アラビアゴムノキ近況
水彩絵具の媒材として知られるアラビアゴムは、アラビアゴムノキ(アカシア・セネガル)から出てくる水溶性の樹液からなるもので、水に溶け、乾けば固まる、という性質のもので、絵具の他には錠剤を固めたり、チョコレート、アイスクリームの形成材となったり広く使われております。アラビアゴムノキ(アカシア・セネガル)は主に北アフリカやアラビアで繁殖しているようですが、同じように水溶性の樹液で水彩絵具の媒材となり得る樹木は他にもあって、日本では桜の木から出ている樹液で顔料を溶くと、概ね水彩絵具的な使い方が可能となります。その他の樹木は中世ドイツのテオフィルス筆「さまざまの技法」でも紹介されておます。
で、アラビアゴムノキですが、ずいぶん前から種子が欲しかったのですが、最近になって国内のネットショップで扱われるようになっておりましたので、購入してみた次第です。私が見つけたのは2件のショップですが、Yahooショッピングに出店されているお店が価格設定が安めでありました。種の植え方ですが、種を茶碗に入れて、90℃の熱湯を注ぎ、常温に冷めたころに冷蔵庫に入れて24時間保管、その後、育苗ポットにて、市販の野菜用培養土を使って植えました。赤玉土のみだと覆土が硬くなりすぎることがあって、アラビアゴムの、豆のように大きな種子の頭が出てこられないことがありましたので、軽めの培養土が向いているかのやもしれません。
アラビアゴムノキ
育苗ポットに植える際、各ポットに2~3個の種子を植えた方がしっかり成長するようです。植物の種子は隣に同種のものがあると、競い合って伸びると言われていることもありますが、今回は複数撒いたものが出芽も育成も、明らかな差がでるくらい良好でした。1個だけのものは出芽する確率も低く、出芽しても育ちが悪くやがて腐ってしまったりという具合でした。実はつい先日、6月後半にという時期にも植えてみまして、もうすっかり夏日の日もありまして、種を植えるには季節外れかと思いましたが、それはあまり関係ないというか、そもそも北アフリカやアラビアなどの気候下にある植物ですから、むしろちょうどいいのかもしれず、わずか数日でそれなりの本数に芽が出てきました。以上のような方法で、概ね半数の種子が発芽します。

5月に植えたものは現在、以下のような状態になっております。
アラビアゴムノキ
写真では同じ鉢に2本植えておりますが、もうちょっと大きくなったら、分けて植え直そうと考えております。図鑑でみるようなアカシア・セネガルの葉に近いように見えます。もっと大きくなるまで、これが実際にアカシア・セネガルなのか確実なところはまだわかりませんが、同じアカシアのミモザは国内のホームセンターでよく売ってますが、葉の付き方は似ております。アカシアセネガルの図を見る限り、ミモザアカシアと似たような花が付いているので、もしかしたら区別も難しいかもしれません。ちなみにミモザも東北で越冬が難しく、一度失敗していますが、再び購入しております。

