映画を紹介する動画 『薔薇の名前』 その1
美術に関する映画を紹介しようという動画を作ってみました。最初に取りあげたのは『薔薇の名前』です。


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THE NAME OF THE ROSE (仏・伊・西独/1986) ヨーロッパに異端審問の嵐が吹き荒れている1327年、北イタリアのベネディクト修道院に会議の準備のためにバスカビルのウィリアムと見習い修道士メルクのアドソがやって来る。だが、修道院に着いた二人を待ち受けていたのは、不可解な殺人事件だった。文書館で挿絵師として働く若い修道士が謎の死を遂げ、それに続いて、ギリシャ語の翻訳を仕事とする修道士が殺されたのだ。ウィリアムは事件の究明に乗り出し、この事件が文書庫と関係があるとにらむが…。イタリアの記号学者ウンベルト・エーコの描くメタファーと引用に散りばめられた、知の迷宮世界を映画化した中世ミステリーの佳作。
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グーテンベルクの活版印刷術発明発明以前の話です。写本と言われる手で筆写する本が多数出てくるのですが、中には豪華な装飾が施された写本がいくつも登場するということで、美術的にも面白い映画です。映画の設定年代は1327年、テオフィルスの技法書(テオフィルス「さまざまの技能について」)とチェンニーニの技法書(チェンニーニ「絵画術の書」)の間くらいでしょうか。修道士テオフィルスが活躍したのが、おそらく11世紀末から12世紀初頭、チェンニーニの絵画技術書が書かれたのは1400年頃、しかし書かれている技術はジョットから連なる工房で、以前から引き継がれていたものだと思われます。ジョットの没年は1337年なので、彼の活躍した時期と被っています。装飾写本というのは非常に大事です。
我々は美術館の壁にかかっている額縁に入った絵画や、イタリアの礼拝堂の壁画などにばかり目がいった状態で美術の歴史、あるいは絵画の歴史を俯瞰しがちですが、忘れてならないのが、写本装飾の細密画です。いや、挙げていけば、厳密にはもっと他にもいろいろあるのですが、まぁとりあえずそのひとつということで。絵画の様式の変遷で、何か空白がありそうだとか、いきなりなんでこんな完成度の高い様式が出てきたのだろうかと思うとき、写本の細密画にも目を向けてみたいところです。というか、中世ではむしろ写本の方が主役じゃね?的な感じかもしれません。ということで、そんな写本に興味を持つきっかけになるかもしれない映画ですので、未見でしたらご覧になってみてください。

なお、写本に興味を持つだけでしたら、ただ見ているだけでもなんとなく面白いかと思いますが、内容を理解しようとなると、中世に関する予備知識がある程度必要になってきます。というわけで、この動画の続きでは、その点について語っていきたいと思います。

| 映画 | 07:33 PM | comments (0) | trackback (0) |










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