最近読んだ本:倉本一宏『壬申の乱』他
最近、なんだかやる気が出ないというか、無気力でどうしようもない感じなのですが、せめて本でも読んでおこうと思っていろいろ読んでます。

倉本一宏(著)『戦争の日本史2 壬申の乱』
私は日本史の中では、古墳時代から古代全般にかけてが好きです。応仁の乱について読んでるときより、壬申の乱について読んでるときの方がよっぽど楽しい。しかし、どの記述で読んでも、壬申の乱における大海人の吉野脱出から進軍経緯は奇跡のような連鎖なのだけれども、そもそも大海人が近江から吉野に出て行く時点で、一般的な史書の理由では説明が付かない的なところはあります。本書は本当の首謀者を鸕野讚良としており、草壁皇子を大王位に即かせる為とされている。しかし、本書を読んでいると、壬申の乱は大海人陣営の奇跡のような連携で勝利しているけれども、けっこう綱渡り的なところもあって、ただチャンスを待つのと、あのようなリスクを犯して行動に出るのと、どっちがいいのだろうか。私としては対外政策など、その他諸々の面で近江朝廷を刷新せねばならず、それには戦争しかなかったのではないか、というふうに思えるような気がする。事実、日本が大きく変わる転換点であったわけだし。
いずれにしても夢中になって読めて、現世の煩わしさを一時忘れることができました。

竹中亨(著)『ヴィルヘルム2世 ドイツ帝国と命運を共にした「国民皇帝」』
ヴィルヘルム2世の評伝であるが、これは第一次大戦発生の原因について考えるにもいい本かもしれません。第一次大戦がどうして発生したのか、というのは少々難しいわけですが。

アラン・エルランド=ブランダンブルグ(著)『大聖堂ものがたり:聖なる建築物をつくった人々 (「知の再発見」双書)』
大聖堂建築に関する本は山ほど読みましたが、どちらかというと建築の構造的な面(例えばロマネスクとゴシックの違いなど)とか、ステンドグラスの意匠、その他芸術的な側面に関するものが多かったのですが、本書はそういうのはほとんど語らず、発注者や建築家、材料の運搬や契約書といった面について書かれてありまして、これはこれで大変勉強になりました。

本郷和人(著)『壬申の乱と関ヶ原の戦い なぜ同じ場所で戦われたのか』
古代最大の内乱である壬申の乱の重要ポイントと、後の関ヶ原の戦いの決戦場がある位置が被っているわけですが、そこが日本の東西を分ける重要なポイントであり、実はふたつの日本がある、というようなダイナミックな序章があるのですが、けっこう期待して読み始めたところが、後半に行くにしたがって、普通に関ヶ原の戦いについて述べているような感じになってしまったのが残念です。