| 絵画材料 | 04:53 PM | comments (0) | trackback (0) |
フジミ模型「清水寺舞台」 1/400 制作記 その1(檜皮葺屋根の塗装)
なんと、あと1ヶ月で1年が終わってしまうのですか。何の目標も達せられずというところですが、日本の建築について勉強中なので、せっせと資料を参照しつつ、模型を組み立ててゆきましょう。缶スプレーの消費量が多いので、エアコンプレッサーを買った方が経済的なような気もしてきましたが、模型作りは一過性の趣味のような気もするので、買って放置してしまうのが心配なので、踏ん切りがつかないところです。職業柄、旅行は控えているので、今は模型で構造を把握しつつ、春になったら実物を見に遠出してみたい、というふうに考えているわけですが、今回はフジミ模型「清水寺舞台」 1/400を作ってみます。
フジミ模型「清水寺舞台」
清水は単なる観光地のように思ってしまいがちですが、非常に古い歴史を持つ寺院で興味深い経歴がありますが、それはともかくとして、模型を作る場合に気になるのは本来どのような色であったのかという点です。今では厳めしい雰囲気の建物でも、かつては極彩色であったというのはよくあることでして、私としては本堂が歴史上どんな色をしていたのかというのを確認したくて、資料を探そうとはしたのですが、そのことに言及されている本は見つけられなかったので、とりあえずは美術全集などに掲載されている洛中洛外図を参照することにしました。清水寺はたいてい登場しますが、昔から概ね素木のような色をしている絵が多い模様です。山形にあるということで、何度か実物を拝見したこともある上杉本も、寺院内にある仏塔等が朱色であるのに対して、舞台や本堂は素木のように描かれています。ただし、舞台を支える柱は何故か黒く描かれていたのですが、清掃されずに汚れが蓄積されたのか、あるいは漆でも塗ってあったのか、気になるところです。なお、現在の清水寺は1633年の再建であるからして、狩野永徳作である上杉本洛中洛外図は再建以前の様子なのであろうと思うのですが、建物の姿は現在のものとそっくりです。というわけで、もっと調べてもいいのですが、今は広く浅く調べて、どんどん組み立てていこうと思うので、下調べは今は打ち切って、とりあずは無理に派手に塗る必要はないという結論に至りました。

では、まずは塗装です。屋根からいきましょう。清水の屋根は檜皮葺であります。檜の樹皮を重ねて葺くという、たいへん手の込んだ屋根ですが、この檜皮葺に注目して塗装したいところです。いつの日か、石山寺多宝塔にリベンジしたいのですが、あれも檜皮葺であり、ここで檜皮葺のノウハウを構築したい。日本伝統建築と言えば、瓦葺き、檜皮葺、こけら葺きの三種が代表といえますが、実例を普段からよく観察しておくのが大事でありますな。本当は県内にある檜皮葺の屋根を見に行きたかったのですが、なんか疲れてしまってgoogleで画像検索して済ませてしまっているけれども、今度見に行ってみようと思います。
フジミ模型「清水寺舞台」
で、これが屋根のパーツですが、水平の線がモールドされておりますが、これが檜の皮を重ねた跡ということなのでありましょう。吹き替えたばかり檜皮葺屋根では、職人が綺麗に積み重ねた段差が見えるわけですが、さすがに1/400のスケールではこのパーツのようにはならず、見えなくくらいの段差になってしまうとは思いますが、模型に対してそんなことをいうのも無粋ではありますが、でも何か工夫せねばなりません。また、檜皮葺の屋根は時間の経過で様相がかなり変化し、30年くらいで葺替えせねばならぬようですが(清水本堂は50年に1度)、ちょっと年数が経ったくらいの状態が模型としては魅力的でもあります。
というわけで、経年のちょっともこもこした感じを出すために、タミヤの情景テクスチャーペイント路面ライトグレイを塗布してみました。
フジミ模型「清水寺舞台」
これはいつも基壇の石造り部分のテクスチャとして使っているものですが、色さえ気にしなければ檜皮葺的な表現にもいけるかと思いまして。4~5回くらい塗りました。それで概ね水平の線もほどよく隠れつつ(ちょっとは残ってもよい)、檜皮葺の柔らかさが出てくるのではないでしょうか。

そして、ダークグレイやブラウンの缶スプレーを交互に吹きつつ、ちょうどいい色合いにしてゆきます。
フジミ模型「清水寺舞台」
具体的に色名をいうと、タミヤの「ダルレッド」を塗って、そして「ガンシップグレイ」を吹いて、それでやや暗くなりすぎたので、「ライトサンド」を軽く吹いてみたり、また繰り返したり。エアブラシがないので、塗料を混ぜてから塗布することができないのですが、こうして交互にスプレーするとむしろ檜皮葺感で出てきているように思います。綺麗に均一に塗ってしまうと、かえって経年劣化の檜皮葺の色の不均一が感じがなくなってしまうので。少々赤みが強くなってしまいましたが、全体を素木風に塗るので、多少屋根の色味は濃いめでよろしいでしょう。

