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画術にまつわる文献 09

miyabyo さんのコメント
 (2007/10/03 04:54:19)

「画術にまつわる文献 08」のマッティオーリの項でまたもポカを見つけました。

絵画技法史又は絵画技術史として重要なのは、

『Il Dioscoride dell' eccellente Dottor medico』(1549)アンドレア・マッティオーリ[1501-1577] 伊国
のほうです。
マッティオーリが翻訳及び注釈した『ディオスコリデス』は、ラテン語訳、伊語訳、図版なし、あり、再販・重版・改訂版と様々で、しかも出版年も結構重なっていたりで、にわか研究では分かり難いですね。
 メリーフィールドが序章の「樹脂」の項で挙げている「1549年出版のマッティオーリの著書」(p. ccxlviii)がいかなるものか明示していないが、イーストレークはマッティオーリの書としてこの書を挙げている(p.238)。
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勢いあまって削除した中に、入れておいた方が良いと判断したものがありました。
以下三書を、16世紀の方に放り込んで置いてください。

『デ・ラ・ピロテクニア』1540年ヴァンノッチョ・ビリングッチョ[1480-1540年頃] 伊国
 冶金術。アグリコラは『デ・レ・メタリカ』を著述するうえで彼が経験不足ということもあって突っ込んで書けない後半において、この書を明らかにネタ本としている。。
 Biringuccio, Vannoccio, De la Pirotechnia, Venis, 1540.
○Biringuccio, Vannoccio, The Pirotechnia of Vannoccio Biringuccio, trans. C. S. Smith, The WIT Press, 1942.
●Biringuccio, Vannoccio, The Pirotechnia of Vannoccio Biringuccio: The Classic Sixteenth-Century Treatise on Metals and Metallurgy, Dover, 2006.

『パドヴァ手稿―様々なる顔料の製法―』(16世紀後半期) 伊国
 この手稿は、誰がいつ書いたのか明記されていない。メリフィールドによれば、ヴェネツィア人の手で16世紀後半期に書かれたものを、17世紀の半ば又は後半に整理されたと推察している。本文の前の遊び紙に、サヴォイのエマニュエル・フィリベール皇太子に捧げられたソネットが添えてあるらしく(メリフィールドはその部分を割愛している)、そのフィリベール皇太子は1580年に死去していることから、そのすぐ後から書かれた可能性とともに、この手稿の初めの部分には、ジョヴァンニ・パオロ・ロマッツォの『絵画芸術論』1584年に酷似する内容があるとして、これよりも後の成立説の可能性を示唆している。
 この手稿は、そのタイトルが示すように様々な顔料が挙げられているが、ヴァニスの処方もかなりの数が載っている。またエッチングの下地などにも言及している。
Paduan Ms −Ricetti per far ogni Sorte di Colori−.
●メリーフィールド『絵画技法原資料集』vol.2, pp. 643-717


『宇宙の秘密大全』1575年ティモテオ・ロッセッロ 伊国
 イーストレークには、「ティモテオ・ロッセッロの『Secretti 秘密』」として挙げられており、Vernice liquidaの製法が紹介されている(Eastlake, vol.1, pp. 240-243)。
○Rossello, Timotheo, Della Summa de’ Secreti universali, Venetia, 1575.



実は4,5回「画術にまつわる文献 09」のUPを試みたのですが、「禁止ワード」がどれなのか特定できず、ちょっと疲れました。
紹介する文献は、複数の言語にわたっていますので、私の知らない隠語やある国の言語の単語が別の言語ではよろしくない意味を示すなど、一つ一つチェックするの面倒ですから、今後は特定の原語に限ってご紹介するしかないのかな、とも思っています。
 めげた気分が回復しましたら又書き込むとしましょう。

