ジョセフ・ペレス『ハプスブルク・スペイン 黒い伝説:帝国ななぜ憎まれるか』他読了
最近、スペイン史に関心があって、いろいろ読んでおりますが、最近読んだものは以下のとおり。

西川和子(著)『スペインレコンキスタ時代の王たち: 中世800年の国盗り物語』
イベリア大陸のキリスト教国家の変遷について読んでみたかったので、大変親切そうなこちらの本を読みました。アストゥリアス、レオン、カスティーリャ、ナバラ、アラゴン、バルセロナ等々の王国、伯領など、どんなふうに変わって、合わさってやがてレコンキスタを達成するのか、というのを何となく流れ的なものはわかったような気がしないでもないのですが、人名はさすがに記憶に留めるのは難しい。ほとんど同じ名前で、何世とかで区別されていても、それぞれの王国で同じ名前が登場するし、連合王国の場合はさらに複雑になるしで。まぁ、歴史が専門ではないので、別に覚えなくてもいいのだけれども。

西川和子(著)『スペインフェリペ二世の生涯:慎重王とヨーロッパ王家の王女たち』
カルロス1世の話は、けっこう読む機会があったように思いますが、フェリペ2世を扱った本というのはまだ読んでなかった気がしましたので。実はちょっと暗くて陰湿なイメージを持っておりましが、特にエル・エスコリアル宮殿というのが、現生に対して後ろ向きなふうに勝手に思ってましたが、本書を読んでだいぶイメージが変わった気がします。読んでみてよかったです。

ジョセフ・ペレス(著)『ハプスブルク・スペイン 黒い伝説:帝国ななぜ憎まれるか』
今回読んだ中でも、凄いと思ったのが本書です。日本で絵を描いている人にとってスペインはプラド美術館があったり、ピカソの出身地であったりして、むしろ良いイメージというか、憧れの地であるかと思うのですが、西洋人にとってはヨーロッパの中でも異質な存在であり、ときに非常にネガティブなイメージとなっていたりするのです。大航海時代の南米他での殺戮、異端審問所、長い間イタリアの大部分を支配していたこと、中世の長い間イスラムに支配されていたということと、イスラム教徒のみならずユダヤ教徒も多かったことなどから、ヨーロッパの大部分から見ると、異質なものとして見られていたというのはあるでしょう。そのような黒い噂を検証してゆく本です。結論から言えば、そのような噂は実はネーデルラント北部のプロテスタントによるプロパガンダによるところが大きく、過大に喧伝されてそれが史実のように語られてきたというものですが。特にネガティブなイメージを代表するのフェリペ2世であり、不思議なことに父親のカルロス1世の方は、なんだかんだで尊敬されてしまう存在なのですが、実際は、フェリペ2世はカルロス1世の方針を踏襲しているだけで、やっている事に違いはないのに、なぜそうなったのか。しかも、フェリペ2世に対しては制作に対してだけではなくて、個人の人格攻撃も凄まじいものがありました。オペラで有名なドン・カルロスの物語となるスキャンダルも、おそらく捏造なのでしょう。こちらはどの本でも史実はカルロス王子に問題があったとは普通書かれてありますが。しかし、この本はスペインの話かと思いきや、世界史規模の話になってゆきます。産業革命や近代科学の発展を享受したのは、ヨーロッパの北半分、主にプロテスタントであり、アングロサクソンあるいはゲルマン人の方であり、南側、イタリアやスペインは近代以降びっくりするぐらい急激に衰退します。アメリカ大陸でもプロテスタントでありアングロサクソン系のアメリカ合衆国の発展と比べると中南米のラテンアメリカは未だに貧困と混乱で、となると、プロテスタント諸国の自由主義ことが経済と科学の発展に相応しかったとなる。けれども、本当だろうか、と検証が進みます。その内容よりも、世界を分けると西洋文明とその他、という括りが真っ先に思い付くけれども、世界的にはラテンとプロテスタントというのでもけっこうきっちり別れているものだなと改めて思いました。この本の内容に付いてまだまだ書きたいことがあるくらいです。