というわけで、屋根のことばかりで終わってしまいました。

| 絵画材料 | 10:56 PM | comments (0) | trackback (0) |
オリーブの搾油を試みる。
随分前から自宅にオリーブを植えているのですが、そもそもの理由はオイルを絞りたかったから、という理由でありました。絵画材料の中でもメディウムに関心の高いわたくしは、一時期、さまざまの材料からの搾油を試みたことがありましたが、ふつうは植物油というのは種子を圧搾して得るものなのですが、オリーブの場合は果実から油が採れるのです。それは試してみたい。オリーブは非乾性油なので油彩画の媒材にはならないのですが、それでもまぁ、これは試しておかねばならないような気がして。と言っても、なかなかオリーブの新鮮な実を買えるという機会はなさそうだったので、苗から育ててみたのです。しかも結実するように、品種の違うものを2本。

それから何年経ったか、わからなくなってしまいましたが、そろそろ奮起せねばと思って、農文協の「オリーブの絵本」やら、ネットの情報を参照しつつ、搾油を試みてみました。なお、オリーブの搾油の件に関しては「オリーブの絵本」は実際にやってみると、内容に不明瞭な点があって、搾油に関しては他の資料をあたった方がよろしいでしょう。

というわけで、こんな感じで黒く熟した実がついております。
オリーブの搾油

集めてみたところです。
オリーブの搾油
そんなに多くありません。果たしてこんな量で油が得られるのか。なお、若干、青い実も混ざっていますが、あとからわかりましたが、なお、青い実は堅くて潰すのが難しいと感じましたので、黒く柔らかくなった、あるいは手でそっとひっぱるともげるくらいの実を採取するのがよいと思います。

厚めのビニールのパックに入れて、手で揉んだり潰したりしていきます。
オリーブの搾油

1時間もかけてようやくこのくらいになりました。オリーブの濃厚な香りがします。
オリーブの搾油

二重のガーゼで包んで絞ります。
オリーブの搾油

さあ、出てきた液体ですが、分離して、油は上層にきます。
オリーブの搾油

日の当たる場所で、分離を待っていましたが、以下のようになりました。
オリーブの搾油
おそらく下層は水溶性の成分、上層は油、中間はなにかわかりませんが、何かの粘性物質でありましょうか。これは低温圧搾亜麻仁油を精製するときのと似てて関連性が気になるところです。

写真のようにごく少量しか油は得られなかったのですが、味見してみましたが、意外と苦くなかったです。まろやかな感じでありました。少量過ぎて風味まではコメントできないのですが。いずれにしても、古代ギリシアでオリーブオイルは重要な輸出品であり、そのための壺も人気の工芸品であり、という話ですが、種からよりはずっと絞りやすいとは言えるものの、やはりプリミティブな環境で植物油を得るにはそれなりの労力が必要であるなぁと感じました。

| 絵画材料 | 06:15 PM | comments (0) | trackback (0) |
ウェルドで木綿を染めてみた。
西洋の黄色染料の代表格のひとつであるウェルド、数年前からタネの発芽を試みつつ、なかなかうまくいかなかったのですが、今年はついに一定量の収穫があったので、それを乾燥させていたのですが、いよいよ何か染めてみることにしました。

染色方法はあまり調べておりませんが、手元にあるエセル・メレの『植物染色』を参考にしていこうと思います。本来もっと計画的にやるべきところですが、あまり丁寧にやろうとすると、やるまえにいつの間にか日々が過ぎて機会を逃してしまうことが多いので、とりあえず黄色い色が出るのかどうかを確認するくらいということで、けっこう雑な感じで進めてゆきます。まぁ、一回目は軽くやってみてそれから情報を集めた方が理解しやすいということもありまして、逆に手を付けずに文献を調べていると言っている意味がわからないということもあって、はじめはいつもこんな感じですので。

というわけで、本当に黄色になるのか、煮出してみることに。
ウェルド
煮始めるとすぐに水が黄色っぽくなって、沸騰して泡が立つと、その泡も黄色くて、確かに黄色が出ている感じはしました。お試しということで15gの乾燥葉をしばらく煮てみることに。エセル・メレには45分とありましたが、30分ほど煮続けたところで煮汁も少なくなってきたので、そこで止めておきました。ほんとはもっとたくさんの量を45分煮出すとよろしいのでしょう。