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画術にまつわる文献 09

ここからは、昔日の日本の画術または画材にまつわる書も参考に挙げておきます。
なお、日本の画術に関連するテキストは、同朋社で順次刊行されています。

17世紀
『画家の書』カレル・ファン・マンデル(1604) 
 カレル・ファン・マンデル[1548-1606]は、フランス・ハルス[1582-1666]の師匠でした。 彼は1565年頃、ヴァザーリを何度となく訪れており、この書の計画はその当時からあったらしい。
○Mander, Carel van,“Het Schilder-Bock”, Haarlem(1604)
● Mander, Carel van, Le livre des peintres; vie des peintres flamands, hollandais et allemands, 2 Tomes, Paris, 1884-1885.
●Van Mander, C. ,“Dutch and Flemish Painters”, McFarlame Ward, New York, 1936.
ジョルジョ・ヴァザーリの『美術家列伝』に倣って書かれた北方の画家列伝。ファン・エイク兄弟から書き起こし、約170名のフランドルとドイツの画家名が見られるが、10行未満の画家も多い。同時代の画家ルーベンスやヴァン・ダイクは載っていない。それ以前を対象。この画伝はマンデルの著書の一部(計画では全6巻)で、その第3巻と第4巻にあたる。
○Mander, Carel van,“Den grondt der edel vry Schilder-const”, Ed. and trans. , Hessel Miedema, 2vols, Utrecht,1973.
○Miedena, H. (edit.),“The Lives of the Illustius Netherlandish and German Painters”, Doornspijk, 1994.
 尾崎彰宏氏の「レンブラント工房」p.237に拠れば、「このテキストの翻訳・出版に続いて注解が順次刊行と聞く」とある。また尾崎氏らによる邦訳も刊行予定という。乞うご期待というところか。
                    研究
●尾崎彰宏著『カーレル・ファン・マンデルのポリティーク』 「西洋美術研究」癸, pp.26-43, 三元社1999年


『透視図』(1604-05)ヴリエス(Jan Vredeman de Vries 1527-?)
●Jan Vredeman de Vries, Perspective, Dover, 1968.
 ジャン・ペルラン・ヴィアトール(1445頃-1524)の『人工遠近法』1505年もそうですが、こちらも、ちょっと変だぞというようなパースもあります。


『錬金術』1606年アンドレア・リバヴィウス
●Libavius, Andreas, Alchymiae, Francfort: J. Saurius, 1606.
 http://web2.bium.univ-paris5.fr/livanc/?cote=00180&do=chapitre 


『古代彫刻模倣論』P. P. ルーベンス1601-40年頃 ベルギー
ロジェ・ド・ピールは、この文章を含むルーベンスの筆記帖を1676年頃入手したらしく、それを基に彼の著書に載せている。ルーベンスはこの筆記帖を、1601-2年のローマ滞在頃より携帯していたらしい。
○Roger de Piles, “Cours de peinture par principes”, Paris, 1708, pp. 139-148.
○Martin, J. R.,“Baroque”, New York, 1977, pp. 271-273.
 ロジェ・ド・ピール(仏語)からの英訳
                  参考
●中村俊春「ルーベンスの古代彫刻への視線とアンニバレ・カラッチとの接点」西洋美術研究癸, 2002, pp. 57-75.


画術にまつわる文献 10

miyabyo さんのコメント
 (2007/10/07 02:19:29)

管理人さんの早速のご配慮でうまくUPできますように。
特に16.17世紀の史料紹介では、いくつもの重要なサイトをご紹介しておりますが、仮にそこで開示してある史料をまともに購入するとなれば、数千ドルする書もありますし、とても叶わないでしょう。無償でダウンロードできることに、感謝しましょう。

