屏風教材をレビューします。
俵屋宗達の風神雷神図屏風、尾形光琳の傑作の数々など、日本美術を語る上で外せないのが屏風画である。長谷川等伯の松林図屏風などは特に素晴らしい(元は障壁画の可能性が高いらしいが)。私の世代の頃には美術の授業でそのようなものを鑑賞したり、教えてもらうということはなかったような気がする。しかし、最近の中学校の教科書には、それらの屏風画がたくさん載っており、ただ写真が載っているというだけではなくて、なかなか論理的に解説していたりするので、機会があればご覧ください。
参考:開隆堂出版株式会社 平成24年度用中学校美術教科書
http://www.kairyudo.co.jp/general/data/contents/02-chu/bijutsu/h24/h24-naiyouannai.pdf
↑こちらのP.9~10あたり。

さて、教科書に合わせるように、美術教材メーカーが屏風画制作のためのキットを販売している。簡単に言うと、ミニチュア屏風で、下地色が金色(正確には、金色といよりは赤みがかった黄色だけど)になっており、上に絵を描くなどして金地の屏風画簡単に出来るという具合の教材である。まぁ、教材向けに限らず、無地のミニ屏風は普通に売られていて、自分で描いて楽しむ系のアイテムはいっぱいあるから、そんな珍しいものではないですけど、ここでは特に学校向け教材として取り扱っている3社の製品を選んで比較してみることにした。

まずは、アーテック社
金屏風教材
六曲一隻と四曲一隻の2種が存在する。金地と言っても、吸収性がある素材で、色鉛筆や水彩絵具も使用可能である。

縁や裏がしっかり作られており、手に取るとちょっとテンション上がる感じである。
金屏風教材

ミニ屏風とは言っても、六曲は728×250mmとわりと大きく、特に横に長いということもあって、一般的な学校用の机(600mm~)からはみ出す。うまく畳んだ状態で作業すればなんとかなるけど。美術室によくあるテーブルでも、3人並んで座って作業というのは無理そう。逆に四曲の方は少し小さ過ぎるような気もする。しかし、近年の中学美術は、時間数がとても少なくなっているので、小さい方がいいとも言える。なお、2014年度のカタログ価格で六曲が¥630、四曲が¥380となっている模様。

試しに四曲版に墨汁でそれっぽいものを描いてみました。
金屏風教材

次に、美術出版社
金屏風教材
美術出版社は、六曲と二曲一双が用意されている。六曲版のサイズはアーテックとほぼ同じ。アーテックの屏風もそこそこ立派な作りだったが、こちらはそれよりもクオリティが高いように見える。
金屏風教材
描画面はアーテックと似たものであるけど、縁や裏が立派に出来ており、撥水性が期待できるような素材が使われているので、作業中に机上にこぼれた絵具や水等が付いても、綺麗に拭き取れそうである。アーテックの屏風は、作業中に汚れて染みができたりしやすいと思う。価格はなぜかアーテックよりも安い。以前は対して変わらない価格であったが、2014年からアーテックだけ飛び抜けて値上がりした。総合的に考えると、六曲の屏風を採用するなら、美術出版社の方がいいだろう。
面白いのは二曲一双というバージョンである。
金屏風教材
これは屏風画について知る上で、勉強になるかもしれません。
なお、ここでは屏風に関して細かい説明はしませんが、参考までに以下のページも読んでいただければと思います。
参考:屏風を鑑賞するための基礎知識(1) - 滋賀県立近代美術館 公式ブログ
http://d.hatena.ne.jp/shiga-kinbi/20110304/1299196884
授業で二曲一双を採用すると、バラバラになって管理の手間が倍に増えることでしょう。100人生徒が居たら、個数が200になるわけだし。しかし、1人二曲一隻にし、希望者が2人一組で二曲一双するなど、工夫するといいのかもしれません。

こちらはクラフテリオの金屏風
金屏風教材
六曲と四曲がある。前述の2社とはだいぶ見た目が異なる。まず、非常に輝いている。金地の輝きを重視するなら、こちらの教材が良いだろう。しかし、縁や裏がなんとも見栄えが悪い。というより、縁は存在せず、ただのボール紙的な印象である。これは、なにか似たような厚紙を買って、自分で折った方がよさそうな気がしないでもない。
金屏風教材
輝きを重視したせいか、下地が非吸収性であり、水彩絵具は食い付きにくいと思われる。アクリル絵具か、アクリル系のポスターカラーなど、画材や制限されるだろう。なお、クラフテリオのカタログには、この他にも二曲の屏風画掲載されており、そちらは他社と同じく縁などがしっかりして立派そうである。

大きさの比較のため、3社の教材を並べてみた。
金屏風教材
左からアーテック六曲、四曲、美術出版、六曲、二曲一双、六曲、四曲。
結論としては、授業時間数や保管場所、価格等の面で、小さいものがよい場合は、アーテックの四曲がお薦めである。少し大きなものを制作させてやりたいと思う場合は、美術出版の六曲がお薦めと言える。

さて、実際にこのような教材が現場で使われたりするのか気になるところである。私は中等教育と縁がないので、地元の教材業者の方に聞いてみたところ、少なくとも私の地元一帯では「注文はない」そうである。

| 絵画材料 | 11:19 PM | comments (1) | trackback (0) |
中学校の美術教育の現場では、ターナー色彩のアクリルガッシュが使用されることが多いため、彩色を施す色材の中心に考えていることが多いでしょう。
指導のための作品制作の専門技術も求められることが考えられるような特殊性が高い教材のため、教材販売商社からの出荷数はそれほど多くはないのかも知れません。
| bambook | EMAIL | URL | 2014/03/16 10:16 PM | 0Lj2dVcE |











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