『西洋絵画の画材と技法』 - [リンク集&参考文献]

保存・修復の図書

本頁では保存・修復に関する本を紹介。「昔の画家の技法」、「絵画技法に関する往時の著作物」」にも関連文献あり。

入門編

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森直義『修復からのメッセージ』

一般の人に修復の仕事を紹介するような趣旨の本。普通ならありきたりの文章で済ませてしまう部分も丁寧に噛み砕いて説明してあり、大変わかりやすい。
★★お薦め★★

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歌田眞介(著)『油絵を解剖する−修復から見た日本洋画史』NHKブックス

高橋由一をはじめとする明治初期の洋画家と、黒田清輝以後の洋画家の作品を比較し、由一等の旧派の絵が意外にも丈夫で保存状態も良好であるという事実をベースに、修復について解説。
★★お薦め★★

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David Bomford , Conservation of Paintings - National Gallery Pocket Guides Series

ナショナル・ギャラリー(ロンドン)のポケットガイド、保存(及び修復)編。同美術館の保存・修復の歴史、活動、結果などをコンパクトに紹介。世界的に有名な作品を多数所蔵し、調査結果などを出版している美術館の本だけあって、掲載されている写真の質と量は、他の入門書では到底マネできないほど充実している。

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青木昭(著)『修復士とミケランジェロとシスティーナの闇』日本テレビ

システィーナ礼拝堂修復のスポンサーである日本テレビから出された本で、内容は主に修復過程の物語だが、材料・技法についての詳しい記事もある。日テレの元プロデューサーが執筆したとあって、専門家の著書ではありえないような解りやすい文体になっており、システィーナ礼拝堂、フレスコ技法、修復技術の入門書としてもお薦め。
★★お薦め★★

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フェデリコ・ゼーリ(著)『イメージの裏側―絵画の修復・鑑定・解釈』八坂書房

堅苦しくない内容。

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『美術品を10倍長持ちさせる本』日経アート,1996

油彩画愛蔵のテクニック、日本画愛蔵のテクニック、陶芸・工芸・彫刻の正しい扱い方等々。雑誌の連載記事をまとめたものだが、個々の記事はどれも読み応えあり。単に美術品取扱い上の問題のみならず、制作者が気を付けねばならない点にも多くの紙数を割いている。市場に出回っている数が少なすぎて、見つけるのが大変。体系的書物ではないので、プレミア価格で購入するようなものではないが、図書館などで探して一読しておく価値在り。

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吉村絵美留(著)『修復家だけが知る名画の真実』青春出版社,2004

修復にまつわるエピソードを紹介。描画方法によってどんな傷害が起こるか実例を知ることができ、画家にも役立つかも。専門外にもわかるような文章で書かれている。しかし「名画の真実」というのはちょっと大げさな気もするが。

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瀬木慎一(著)『名画修復 - 保存・復元が明かす絵画の本質』講談社ブルーバックス

一般向けの図書。技術的な話題はあまり深くなく、修復にまつわる出来事などが中心。

中級者以上

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クヌート・ニコラウス(著)『絵画鑑識事典』

絵画の技術上の鑑識に関する解説を用語別に50音順で記述。贋作をつかまされないためのガイドブックであるが、材料と修復技術に関する項目が多く、特に板・麻などの支持体とひび/ひび割れの関係に詳しい。写真が豊富。昔の絵画の技術を知るため、あるいは、長持ちする作品を制作するための手引き書にもなる。索引や目次がないので後から参照するのに苦労するし、事典として機能しないのが難点。通して読みながら知識をつける読み物と割り切ればよいが。同著者の『絵画学入門』と合わせて読むとさらによい。
★★お薦め★★

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アレッサンドロ・コンティ(著)『修復の鑑―交差する美学と歴史と思想』ありな書房

※※※※※※

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チェーザレ・ブランディ(著)『修復の理論』三元社

ネット上でも話題になった本だが、私は数ページ読んで挫折。何を言っているのかほとんどわからない。

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黒江光彦(著)『蘇る名画 - ルーカス・クラーナハ「アダム」と「エヴァ」』

著者は有名な修復家で、ド・ラングレ『油彩画の技術』の翻訳者。クラナハの作品「アダム」と「エヴァ」(ドイツ、ライプツィヒ美術館所蔵)の修復を行うことになり、その修復過程が、豊富な写真付きで本となった。絵画層に関する情報はほとんどないが、著者は基底材を重視しているのでその点が詳しい。板絵ということもあって、板に関する貴重な知識が得られる。

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黒江光彦(著)『よみがえる名画のために 修復見習いの記』美術出版社,1969

著者の留学記。画家に役立つ情報は少ないが、やはり著者は基底材を重視しているので、麻やキャンバスの話題が多い。

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『文化財のための保存科学入門』京都造形芸術大学編/角川書店