では引き続き、17世紀の史料などご紹介します。

『The Art of Drawing with the Pen.』ヘンリー・ピーチャム[Henry Peacham]1606 英国
 カービー・タリー[1981年](画術にまつわる文献 02参照)は彼の生涯を次のように略述している。
 「ヘンリー・ピーチャム(1576?-1643?)は、牧師で古典的学者の息子として、北部Mimmsのハートフォードシアに1576年頃生まれた。彼はセントオールバンズ近くの学校に通い、1593年5月11日にトリニティ大学(ケンブリッジ)の学生となり、1594/5年の1月にはB.A.(文学士号)を、そして1598年にはM.A.(文学修士号)を取得した。大学研究終了後、彼はノーフォークにあるWymondhamの自由学校の教師になった。ピーチァムは、単に学者、著述家に留まらず、肖像画や風景画をものする素描、絵画及び版画の美術家であった。彼の最初の本は、『ペンによる素描芸術The Art of Drawing with the Pen』の表題で1606年にロンドンで出版された。それはロバート・コットン卿に捧げられ、翌年には第二版が出たようだ。1610年に、ピーチァムはジェームズ1世王のBasilicon Doronをラテン韻文に翻訳した。2年後には『Graphice or the Most Auncient and Excellent Art of Drawing and Limning Disposed into Three Bookes』を発表したが、それは1606年の『The Art of Drawing with the Pen』の増補改訂版だった。この本は、別の表題(すなわち、『紳士の訓練The Gentlemans Exercise』ロンドン:1612年)で同年に再版され、また、その後1634年及び1661年の2回出版された。『紳士の訓練The Gentlemans Exercise』(1612)は、バッキンガム州副知事陛下の一人、エドモンド・アッシュフィールドSir Edmund Ashfield卿に捧げられた。1613〜14年に彼は海外に旅行した、またこの旅行の一時期、有名な芸術蒐集家及びパトロンの、トーマス・ハワード、アランデル伯爵及びサリー伯爵の3人の長男の家庭教師を務めた。1615年までに、彼はロンドンに戻り文芸活動に着手した。ピーチァムの「熟達した紳士」は1622年に発行され、「ウィリアム・ハワード、トーマス正閣下の第三子で末御子息のソン[Sonne]、アランデル[Arundell]及びサリー伯爵、英国のマーシャル伯爵」に捧げられた。この本(若い紳士の教育を援助することを意味した)は、絵画にあてられた章は一章のみである。‥‥『熟達した紳士[Compleat Gentleman]』は、「紳士の訓練」と同様に、同年の1634年及び1661年の2回再版された。ピーチァムの老年期は貧乏に陥り、著作活動は終焉にて、1643年頃その生涯を終えた。」(pp.46-47.)

○Peacham, Henry, The Art of Drawing with the Pen., Theatrum Orbid Terrarum Ltd (reprinted from De Capo Press), New York (reprint of 1606 from Amsterdam) 1970. pp 70.




『詩の芸術及び空間原理に基づく絵画とシンメトリーの芸術』1615年 Filip Nunes スペイン
●Nunes, Filip, Arte poetica, e da pintura e symetria, com principios da perspectiva, Lisbon, 1615.
 ヴェリズ『スペイン黄金時代の画家の技法−画術書6書抄訳−』pp. 1-19.
  訳出は絵画芸術の部分のみ。



『ド・マイエルン手記』(1620-46) Sloan Ms. 2052及びSloan Ms. 1990 英国
ド・マイエルン関連の文献は、こちらのサイトの別スレッド 昔の技法書/手記の「ド・マイエルヌ手記」で、既に大方挙げていますので、そちらをご覧ください。



『細密画論』エドワード・ノーゲイト1621-26年、1648-50年 英国
ノーゲートは、二期に渡ってこの論文を書いている。第2版の始めに、「造詣深き医師テオドール・マイエルン卿の要請があって以来、すでに20年以上になる」と明記している。
しかし、ド・マイエルンはこの論文の最終稿を見ることなく他界した。『ド・マイエルン手記』に数ヶ所ノーゲートの情報が書き留めてある。この『細密画論』に、一部ニコラス・ヒリアード『写本装飾術』からの引用あり。ラピスラズリの作り方が載っているが、ド・マイエルン手記の処方の方がもっと具体的に書かれている。
○Hardie, M / Norgate, E.,“Miniatura or The Art of Limning”, Oxford,1918
●Muller, Jeffrey M. / Murrell, Jim,“Edward Norgate Miniatura or the Art of Limning”, Yale University Press,1997 Jim Murrellの遺作(1994/06/15他界) 。非常に行き届いた著書である。