山本芳久(著)『トマス・アクィナス 理性と神秘』
中世美術についての動画を撮ったりなどしていましたが(https://youtu.be/ryiUc89Dikg?list=PLlnnJ9YY7hQj8hqLutRXy4sKgld5urCGJ)、テオフィルスをはじめとする技術的な本ばかり読んでいて、それ以外については勉強が足らなかったと思い、中世関連を乱読しているところです。なかなか進みませんが。
本書によれば「日本語訳で全四十五巻にも及ぶ『神学大全』は、彼の著作の七分の一程度にすぎない・・・とりわけ晩年のトマスは、現代の研究者が読む速度よりも速い速度で書いていた計算せざるをえないほどのアウトプットを残している。トマスの著作群は、西洋の偉大な哲学者たちのなかでも群を抜いて膨大であり、専門の研究者であっても、そのごく一部しか読んだことがないというの実情だ」とのことですが、これはすごい。なんというか目眩がするというか。しかし、アウトプット量よりも気になるのは、年代的にみておそらくは羊皮紙に書いたのであろうと思われるが、羊皮紙の値段も凄かったであろう。それだけの羊皮紙、手に入ったのは、フリードリヒⅡ世時代のイタリアだったからか。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 04:23 PM | comments (0) | trackback (0) |
ラクティスのSPORTボタン
トヨタ・ラクティスの1.5Lモデルには、ハンドルの影の目立たない所にSPORTというボタンが付いていて、これを押してSPORTモードにすると、普段より千回転くらいエンジンの回転数が上がる。説明書には「カーブの多い山道や高速で走行するときに適しています」とあるだけで、詳細には触れられていない。予想としては、CVTのギアチェンジみたいなものの調整が、通常モードよりもエンジンが高回転になるように調整されているのかな、というふうに思われる。燃費が悪くなるだけだろうと思って使ったことがなかったけれども、試しにONにしてドライブしてみたらアクセルペダル操作に対する反応が機敏で、まるで身体と車が一体になったかのような操作感である。面白い。背中を押されるように加速するし、アクセル離すとエンジンブレーキがグイっと効いて車と一体になったみたいである。微妙なアクセルワークで操縦できると言った感じか。とっさのときの危険回避などを考えるとこれは重要な点である。エンジンの回転数が上がるとエンジンブレーキの効きも強くなるのか。確かにそりゃそうだ。普通モードでは下り坂の減速時などは滑るような感覚があったのだが、しっかりと地面を捉えているような感じになる。雪道などではブレーキを踏んで滑るようなことも少なくなるであろう。仙台は妙に起伏のある大交差点が多々あるので、SPORTモードだとちょっと安心な気がする。
不思議なことにカーブでも安定して曲がっているような気がする。全高が高い車なので、キツいカーブの交差点などでは、ちょっと不安定な感じがするのだけれども、SPORTモードにすると、まるで地面に吸い付いているかのように安定して曲がるのである。これはエンジンブレーキが利いている為かもしれない。普段感じ出ているラクティスの操作感的なところでは、カーブの時にアンダーステア気味なんじゃないかなと思って不安になることがあるのだけれども、実は最近の車は危険を意識させる為に意図的にアンダーステア気味になるのように調整されているという話も聞くのだが、SPORTモードではそれも調整されているのではないか。まぁ、そんなことはないか。
というわけで、CVTでエコ的な感じに調整されていたのだけれど、SPORTボタンを押せば、なかなかの性能が引き出せたというか、それなりにいい車だったのだなぁと今更気がついたところですが、自動車税毎年34500円というのは、なんかちょっと確かに払いたくなくなってくるところもあるし、車検のときは重量税もあるしで、次ぎ買うときは軽自動車でもいいなかと思いはじめたところですが、今はたまたまけっこう距離のあるところに通勤することになったので、1.5Lモデルにしておいてよかったかなと。一応役には立っているなぁ、と。あと6年くらいは乗りたいところである。車で遠くに行くとか、そういうのはこの車のうちにやっておきたいかなと。

| 家電・パソコン | 11:29 PM | comments (0) | trackback (0) |
画家鳥越一穂氏の作品届く
画家鳥越一穂氏の作品が届きました。
鳥越一穂氏、および作品等について詳細は下記を参照ください。
http://torigoeart.wixsite.com/medici

今回はM10ということで、これまでのたぶん巡回している作品の中では大きなサイズかと思われます。
さっそく設置してみました。
鳥越一穂作品

いろいろと聞きたいことも多かったので、せっかくですから、作者に語ってもらいつつ動画にしてみようということになり、以下の動画を作成するに至りました。よかったらご覧ください。
まずはモチーフについてです。

非常にモチーフの多い作品で、西洋絵画、とくにバロック期あたりの静物画を見慣れていると、けっこう馴染みのあるモチーフが多々出てきます。テーブル中央には蟹、これはやはり西洋の静物画にはよく見かけるモチーフでもっと大きくデカデカと描かれていることもあります。蟹、魚などは私も取り組んでみたいモチーフです。もっとも、一般的日本人、というか別に西洋人でも、現代ではどれくらい共感を得られるか、言い換えれば、売上に繋がるか、という点は心配なところがありますが、作者本人に聞いたところでは、やはり売りにくい要素だとのころでした。その他、各モチーフについて語って頂いております。

次は技法面です。

作品の表面はとても綺麗です。おそらくはきちんと油、樹脂等のメディウムを追加しつつ描画し、仕上げニスも塗布してあり、油絵らしい艶やかな画面となっています。キャンバスから制作工程などについて語って頂きました。

