抑える必要があります。




●『修復研究所21』のリンクに寄せて

いくつかのスレッドで、

『修復研究報告』創形美術学校

についてお話したことがありますが、その報告書を出しているところが、この『修復研究所21』です。HPではバックナンバーも紹介されています(メールすれば入手方法を知らせてくれるはずです)。

特に、歌田眞介 著『油絵を解剖する』に興味を持たれておられる方には、良い論文が載っています。

また、テンペラとカビ、油彩画とカビ、の問題に関してもよい論文が載っています。


支持体と地塗り (7)」へ続く。


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