そして綿布というか、たまたまあった木綿ガーゼを浸してみます。
ウェルド
この布は事前にミョウバンと酒石酸(8:2)くらいの割合で先媒しております。なお、エセル・メレではミョウバンと酒石酸でとあったのですが、比率などは書かれていませんでした。煮汁はかなり茶色っぽく見えるかもしれませんが、薄めた状態だと、たいへんきれいなレモン色に見えます。

こちらが染めた布を乾燥させた状態ですが、ギリギリ黄色く染まっているというところでしょうか。
ウェルド
画像では白っぽく見えますが、肉眼ではもうちょっと黄色い印象でした。黄土色とかじゃなくて、確かに黄色ではあるよなぁ、とは言えるでしょう。濡れていたときはもうちょっと黄色っぽかったのですが。隣は木綿のおしぼりですが、無媒染です。いずれにしても薄いので、綺麗で濃い黄色染めるには、まだ勉強が必要な模様です。単に濃くしようとすると赤茶っぽい色になりそうな予感もしますが、顔料化するとやはり以前下記の動画で撮ったウェルド顔料のような色味になるように思われました。いや確実にそうなるでしょう、という気がします。何が問題か、媒染剤か?土地の問題か?
[Medici] 染料系顔料 黄色編
https://youtu.be/6SF-aM1nJh8

黄色の植物染料はいくつか試してみましたが、キハダが群を抜いて黄色いし、染めやすいというのは草木染めをやっている人から聞くことがありますが、同意見です。カリヤスも黄色を出すには複雑な工程が必要でした。その他もそんな感じでありましょう。サフランは濃そうですが、料理にしか使ったことがないので、個人的にはキハダの凄さが際立つ印象でありますが、レーキ顔料にする話は聞かないので、耐久性等の問題があるのかもしれません。天然染料の世界において、赤や青に比べると、黄色を鮮やかに出すというのは難易度高いと言えるのではないでしょうか。

| 絵画材料 | 08:41 PM | comments (0) | trackback (0) |
自宅のキハダから染料を取ってみる その2
自宅に植えていたキハダの木から黄色の染料を採って染めみる話のその2です。実際に染めに入ります。

さて、集めたキハダの樹皮であるけれども、前にも書きましたが、表皮と黄色層の間に緑の層があって、木から剥がした時点では緑の層が密着してるんですが、これってふつうどうするんですかね。
私は一応、手短にできる範囲で取り除いておきました。
キハダ
放っていても、やがて薄茶色になるだけで、染料としてそれほど大きな影響はなさそうですが。もし取り除くならば、まだ樹皮が木についている状態のときに刮いでしまった方が楽であろうかと思います。

そして、こちらが数日乾燥させた状態。
キハダ
もっと乾燥させたらどうなるのか見たいところですが、早く試してみたいので、今回はこの程度で。

染めるのは、Amazonで買った小サイズ木綿ハンカチ10枚入りの2枚。
キハダ

キハダ樹皮を煮出してみる。
キハダ
すぐに黄色い汁が出てくる。

キハダ
20分ほど煮たところで、樹皮を取り出して木綿ハンカチを入れてみたところ。

素晴らしい。立派な黄色に染まりました。
キハダ
黄土っぽい黄色とかじゃなくて、レモンイエローのような鮮やかな黄色。これはすごい。黄色と言われている色でも実は茶色っぽかったり、あるいは少量の染料しか採れなかったりとかいろいろガッカリすることがありますが、キハダは文句なくイエロー色であり、そこそこの量を染めることができるということで、大変立派な黄色です。
なお、2枚染めた布のうち、1枚は明礬で媒染しておいたのだけど、媒染なしとで見た目の色の変化はほとんどなかった。耐久性は変わるかもしれないけど。

