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画材&技法 全般 (11)」からの続き。


画材&技法 全般 (12)


A

三嶋 さんのコメント
 (2005/04/29 01:17:39 -
E-Mail Web)

miyabyo 様

オーテカ様へのレスなのに、色々と興味深い文章が有り引きつけられてしまいました。

> 「古典技法」「古典画法」なる言葉の怪

全く持って仰る通りです。結局対比として使う言葉になっていますよね。
いつから使われている言葉か解りませんが、印象派以降の流れが無かったら使う機会の無かった言葉かもしれません。
正確には例えば、「ラングレ技法」「デルナー技法」とでも呼ぶべきでしょうか。
もっとも、一口に技法と言っても絵画術(?)の中の一要素にしか過ぎない訳ですが・・・。

> この常用ワニスもルツーセ(加筆用)としても使用。つまり、更に薄めれば、通常のビヒクルとしても使用可能なのです。

この辺りとても興味深い文でした。奇しくも・・・という感じで裏付けられるような思いです。

>その後Ukaさんより時々メールがあり米国で頑張っておられます。今以下のところに作品が載せてあります。
 http://www.artrenewal.org/articles/2005/Salon/winners8.asp

リンク先がARCサロンだったので驚きました。
実は私の静物画と人物画もアップされています(宣伝ですみません)。
去年締め切りギリギリに知り合いの画家から誘われ、恥ずかしながらコンクールの存在すら知りませんでした。
(ちなみにその画家の作品は人物画部門の一等賞にあります。)
ファイナリストに日本人らしき名前が有り気になっていたのですが、まさかこのHPに出入りしておられた方とは・・・。
しかし私もその画家も英語がサッパリなので、いまだARCは謎の団体になっているのですが(笑)。

スレ違い失礼いたしました・・・。


ミヤビョ様へ

オーテカ さんのコメント
 (2005/05/02 19:30:42)

ミヤビョ様へ

返事が遅れて本当に申し訳ございません。大学の図書館で「ド・マイエルン手記」を探してから返事を書こうと思っていたのですが、ちょうど連休中で閉館していて、今日やっと探してみたのですが、やっぱりありませんでした。

ミヤビョ様の言うとおり、漠然とした古典絵画を云々するより、まず原資料に目を通すほうが理にかなっていますね。僕自身、「古典技法」という言葉を使っていましたが、誤解のない言い方をすると「青木敏郎さん、三嶋哲也さん、古吉弘さんのような絵を描きたいのだけど、このような質問の仕方ではあまりにも直接すぎるし(まず、前述の作家さん達、本人しか答えられないので)婉曲的な意味で、「古典技法」という言葉を使った。」という感じなのです。もちろん、ルーベンスのような完璧な保存状態の古典画についての興味は大いにあります。

「ド・マイエルン手記」が見つからなかったので、ミヤビョ様に抜粋していただいたものを参考にさせていただきます。(あれだけの文章を書き込んでいただき、本当にありがとうございます。)それと、僕の最初の書き込みで、質問に至った前後関係を書かなかったことでミヤビョ様に迷惑をかけてしまい、すいません。これからは、なるべく詳しく自分の状況や、参考資料等を説明した上で、質問するように気をつけます。


オーテカ様

古吉  さんのコメント
 (2005/05/11 09:06:28)


はじめまして。ヘボ絵描きの古吉です。
青木先生・三嶋先生に並べていただき、恐縮いたしております。
私も若い頃は技法や材料について細かく知ろうとしてましたが、今は青木先生に昔教えていただいた処方の溶剤を使うだけで、その他は普通の絵の具で 普通に描いております。
スレッドをきちんと読んでないので勘違いしてましたら申し訳ありませんが、雑誌に青木先生の技法が載っていた云々につきましては、美術手帖にも2ページくらい書かれた事があります。10年以上前の事で、持っているはずなのですが何故か本棚に無いので検索出来るようでしたら探してみて下さい。技術についての特集号だったと思います。
私が昔青木先生に教えていただいて今でも使っている配合比は、その号に伴清一郎先生も書いておられたのでここに書いても問題ないと思いますが、