『絵画問答』1633年 ヴィゼンテ・カルドゥーチョ[Vicente Carducho:1576-1638] 伊国/スペイン
 イタリアに生まれだが、9歳でスペインに移住し、そこで没した。かなり政治的手腕もあったようで、スペインで絵画アカデミーを組織化しようと奔走している。しかし、時期尚早であったようだ。
●Carducho, Vicente, Diálogos de la Pintura, Madrid, 1633.
 ヴェリズ『スペイン黄金時代の画家の技法−画術書6書抄訳−』pp. 21-29.
「第8の問答」のみの英訳
○Carducho, V., Diálogos de la pintura, Madrid: Editorial Turner, 1979.
             参照
●ジョナサン・ブラウン(岡田裕成訳)『スペインの絵画アカデミー』、西洋美術研究 No.2, 1999, pp.44-52.



『ブラッセル手稿−ピエール・ル・ブランの絵画論集−』(1635)
Brussels MS−Ricetti per far ogni Sorte di Colori−
 メリーフィールド女史によれば、ル・ブランはアンニーバレ・カラッチ(Annibale Carracci:1560-1609)やルーベンスなどと同世代の画家であったらしい。女史がここで活字に起こした絵画関連以外に、彫刻、建築、透視画法がオリジナルには含まれているとのことだ((これらは割愛されている)。初心者を対象に、制作の進め方、語義の解説、絵具の取り扱い方などが、箇条書き風に書かれている。ルーベンスは、手紙で、購入はしたものの時間がなくて未読のままであると、この書について触れている。その後も未読のままであったのか後日読んだのかはともかく、この中には、ルーベンスなどを含む、当時の北方絵画技術の片鱗が窺える。
●メリーフィールド『絵画技法原資料集』vol.2, pp.757-841


『Lof der Schilder-konst』Phlip Angels 1642.
●Phlip Angels, Lof der Schilder-komst, Leyden, 1642.


『リチャード・シモンズのイタリア旅行ノート』(1649 - 51) 英国
 貿易商兼美術商であったシモンズは、イタリアで、ニコラス・プーサンに会っている。
●Beal, Mary, “A Study of Richard Symonds ―His Italian Notebooks and Their Relevance to Seventeenth – Century Painting Techniques”, (Thesis, Ph. D) Garland Publishing (1986)
 『リチャード・シモンズの研究━イタリア旅行ノートと17世紀絵画技法との関連性』博士号取得論文 
原文とその内容の研究。顔料の値段やアトリエでの道具についても触れている。
メアリー・ローズ・シルヴィア・ビールは、この哲学博士号取得論文の冒頭で『R・シモンズのイタリア旅行ノート』を、次のように紹介している。
≪王政党員にして古物収集家のリチャード・シモンズがイタリアを訪れた1649年から1651年の間綴った現存の6冊の手帳は、彼がそこで見た美術品や出会った画家について興味ある資料を含んでいる。大英博物館にあるエガートン手稿1636は、その最も重要な手帳のひとつで、この手稿でシモンズは、ローマでのニコラス・プーサンや画家のジョヴァンニ・アンジェロ・カニーニとの会話を書き残したが、その中でプーサンは、自分の芸術に対する見解を述べている。とはいえ、その手稿のほとんどは、シモンズがカニーニの仕事を観察し、彼の絵画技法に関する詳細な情報であふれている。≫