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最近読んだ本『オスマン帝国500年の平和』他
このところ書類作成とか届け出とか、そういうものが非常に多くて、なんというか、とにかく細かい規則のあるものが非常に多くて、なんどもやってれいれば慣れてはくるのだろうけれども、最初にやるときはどうしても時間がかかってしまったり、知識の無さによって判断を誤ってしまうことも多く、とにかく大変である。そして、知識が溜まっても次ぎに役立つのかどうか、次の機会があるのだろうかもわからない。もう一回最初から人生やり直すならともかく、死んだら役に立たない知識というのがなんとも。。。この世界で生きるのは大変である。そして生きてるだけで経費ばかりかかってゆくのだが、しかしながらちょっとの時間でもいいので本を買って読むようにしています。本は最近高くなってきているけれども、でもそこから得られる知識を考えると断然安いものであります。というわけで最近読んだものについてコメントしたいと思います。今回はいい本ばかりなので、買って損はないといえるお薦め品です。

中村俊春(著)『ペーテル・パウル・ルーベンス 絵画と政治の間で』
ルーベンスと言えば西洋絵画史上でも頂点と言ってよいくらいの人物で有り、これに匹敵するのはティツィアーノくらいであろうと思いますが、しかし、単行本となっている本を探そうとすると、日本語の本は選択肢はそんなにないです。画集とかはけっこうありますが、文字中心の単行本というのは少ないと言えるでしょう。ルーベンスが外交官として国際的に活躍したという話は有名ですが、実際にどんな目的で、どのように活動していたかが、とてもよくわかります。またルーベンスの作品は同時代のベラスケスなどと比べると絵の中に非常に多くの象徴的モチーフがちりばめられており、それにはひとつひとつちゃんと意味があるわけですが、その点についてしっかり解説してありまして、とても勉強になりました。しかしながら、ヨーロッパの地理や歴史についてある程度詳しくないとちょっと難しいっすね。

林佳世子(著)『興亡の世界史 オスマン帝国500年の平和』
今までヨーロッパ史について読んでいるときにオスマン帝国は頻繁に登場していたけれども、ついついヨーロッパ視点で見てしまう、というか、ハプスブルク視点で見てしまう、あるいはウィーン視点で、あるいはカール5世目線で見てしまっているという感じであり、それでいて、よく考えてみるとオスマン帝国とはいったい何だったのか、よく知らなかったということもあり読んでみましたが、とても勉強になりました。勉強になったというか、これはオスマン帝国の経緯を知っていないと近現代史でわからないことが多々ありそうな気もしたので、これは是非とも読んでおきたい本であるといえるでしょう。オスマンっていうと、トルコって気がしてならなかったのですが、歴史上概ねバルカン中心みたいな感じなんですね。

森三樹三郎(著)『中国思想史(上)』
中国思想史の入門書。上巻は春秋戦国時代の思想家を中心に扱っておりますが、たいへん読みやすく書かれており、一気読みしてしました。1978年出版の本ですが、この時代の入門書というと、とても入門とは名乗れないような小難しい文章で書かれてしまうのが常だったものですが、なんか現代の本よりずっと読みやすいし、この紙数にまとめたこと自体もすごいと言えるのではないかと。戦国時代の諸子百家と言われるように、この時代に世界史上でも著名な人物が大量に出現するのだけれども、なんでそうなったのかがわかったような気が。というわけで下巻も注文しました。それとふと思い出したのですが、横山光輝の大作『史記』を途中で放置してしまっていたので、読み返さねば、というのも久々に思い出したところです。ところで、中国語は習ったことがないので、あまり詳しいことはわからないのですが、高校で漢文を習ったときの印象だと、なんかこう、この言語で何か難しいこと(哲学など)を語るのは難しいんじゃないだろうかと思っていましたが、はっきりそう書いてあってすっきりしました。