ベネチアテレビンバルサム 2
スタンドリンシード 1
リンシード 2
フラマンシッカティフ(ルフラン) 1
テレピン 6

メーカーは厳密に比較して選んだ訳ではありませんが、ベネチア...はメーカーによっては濃すぎたり薄かったりするみたいです。私はターレンスです。

青木先生はその後配合比を変えておられるようですが、私は使いやすいのでずっとこれにしています。
描き終えて残った溶剤はまたビンに戻していますが、しばらくすると少し濃くなって、
より描きやすくなります。(あまりに濃くなりすぎると描きにくくなりますが)


古吉先生へ

オーテカ さんのコメント
 (2005/05/14 01:08:17 -
E-Mail)

はじめまして、古吉先生。お返事ありがとうございます。

国際的なコンクールで人物画の1等賞になられたそうですね。おめでとうございます。僕自身将来、人物画を中心に描きたいと思っていて、古吉先生や三嶋先生、森本先生の人物画にはとてもあこがれています。

溶剤の配合比についての情報は僕にとって一筋の光のようでした。予備校生の時は自分が描きたい絵を描くことができず、と言うのも、美大試験では、与えられたモチーフをただ描写するだけではまず間違いなく落とされるのです。全国の美大、芸大の教授のメンツを調べていただければ、すぐ分かると思います。それ故、美大受験生特有の個性のない型にはめられたような絵を描かざるを得ませんでした。美大に進学し、やっと自分が描きたい絵を描こうとしている現在、溶剤等で模範とするべき例がなく、困っていました。やはり自分独自の配合比を見つけるにも、模範とするべきものがなければ、どれがよく、どれがわるいか、なかなか判断できないと思います。なにより、予備校生の時はあまり意識しなかったのですが、自分がどれだけ色を扱うことができないか、現在痛感しています。石膏デッサンはかなり描けましたが、油彩画においては全く役に立たないと実感しました。溶剤や色を扱うと言う点でかなり悩まされていた状態で、古吉先生のおかげにより、ひとまず、溶剤についての問題は解決いたしました。本当にありがとうございます。できれば、もうひとつだけ聞かせてもらいたいことがあります(あまり話したくないはずの技法等について何度もお聞きするのは無礼だと十分承知しているのですが)、青木先生や古吉先生はフレミッシュメディウムやそれに準じたようなマスティック樹脂系のメディウムは使っているのですか?予備校生の時、使っていたアルキド樹脂系のメディウムは基本的に絵の具に1対1で混ぜ合わせるものだったので、その時の感覚で、フレミッシュメディウムをそれに近い比率で混ぜてしまっているのですが、樹脂分が多いのではないかと疑問に思っています。樹脂分が多すぎると亀裂が入ったりするのですよね?古吉先生の秘密の技法や配合比が漏洩しない範囲で基準となるような比率等をアドバイスをしていただければ非常に助かります。本当に無理言ってすいません。

美術手帖の件につきましてはネットで10〜20年前の間の美術手帖のバックナンバーの見出しをほぼすべて調べましたが青木敏郎先生や伴清一郎先生、技術特集についての見出しと思われるものが見つけられませんでした。大学の図書館には数十年分の雑誌のバックナンバーが揃っているので、その全てのページに目を通せば見つけられると思うのですが、かなり時間を必要とするでしょう。教えていただいた記事についてもう少し何か、年数や表紙の特徴、他に掲載されていた記事等の情報がおありでしたら、教えてください。ただ、あまり記憶等がないようでしたら、わざわざこのヘボ画学生のために無理をなさらないでください。(ヘボという言葉は僕みたいな人間が使うべきです)

古吉先生は学生の頃、青木先生の絵画研究所に通われていたそうですね。とてもうらやましいです。最後に一つ気になったことがあるのですが、青木先生と伴先生は作品にあまり共通点がないように思えるのですが、なぜ伴先生が青木先生の溶剤の配合比をご存じだったのでしょうか?


