『エリュトゥラー海案内記』(中公文庫)読了
マスチックを初めとする天然樹脂について勉強中というのはこの前書いたばかりですが、マスチック(Pistacia lentiscus)やそれに近いテレビンノキ(Pistacia terebinthus)、旧約聖書をはじめとする古代世界の書物にも登場しているので、そういう箇所を確認しようかなと思ったわけですが、上記のふたつ以外にも、乳香、没薬など様々な樹脂が、すでに古代の書物に頻繁に出てきており、地中海の東方面から、アラビアにかけての樹脂文化はなかなか深いものがあると改めて感じました。
というわけで、読んでみたのが、『エリュトゥラー海案内記』(中公文庫)。著者の詳細は不明ですが、紀元1世紀頃にエジプトから紅海、ペルシャ湾、インド洋などを船で交易していた人物が書いたものと思われる書です。本文は冊子程度の文章量ですが、地名や交易品を解説する註が詳しく、文庫本1冊ほどになっています。当時はアウグストス以来エジプトもローマ帝国の版図になっていたため、紅海から出て、アラビアやインドへの航路があり、後の大航海時代みたいにインドまで交易に出かけていた様子がわかります。プリニウスにもインド産の品の話がたくさん出てきますし。そして、西洋絵画的に注目すべきは、やはり樹脂や鉱物、亜麻布、木綿などの繊維の取引についてですが、アラビアの樹脂の樹の重要性みたいなものをすごく感じました。繊維はやはり、亜麻はエジプトから輸出され、綿はインドから輸出されていますね。この翻訳の最初の出版は第二次大戦中だったようで、ずいぶん昔になりますが、読みづらくはありません。註の情報はその後の研究により古くなっているかもしれませんが。タイムリーなことに今年の4月に新訳が単行本化(『エリュトラー海案内記 1 』東洋文庫)されている模様。これは20年ほど前に東洋文化研究所紀要に載ったものの単行本化ではないかと思いますが、2巻構成になっており、註などさらに詳しくなっているかもしれません。しかし、この他にもいろいろ買いすぎて、予算的にしばらく買えそうにありませんので、知ってる人がいたらコメント頂ければと思います。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 12:07 AM | comments (0) | trackback (0) |
マスチック樹脂について
お盆休み的なものに突入するし、普段は読む気にならないような分厚い洋書の1冊でも読んでおかなければいけないような気がして、今回は以下に挑戦してみることにしました。
Jean H. Langenheim(著)”Plant Resins: Chemistry, Evolution, Ecology, and Ethnobotany”Timber Pr (2003/4/30)
PLANT RESINS
ハードカバー: 586ページでボリューム感がありますが、でも、絵画に使われている樹脂はある程度限られているので、必要な部分をピックアップして読んでいくわけですが、鳥越一穂氏と樹脂に関する動画を撮ろうと計画しているところなので、むしろパパパっと素早く目を通さねばならないのかもしれません。樹脂に使用に関しては、実際にいろいろ試しているので、それなりの経験に基づいて語れますが、それらの樹脂はいずれも遠い国から輸入されてきたものであって、実際どういう木から採れるものかというのをあまり知らないので、そういう点を整理しておきたいという気持ちが以前からあったのですが。

ひとまず、マスチック樹脂の項から読み始めました。我らがマスチックは、Pistacia lentiscusから採取される樹脂だそうですが、この木はウルシ科のカイノキ属。針葉樹の顕花植物で、常緑で雄雌異株(オスとメスで別れる)とあります。地中海全般に分布するようだが、中世に主にマスチック樹脂が採取されたのはキオス島のものだという。和名ではカイノキが最も近そうで、苗も売られているのですが、しかし落葉高木だったり、いろんな種類があって、頭を整理するのは大変そうです。

youtubeにはPistacia lentiscusの盆栽の映像が投稿されています。

木の形はウルシとは似てないけれども、葉の並び方はウルシタイプですね。Pistacia lentiscusの苗、日本で手に入るなら是非とも欲しいところです。
Pistacia lentiscusの動画らしきもの↓


Pistaciaという名前の通り、ピスタチオの実がなる樹木の仲間であるようである。ただし、お酒のつまみとしても食されるピスタチオの実が成るのはPiatacia veraという種類であり、マスチックの木の実の方は、ちょっと違うようである。
Piatacia veraの動画らしきもの↓


話が逸れるけれども、興味深いのはテレビンノキとして知られるPistacia terebinthus。テレビンと言えば、カラマツ属、モミ属などの大きなマツ科の針葉樹から採取されるもというイメージが強いが、初期にはこのテレビンノキから採られていたものらしい。ふと気になって、チェンニーニがウルトラマリン抽出で試用していた松脂はどんなものかと思ってイタリア語の刊行版をあたってみたが、pinoの樹脂と書かれてあったので、これに関しては松から採られたのだろう。ちなみに、テレビンノキは旧約聖書に登場する。
Pistacia terebinthusの動画らしきもの↓