大高保二郎(著)『ベラスケス 宮廷のなかの革命者』
前出のルーベンスの本を読んだら、自然とベラスケスについても読みたくなりますが、比較的新しい本を選んで読んでみましたが、これもとても良かったです。象徴的モチーフ満載のルーベンスと比べたら、現代人にも共感しやすいかと思われる分、前出のルーベンス本より読みやすいところもあるので、どっちが先かと言えば、こちらを先に読む方が優しいとは思います。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 12:02 AM | comments (0) | trackback (0) |
最近読んだ本
饗庭孝男(編)『フランスの中心 ブルゴーニュ 歴史と文化』読了。ブルゴーニュ、というか、ブルゴーニュ公国といえば、なんと言っても、ヤン・ファン・アイクが仕えていたフィリップ善良公が美術愛好家では重要な登場人物かと思われますが、ネーデルラントとブルゴーニュとごっちゃになってしまったりいろいろ難しいところがあるわけですが、本書はかなり優しく書かれており、お薦めの本と言えます。マルク・ボーネ(著)『中世ヨーロッパの都市と国家―ブルゴーニュ公国時代のネーデルラント』も読んでみましたが、こちらは講演録であり中級以上向けというところはなきにしもあらず。

続けて佐藤賢一(著)『ヴァロワ朝 フランス王朝史2』読了。ブルゴーニュ公もヴァロワ系ですので、それと関連して話が進むわけで、同時に読むとより理解が深まるかと思います。こちらも、たいへん分かりやすく書かれているのですが、登場人物の名前が、ほとんどシャルル、ルイ、アンリの3パターンくらいで締められているので、記憶を整理するのは基本的に大変です。フランソワ1世は個性的で分かりやすいです。中世フランスの王族ベリー公ジャン1世も美術史的には大変重要な人物ですが、こちらに関しても

さらに続けて江村洋(著)『カール五世 ハプスブルク栄光の日々』も読みました。これはずっと前から読んでおかねばと思ってたのですが、文章も構成も非常に読みやすくて、もうこれを読まないというのは損という他ありません。ちなみに、神聖ローマ皇帝に関する本は中世の頃からのものをいろいろ読んではみましたが、他国の統治者に比べるとわりと真剣にヨーロッパの統治者としての自意識がある場合が多いのですが、それに比べてローマ教皇の方があまりにもあれすぎて本当にどうしようもない感じなんですが、まぁ、それはともかく、本書は歴史に関係あろうとなかろうとけっこう感動的な本なのでお薦めです。しかし、できれば、ティツィアーノやクラナハなどの記述がもうちょっとあればよかったです。クラナハは全く言及がなかったかもしれません。もっとも、余計なところをそぎ落としているから、わかりやすくなっているとも言えますが。


| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 12:46 AM | comments (0) | trackback (0) |
アントニオ・ネリ著『ラルテ・ヴェトラリア 17世紀初頭のガラス製造術』
アントニオ・ネリ著『ラルテ・ヴェトラリア 17世紀初頭のガラス製造術』を読みました。

17世紀イタリアで出版されたガラス製法の技術書ですが、最後の方で絵画用顔料にも触れられており、ウルトラマリン精製と赤のレーキ顔料の作り方が書かれています。レーキ顔料については、現在いろいろ調べているところなので、たいへんタイムリーな内容であるのだけれども、読み解くのは大変である。一応、ガラス製法についても一通り読んでみようとはしたが、何を言っているのかほとんどわからない。顔料についてはなんとなくわかる部分もあるし、さっぱり分からないところもあり。通読はしたけれども、理解するには時間がかかりそうである。



| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 02:01 AM | comments (0) | trackback (0) |
最近読んだ本:倉本一宏『壬申の乱』他
最近、なんだかやる気が出ないというか、無気力でどうしようもない感じなのですが、せめて本でも読んでおこうと思っていろいろ読んでます。