| 絵画材料 | 10:00 PM | comments (0) | trackback (0) |
テンシュテットEMI録音ボックス(CD14枚組)を聴く。
4月から勤め先が変わって、自家用車で片道55分かかるようになったので、その間に、買いためていたBOX CDセットなどを順次聴いていくことにしました。何しろ往復2時間ですから。仙台の町中は常日頃から渋滞しており、私がこどもの頃からずっと渋滞で、その後数々の道路ができてもやっぱり渋滞しているということは、きっとそれだけ繁栄しているということで、まぁ、東北の他都市の状況から考えたらきっといいことなんでしょう。ちょっと疲れますが。それはともかくとして、ここ数年、紙ケースに入った輸入盤ボックスセットが大変安価に売られているので、思わずぽんぽん買ってしまうけれども実際にはほとんどケースから出しもせずに積まれてゆくという状況であって、これもなんとかしたいとは思っているところで。私が学生の頃はクラシックのCDもめっちゃ高くて種類も少なくて、3000円くらい出して買った1枚のCDをひたすら熱心に聴き込んだものですが、最近は3000円で10枚以上入ったBOXが買えて、そして、ヘタすると開封もせずに積み上げられていくという嘆かわしい状況ですが、昔に戻りたいと思ったことは一度もないです。

まずは、指揮者クラウス・テンシュテットのEMI録音ボックス(CD14枚組) Klaus Tennstedt - The Great Recordingsというのを聴き通してみましたので、印象に残ったものをコメントしておきたいと思います。
CD1:ベートーヴェンのエロイカ、第3楽章がよかったです。ふつうスケルツォはそれほど重要視されることはなさそうな感じですが、これはなかなか立派なスケルツォであり、個人的は初めてこの楽章の素晴らしさを実感した感があります。
CD2:ベートーヴェンの田園ですが、これは素晴らしい。私は初めて田園の素晴らしさを知った、という感じがします。特に4、5楽章がとても良い。ドラマチックな中にも交響曲的な美しさもありで、数多ある田園の録音の中でも一押しと言えるでしょう。
CD5:ブルックナーの交響曲第4番ですが、第1~第2楽章は私が聴いた中ではベストと言える演奏かと思いました。3楽章以降はケルテスの方がいいかなぁと思いますが。
CD6:ブルックナーの8番。これは以前から聴いており、個人的にこの曲で最もよく聴く録音であって、けっこう万人にお薦めと言えます。
CD9:これはR・シュトラウスの交響詩ツァラトゥストラかく語りき、及び死と変容などが収められていますが、いずれもいい演奏です。死と変容はけっこう感動的でした。
CD11:ワーグナーの管弦楽曲集、主に各オペラの序曲ですが、中でもローエングリンが気に入っています。トリスタンとイゾルデの序曲がなかったの残念です。なお、指輪のハイライト管弦楽曲集もありましたが、これは個人的には期待が大きすぎたせいもあり、ちょっとガッカリでした。テンシュテットのテンションで全曲演奏など聴いてみたかったところですが、存在するのでしょうか。
CD12:メンデスゾーンの交響曲第4番イタリアですが、この曲はもともとあんまり好みではなかったのですが、この録音を聴いてちょっといいなと思いました。
実はテンシュテット自体を知ったのが数年前であり、そんなに詳しくないのですが、まだ知らない方がおりましたら、このBOXは大変お買い得と言えるでしょう。テンシュテットはマーラー指揮者として知られているようですが、私はマーラーはあまり聴いてこなかったので、この機会にテンシュテット指揮のマーラーのBOXの方も買ってみようかと考えております。


| 音楽 | 10:58 PM | comments (0) | trackback (0) |
荒木慎也(著)『石膏デッサンの100年 石膏像から学ぶ美術教育史』読了
荒木慎也(著)『石膏デッサンの100年 石膏像から学ぶ美術教育史』読了

昨年アトリエラポルトさんにお邪魔したときに、大変面白いとお薦めされた本ですが、ようやく読みました。確かにこれは面白いです。特にちょっと前の世代で美大受験を経験していると、漠然といろいろ疑問に思っていた事柄が明らかになったり、あるいはそうならないまでも、それなりに明文化されてすこし気分がよくなります。ちょっと内容についてコメントしてみます。

かつて各国の美術館で、石膏像を展示するスペースがあったということ、というよりむしろ石膏像展示がメインともいえるものだったというのは非常に興味深いところです。英国のヴィクトリア&アルバート博物館(これは大英博物館に匹敵するぐらいの大きな博物館ですが)に古代ローマやイタリアルネサンス期、その他いろいろな時代の石膏像が展示されているスペースが今でも残っていますが、これは職人の教育などを重視した特殊な例かと思っていたのですが、実はこのような石膏展示室がヨーロッパとアメリカの大美術館にあったそうで、というよりまさに石膏展示をメインとしてはじまったようなところもあったとか。今のように気軽に海外旅行したり、映像で見たりすることができない頃には、そして古典古代が重んじられていた頃にはかなり有用だったことかと思います。ちなみに個人的に現在、新古典派についての本を読みあさっておりまして、その点でも語りたいことは山ほどあるのですが、それは置いておくとして・・・