オーテカ様

古吉  さんのコメント
 (2005/05/15 13:55:24)


・ご丁寧なレス恐縮です。

国際的なコンクールで人物画の1等賞になられたそうですね。おめでとうございます。

・有難うございます。とはいえアメリカには筆さばきや色使いの上手い絵描きがいくらでもいて、賞に入ってない画家で私より上手い人が多かったので、賞は絵の大きさと構成が目を引いたためで、技術的には負けたと思っています。

溶剤の配合比についての情報は僕にとって一筋の光のようでした。予備校生の時は自分が描きたい絵を描くことができず、と言うのも、美大試験では、与えられたモチーフをただ描写するだけではまず間違いなく落とされるのです。全国の美大、芸大の教授のメンツを調べていただければ、すぐ分かると思います。それ故、美大受験生特有の個性のない型にはめられたような絵を描かざるを得ませんでした。美大に進学し、やっと自分が描きたい絵を描こうとしている現在、溶剤等で模範とするべき例がなく、困っていました。やはり自分独自の配合比を見つけるにも、模範とするべきものがなければ、どれがよく、どれがわるいか、なかなか判断できないと思います。なにより、予備校生の時はあまり意識しなかったのですが、自分がどれだけ色を扱うことができないか、現在痛感しています。石膏デッサンはかなり描けましたが、油彩画においては全く役に立たないと実感しました。溶剤や色を扱うと言う点でかなり悩まされていた状態で、古吉先生のおかげにより、ひとまず、溶剤についての問題は解決いたしました。本当にありがとうございます。

・写実は終わってるとかいった周りの声は無視してがんばってください。私も上級生に「そんな古くさい絵描いて」などと言われた事がありますが
25年たって完全に古くなって陳腐化したのはむこうの作風です。学校の教師は頼りにならないので、画集からの模写を中心に勉強なさることを
お薦めします。
できれば、もうひとつだけ聞かせてもらいたいことがあります(あまり話したくないはずの技法等について何度もお聞きするのは無礼だと十分承知しているのですが)

・私の場合は何を使ってどのように描いているか
話したくないということはありませんので、いくらでも遠慮なくお聞き下さって結構ですが、あくまで「私はそうしています。」というだけで、私もその描き方が良いのか悪いのか分かりません。言うまでもないとは思いますが鵜呑みにはなさらないようにお願い申し上げます。論理的に合ってるかどうか考えて判断して下さい。


青木先生や古吉先生はフレミッシュメディウムやそれに準じたようなマスティック樹脂系のメディウムは使っているのですか?予備校生の時、使っていたアルキド樹脂系のメディウムは基本的に絵の具に1対1で混ぜ合わせるものだったので、その時の感覚で、フレミッシュメディウムをそれに近い比率で混ぜてしまっているのですが、樹脂分が多いのではないかと疑問に思っています。樹脂分が多すぎると亀裂が入ったりするのですよね?古吉先生の秘密の技法や配合比が漏洩しない範囲で基準となるような比率等をアドバイスをしていただければ非常に助かります。本当に無理言ってすいません。

・フレミッシュメディウムというのは使った事が無いのでよくわからないです。青木先生がお使いになったかどうかは聞いた事がありません。
マスチックは混ぜた事はありますが、色が無い以外コーパルとどれほど違うかきっちり検証してないのでこれについても何も分からないです。
樹脂分が多いと乾きが早すぎてグラデーションしにくくて描きにくく(私はハッチングはまったくしません)一度描いたら必ず10日から
2週間、間を置いて絵の具を重ねるのでその点でも早く乾かす必要がないため、樹脂は沢山は使いません。
オールドマスターの光沢と透明感に近づけるための樹脂でしたら、以前は本を探したり自分で絵の具を練り合わせたりしていたのですが、結局は
よくわからなくてキリが無い上に、青木先生ほどにはマチエールへのこだわりも無いので、ここはあまり深入りしないことにしました。以前青木先生に仕上げニスを私の絵に塗っていただいた事があるのですが、自分の絵とは思えない艶と透明感が出ましたので、以後私は仕上げニスを厚く塗る事で十分としております。ちなみに今はマイメリのアクリルピクチャーワニスを塗っています。
こってりしていてかなり透明感が出ます。さすが
イタリア製というか、瓶によってトロッとしたのとサラサラしたのとがあり、濃度が均一でないので、もしお買いになる時は瓶を逆さにして濃さを見た方がよろしいかと思います。