『絵画芸術論(Art de la Pintura)』フランシスコ・パーチェコ(Francisco Pacheco)(1649)スペイン
 F・パーチェコ(1564-1638)が死去した10年後に出版されている。
○Pacheco, Francisco,“Arte de la Pintura: Edicion del manuscrito original, acabado el 24 de enero de 1638 / Preminar, notas e indices de F. J. Sanchez canton”, 2vols., Instituto de Valencia de Don Juan, Madrid, 1956 XLVI, 499; 482p. 
●ヴェリズ『スペイン黄金時代の画家の技法−画術書6書抄訳−』pp.31-106(1986) 「画術にまつわる文献02」を参照。
 第1,2,3,5,6章が英訳されている。
○Pacheco, Francisco, Art De La Peinture , Paris: Meridiens/Klinsieck. Etat Neuf / As New. Texte en francais, text in french.Coll. : L'esprit et les formes.278 pages. Presentation et traduction par Lauriane Fallay D'Este.
○Pacheco, Francisco,“Arte de la Pintura: Ediciõn, introducciõn y notas de Bonaventura Bassegoda I Hugas”, ed. B. Bassegoda i Hugas, Ed Cãtedra, Madrid, 1990 782pp.
○Pacheco,Francisco, El Arte de la Pintura/ The Art of Painting,Catedra, 2001.
 パーチェコのその他の著書
○Pacheco,Francisco, Lives of Velazques, Trafalgar, 2007.
 この書には、パーチェコの他にパロミーロの伝えるヴェラスケスの生涯も含まれている。
研究
●Veliz, Z.,“Francisco Pacheco’ s Comments on Painting in Oil”, Studies in Conservation, vol. 27, 1982, pp. 49-57
●Veliz, Zahira,“Aspects of Drawing and Painting in Seventeenth Century Spanih Treaties”, Looking Through Paintings, The Study of Painting Techniques and Materials in Support of Art Historical Research, Erma Hermens (Editor),Archetype Pub., 1998, pp.295-317  


『絵画芸術小論』1656年頃 作者不詳 スペイン
●Anonymous, Tractado del arte de la pintura, ca. 1656.
『スペイン黄金時代の画家の技法−画術書6書抄訳−』pp. 107-127.


○『本朝画法大全』 土佐光起(1617-91) 江戸絵師による技法書 刊年?


『絵画と彫刻に関する王立アカデミーの講義』1667年 仏国
●Félibien des Avaux, André;., Conférences de l'Academie Royale de Peinture et de Sculpture. [Conferences of the Royal Academy of Painting and Sculpture], Paris, 1667(rep.1972)


『細密画論』1674年  仏国
○Traité de Mignature, Paris, 1674.
● Anweisung zum Miniaturmalen (Deutsche Übersetzung der französischen Ausgabe 1674), Die Technik der Miniaturmalerei nach einer französischen Quellenschrift des 17. Jahrunderts, 2000. pp. 42-115.
 1674年仏語版の独訳。



   染色の小冊子 
●Ziegler, Marx, A Little Dye Book, Weber Kunst und Bild Buch, 1677.
 http://www.elizabethancostume.net/dyes/zieglerdyebook.html にて入手可



○『本朝画史』 狩野永納(1631-97) 江戸絵師による技法書 1679年
 『訳注 本朝画史』狩野永納編 笠井昌昭/佐々木進/竹居明男訳注 同朋社1985年



『フォンテーヌの絵画アカデミー(De la Fontaine’s Académie de la Peinture)』1679年 仏国
●Hendriks, Ella,“French Painting Technique in the seventeenth and Early Eighteeth Centuries and De la Fontaine’s Académie de la Peinture”, Looking Through Paintings, The Study of Painting Techniques and Materials in Support of Art Historical Research, Erma Hermens (Editor), Archetype Pub., 1998, pp. 319-390.


