リンシードオイル完成
以前、ハンドプレス機を使って、亜麻仁を搾った話を書きましたが、その後、その油はどうしたかというと、静かに放置しておりました。なんだかんだで、種子の残渣などのゴミが混入しますので、それらが底に沈むまで待つわけです。

ゴミが下に溜まって、油が澄んできたら別の容器に移します。先日目を通した、写真絵本『油ができるまで』によると、その工程は「油交かん」というらしいです。油を扱う工程では、置いたまま待つという地味な日数がけっこう大事であったりします。とはいえ、搾っただけの未加工油は流動性が高い状態なので、わりかし速く沈んでゆきますけれども。

さて、大した量を搾ったわけではないので、最終的に得られた油はこんなものでした。

容器に移すときに、ちょっとだけゴミが混入してしまいましたが、しばらく待っていれば、ゴミはビン底に落ちます。
それにしても、なかなか良い感じの亜麻仁油色です。もっと太い容器だと、色はかなり濃いめに見えたでしょう。

さっそく顔料と混ぜて試し塗りしております。

精製工程も何も経ていない未加工油ですので、乾燥にはけっこうな日数がかかるかと思われますが、無事に乾燥すれば、油彩技法で使用できるリンシードオイルであると実証されて、搾油実践の全工程は終わることになります。

しかしフラックスシードが大量に余っているので、もう一回搾油してもいいのですが、どうせなら別の種子を搾ってみたい気もします。亜麻仁油を搾ってはみたものの、この状態は完全未加工油であり、漂白、精製などの工程を一切経ていません。ふつうは強い褐色の色素や水溶性不純物の除去などを行なうところですが、今回得た量の油ではそれは試すことはできませんので。

ところで、外で搾油機を使っていたのですが、こぼれた種から、なんと翌日には芽が出ていたので、なんという素早い発芽であろうかと思って、プランターにちょって蒔いてみたのです。やはり1~2日で芽が出てきました。種屋で買ったこの手の種子はいつも発芽に手間取るのですが、こんなに簡単に芽が出るというのは驚きです。

ちなみに食用のフラックスシードではなく、よく見たらポプリ用の商品でした。

亜麻仁の香りがする枕とかつくるんでしょうか?ふつうの人にとってはあまりいい香りではないと思いますが。しかし1kgもあるので、土地があれば亜麻畑を作れそうです。土地はありませんが、とりあえず、プランターに蒔いておきました。


食用など、基本的は熱処理等して、発芽しないような種を販売しているものですが、これはそのようなものではなくて、そしてさらに新鮮な種なのでありましょう。ちなみにポピーオイルの原料であるケシの種も搾ってみたいのですが、これはもちろん発芽しないような処理はされているのがふつうですが、実際には発芽してしまうこともあるので、そうなったら違法行為ですから、これを外で搾るのは心配であります。同じく、麻の実もおそらく乾性油になるので、搾ってみたいのですが、それも止めておいた方がいいのでしょう。するともうあまり搾るものは残されていません。

| 絵画材料 | 08:03 PM | comments (0) | trackback (0) |
メタセコイアから樹液を採集する
自宅にメタセコイアを植えているのですが、そんなに大きくなったわけではないですけれども、そろそろ樹液ぐらいは採れそうだと思って試みているところです。何しろ、琥珀になる可能性のあるタイプの樹脂を出す木として、メタセコイアが上げられていますので、そのタイプの樹脂ならば、画用コーパルとして現在売られているタイプの樹脂を同じような性質を持つかもしれないという可能性がありまして。コーパルとはいったい何なのか、という疑問のちょっとしたヒントになってくれるかもしれないのであります。

で、2年前は以下のように樹皮を剥いて、傷を彫って樹液を集めようとしたのですが、失敗しております。
メタセコイア
マツやキハダはこれでじわじわと樹液がわき出して、流れるように落ちてくるのですがメタセコイアではさっぱりでした。

