読了:菊池良生(著)『ドイツ三〇〇諸侯 一千年の興亡』
菊池良生(著)『ドイツ三〇〇諸侯 一千年の興亡』

ハプスブルク家についての本はいくつも読みました、というか、ふつうはハプスブルク家を追うような感じで、歴史を追いがちですが、こちらはドイツ諸侯について書かれており、たいへん勉強になりました。情報量が多く、しかも、ヨーロッパの人名は非常に少ないバリエーションを使いまわすの、同じ名前がどっさり出てきて、全体像を把握するのも大変ですが。中世からバロック美術についていろいろ読んでおりますが、ドイツの歴史って大事ですな。中世神学から近代哲学もさることながら、特にバロック芸術においては宗教改革というのが、ポイントになるので、大事なところなんですが、カトリック側はカトリックなのだけれども、プロテスタントは、ルター派やカルヴァン派などいろいろあってややこしく、そして、ドイツ諸侯は頻繁に鞍替えしたりして、そして領主が変わる度に国のカラーも変わる。そして、バロックに限らず、芸術家がどこの領主に遣えていたのか、というのは非常に重要なポイントで、単にドイツ人というふうに覚えていてもあまり意味はなくて、ドイツの中でも、どの国の何という領主に遣えていてとか、その辺まで覚えていないといけない。何しろドイツという国が出来上がったのが、歴史的には最近のことであるから。

なお、ルターの宗教改革に先立って、ボヘミアやフス戦争などの単語がやたら出てきますが、それについては、『乙女戦争』という漫画がお薦めです。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 02:27 AM | comments (0) | trackback (0) |
読了:平野純(著)『はじまりのブッダ: 【初期仏教入門】』
ここ数ヶ月、ヨーロッパ中世神学や西洋哲学に関する本を読んでおりましたが、東西のバランスが悪い気もしたので、というわけでもありませんが、いろいろ思うところあって、初期仏教に関する本をいくつか買ってみました。だいたいはパラパラと目を通すぐらいなのですが、こちらの平野純(著)『はじまりのブッダ: 【初期仏教入門】』は、初っぱなから面白くて、一気に全部読んでしまいました。ブッダが生きていたころのインドは、バラモン教主流でありながら、多くの異端が現れて活動していた、しかも強烈な登場人物のオンパレードで、そんなカオスな状況が描かれており、これまでの想像を大きく覆されるような感じでした。それぞれの異端の意見を読むと、洋の東西問わず、哲学、宗教分野で議論されうる問題の大半が、二千数百年前のインドで既に極端なまでに考察されているのだなと感じました。ブッダは当時流行っていた極端な苦行、断食はおろか、牛舎に忍び込んで牛糞を食らうなど、なかなか素晴らしい苦行をしていたとか。7年続けたのち意味がないと止めてしまったようですが、悟りの後は極端に走らずに中道をいったところが、仏教が後に大成する要因のひとつだったとか。興味深いのは、世界に始まりはあるか、終りはあるか、肉体と魂は別か、などの質問に対して沈黙で答えたという点でしょうか。ヴィトゲンシュタインの「語りえぬものについては沈黙しなければならない」みたいでもあります。もっとも、初期仏教経典でも、状況次第あるいは相手次第で輪廻的なことを語ったりなどしており、いわゆる方便みないなところもありますが。しかし、もしブッダが本書のいうとおり、現世の苦痛を取り除くということに徹していたとしたら、その点について深く学びたいところです。些末な物事に心を悩ますことなく日々を過ごせたらと常々思っているわけですが、まだまだ修行が足りないところです。


| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 03:12 AM | comments (0) | trackback (0) |
読了:金澤正剛(著)『中世音楽の精神史: グレゴリオ聖歌からルネサンス音楽へ』
読了:金澤正剛(著)『中世音楽の精神史: グレゴリオ聖歌からルネサンス音楽へ』(河出文庫)