美術手帖の件につきましてはネットで10〜20年前の間の美術手帖のバックナンバーの見出しをほぼすべて調べましたが青木敏郎先生や伴清一郎先生、技術特集についての見出しと思われるものが見つけられませんでした。大学の図書館には数十年分の雑誌のバックナンバーが揃っているので、その全てのページに目を通せば見つけられると思うのですが、かなり時間を必要とするでしょう。教えていただいた記事についてもう少し何か、年数や表紙の特徴、他に掲載されていた記事等の情報がおありでしたら、教えてください。ただ、あまり記憶等がないようでしたら、わざわざこのヘボ画学生のために無理をなさらないでください。(ヘボという言葉は僕みたいな人間が使うべきです)

・無駄なお手間とってすみませんでした。そういえば「マテリアル」という言葉が入っていたと思って検索してみたらあっさり見つかりました。
1983年美術手帖別冊「油絵のマテリアル」でした。

古吉先生は学生の頃、青木先生の絵画研究所に通われていたそうですね。とてもうらやましいです。

・これは本当に幸運だったと思います。
が、絵描きになれるとは思ってなかったので
芸短卒業で地元に帰るまでの半年しか通えませんでしたので、今から考えると残念です。
最後に一つ気になったことがあるのですが、青木先生と伴先生は作品にあまり共通点がないように思えるのですが、なぜ伴先生が青木先生の溶剤の配合比をご存じだったのでしょうか?

・伴先生は青木先生の古くからのお友達で、作風はかなり違うものの、技術や用材についてかなり
教わっていらっしゃいましたので。


初めて書き込みしますが。。

エア さんのコメント
 (2005/05/15 16:42:17)

以前、伺った際に「油の方ばかりでご迷惑かも・・」と躊躇したのですが(私は、不透明水彩)色材や化学変化、体質顔料などについて興味を同じくする方に出会えず、一人で悶々と勉強しています。こちらのレスがとても参考になるので時々拝見したいのですが黙って帰るのも。。と書き込みました。
やはり、油以外の話題は避けるべきでしょうか?


古吉先生

オーテカ さんのコメント
 (2005/05/17 03:03:53 -
E-Mail)

古吉先生、わざわざメールで知らせていただきありがとうございました。さっそく図書館からかりて読みました。青木先生や伴先生の特集以外の記事でも参考になるものがとても多かったです。

僕も予備校生の時は講師から写実は古いと何度も言われて嫌な思いをしましたが、妥協することなくがんばろうと思います。ところで写実絵画はヨーロッパでも衰退しているという話を聞いたことがありますが、アメリカはそうでもないのですか?

メディウムの件についてはルフランが20年ほど前に発行した自社製品の画溶液やメディウムその他の画材についての使用法、解説についてまとめた「油彩画の技法」というパンフレットがあり、近々入手できそうなのでそれを参考にします。フレミッシュメディウムの特性、性質については三嶋先生がお詳しいようなのでアーティス・スクールに行ったときに質問してみます。仕上げニスについてまで教えていただき本当にありがとうございます。実はかなり気になっていたので、いずれ誰かに聞こうと思っていたのです。

今のうちに聞いておかないといつになるか分からないので、お聞きしますが、僕は下宿で名古屋近郊に住んでいるのですが、この辺りで古吉先生の絵を見れる画廊や美術館はありますか?やっぱり「現代の洋画」の縮尺されたものより本物の古吉先生の絵が見てみたいので。それとちょうど今、青木先生の画集の模写をしています(三嶋先生の画集は絵のサイズが小さすぎてちょっときついです)。やはり古吉先生は古典画の巨匠達の画集を中心に模写されたのですか?たいていの画集はそれなりに縮尺されていてやや描きづらいと思うのですが、どのように模写されていたのですか?画集はかなり分厚く重いですし、カラーコピーしたようなものを元に描かれたりしたのでしょうか?作品制作なのでお忙しいでしょうし、今すぐに返事をしていただかなければならないと言うことでもないので、お暇なときに返事、アドバイス等お願いします。





オーテカ様

古吉  さんのコメント
 (2005/05/17 17:25:46)

ところで写実絵画はヨーロッパでも衰退しているという話を聞いたことがありますが、アメリカはそうでもないのですか?