キハダ
数日経って、皮を剥いたキハダ樹木を見たら、白く生々しかった樹幹が緑色になっていました。

さらに3週間ほど経ったところ、すでに樹皮と黄色の層っぽいものが形成されはじめており、すごい回復力だと関心。
キハダ
いや、これなら毎年取れるのではないか。

ちなみに、樹液も大量に出てきたのでのだけれども、どうも水溶性っぽいので、次はこれでアラビアゴム的な使い方ができるか試してみたいと思います。

| 絵画材料 | 07:56 PM | comments (0) | trackback (0) |
自宅のキハダから染料を取ってみる その1
2014年の3月、今から5年半ほど前ですが、自宅にキハダの苗を植えたのだけれども、だいぶ大きくなってきました。
キハダ
購入当時の記事は↓を参照ください。
http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1179

そのキハダですが、樹皮を少々削ってみたら、黄色いものが見えたので、これはもう染料が採れるのではないか、ちょっと試してみようとやってみました。画材店で染料用のキハダチップを買って使ったことはあるけれど、生きてる木から取るのは初めてです。ちょっと調べてからやろうかなと思ったが、予備知識は無しでいってみることにしました。攻略本読みながらゲームやるとつまんないのと同じで、あまり調べすぎると感動がいまいちであるし、全く失敗しないと得る知識も少なかったりするものなので、じっくり調べているとついつい先延ばしになって何もしないで終わるパターンになりがちなもので。

というわけで、家にあった包丁で木の表皮を削ってみました。
キハダ
写真をご覧の通り、表面の茶色い表皮を削ると緑の層が出てきて、その下の黄色の樹皮の層があるようです。

キハダ
緑の層は、染色の時に余計な色素として邪魔になりそうなので、包丁で削り落としてみました。今は緑ですが、乾燥すると茶色になると思います。これは後で削り取った方がいいのか、それともこの状態で取った方がいいのか、あるいは放置したままで染色にほとんど影響ないのかわかりませんが、まぁ、あとで考えましょう。

キハダ
そして、包丁で黄色い部分を剥き取っていこう、と思ったのですが、黄色の層はそれほど厚くもなく、すぐ白い中身が現れてきました。まぁ、キハダという名前の意味が黄色い肌ということなんでしょうね。

キハダ
切込みを入れれば手でも剥がせるみたいです。生の木から取ると、なんかパパイヤを切っているみたいです。美味しそうですが、ちょっとないくらい非常に苦いです。昔は胃薬として嚼んでたとも聞きますが、ちょっと嚼んだだけで気持ち悪くなりました。

黄色層を剥かれてしまった状態です。
キハダ
ちょっと気の毒ですね。昔は皆、山に行ってこうやって樹皮を取ってきたらしいですが。

外側から、茶色い表皮、緑の層、黄色層、本体?となっています。
キハダ

というわけで、集めてみたキハダ染料、次回はこれで染色を試みてみたいと思います。
キハダ

| 絵画材料 | 12:40 AM | comments (0) | trackback (0) |
画家鳥越一穂氏の作品届く
画家鳥越一穂氏の作品が届きました。
鳥越一穂氏、および作品等について詳細は下記を参照ください。
http://torigoeart.wixsite.com/medici

今回はM10ということで、これまでのたぶん巡回している作品の中では大きなサイズかと思われます。
さっそく設置してみました。
鳥越一穂作品

いろいろと聞きたいことも多かったので、せっかくですから、作者に語ってもらいつつ動画にしてみようということになり、以下の動画を作成するに至りました。よかったらご覧ください。
まずはモチーフについてです。

非常にモチーフの多い作品で、西洋絵画、とくにバロック期あたりの静物画を見慣れていると、けっこう馴染みのあるモチーフが多々出てきます。テーブル中央には蟹、これはやはり西洋の静物画にはよく見かけるモチーフでもっと大きくデカデカと描かれていることもあります。蟹、魚などは私も取り組んでみたいモチーフです。もっとも、一般的日本人、というか別に西洋人でも、現代ではどれくらい共感を得られるか、言い換えれば、売上に繋がるか、という点は心配なところがありますが、作者本人に聞いたところでは、やはり売りにくい要素だとのころでした。その他、各モチーフについて語って頂いております。