日本の美術教育ということになると、工部美術学校で行われた石膏デッサンは、今日の洋画系でよく使う木炭ではなく、擦筆によるデッサンだったとか、そして作例の写真が掲載されていましたが、これは現代の写実画家養成向けとして復活できそうな要素かもしれません。模写→石膏デッサン→静物や人物デッサン、の流れは理にかなってますよね。使われる用紙の大きさに統一性がないというのもいいのかもしれません。予備校生みたいに職人芸みたいに石膏デッサンできるようになるくらいやってしまうと明らかにおかしいけれども、頭像、胸像、全身像みたいな流れで5~6枚くらいやるならとてもいいんじゃないかと。ま、それは余談ですが。その後、東京美術学校の洋画科では、黒田清輝指導の元、木炭が道具として使われますが、今日見る木炭デッサンとは真逆の性向である、線を重視したデッサンであり、やはり作例が載っていましたが、スカスカに見えて、今の目で見るとこれになんの意味が、思ってしまわないでもないのですが。なお、昔から美術学校の入試向けの美術研究所はあったようですが、東京美術学校の先生が指導していたそうなので、連続した感じの指導になっていたかと思うと、なかなか魅力的なところはなきにしもあらずです。ところで、我々は予備校のことを研究所って呼んだりしてますが、研究というたいそうなものじゃなくて受験準備がメインなのに、なんて研究所って呼ぶのでしょうかね。

それからだいぶ後になりますが、安井曾太郎が東京美術学校で教鞭を執ることになり、安井曾太郎のデッサンは非常に有名ですが、あのような暗い背景に人物が浮かび上がるような迫力あるデッサンがブームとなったと。構図も紙に目一杯石膏像を描くという、現在見る構図の石膏デッサンになってゆく。私はある程度木炭になれてからは背景を塗りつぶして、白い石膏像が浮かび上がるかのような感じで描いていましたが、それは予備校の先輩でそういうふうに描く人がたまに居て、それがたまたま非常に上手かったということもあって、感化されてそうしていたというものだったのだけれども、これはもしかしたら安井曾太郎の指導が、巡り巡って東北の高校生にまで影響した結果だったのかもしれません。今思うとそうだったのだろうと。安井曾太郎のデッサンを知るのは大学生になってからでしたが。

石膏デッサンの是非はともかくとして、私は胸像だけではなくて、全身像の石膏デッサンをやらないと修業として片手落ちなのでは、というのは昔から思ってました。同じような考えはやはりあったらしく、大学や予備校で全身像の石膏を用意する試みは一応行われたことを本書で知りました。ただ、結局それらは活用できずに終わった模様です。なんとしても必要だと思って集めてみたものの、実際には使わずに終わるというのは石膏に限らずよくあることですが、油画1年のカリキュラムにあっても良さそうなのですが。予備校で胸像やってたのをまたくり返すよりは。

さて、もうひとつ外せない話としては、東京芸大の受験改革で、油彩を一次にしてデッサンを二次にするという配置を行なったところ、予備校が受験対策の為の油彩技法、乾燥剤を多量に入れたり等、短時間で描き上げる技法を競って開発し、むしろ美術教育上大きな害をもたらす結果になったという件ですが、むしろこちらの方がよく分析されるべきかと思われます。今更ですが。個人的には石膏デッサンになにか恨みとか弊害みたいなものはそんなに感じず、自分だけでなく、同じ油彩系に進んだ同級生の間でも、石膏デッサンのせいで個性が抑圧されたとか、そんな話は私は聞かなかったというか、我々の世代の頃はそういう論争は終わって、とりあえず割り切ってる感じはあったと思うのですが、それと違って、油彩画を制作するときに予備校時代の変な癖が抜けないというのは散々聞きました。脱するのに10年かかったとか。ただ、いずれにしても、倍率が40倍超えとかになってしまったら、どのような受験方法を採用してもいろいろ矛盾が出てくるのは仕方ないような気も。倍率5倍くらいなら、ちょうどよかったんでしょうけれども。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 10:00 PM | comments (0) | trackback (0) |

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