他には、数センチほど穴を開けてストローを指しておく、これはカエデの木から樹液を取るときによく見る方法ですが、
メタセコイア
こちらも何も出てこないのです。カエデなどは辺材のところを道管があって、水が流れていたりするのでありましょうが、メタセコイアはどうなんですが。どっちにしろ、辺材はあたりは水みたいなものが流れるところで、樹皮を保護するような樹液が噴き出すようなところではないのかもしれません。

それで私はいろいろ調べてはみたのですが、樹脂的な樹液が出てくるのは、師部(内樹皮)といういう、外樹皮のすぐ下の層らしい、というけっこう基本的な事柄に気がつきました。調べてみたとは言っても、難しい専門書は読んでおらず、農文協の絵本シリーズをひたすら読んでいたんですが、もちろんメタセコイアの本はありませんが、様々の樹種の本を見て、広く浅くいろいろ知識が付いたような気はするのですが。

というわけで、外樹皮だけを剥がして、内樹皮層と思われるところに包丁で切り込みを入れてみたところ、10日ほど経ったところで、このように樹液が出てきておりました。
メタセコイア
他の木のようにすぐに出てくる感じではありません。数日経って、ふとのぞき込むと出ていることもある、という程度です。はじめはかなりねっとりしておりまして、数日経つと固く脆くなります。大木ならいざしらず、現状では爪で引っ掻いて取るくらいの大きさの樹液塊が得られるくらいです。東南アジアの樹脂採取の動画を見ると、けっこうがっつり彫って樹脂を出してたりしますが、それはダンマルの木みたいな樹脂大量放出樹のことであって、メタセコイアの場合は、本当にこの外側だけなのかもしれません。もっと大木になるとまた量が違ってきたりするのかもしれませんが。それにしても樹木というものは、幹の大半は死んだ細胞から構成されており、活発に生命活動しているのは、非常に薄い表面の部分だけなのですな。

そして、このように浅い傷をたくさん付けまして、せっせと樹液集めをしているところです。
メタセコイア
9月いっぱいせっせと集めてみようかと思ってます。

| 絵画材料 | 10:38 PM | comments (0) | trackback (0) |
搾油機を購入、リンシードオイルを搾油してみました。
Amazonにて、とても安い搾油機を購入しました。
OilPressMachine 搾油機 卓上油搾り機 フルセット 手動式 ステンレス製...
搾油機
このような手回し式の簡易搾油機はずいぶん前から買ってみようかどうか迷っていたのですが、商品の選定にはけっこう迷うものです。ちゃんと動くか怪しげなものが多いですから。同様の手回し式の搾油機で、もうちょっと立派そうな赤い搾油機も気になったのですが、あちらは鉄製らしく、手入れをさぼると錆びそうな心配があったので、こちらのステンレス製のものを注文。届いてすぐ中身をチェックしました。部品は欠品等も内容でした。カビか指紋ようなものがついていてアルコールウェットティッシュで拭きました。ゴムバンドが加水分解して崩壊しておりましたので、梱包したからそれなりの年数が経っていたかと思われますが、本体には影響はなさそうです。

さっそく亜麻仁を搾りたいと思いまして、フラックスシード 1㎏も購入。
搾油機
よく見ると、ラベルに「※食品ではありません」と表記されているのだけれども、ではいったい何の為の商品なのでありましょう。食用の種子は大抵は加熱処理されて発芽しないようになっているのですが、これはどうなんでしょう。加熱処理されていても、実際にたくさん蒔くとちょっとは芽が出てくることもあるようですが。ポピーと違って植えても違法ということはないと思うので、試しに一部をプランターに蒔いてみたいと思いますが、それはともかくとして、実際にリンシードオイルを得てみました。
搾油機
慣れないもので、種子など盛大に散らかしながらの作業となりましたが、一応搾油はできましたので、私の感想を交えつつ、本製品の使用方法についても解説したいと思います。