マスチック生産は、キオス島と言っても島の東南の角、Pistacia lentiscus Var. chiaが生い茂る箇所に限定されるようで、他の場所で採取されたものは、しっかり育った木から得たものでも質は劣るということである。ということは良質のものは供給量が限られるので、価格が高いのも仕方がないかもしれないし、絵画用のマスチック樹脂でも、質の良いもの、悪いものなど差があるのは、この辺にも起因するかもしれない。雄雌異株と書いたが、マスチック採取に使われるのは雄株の方で、雌株の樹脂は劣っている。さて、PLANT RESINSではこの後は実際の採取方法、用途や歴史などについて延々と述べられており、絵画用としては、リンシードオイル、揮発性のテレビン油などと混ぜてゼリー状のいわゆるメギルプを作るというところまで書かれてあり、興味は尽きないところですが、化学的な部分はなんだかんだで読むのが難しい。

| 絵画材料 | 01:50 AM | comments (0) | trackback (0) |
クルミの実を拾う。
山の麓を歩いていたら、クルミの実が落ちていました。
クルミ

見上げると胡桃の木が。。。
クルミ
クルミの木は小川などのそばに生えていることが多いということですが、確かに川沿いにありました。

胡桃ってこんな感じで生るわけですね。
クルミ
知らない人が見たらこれが胡桃だとは気が付かないかと思います。

果実にみたいな皮に包まれているので、それを剥くと、普段見られている胡桃の殻が現れます。
クルミ
ちなみに、皮には非常に強い色素があって、草木染めの材料として使われるそうですが、素手でさわると手が黒く染まってしまうので注意してください。というか、私は素手で皮を剥いて、後から指先が真っ黒になって驚きました。破傷風にでもなったかと思って心配しましたくらい着色力が強い色素です。

割ってみました。
クルミ
実が細い。これは食べても美味しくなさそうだし、油っけもなさそうで、胡桃もあまりとらなさそうである。やはり秋に落ちた実の方が仁が大きいのだろうか。今は絶対に、木の実の季節ではなかろうと思われるし。もしくは、クルミ属の木にもいろいろあって、食用などとして活用されるのはその一部とも聞くし、種類が悪いのかもしれない。これはおそらく鬼胡桃か姫胡桃と言われる種類かと思います。クルミと言えば、イタリアの油彩画がクルミ油を絵具の乾性油として使用したといわれ、モナリザもおそらくクルミ油で描かれているのだろうし、もうちょっと詳しくなってみたいところです。

| 絵画材料 | 01:44 AM | comments (0) | trackback (0) |
LEDシーリングライト パナソニックHH-CA1211A を購入
夜中に制作していて、うまく描けたような気がしていても、昼の光の中で見ると全然描き込みが足りなかったな、と反省すること多々あり、というかやはり制作には明るい照明は必須といえるので、最近は室内照明もLEDに替わって明るくなっていることだし、新しい照明を買ってみました。ちなみに自室は二間×三間の約12畳のやや細長い形状。
置換前の状態がこれ。
LEDシーリングライト
6畳の和室二部屋を繋げて12畳の洋室にリフォームした為、その名残で天上に照明が2つぶら下がっています。6畳用の照明が2つなので、普通なら充分ですが、これの片方をLEDシーリングライトに更新したいかな、と。明るさを求めていたので、余裕をもって12畳まで対応を謳っている照明を買いました。

購入した照明はパナソニックのHH-CA1211A。10,700円でした。
LEDシーリングライト
何の飾りも無いシンプルな製品で、たぶん電気店などでは展示してないと思います。12畳対応ということで、それなりの大きさはあるかと思っていましたが、予想よりずっと小さかった。

さっそく取り替えてみました。
LEDシーリングライト
非常にすっきりしました。なんか、気分がいいです。置換前よりはずっと明るくなりました。物がよく見えます。

LEDになって青白い光になると困ると思っていたのですが、ちゃんと色調が調整できます。
LEDシーリングライト
青白い光で絵を描くと、自然光で黄色く見えてしまったりしますが、そういうことも防止できるでしょう。制作しないときは光量を調整して居心地良い暗さにできます。

| 家電・パソコン | 02:26 AM | comments (0) | trackback (0) |
乾性油について語り合う動画
画家の鳥越一穂さんと画材について語り合っている動画シリーズですが、今回は乾性油を取上げてみました。
油彩画家でもあまり気にしない人も居ますが、乾性油を使うからこそ油絵なのであって、最も重要な材料と言えるでしょう。
というわけで話は尽きません。今回は生の油について話しており、さらに全5本になる加工油の動画も収録済みです。







なお、動画の編集等は基本的に鳥越さんがやってくださっています。鳥越さんについては下記を参照ください。
[Facebook] https://www.facebook.com/Medici-1707452432853564/
[パトロネージュコミュニティ メディチ] http://torigoeart.wix.com/medici

| 絵画材料 | 10:06 PM | comments (0) | trackback (0) |

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