倉本一宏(著)『戦争の日本史2 壬申の乱』
私は日本史の中では、古墳時代から古代全般にかけてが好きです。応仁の乱について読んでるときより、壬申の乱について読んでるときの方がよっぽど楽しい。しかし、どの記述で読んでも、壬申の乱における大海人の吉野脱出から進軍経緯は奇跡のような連鎖なのだけれども、そもそも大海人が近江から吉野に出て行く時点で、一般的な史書の理由では説明が付かない的なところはあります。本書は本当の首謀者を鸕野讚良としており、草壁皇子を大王位に即かせる為とされている。しかし、本書を読んでいると、壬申の乱は大海人陣営の奇跡のような連携で勝利しているけれども、けっこう綱渡り的なところもあって、ただチャンスを待つのと、あのようなリスクを犯して行動に出るのと、どっちがいいのだろうか。私としては対外政策など、その他諸々の面で近江朝廷を刷新せねばならず、それには戦争しかなかったのではないか、というふうに思えるような気がする。事実、日本が大きく変わる転換点であったわけだし。
いずれにしても夢中になって読めて、現世の煩わしさを一時忘れることができました。

竹中亨(著)『ヴィルヘルム2世 ドイツ帝国と命運を共にした「国民皇帝」』
ヴィルヘルム2世の評伝であるが、これは第一次大戦発生の原因について考えるにもいい本かもしれません。第一次大戦がどうして発生したのか、というのは少々難しいわけですが。

アラン・エルランド=ブランダンブルグ(著)『大聖堂ものがたり:聖なる建築物をつくった人々 (「知の再発見」双書)』
大聖堂建築に関する本は山ほど読みましたが、どちらかというと建築の構造的な面(例えばロマネスクとゴシックの違いなど)とか、ステンドグラスの意匠、その他芸術的な側面に関するものが多かったのですが、本書はそういうのはほとんど語らず、発注者や建築家、材料の運搬や契約書といった面について書かれてありまして、これはこれで大変勉強になりました。

本郷和人(著)『壬申の乱と関ヶ原の戦い なぜ同じ場所で戦われたのか』
古代最大の内乱である壬申の乱の重要ポイントと、後の関ヶ原の戦いの決戦場がある位置が被っているわけですが、そこが日本の東西を分ける重要なポイントであり、実はふたつの日本がある、というようなダイナミックな序章があるのですが、けっこう期待して読み始めたところが、後半に行くにしたがって、普通に関ヶ原の戦いについて述べているような感じになってしまったのが残念です。

山本芳久(著)『トマス・アクィナス 理性と神秘』
中世美術についての動画を撮ったりなどしていましたが(https://youtu.be/ryiUc89Dikg?list=PLlnnJ9YY7hQj8hqLutRXy4sKgld5urCGJ)、テオフィルスをはじめとする技術的な本ばかり読んでいて、それ以外については勉強が足らなかったと思い、中世関連を乱読しているところです。なかなか進みませんが。
本書によれば「日本語訳で全四十五巻にも及ぶ『神学大全』は、彼の著作の七分の一程度にすぎない・・・とりわけ晩年のトマスは、現代の研究者が読む速度よりも速い速度で書いていた計算せざるをえないほどのアウトプットを残している。トマスの著作群は、西洋の偉大な哲学者たちのなかでも群を抜いて膨大であり、専門の研究者であっても、そのごく一部しか読んだことがないというの実情だ」とのことですが、これはすごい。なんというか目眩がするというか。しかし、アウトプット量よりも気になるのは、年代的にみておそらくは羊皮紙に書いたのであろうと思われるが、羊皮紙の値段も凄かったであろう。それだけの羊皮紙、手に入ったのは、フリードリヒⅡ世時代のイタリアだったからか。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 04:23 PM | comments (0) | trackback (0) |

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