2020,12,01, Tuesday
なんと、あと1ヶ月で1年が終わってしまうのですか。何の目標も達せられずというところですが、日本の建築について勉強中なので、せっせと資料を参照しつつ、模型を組み立ててゆきましょう。缶スプレーの消費量が多いので、エアコンプレッサーを買った方が経済的なような気もしてきましたが、模型作りは一過性の趣味のような気もするので、買って放置してしまうのが心配なので、踏ん切りがつかないところです。職業柄、旅行は控えているので、今は模型で構造を把握しつつ、春になったら実物を見に遠出してみたい、というふうに考えているわけですが、今回はフジミ模型「清水寺舞台」 1/400を作ってみます。
![]() 清水は単なる観光地のように思ってしまいがちですが、非常に古い歴史を持つ寺院で興味深い経歴がありますが、それはともかくとして、模型を作る場合に気になるのは本来どのような色であったのかという点です。今では厳めしい雰囲気の建物でも、かつては極彩色であったというのはよくあることでして、私としては本堂が歴史上どんな色をしていたのかというのを確認したくて、資料を探そうとはしたのですが、そのことに言及されている本は見つけられなかったので、とりあえずは美術全集などに掲載されている洛中洛外図を参照することにしました。清水寺はたいてい登場しますが、昔から概ね素木のような色をしている絵が多い模様です。山形にあるということで、何度か実物を拝見したこともある上杉本も、寺院内にある仏塔等が朱色であるのに対して、舞台や本堂は素木のように描かれています。ただし、舞台を支える柱は何故か黒く描かれていたのですが、清掃されずに汚れが蓄積されたのか、あるいは漆でも塗ってあったのか、気になるところです。なお、現在の清水寺は1633年の再建であるからして、狩野永徳作である上杉本洛中洛外図は再建以前の様子なのであろうと思うのですが、建物の姿は現在のものとそっくりです。というわけで、もっと調べてもいいのですが、今は広く浅く調べて、どんどん組み立てていこうと思うので、下調べは今は打ち切って、とりあずは無理に派手に塗る必要はないという結論に至りました。 では、まずは塗装です。屋根からいきましょう。清水の屋根は檜皮葺であります。檜の樹皮を重ねて葺くという、たいへん手の込んだ屋根ですが、この檜皮葺に注目して塗装したいところです。いつの日か、石山寺多宝塔にリベンジしたいのですが、あれも檜皮葺であり、ここで檜皮葺のノウハウを構築したい。日本伝統建築と言えば、瓦葺き、檜皮葺、こけら葺きの三種が代表といえますが、実例を普段からよく観察しておくのが大事でありますな。本当は県内にある檜皮葺の屋根を見に行きたかったのですが、なんか疲れてしまってgoogleで画像検索して済ませてしまっているけれども、今度見に行ってみようと思います。 ![]() で、これが屋根のパーツですが、水平の線がモールドされておりますが、これが檜の皮を重ねた跡ということなのでありましょう。吹き替えたばかり檜皮葺屋根では、職人が綺麗に積み重ねた段差が見えるわけですが、さすがに1/400のスケールではこのパーツのようにはならず、見えなくくらいの段差になってしまうとは思いますが、模型に対してそんなことをいうのも無粋ではありますが、でも何か工夫せねばなりません。また、檜皮葺の屋根は時間の経過で様相がかなり変化し、30年くらいで葺替えせねばならぬようですが(清水本堂は50年に1度)、ちょっと年数が経ったくらいの状態が模型としては魅力的でもあります。 というわけで、経年のちょっともこもこした感じを出すために、タミヤの情景テクスチャーペイント路面ライトグレイを塗布してみました。 ![]() これはいつも基壇の石造り部分のテクスチャとして使っているものですが、色さえ気にしなければ檜皮葺的な表現にもいけるかと思いまして。4~5回くらい塗りました。それで概ね水平の線もほどよく隠れつつ(ちょっとは残ってもよい)、檜皮葺の柔らかさが出てくるのではないでしょうか。 そして、ダークグレイやブラウンの缶スプレーを交互に吹きつつ、ちょうどいい色合いにしてゆきます。 ![]() 具体的に色名をいうと、タミヤの「ダルレッド」を塗って、そして「ガンシップグレイ」を吹いて、それでやや暗くなりすぎたので、「ライトサンド」を軽く吹いてみたり、また繰り返したり。エアブラシがないので、塗料を混ぜてから塗布することができないのですが、こうして交互にスプレーするとむしろ檜皮葺感で出てきているように思います。綺麗に均一に塗ってしまうと、かえって経年劣化の檜皮葺の色の不均一が感じがなくなってしまうので。少々赤みが強くなってしまいましたが、全体を素木風に塗るので、多少屋根の色味は濃いめでよろしいでしょう。 というわけで、屋根のことばかりで終わってしまいました。 |
2020,09,22, Tuesday
西洋の黄色染料の代表格のひとつであるウェルド、数年前からタネの発芽を試みつつ、なかなかうまくいかなかったのですが、今年はついに一定量の収穫があったので、それを乾燥させていたのですが、いよいよ何か染めてみることにしました。
染色方法はあまり調べておりませんが、手元にあるエセル・メレの『植物染色』を参考にしていこうと思います。本来もっと計画的にやるべきところですが、あまり丁寧にやろうとすると、やるまえにいつの間にか日々が過ぎて機会を逃してしまうことが多いので、とりあえず黄色い色が出るのかどうかを確認するくらいということで、けっこう雑な感じで進めてゆきます。まぁ、一回目は軽くやってみてそれから情報を集めた方が理解しやすいということもありまして、逆に手を付けずに文献を調べていると言っている意味がわからないということもあって、はじめはいつもこんな感じですので。 というわけで、本当に黄色になるのか、煮出してみることに。 ![]() 煮始めるとすぐに水が黄色っぽくなって、沸騰して泡が立つと、その泡も黄色くて、確かに黄色が出ている感じはしました。お試しということで15gの乾燥葉をしばらく煮てみることに。エセル・メレには45分とありましたが、30分ほど煮続けたところで煮汁も少なくなってきたので、そこで止めておきました。ほんとはもっとたくさんの量を45分煮出すとよろしいのでしょう。 そして綿布というか、たまたまあった木綿ガーゼを浸してみます。 ![]() この布は事前にミョウバンと酒石酸(8:2)くらいの割合で先媒しております。なお、エセル・メレではミョウバンと酒石酸でとあったのですが、比率などは書かれていませんでした。煮汁はかなり茶色っぽく見えるかもしれませんが、薄めた状態だと、たいへんきれいなレモン色に見えます。 こちらが染めた布を乾燥させた状態ですが、ギリギリ黄色く染まっているというところでしょうか。 ![]() 画像では白っぽく見えますが、肉眼ではもうちょっと黄色い印象でした。黄土色とかじゃなくて、確かに黄色ではあるよなぁ、とは言えるでしょう。濡れていたときはもうちょっと黄色っぽかったのですが。隣は木綿のおしぼりですが、無媒染です。いずれにしても薄いので、綺麗で濃い黄色染めるには、まだ勉強が必要な模様です。単に濃くしようとすると赤茶っぽい色になりそうな予感もしますが、顔料化するとやはり以前下記の動画で撮ったウェルド顔料のような色味になるように思われました。いや確実にそうなるでしょう、という気がします。何が問題か、媒染剤か?土地の問題か? [Medici] 染料系顔料 黄色編 https://youtu.be/6SF-aM1nJh8 黄色の植物染料はいくつか試してみましたが、キハダが群を抜いて黄色いし、染めやすいというのは草木染めをやっている人から聞くことがありますが、同意見です。カリヤスも黄色を出すには複雑な工程が必要でした。その他もそんな感じでありましょう。サフランは濃そうですが、料理にしか使ったことがないので、個人的にはキハダの凄さが際立つ印象でありますが、レーキ顔料にする話は聞かないので、耐久性等の問題があるのかもしれません。天然染料の世界において、赤や青に比べると、黄色を鮮やかに出すというのは難易度高いと言えるのではないでしょうか。 |