・一見現代美術が席巻しているような印象を持ちますけども、統計的には印象派とか古典的な作品の方が人気があるような事を何かの本で見た事があります。分かりやすいものの方がうけるお国柄ですから当然かとも思いますが、写実画家の層はヨーロッパに比べるとかなり厚いようですね。
フランスやイギリスでも現代の写実絵画は目立たないかんじですが、実際は彼らも写実絵画は好きだし、画商も扱いたがるという話はよく聞きます。


今のうちに聞いておかないといつになるか分からないので、お聞きしますが、僕は下宿で名古屋近郊に住んでいるのですが、この辺りで古吉先生の絵を見れる画廊や美術館はありますか?やっぱり「現代の洋画」の縮尺されたものより本物の古吉先生の絵が見てみたいので。

・名古屋近辺で常に置いていただいてる画商さんは無く、もちろん公的美術館に納まった事もないのですが、隔年で行われて名古屋高島屋さんにも
巡回するグループ展「想の会」には青木先生とともに出品させていただいております。例年通り行われれば来年の春かと思います。

それとちょうど今、青木先生の画集の模写をしています(三嶋先生の画集は絵のサイズが小さすぎてちょっときついです)。やはり古吉先生は古典画の巨匠達の画集を中心に模写されたのですか?たいていの画集はそれなりに縮尺されていてやや描きづらいと思うのですが、どのように模写されていたのですか?画集はかなり分厚く重いですし、カラーコピーしたようなものを元に描かれたりしたのでしょうか?作品制作なのでお忙しいでしょうし、今すぐに返事をしていただかなければならないと言うことでもないので、お暇なときに返事、アドバイス等お願いします。

・これは私も確かに苦心しました。今よりももっと古典絵画の画集が手に入らない上に、印刷も今程よくないのでいつも何か無いか探していたものです。名画カレンダーとか展覧会ポスター等が
比較的大きく印刷されているのでよく買ってましたし、元々が小さい絵だとギャップが少ないのでそのような写真の載っている画集もよく使いました。ロンドンのナショナルギャラリー所蔵のヴァン・ダイク作ファン・デル・ゲーストの肖像はその意味でも、またきっちりと描き込まれたお手本としても模写勉強にふさわしい作品なので模写をお勧めします。生島先生もやっておられたので「やっぱりね」と思いました。(あちらは現地で描かれたのかもしれませんが)カラーコピーは
上質になっているとはいえやはりボケてしまうので、最近は安価で薄い大判の画集もありますし、
勉強のためなら思い切って画集から切り取ってちゃんとまじかで見ながら模写すべきかと思います。印刷ですから本物とはぜんぜん違いますけど、それでも模写を沢山やると多くの事が学べますのでがんばって下さい。レンブラントの後期のような特殊な描き方のものからはじめるよりも、
フィリップ・ド・シャンパーニュとかニコラ・ド・ラルジリエールとかいったかんじの、きまじめにきっちりと描かれた作品から始める方が理解しやすいと思います。


古吉先生

オーテカ さんのコメント
 (2005/05/18 17:30:38)

模写についてすばらしいアドバイスをしていただきありがとうございます。やはり、実際に静物画を描くにもモチーフ、モチーフ台、照明など多くの手間がかかるのでプロの画家のまねごとをするよりしばらく模写に徹した方が良いようです。

これからも何か分からないことや疑問に思ったことがあったらこの掲示板に書き込みしますので、(特に支持体についてはまだよく分からないことが多く、僕の大学では2年生になってから初めて支持体の授業があるようなので)たまに掲示板で見かけたときはご指導、アドバイスのほどよろしくお願いします。この度は本当にありがとうございました。


オーテカ様

古吉  さんのコメント
 (2005/05/18 23:22:07)