古典古代哲学から多大な影響を受けたヨーロッパ中世伝統のリベラルアーツ(自由七科)は文法学、修辞学、論理学の3学と算術、幾何、天文学、音楽の4科から成っていわけですが、最初にこの話を聞いたときから、何故にここに音楽が、というのは絵画専攻の者からすれば、どうしてよと思わないでもないですが、音楽というのは楽典を勉強する、あるいは単純に楽譜の読み方を勉強するだけでも、実に数学的なものであると感じることでしょう。むろん今の楽譜のようなものは古代にも中世もありませんが、それでも音階の仕組みなどはほとんど数学、あるいは自然学といえるでしょう。初期中世では、神の世界、理想の世界について、数学や天文学を通して追求しており、音楽もそのように研究されたので、我々が考える音楽とはだいぶ違うといえるでしょう。実際に演奏するような技術ではなく、協和音とか、そういう数学的なものを研究して神の世界について追求してゆくようなものが、リベラルアーツの音楽、場合によって演奏などされなくても、あるいはそもそも曲などなくても別にかまわない、というほどであり、ちょっと前までは、こういう具体性のない神学的なものを軽視していたのですが、ここ数ヶ月ひたすら中世に関する本を読んでいたら、拒否感がなくなり、というか、むしろ何かすごく面白くなってきたような気すらしてきました。音楽理論のスタートはピタゴラスですが、中世リベラルアーツの音楽では、まずはピタゴラスが重要だったようです。次いでプラトン、そしてやはりアリストテレスは直接伝わらず、後にアラビア経由でというパターンなのか。時代が下っていくにつれ、グレゴリオ聖歌から、ポリフォニー音楽へと話が移っていくわけですが、最初期のポリフォニー、オルガヌムはノートル楽派により、などというのは聴いたことはありましたが、あまり詳しくは知らなかったので、勉強になりました。パリのノートルダム大聖堂が建設される同時代にとは胸が熱くなります。ノートルダム楽派と言っても実際にはレオニヌスとペロタンぐらいしか作曲者名は残っていない。それにしても、youtubeで検索すれば様々なグループの演奏を聴くことができて、聴きながら読んでいるとわかりやすいうえに、とても楽しい。ちょっと前なら図書館に行って音源を探しつつ、みたいなものですたが、便利になったものです。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 01:10 AM | comments (0) | trackback (0) |
バロック美術について読む
バロック美術について、そんなにじっくり勉強したことがなったような気がして、何冊か買って読んでみているところです。何故かバロック音楽の方は何冊読んでたりするのですが・・・。静物画、風景画、室内画など、現在油絵などで描かれている身近な主題が確立してくるのが、バロック期なので、バロック絵画好きの絵描きも多いことだろうと思いますが、たいていはオランダの絵画のことばかりで、カトリック側、絶対王政側への愛着が足りていないような気がしないでもないところですので、是非ともその辺もカバーしていけたらな、的なことを考えています。
とりあえず読んだのは以下の2冊。
高階秀爾(著)『バロックの光と闇』
中島智章(著)『図説 バロック』(ふくろうの本/世界の文化)
バロックについて読もうと思って、現在買えそうなものを調べてみたのですが、予想していたより少ないような気がしました。美術全集みたなものだと、それなりに有るのですが、単行本でバロック美術について語っているのは、予想より限られているなぁと。もちろん、他にもいろいろあるので、順次目を通してゆきたいと思いますが、なんというか、もしかしたら、ゴシック美術についての本よりも少ないんじゃなかろうかと思うんですが、私が中世好きで、中世についての本ばかり知っているからでしょうか? いやでも、最近やたらめったら中世美術関連の本が出ているような気もしているし、気のせいじゃ無いかもしれません。まぁ、ルネサンス以降だと、個々の芸術家についての本が増えるので単純に比較はできませんが。それはともかく、2冊読みましたが、同じバロック美術について語っている本でありながら、けっこう違うことが書かれているものです。いつも思いますが、どんなことでも何冊か読んでみないとわからないものです。『図説 バロック』ですが、写真の多い本は、本分が疎かになることが多くて、読み応えがないということがけっこうありますが、最近の本はそんなことはなくなりつつあります。本分も非常に濃い内容でした。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 02:01 AM | comments (0) | trackback (0) |
青木健(著)『アーリア人』(講談社選書メチエ)
青木健(著)『アーリア人』(講談社選書メチエ)

白人優位主義のアーリガン学説ではなくて、歴史上実在したアーリア人、特にイラン系アーリア人が中央アジアから出発して、各方面に分岐していった各集団をを定住民、遊牧民含めて網羅的に解説した本です。我々は世界史、特に古代史について読むときは、古代ギリシャ・ローマ視点で追ってしまいがちですが、あるいは同じユーラシア大陸でも真逆側の中国文明視点から見るような感じになってしまうかどちらかと思いますが、それはたぶん歴史を記述するという文字資料が両者に豊富だからなのでしょうけれども、まぁ、中近東でも今のイラクあたりまでは粘土板の文字資料が多いわけではありますが、イランあたりから中国にかけてはやはり少ないんでしょうか。世界を勉強するときに、中央に謎の地帯があるような感じはしていたものです。知ったような気分になっていただけで、まだまだ知らないことが多々あるものだと、改めて思い知りました。読後感としては、あまりにも多数の固有名詞が出てきて、ほとんどは覚えられないか、間もなく忘れてしまいそうですが、なんとなくの流れなどはわかたような気がします。あと、世界美術全集のグレコ・バクトアの巻とか、あんまり気にしてなかったのですが、そういうことだったのかと知ってみると、なかなか興味深いものに思えてきて関心が深まりました。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 10:23 PM | comments (0) | trackback (0) |

↑上に戻る↑ <<新しい記事 : 古い記事>>
累計
本日、昨日 集計結果
  
■NEW ENTRIES■
■RECENT COMMENTS■
■RECENT TRACKBACK■
  • 昔のキャンバスの木枠は意外とシンプルだったのか?
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■PROFILE■
■POWERED BY■
BLOGN(ぶろぐん)
BLOGNPLUS(ぶろぐん+)
■OTHER■
■LOGIN■
現在のモード: ゲストモード
USER ID:
PASSWORD: