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2010,08,29, Sunday
持田季未子(著)『一七世紀の光 オランダ建築画の巨匠サーンレダム』岩波書店 (2009/07)
タイトルの通り、日本ではあまり知られていない画家を取り上げている点だけでもすごくいいのだけど、オランダ黄金期の画家たち、日本語の文献では美術展のカタログぐらいにしか登場しない名前、次から次へのと出てきて、それだけで興奮しそうになった。画集等の洋書なんかはけっこう買ったけど、日本語の単行本のなかでカタカナの文字になっているのをあまり見かけないので、ちょっと嬉しくなりますなぁ。美術のみならず、当時のオランダの状況を説明する文章もわかりやすいという具合で、総合的に文章がいい感じである。何よりも、画家の制作行程が仔細に語られている点が素晴らしい。絵画制作者にとっては参考になること多々ありである。 |
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2010,07,21, Wednesday
油彩画が好きで、頻繁に美術館に行ったり、特に印象派以前の作品にもそれなりに親しんでいると、「だまし絵」といえば、まずはヘイスブレヒツのヴァニタス画のような作品を普通に思い浮かべると思うが、そうでなければ、特に日本ではエッシャーの作品やロールシャッハテストなんかを真っ先に想定する人が多いようである。日本語で「だまし絵」となると、そうなっちゃうのかもしれないが、トロンプ=ルイユの定義としては、『図説 だまし絵 もうひとつの美術史』にもあるように、エッシャーは含まれないそうである。典型的な誤認の例と思われるのがwikipediaの日本語の解説(2010年現在)であり、英語あるいは仏語の項とまるで違う内容となっている(内容の充実ぶりからして違うが)。
そんなわけで、『図説 だまし絵 もうひとつの美術史』のAmazonのレビューもかなり残念なコメントが多かったりする。エッシャーみたいなのを見ようと思って買ったのに騙された!とか、あるいは騙し絵と普通の静物画の区別ができていない人もいたりする。騙し絵なのに、さっぱり騙されないよ、という意見もある。現代だと印刷媒体が広くイメージの伝搬を担っていて、エッシャーの方が100倍目立っているのは確かだが、でも美術館なんかにも行ったりしてみた方がいろいろ人生豊になるんじゃなかろうかと余計な事を思ったりしないでもないっす。しかも、『図説 だまし絵 もうひとつの美術史』には絵画の魅力の根源とも言える要素について書かれていると個人的に思う部分があり、それはまた別途考えてみたい気がする。 |
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2010,07,17, Saturday
名著の漫画化というのは、横山光輝やら里中満智子作品はじめ、いろいろ読んできたものだけど、最近ちょっと出版ブームみたいになってきていて、次から次へと出てきますなぁ。って、ところで、まんがで読破シリーズを読んでみた。
実際に読んでみると非常に良くデキ良くて、中にはえ?けっこう凄いんじゃないの?というものもある。 しかし先に苦言の方を書かせてもらうと、思想書、哲学書みたいなものに関しては、本の内容ではなくて、事実上伝記みたいになっていたりするのだが、例えばマキャベリの『君主論』のように単にそれだけを漫画化しても理解不可能な場合が多いので、それはそれで極めて正しい判断だと思うけれども、それを単に”マキャベリ作「君主論」”として販売するのはどうかな、と思わないでもない。漫画化をした責任者の名前が、背表紙に例えば、横山光輝とか里中満智子という名前が出ているならいいけど、カバーには出版社名が書かれているだけ。絵師の名前は本のどこにもない。 もう一例挙げると、『学問のすすめ』も、実際には福沢諭吉の伝記物語となっているのだが、”福沢諭吉作『学問のすすめ』”となっている。福沢諭吉は自伝があって、それが原作とも言えるし、内容自体は非常によくできているのだけど、やはりちょっと倫理的にどうかなのかなと思わずに居られない。特に作品解釈上で、自分と違う意見だったりすると、ちょっとムっとしないでもないわけである。あるいは、文学作品の方が、細部で荒筋が改編されていることなど考えると、もっと問題なのかもしれない。ネット上のレビューでは、その点に関する苦言が意外と少ない気がするのだけど、あんまし気にならないのだろうか。著作権の保護期間はとっくに過ぎているけれども、倫理上のルールとしてどうなんだろうかと。。。 それと、画風が繊細さに欠けるというか、人物の表情が感情表現過多という感じで、不自然な気がしないでもない。ものすごい大げさな表情をしていて、繊細な文学作品だと、世界観を壊してしまっているような。。。 というわけで、以上のことを先に断って、既読分の感想を。。。 『学問のすすめ』『君主論』『破壊』はけっこうお薦めな気がする。『レ・ミゼラブル』『病床・六尺』もなかなかである。太宰原作の『斜陽』『パンドラの匣・ヴィヨンの妻』は、もうちょっとだけ画風が繊細であればと思わないでもないけど、わりといいかと思う。漱石の『我輩は猫である』はあまりにも漫画過ぎるように思ったが、『明暗』はわりと漫画を感じさせなくはなっている気がする。しかし、別出版社の「マンガで読む名作」シリーズの『三四郎』の方が断然いいと思う。ちなみに、日本人ならふつう夏目漱石はだいたい読んでいるものだと思っていたが、とりあえず家族に尋ねてみたところ、誰も一冊も読んでなかったようだ。 『失われた時を求めて』と『ユリシーズ』は、生涯読むことがないだろうと思っていたので、内容にちょっとでも触れられてよかったような気もするが、長編を読んだ気にはならない。そりゃそうか。『失われた時を求めて』に関してはフランスコミック版がなかなか期待できそうな感じである。 『ドン・キホーテ』は後編も合わせての漫画化なのか。『グレート・ギャツビー』『阿Q正伝』『好色一代男』『夜間飛行』は、全部未読だけれども、良いのか悪いのか微妙なラインにありそうである。『論語』『般若心経』はさらに微妙である。『死に至る病』は、自分には評価が難しい。しかし、いずれも読んで損はないような気がする。『ファウスト』はどうだろう。あんまりお薦めではない。 けっこう酷いのが『資本論』で、もうちょっとどうにならないものかと思ったが、『続・資本論』でかなり改善されている。 この辺の事情は↓下記のご意見が正しいかと思われる。 http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/zokusihonron-mangadedokuha.html |
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2010,07,04, Sunday
恥ずかしながら普段からすごい量の漫画本を読んでるのだけど、ほとんどは歴史題材の作品ばかりで、ふつうの漫画はさっぱり読まないと言いつつ、でもちょっとは読んだりしてるのだが、最近のでは野村宗弘(著)『とろける鉄工所』がすごく良かった。正直すぐにネタ切れになるのではないかと思っていたのだけど、4巻になっても全然トーンダウンしていない。藤堂あきと(著)『パーツのぱ』は第1巻を読んでたときは、まぁちょっと面白いかな、という感じに思っていたが、2巻目を読んでいるあたりから、各キャラ等にも愛着が湧いてきて、今は非常にお気に入りである。ヨドバシができてから秋葉原の向こう側には全く行かなくなってしまったのだけど、PCパーツショップってまだ存在するのだろうかと思ってWebで検索したらまだまだたくさん在った。ちなみに現在、個人的にはほとんど全てのパーツをネットのTWO-TOPで買ってたりする。
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2010,06,10, Thursday
以前、黄金比関連の本を読んでいるという記事を投稿したけども、推理小説『ダ・ヴィンチ・コード』でも妙な記述が見られるというので、さっそく読んでみよう、かと思ったが、先にDVDを借りて映画版の方を観た。
問題ある場面というのは、主人公のラングドン教授が生徒に黄金比を語る部分である。 参考:http://subal.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_de8a.html 映画の方は、このシーンはないみたいっすね。フィボナッチ数列が出てくるぐらいで、さほど黄金比は問題になっていなかった。 しかしながら、映画自体は非常に面白く、思わずふつうに鑑賞してしまったうえに、続編の『悪魔と天使』(小説版ではダ・ヴィンチコードより前)まで観てしまった。残念ながら、そっちは反物質爆弾が登場した時点でちょっと萎えてしまったが。 それでまぁ、小説版の方も購入。ノフィクションとか教養系の本ばかり読んでいると、物語を読み進めるというのが億劫になってしまうのだが、これは最後まで意外と集中力途切れずに読めた。というか、映画版よりさらに面白い。ちなみに、喫茶店で取り出したら「ダ・ヴィンチ・コード読んでる!」って、全然知らん人に指さされた。いや、べつにいいじゃんか。 |
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2010,05,16, Sunday
先日読んだ『カペー朝』が非常に面白かったので、同著者の本をもう一冊買ってみた→『英仏百年戦争』。確かな知識もありながら、これだけ文章力があるというのは羨ましいというか、才能がある人ってのは、本当に才能があるもんですな。