私などでお役に立てば幸いです。
私も分からない事だらけですが、また具体的な
疑問等ございましたら、私はこうしてますということは書かせていただきますのでご遠慮なく。


miyabyo様

オーテカ さんのコメント
 (2005/05/24 21:54:11 -
E-Mail)

miyabyo様、いきなり名指しで大変申し訳ございません。というのも、miyabyo様以外の方で質問できそうな方がいないもので。

ルフランのフレミッシュメディウムは「ド・マイエルン手記」などを参考にして作られたそうですが、フレミッシュメディウムの原型と思われるメディウムを実際に使っていたオールドマスターが誰か、「ド・マイエルン手記」には書いてないのですか?数え切れないほどのオールドマスターが使っていたのでしょうか?それともごくわずかの画家しか使っていなかったのでしょうか?ルフランの「油彩画の技法」というパンフレットにはこのメディウムはルーベンスのマチエールを思い起こさせると書いてあるので、それを信頼するのであれば、ルーベンスも使っていたように思えますが。実際のところどうなんでしょうか。僕の力ではとても調べられそうにないので、お力を貸していただければ幸いです。


メジュームフラマンとルーベンスなど

miyabyo さんのコメント
 (2005/06/01 02:29:44)


指名されましたので、ひとまずご返事いたします。

何度か書き直し、思うところあって以下の内容に留めることにしました。

1.≪フレミッシュメディウムの原型と思われるメディウムを実際に使っていたオールドマスターが誰か、「ド・マイエルン手記」には書いてないのですか?≫

書いてありません。また、そのメジュームの具体的な処方が載せられているわけでもありません(ハーレム・シッカティフに相当するものはありますが)。ただし、ルフランの「油彩画の技法」の編纂に携わったマルク・アヴェル氏には、
 'La technique du tableau', Dessain et Tolra, 1974.
という著書があり、そこで紹介されている画家(ルフランの「油彩画の技法」にも同じ絵の写真が載せてあります。pp.75-6)が活躍したのは16世紀半ばですから、その当時既に使用されていた。『ド・マイエルン手記』が綴られるよりおよそ100年遡ることになります。

「彼らの手記の研究、そして、現在の我々の知識とをあわせて、これらの技法の研究が、メジュームフラマンや、ベネシャンメジュームの発案を起こさせた‥‥」(p.75)とルフランのそれにはちゃんと書いてあります。
つまり、再現ではなく、「発案」なのです。
ペースト状のメジュームフラマンの組成は、マスティック樹脂+焼いた乾性油+石灰+一酸化鉛と解説しています。


2.≪ルフランの「油彩画の技法」というパンフレットにはこのメディウムはルーベンスのマチエールを思い起こさせると書いてあるので、それを信頼するのであれば、ルーベンスも使っていたように思えますが。実際のところどうなんでしょうか。≫

可能性がないわけではなりませんが、現時点で明確に立証はされていません。

絵具メーカーのパンフに載っている文飾的表現である「このメディウムはルーベンスのマチエールを思い起こさせる」というその裏づけを私がするいわれはありませんが、アヴェル氏の著書の発刊以降の、ルーベンスに帰属する絵画の修復保存報告書に拠れば、下地層にではなく絵具層に炭酸カルシウムの存在が確かめられています。


ド・マイエルンがルーベンスから聞いたヴィヒクル関連の材料は、
リサージ(金密陀)を含むサンスックンド油、
ヴェネツィアテレピン油、
シュトラスブルグテレピン油、
ペトロール又はナフサ。

また、他の書込みでは、
「ポピー油は、空や空気などを描くときの白や青に向いている。白又は青を用いるときに、その絵具にアスピック油を少量添加するならば色褪せしない、これは極秘である。」
「白や青にスパイク油を添加すれば、それらをけっして殺すことないと心得よ。これは極秘事項ゆえ再度繰り返しておく。」

つまり、当時はスパイク油(=アスピック油)を使うということそのものが極秘であったことがわかります。
ルーベンスは、希釈剤としてこのスパイク油よりテレピン精油を好みました。

「フィレンツェの優れた画家Gentileschj氏によると、特に肌色に、また白を塗りやすく滑らかにししかも乾きやすくするために、ヴェネツィア渡来のリュート用艶出しアンバーワニスを、パレットにほんの一滴加えるそうだ。彼はこの方法により、絵具がすっかり乾くのを待たずとも自分が望むときに仕事をする。このワニスは赤色だが、白(* 仏版では「絵」)を台無しにすることはない。私は見た。」