日本の文化財が中心。しかし洋画と共通する部分もあり、日本の風土でどのような問題が起こるか考えるときに参考になる(かもしれない)。

文化財保存修復学会誌

保存修復の代表的な学会誌。国会図書館等で閲覧可。同学会ホームページに注文方あり。

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山領絵画修復工房『絵画修復報告』美術の図書 三好企画

「Vol.4 油彩画修復を学ぶ山下新太郎『油畫修繕法記録』」、Vol.5「日生劇場地下「アクトレス」の壁面装飾」等。三好企画ホームページで注文可。

季刊『みづゑ』1982冬 No.925

特集「甦る名画」、ボッティチェリの「春」、ギベルティ「天国の門」、ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」等の修復。

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London National Gallery Technical Bulletin 15 , 1994

ホルバイン《リスを抱く婦人の肖像》
カンピン《暖炉衝立ての前の聖母子》
コズメ・トゥーラ《聖ヒエロ二ムス》
赤、黄レーキ顔料の変色
その他

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London National Gallery Technical Bulletin 19 , 1998

ホルバイン《大使たち》
カラヴァッジョ《エマオの晩餐》他2点
ロレンツォ・ロット《ルクレチアに扮した婦人の肖像》他1点
その他
入手済

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London National Gallery Technical Bulletin 20 , 1999

ロンドンのナショナルギャラリーが発行する定期刊行物。修復や調査活動から生じた情報が載っている。Amazon.co.jpや、NGのホームページからも購入可。概ね5000円前後。現在、Vol.23まで刊行。古いものはほとんど在庫切れだが、古書店で入手可。重要なのはVol.18とVol.20、Volume 18, Early Northern European Paintingはファン・アイクなどの北方絵画、Volume 20, Painting in Antwerp and London: Rubens and Van Dyckはルーベンスとヴァン・ダイク。

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London National Gallery Technical Bulletin 21 , 2000

デューラー聖母子
ロレンツォ・モナコ《聖母戴冠》
チーマ2点(ウォレスコレクション)
未入手

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London National Gallery Technical Bulletin 22 , 2001

ウッチェロ《サン・ロマーノの戦い》
ヴィンチェンツォ・フォッパ《東方三賢王の礼拝》
アンドレア・デル・サルト《聖エリザベトと洗礼者ヨハネを伴った聖母子像》
その他
入手済

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London National Gallery Technical Bulletin 23 , 2002

フラ・アンジェリコ、サンドメニコの祭壇画の基底部
ガロファロ
Mixed Media in the Work of Charles-Francois
ヴァーミリオンの黒変
その他
入手済

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London National Gallery Technical Bulletin 24 , 2003

スーラ、ジュリオ・ロマーノ、マリナス・ファン ロージマースウェレン他
Seurat's Painting Technique: Theory, Practice, and Development
Giulio Romano's Birth of Jupiter: Studio Practice and Reputation
The Two Tax Gatherers by Marinus van Reymerswaele: Original and Replica
The Triptych of Saint Catherine and the Philosophers Attributed to Goossen van der Weyden in Southampton City Art Gallery
"Black Earths": A Study of Unusual Black and Dark Grey Pigments Used by Artists in the Sixteenth Century
Pigment-Medium Interactions in Oil Paint Films Containing Red Lead or Lead-Tin Yellow
入手済

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London National Gallery Technical Bulletin 25 , 2004

ラファエロ初期作品
ポリドーロ・ダ・カラヴァッジョ《ゴルゴタの丘への道》
ニコラ・ランクレ《The Four Times of Day》
湿気と顔料
プルシャンブルーの退色について
入手済

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London National Gallery Technical Bulletin 26 , 2005

ルーベンス《パリスの審判》
bartholomeus van bassen
フアン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソ《喪服の王妃マリアナ》
15、16世紀イタリア絵画の描画媒材の分析
その他
入手済

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London National Gallery Technical Bulletin 27 , 2006

未入手

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Making & Meaning: The Wilton Diptych,Yale Univ Pr,1994

ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵のウィルトン・デュプティック(ウィルトンの二連祭壇画)。折りたたみ式の個人用祭壇画で、様式的にはイタリア、しかし支持体は樫、地塗りは白亜(イタリアはポプラに石膏)となっている。同題のビデオテープもあり。

東京藝術大学大学美術館 『油画を読む』

高橋由一を中心とした明治前期の「旧派(脂派)」〜明治後期の「新派(紫派)」の作品を、光学機器などを用いた保存状態等の調査研究と合わせて展示した展覧会の図録。芸大美術館の売店で購入可。

東京藝術大学大学美術館 『高橋由一「鮭」』

まるまる一冊、ひたすら高橋由一の「鮭」について語られている異色の図録。芸大美術館の売店で購入可。


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最終更新日 2007年10月05日

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