ランプブラック(油煙)を作る
チェンニーニによると「・・・亜麻仁油の入ったランプを用意し、ランプを油で満たし、火をつける。こうして燃えているランプを、よく拭った鍋の下におく。炎は、鍋の底から指2、3本のところにくるようにする。炎から出る煙が鍋の底にあたり、固まりとなってくっつく。少しそのままにしておいてから、鍋をとり、この顔料、すなわち煤を、紙の上、あるいは絵具壺に、何かで払い落とす。粒子のごく細かい顔料なので、練ったり挽いたりする必要はない。このように、何度か、ランプを例の油で満たしては、繰り返し、鍋の下におく。お前が必要とするだけの分量をこうしてつくる」(岩波書店)

亜麻仁油は自室の棚にいくらでもあるので、まずはランプが必要である。アルコールランプがあるので、これに植物油を入れてもいけそうな気がするが、アルコールと植物油では、揮発性も、発火温度も違うので、そのまま使えるようには思えない(※実際後日試みてみたが、効率よく燃焼しなかった)。今回は、試しにやってみる程度の話なので、適当な容器をランプ替わりに使ってみることにした。

用意したのは、百均で買った磁器の器と、針金、極太凧糸(純綿)。
ランプブラック

芯が真っ直ぐ立つよう、針金で固定した。
ランプブラック

それを器にセットし、画材用のふつうのリンシードオイルを入れて、火を着ける。
ランプブラック

炎が起ち上がり、炎の先から黒い煤がドバドバ出てくる。
これなら、煤をいっぱい集められそうな予感がする。

しかし、臭い。
古くなったリンシードオイルを使ったせいか、酸化した亜麻仁油のキツイ臭いが部屋に充満し、とても耐えられるような状態ではなかったから、すぐに消化した。

場所を屋外に移し、その後、いろいろ試しているうちに、実は単に綿の芯をオイルにぽちゃっと付けて、少しだけ出しておく、というのが、一番よさそうであることに気が付く。

効率よく煤を得るために3本の芯を入れた。
ランプブラック

着火すると↓このような感じである。
ランプブラック

この方法だと、オイルを切らして、芯を駄目にしてしまった場合も、適当な長さに切った綿糸を入れるだけで、簡単に交換できる。
「ランプの原形は粘土を焼いた皿に植物油などを注ぎ一本の灯心を載せて火を灯すものだった」(Wikipedia)ということなので、非常に原始的な方法と言える。
ちなみに、アルコールやテレピン、灯油などは発火温度が低いから、この方法でやると大変危険なので、ご注意を。

火の上に、磁器の皿をセットして、煤を集める。
ランプブラック

なお、古くなったリンシードオイルはあまりにも臭いということで、食用の低温圧搾亜麻仁油に代えてみた。これはほとんど臭わない。ほぼ無臭である。

数分で↓こんな感じに。
ランプブラック

3本の芯を入れているので、油がどんどん減ってゆく。まめに給油しないといけないが、たっぷり入れすぎて芯が埋まってしまうと、火が消える。あるいは火が非常に弱くなってしまうのでご注意。

1時間以上かかって↓このくらい集めたが、風が強くなってきたので、本日はここで終了。
ランプブラック

それにしても、ランプっていうのは、大量の煤が出るものなんですなぁ。システィーナ礼拝堂の天井画も、主に蝋燭の煤であれほど暗くなっていたというのも納得。中世のイコン画も、煤で汚れて、砂で擦って落としたりしたとかいう話を読んだことがありましたな。書道用の墨は、炭じゃなくて、煤(ランプブラック)を膠で固めたものだそうである。実は、墨を作るぐらい集めたかったのだけど、この方法だと時間がかかりそう。

備考:日常生活でランプを使うということがなかったもので、オイルランプに関しては多少誤解があるかもしれない点を踏まえて読んで頂ければと思います。

| 絵画材料 | 09:39 PM | comments (2) | trackback (0) |
こんにちは。
突然すみません。
イベントの一環ですすを作らなければいけなくて、調べているうちにこのブログを見つけました。この方法を参考にさせていただこうと思っています。
そこで質問なのですが、どれくらいの油の量でどれくらいの煤ができるのか教えていただけませんか?
よろしくお願いします。
| はるちゃん | EMAIL | URL | 2013/05/30 02:31 PM | Ov1uoEDE |

こんにちは。よろしければ、下記も参照ください。
http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=858

それほどたくさんの煤は集めてませんので、どのくらいの量が取れるかなどについては私は知りません。
ただし、植物油から煤を集めるのは、とても時間がかかる作業だと想像いただければと思います。それなりの量を集めるには、オイルランプをたくさん用意し、無風の静かな安全な場所で、長い時間待たねばなりませんから、イベントと向きの方法ではないといえるでしょう。
もっと豪快に煤を集める方法はたくさんありますが、いずれにしても火を扱うので火災には充分お気を付け下さい。
| 松川 | EMAIL | URL | 2013/06/01 10:31 PM | BwNoQ5ys |











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