という記述もあり、現在は、ワニスといえば、一般的には終了ワニスを示すわけですが、当時は描画用にも加筆用にも、ワニス成分を入れる処方があったことがわかります。つまり、ヴェネツィアテレピンバルサム、シュトラスブルグテレピンバルサム、マスチック樹脂、サンダラック樹脂など。

また、ヴェネツィア経由のテレピン精油、シュトラスブルグ経由のテレピン精油もありました。

『ド・マイエルン手記』のルーベンスに関する項目では、ペースト状のメジュームフラマンに相当するものを使用したともしなかったとも書いてありません。


さて、では保存修復の事前調査では、どのようなことがわかったのでしょうか?
●Sonnenbung, H. von,“Rubens’ Bildaufbau und Technik:供,Maltecnik/Restauro, Band.85, Nr.3, pp. 181-203, München, 1979
ルーベンスの画術全般について最もよく理解する研究者の一人、ソネンバングの結論は、「ルーベンスが含油樹脂(oleo-resinous)の展色剤を使用したという、これまで広く知られていた見解を支持する証拠はほとんどない。」ということでした。

ところが、その後のクロマトグラムの技術の援用などにより、事情が変わってきました。以前は、単に乾性油としていたものが、リンシード油、ポピー油、クルミ油とある程度区別できるようになりましたし、また、例えば、

●Peter Paul Rubens’s Elevation of the Cross. Study, Examination and Treatment, Bulletin XXIV, Institut Royal du Patrimoine Artistique Koninklijk Institut voor het Kunstpatrimonium, 1992 .

の、The Binding Media M.VanBos (pp. 78-82) 及びThe Binding Media of the Descent from the Cross M. Van Bos (pp. 178-181)では、

「ポピー油、又は乾性油と卵脂肪の混合物」、
「胡桃油の使用を示唆する」、
「若干の卵脂肪が乾性油メジュームに添加されただろうことを示唆する。」、
「松脂と組み合わせた胡桃油」「異なるカルボキシル酸が12、14、20の炭素原子で同定されたので、おそらく何かの蝋を示す。松脂の痕跡も検出された。」
等々といった表現が見られます。
現在「松脂」といえば固形状態を示し、17世紀に言われていたコロホニウム(松脂の滓)に相当するわけですが、当時の松脂(ragia di pino)は、含油樹脂(オレオレジン)を示すことがほとんどで、通常25〜30%のテレピン成分を含んでいます。

=================

前回のレスで私は次のように書きました。
≪ここに紹介した『ド・マイエルン手記』の処方を、多くの画家やメーカーがそうするように、空想たくましく実際に作って試してみられるとよいでしょう。そして、更に知りたいと思われるのであれば、「1.技法書全般」のスレッドに私の読んだものを載せてありますので、ネットなどで入手されると良いでしょう。≫


今回、ご質問にお答えすることにやや躊躇しました。
前回の橋渡しとなるはずの「過去と現在の狭間で」で十分と考えていたからです。
これ以上になると、レクチャーになってしまい、私のスタンスと相容れないとも考えました。

ということで、今回は、ルーベンスの作品と、その当時の史料、そして現代の保存修復報告書とで、ペースト状のメジュームフラマンの使用の可能性について調べようとした場合、私がどのようにしたのかの例として、その途中まで書いてみました。
この続きはオーテカさんの今後に託したいと思います。

西洋の油彩画にとっての『ド・マイエルン手記』は、テンペラ画にとってのチェンニーニの『Il Libro dell’ Arte』です。この手記はその性格上チェンニーニの書のように体系的には書いてありませんが、興味の尽きない記述が多くあります。

ぜひトライしてみてください。原文の多くは仏語ですが、英訳したものもありますので。但し、翻訳された書の中では最も質が劣り、ベルガーの独訳からの重訳で、誤訳もしっかりそのまま引きずっています。とはいえどのような内容なのかを知るには十分でしょう。

・Donald C. Fels, Jr., Lost secret of Flemish paintings, Alchemist, Inc., 2001

この書は発刊されてすぐに、本人とメールでやりとりして入手しました。値段の割りに内容にはがっかりでした‥‥。
彼のHPは以下のところ。

 http://www.amberalchemy.com/index.html  

ご覧になるとわかりますが、ちゃっかりヴィヒクルも販売しています。それが目的?