説明書はA4のペラ1枚だけであり、英語と中国語のみになります。要点を和訳しつつ、私のコメントも差し挟んでおきながら、以下に手順を解説したいと思います。まずは何はともあれ組み立てでありますが、マニュアルには各部の名称が載っている小さな図があるだけで、どちらかというとパッケージに使われている製品写真の方が大きいので、組み立ての際はこの写真を参考に行いました。ハンドルが上手く回せるような場所(テーブルなど)に設置します。かなりしっかりした場所に設置しないといけません。大まかに組み立てたら、圧搾ケージに圧搾ケージキャップを回し込み、それからさらにターミナルアジャストメントキャップを回して締めます。アルコールランプの綿芯(15cmくらい)を、付属のワッシャー(円形で中央に穴が空いている金具)に通し、外側に0.5cm出して、長い方は燃料ボトルの中へ。あまり燃えすぎてもよくないので、ちょっとだけ芯を外にだせば充分であろうと思います。燃料ボトルには燃料(ケロシンまたはアルコール)を入れます。※ケロシンはおそらく灯油のことかと思います。私は常備しているエタノールを使用。普通はメタノールでしょうか。そしたら圧搾ケージを約7分ほど加熱します。オイルを確実に出させる為で、これがないとまずほとんどの種子は人力で搾油するのは困難かと思います。圧搾ケージが50℃~70℃に達したら、材料をプレス機の注入口に入れることができると説明にありますが、アルコールランプで熱するれば当然あっという間にかなり高温になるわけですが、圧搾ケージ全体が温まるにはやはり7分くらいはかかるのかと思います。抽出中も加熱は継続しておくのだと思いますが、火加減はけっこう難しいです。ちなみに搾油の際に種子等を炒めてから行うことがあるけれども、この器具の場合は加熱しつつ行うので炒める必要ないようです。圧搾ケージが充分熱せられたら、注入口から材料を投入します。圧搾の開始時、ターミナルアジャストメントボルト(圧搾ケージの先についている回せるパーツ)はノーマル位置がよい。もし放出される塊が固すぎたり、ハンドルを回すときの抵抗力が強すぎるときは緩める。逆に放出物にオイルがまだ残っているような場合は締める、というふうに指示されておりますが、放出される種子残渣が固いと、詰まってしまってどうしようもなくなることがあるので、そこそこオイリーで緩めな状態で良しとした方がいいんじゃないかな、という印象を受けました。種子を入れてクランプを回して圧搾するのですが、先端のキャップの小さな穴から残渣がニョキニョキと出てきます。そして油が圧搾ケージの根元の細い穴から出てきます。こんなふうに上手くいったら、休まずに搾り続けた方がいいかと思います。手を止めると、種子が焼けてくるし、残渣が固くなって詰まって動かなくなったりします。

圧搾した油はゴミや不純物が混ざって汚く見えるかもしれません。
搾油機

しかし数時間置くことによって、沈殿して綺麗になります。
搾油機
というわけで、リンシードオイルが得られました。いずれ顔料を混ぜて乾燥試験をしたいと思います。なお、食用として使う場合は早めに消費した方がよろしいでしょう。

注意事項等ですが、搾油ケージ付近は熱くなるので、やけどしないように気を付けましょう。ターミナルアジャストメントボルトを回すときも、素手で触らず、耐熱手袋などしてやりましょう。ターミナルはレンチで回しますが、圧搾ケージやキャップを触らなければならない機会は多いので、耐熱手袋はあった方がいいかと思います。けっこう汚れるので、百均で売っているパン焼き用の綿製手袋みたいなものを使うといいかと思います。搾油後は器具類を速やかに清掃しなれけばなりません。種子残渣が固まってしまうとやっかいです。あと熱しながら搾油するということもあって、種子の臭いが周囲に広がると思います。手も亜麻仁油臭くて、洗っても当分は匂っていました。

というわけで、私もまだまだ使い慣れていないといいますが、1回試しただけなので、修練不足ではありますが、気がついたことをまとめてみました。ちなみに自分で搾った方がいいリンシードオイルが得られるとか、溶剤抽出よりも圧搾抽出のオイルの方が優れているとか、そのようなことは考えておりません。あくまで絵画材料の理解の為にやっております。

| 絵画材料 | 09:12 PM | comments (0) | trackback (0) |

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