『トスカーナ美術用語辞典』フィリッポ・バルディヌッチ. 1681 伊
過日イタリアで著された美術関連書に用いられた用語の語義を知る上で最重要。
下地に使用した石膏は、一度焼かれた石膏であることが記されている。
●Baldinucci, F. , Vocabolarie Toscano dell’ Arte del disegno, Firenze, 1681.
 http://baldinucci,biblio.cribecu.sns.it/html/ インターネットで公開(1691年版)
              関連文献        
●Baldinucci, Giovanni(a cura di Brendan Dooley ),Quaderno: Peste, guerra e carestia nell’Italia del Seicento, Biblioteca di Medicina & Storia, 2001.
 このジョヴァンニ・バルディヌッチは、フィリッポの父で、フィレンツェの商人であった。この書は彼の商人としての視点で1580年あたりから1600年代前半の65年間を書きとめた手帳である。近年に発見され、書名にあるペスト、戦争、飢餓のみでなく、政治、経済、宗教、社会情勢等多義に渡り、その当時のフィレンツェを生々しく伝えていて貴重(ペストは1630年の大流行に触れている)。


『絵画制作の基本』ロジェ・ド・ピール[1635-1709] 1684年 仏国
 17世紀後半を通じて、アカデミーを震撼させる論争が起きた。色彩派と素描派とに分かれた論戦で、前者がRubenists、後者はPoussinists。ド・ピールは、「色彩の勝利者」と称されたルーベンス主義者に属して論陣を張った当代きっての芸術理論家。
● Roger de Piles, “Les Premiers Éléments de la Peinture Pratique”, Paris, 1684(rep. Minkoff, Genève, 1973)
 赤レーキ絵具の変色に関する記述あり(p.42)
        ド・ピールのその他の著書
●Piles Roger de, Abrégé d'anatomie, accommodé aux arts de peinture et de sculpture, et mis dans un ordre nouveau, Paris, 1765.
○PILES, Roger de, Dissertation sur les ouvrages des plus fameux peintres. Dédiée à Monseigneur le duc de Richelieu,Paris, chez Nicolas Langlois, 1681.
○Piles, Roger de, 'Abrégé de la vie des peintres, avec des réflexions sur leurs ouvrages, et un Traité du Peintre parfait ; De la connaissance des Desseins ; De l'utilité des Estampes.' , Paris, 1715.
●Piles, Roger de., Oeuvres diverses de M. de Piles. Tome premier contenant L'abregé de la vie des peintres, avec des reflexions sur leurs ouvrages, 5 Tomes, Amsterdam et Leipzig, Paris, 1767.


『絵画の制作法』(1685)ジョヴァンニ・バチスタ・ヴォルパト
 1663年生まれの画家ヴォルパトは、チントレットの下で学んだノヴェリ(Novelli)の弟子で、生涯故郷で何人かの弟子を持って制作し、若干の著述を残した。この手稿は、対話形式をとり、絵画制作全般を想定しながらかなり具体的に教授しようとする姿勢がある。カンヴァスのプレパレ、下塗り、転写などの仕方や留意点、絵具の特性及び練り方、クレヨンの作り方等々。若干の処方(配合比)も含む。参考書として、アルメニーニとボルギーニの著書が挙げられているのが面白い。失敗しないためのヒントもいくつかあって、小冊子ではあるが実技書として読んでも得るものがある。酒場の片隅で、ワインを飲みながらもう何日か対話してもらいたいと思わせる書、といえば言い過ぎでしょうか。

●メリーフィールド『絵画技法原資料集』, pp.719-755.



 『ジャパンニングとワニス掛けの論』J・ストーカー & G・パーカー 1688年 英国
『A treatise of Japanning and Varnishing, being a complete Discovery of those Arts. With the best way of making all sorts of Varnish for Japan, Wood, Prints and Pictures. The Method of Guilding, Burnishing, and Lackering, with the Art of Guilding, Seperating, and refining Metals and of painting Mezzo-tinto Prints』John Stalker, 1688.