===========================
以下は、仮にIさんとしておきますが、その方との交信の中で、今回に多少関わる部分を抜粋して載せて起きます。但し、多少語句を改めたところがあります。


昔日の画術研究の心構えなど
ところで、昔日の技法を探るということは、それぞれの時代の画材の限界を知るということでもあります。個々の画家の技法は、良くも悪しくもその前提の上に構築されているものです。したがって、現在我々の身近にある画材を前提に個々の画家の技法を探っても、ほとんどの場合、自分の作品に活かせるものはない、ということでもあります。

17世紀までの絵具は現在のように絵具に蜜蝋は含んでいませんし、その粒状度は多くの顔料が現在の10倍以上も粗かったのです。つまり、数µ〜80µ辺りの顔料で、しかも腰[body]のない絵具を溶いて描いていたわけです。そして、絵具を盛り上げる場合などは、焼いた乾性油+樹脂+炭酸カルシウム+一酸化鉛等からできているらしい半透明〜透明のメジュームをパレット上で練り合わせて使用した時代があります。

また、多くの画家は契約書に基づいて画家としての経済学に則って、注文品を仕上げましたから、使用絵具をケチったり、代用品を使用したり、また、納期に間に合わせるために一部を端折ったり弟子を多数登用したりと、実に涙ぐましい努力も見られます。つまりそうしたことを前提にした、防衛手段としての技法もあるということです。
多くの解説書が、あたかも全ての技法が純粋な絵画的方法論として編み出されたような印象を与えがちに書いていますが、私はいわば不純な動機に基づく、しかしながら画家にとっては切実な技法というものがある、という考えです。

その時代時代に制約された画材や経済的背景の中で画家は自己の技法を確立していることを大前提に考察していかなければ、あらぬ幻想を判断に潜ませる危険があると考えます。

また、昔日の技法書の多くは、技法書=絵具の製法というほどその製法を記すものがほとんどで、しかもその根底に染料の技術的向上や錬金術が深く関わっており、その辺りを知らないとこれまた思わぬ落とし穴があります。つまり再現不可能の処方や、書き残した本人の知識不足に基づく誤記も多いのです。


模写のことなど
‥‥また、御承知かとは思いますが、ファン・エイクの時代は、明るい部分の絵具層は非常に薄く、暗い部分ほど絵具層が厚い。一方、ルーベンスやレンブラントの時代はその逆に明るい部分ほど絵具層が厚い。同じ北方絵画でも時代に制約された画材と画法の流行というものを考慮することが如何に大事かを修復報告書や昔日の技法書は教えてくれます。

時として、いわゆる「古典画法」を学ぶ方のパレットを見て、使えるはずもないヴィリジャン、コバルト・ブルー、カドミウム系の絵具等があると、基本的知識に欠けていることにがっかりします。古典絵画の意匠的模写や応用でならまだしも、その当時あるはずもない鮮明な絵具を用いたのでは、画面全体がとたんにハレーションを起こします。少なくとも15世紀頃までの絵画は、黄色(金)、青色(ラピスラズリ、アズライト、ヴァーディタ)、ヴァーミリオンが基調で、その他の色は、如何にその3色の色同士を響き合わせ高貴に見せるかという命題(大袈裟に言えば)の脇役でした。また、当時はテル・ヴェルトやマラカイト(岩緑青)を除けば耐久性のある緑は存在せず、ほとんどが青色と黄色の掛け合わせでした。

‥‥といっても、全ての画材を当時のように用意して描くべし、ということはあまり意味はないでしょう(贋作家以外は)。それよりも、どのような色をした絵具でどのような制約(絵具の限界、ヴィヒクル、時代が要求した意匠)を咀嚼して描いたのかの知恵を知っておくべきだということは、作家にこそ意味を持ちます。それは今に生きる作家にとっても重要なpracticeであろうと感じているからです。


以上です、オーテカさん


画材&技法 全般 (13)」へ続く。


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