次は技法面です。

作品の表面はとても綺麗です。おそらくはきちんと油、樹脂等のメディウムを追加しつつ描画し、仕上げニスも塗布してあり、油絵らしい艶やかな画面となっています。キャンバスから制作工程などについて語って頂きました。

| 絵画材料 | 10:00 PM | comments (0) | trackback (0) |
コーパルに関する動画#3
様々の種類のコーパル樹脂についてマニアックに語っている動画の第3弾を公開しました。

実はずっと前に鳥越さんが編集を終えていたのですが、ここまでくると誰も興味ないだろうと思って公開を控えてもらっていました。が、そのままにしておくのももったいないので、年末年始のあまり人が居なそうな隙に公開しようという話になりました。まだ続きがありまして、3日連続で公開していく模様です。

ちょっと補足たい事項があります。ザンジバル島はかつてオマーン国が支配していた時期があり、それどころがザンジバルを首都に定めて、奴隷貿易、その他の貿易を行なっていたということですが、樹脂も大量に出荷されたことでしょう。ザンジバルは比較的小さな島です。興味深いのはマダガスカル島かもしれません。マダガスカル島はけっこう大きな島です。最近、生物進化についての本を読んだらそこでちょっとマダガスカル島に触れられていたのですが、マダガスカル島の森林の歴史は是非とも詳しく読んでみたいところです。そして、最近気になっているのは大陸の大移動です。超大陸パンゲアがバラバラになる当初の地図を見ていると、アフリカと中南米大陸はぴったりとくっついていたし、バルト海も近かったかもしれない。コーパルを出す樹木の進化に関係あるかもしれません。東南アジアはあんまり近くなったけど、あっちのコーパル樹木は属が違うし別ものなのでしょう。などと適当に考えたことを書いてみましたが、しかし、これらについて調べるような時間はたぶんないですね。



| 絵画材料 | 12:03 PM | comments (2) | trackback (0) |
天然ウルトラマリンの抽出実演動画 後編
前回、ラピスラズリ岩石を砕き、樹脂などでパテを作るところまで進みましたが、いよいよ抽出の場面です。

[Medici] 実践・天然ウルトラマリンの抽出 #2


チェンニーニの方法では、器と灰汁を換えつつ、くり返し抽出してゆくのですが、初めの方は濃い青が採れ、徐々に薄くなってゆき、最後の方にはアッシュブルーといったような灰色がかった青になります。しかし、実際やってみると、2番目の方が濃かったりします。

抽出後は丁寧に洗浄して完成となるのですが、そちらも収録して公開済です。

[Medici] 実践・天然ウルトラマリンの抽出 #3 天然ウルトラマリン顔料の完成~比較


抽出の段階によって、様々な色味、粒径のウルトラマリンが得られますが、どれがベストなのかというと、展色剤に何を使うかによっても変わってきそうな気がします。油絵具にするのか、テンペラで使うか、写本のようにゴムで使うか。また、この方法で抽出した後に、水簸などで粒径を分けることによっても、違うグレードの顔料ができるかと思いますが、その辺も動画で語っております。

| 絵画材料 | 11:04 PM | comments (9) | trackback (0) |
アガチスの木材サンプルを見つける
とある場所で木材のサンプルがいっぱい詰まった箱を見つけました。
かなり古いものです。インドネシア産の木材を中心に、かなりの数のサンプルが入っておりましたが、全て英語表記であり、当時の担当者がカタカナのシールを貼った形跡があります。まぁ、それはいいんですが、ちょっと眺めていたら、アガチスのサンプルが入っていました。
アガチス
アガチスはコーパル樹脂を産む樹種で、昨年公開した樹脂動画で散々語ったものです。

持った感じは、イメージしていたものよりも軽い感じがします。
アガチス
USESの欄を見ると、製紙などに使われたみたいですね。TRADE NAMEのところにDAMERと書かれていますが、この樹から出る樹脂はコーパルであって、ダンマルではありません。という話は経緯も含めて以下の動画を参照ください。



| 絵画材料 | 09:50 PM | comments (0) | trackback (0) |

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