で、読んでるうちに久々に映画『冬のライオン』を観たくなってレンタルしみたが、有名な1968年の作ではなくて、2003年にリメイクされたパトリック・スチュアート主演のテレビ映画の方である。派手な戦闘シーンがない為か、ネット上のレビューは評判が芳しくないが、歴史的背景を知っていれば、なかなか面白いのである(ちなみに主役はヘンリー二世なので、厳密には百年戦争前史みたいなのであるが、『英仏百年戦争』には本編に匹敵するぐらいの紙数を割いている)。『冬のライオン』は元は演劇作品だったようで、日本でも演っていたらしい。それから、ジャンヌ・ダルクの映画も借りてみたのだが、こちらは1948年作、イングリット・バーグマン主演の『ジャンヌ・ダーク』。一般的に知られるジャンヌ・ダルクの物語を淡々と綴った感じで、あまり盛り上がらないが、教育ビデオとしては無難かもしれない。 |
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2010,04,16, Friday
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2010,04,11, Sunday
『日本の時代史(2)倭国と東アジア』吉川弘文館(2002/07)
前巻の『倭国誕生』がなかなか読み応えあったので、第二巻にあたる『倭国と東アジア』も読んでみた。こんな本を読んでいる場合ではないのだが、しかし古墳時代が気になって気になって仕方がないもので。それにしても、古墳時代のことなんか細かいことは何もわからない状態なんだろうと思っていてけれども、考古学的な成果から倭国の動きがいろいろ見えてくるんですな。後の遣隋使やら遣唐使やらなど吹っ飛ぶくらいの凄まじい海外展開なんだが。 古墳時代つながりで↓も読んでみた。 水谷千秋(著)『謎の大王継体天皇』文春新書 継体天皇の系図を目にすると、自然といろんな想像をしてしまって、実際いろんな説の書物が出ているけれども、本書は周辺の状況など精査した上で手堅く綴っているという感じで非常に良かった。文章も読みやすく、著者も意外と若くて、これだけ書けるというのはなかなかすごいものだなと。 |
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2010,02,25, Thursday
飛鳥時代前後については普段からわりと読んでいるのだが、それより前、縄文やら弥生、古墳時代中期ぐらいまでについては飛ばしてしまっていたなぁ、とか、ふとそんなことを思ったが、それを言うと、「古代」の後もあんまり読んでないけど。
というわけで、昨年末あたりから古墳時代以前について、いろいろ読んでみたので、忘れないうちにメモを。 ■日本の歴史2『倭人争乱』集英社 数年前に第3巻に当たる『古代王権の展開』を読んでおり、特に壬申の乱のあたりは興奮しつつ読んだ憶えがあるが、今回は第2巻で、弥生時代ぐらいから。「鏡」というものに関して、今までさほど興味がなかったのだが、今度博物館を訪れたときはじっくり見たい気分である。 ■日本の歴史03『大王から天皇へ』講談社 直前に読んだ前出『倭人争乱』がすこぶる丁寧な叙述だったためか、本書の文体に妙な不信感を感じて、途中で読むのを止めてしまった。 ■日本の時代史1『倭国誕生』吉川弘文館 複数執筆者なので、中にはちょっと自分とは相性悪いなぁと思う章もないわけではないけど、冒頭に本書の扱う範囲全般について概要をまとめた章があるのだが、それが素晴らしい。忙しい人はそこだけ読んでもいいかも。すかさず、第3巻の『倭国と東アジア』も注文。 ■日本の歴史1『旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記』小学館 扱う時代の範囲が非常に広いが、単一執筆者なので、上記の吉川弘文館版より、一貫した感じでまとまっていてなかなかの読み応えだった。本エントリーの中でどれがお薦めかと言えば、上記の吉川弘文館かこちらかしら。 ■遠山美都男『天智天皇 律令国家建設者の虚実』 これは飛鳥時代か。中大兄(天智帝)は、クーデター(乙巳の変)でも改革(大化の改新)でも大した役割は果たしていなかったという話であるが、確かに言われてみればそりゃそうか。 ■関裕二(著)『ヤマトタケルの正体』 歴史学者ではなく、小説家の手になるもので、後半あたりになると、いくらなんでも飛躍しすぎではなかろうかと思わないでもないような感じであるが、けっこう面白いので一気読み。 ■安彦良和(著)『蚤の王 野見宿禰』中公文庫 『ナムジ 大国主』『神武 古事記巻之二』の続編? 垂仁天皇、野見宿禰、前方後円墳などが登場。 |
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2010,01,19, Tuesday
下記2冊を走り読み。
■ジョン・チャドウィック(著)『線文字B 古代地中海の諸文字』 要約的には以下のページが簡潔にまとめられているような。 http://pezetairoi.hp.infoseek.co.jp/history/alacarte/linearB.html ■ジョン・F.ヒーリー(著)『初期アルファベット 失われた文字を読む』 言語の系統樹的書物は過去に度々読んでいるけれども、文字の伝搬は言語の流れとは別物でありますなぁ。 |