●John Stalker, George Parker, Treatise of Japanning and Varnishing (Master Hands S), Tiranti, London, 1971.
 オリジナルは1688年。1998年に1971年版が再版されている。1971年版はp.108だが、再版ではp.80とあり、図版が省かれているのかもしれない。それにしても図版は、どう見ても中国の風景。



『至上にしてもっとも高貴なる絵画技術の原理』1693年José Garcia Hidalgo[1656-1718]スペイン
●Hidalgo, José Garcia, Principios para estudiar el nobilisimo y real Arte de la Pintura, 1693.
 『スペイン黄金時代の画家の技法−画術書6書抄訳−』pp. 128-139.


次回は18世紀の予定です。


画術にまつわる文献 11

miyabyo さんのコメント
 (2007/10/07 03:13:37)


18〜19世紀の研究の指針として以下の書が有益。
●Carlyle, Leslie, The Artist's Assistannt: Oil Paintig Instruction Manuals and Handbooks in Britain 1800-1900 with Reference to Selected Eighteenth-century Sources, Archetype Publicatioon, 2001.


18世紀

『技法辞典』1704 Harris, John(ジョン・ハリス:1666-1719) 英国
○Harris, John,“Lexicon Technicum”, 2vols. London, 1704 rp. Johnson, New York & London, 1966.
●Russell, Terence M.,“John Harris LEXICON TECHNICUM”, Incorporating works of Sir Francis Bacon and Sir Henry Wotton. The Encyclopaedic Dictionary in the Eighteenth Century, Ashgate. Aldershot, 1997
 私には、ほとんど利用価値はないものだった。




貝原益軒(篤信)『大和本草』宝永六年(1709)
 黒田藩に儒学者として仕えたが、医学も学び、優れた本草学者でもあった。二巻の付録、二巻の図譜を合わせ、全二十巻に及ぶこの書が刊行されたのは、益軒が80歳のとき。本草学は、生薬学である。明の時代に書かれた『本草綱目』(1596)は、慶長9年(1604年)以前に日本に伝わった。益軒はこの書の分類法を踏襲しながらも独自の分類を加え、その扱い種目は1362種に及ぶ。
  「大和本草巻之三 金玉土石」に以下の項がある。
○金 ○銀 ○鍮石 ○(辰砂、丹砂) ○金星*石 ○石胆 ○*含石 ○方解石 ○空青 ○花紋石 ○木の葉石 ○菊メイ石 ○スクモ(泥炭) ○石炭 ○黒土 ○(金剛砂、) ○(胡粉) ○硫黄 ○水晶 ○砥石 ○砒石(天然砒素) ○石灰 ○温石(オンジャク、滑石) ○試金石 ○寒水石(白大理石) ○硝子(ビイドロ、瑠璃) ○磁石 ○鉄砂 ○ミカキ石(みがき石) ○人肌石(ヒトハダイシ) ○松石 ○硼砂 ○備後砂 ○白礬(どうさ) ○緑礬(みどりみょうばん) ○天巧碁子 ○饅頭石 ○石蟹(かに化石) ○石蚕(みどりいし) ○烏釜泥 ○*濱石 ○古瓦 ○墨 ○鏡石 ○鬼屎 ○陽燧 ○真珠 ○石膏 ○銀朱 ○琥珀 ○浮石 ○雄黄 ○雌黄 ○朴消 ○塩消 ○観音石 ○禹餘石 ○石燕石 ○珊瑚 ○青琅かん(青さんご) ○銭 ○黒石脂(石墨) ○石鐘乳 ○水銀 ○軽粉 ○雲母
●貝原益軒(篤信)『大和本草 新校正』宝永六年 
○貝原益軒撰『大和本草』全2冊 白井光太郎考証、岸田松若他考註 有明書房 昭和50年
 昭和七年、十一年に東京帝大農学部の名誉教授であり日本における植物病理学の開祖とされる白井光太郎博士(1863-1932)により、校註を加えて出版された。
                参考
○『大和本草拾遺 赭鞭餘録』 豊田養慶 編、1冊、宝暦十一年跋刊




寺島良安『和漢三才図会』1712年(正徳2年)頃
 江戸中期の大阪で、秋田県能代出身の医師寺島良安が、30余年をかけて、中国明の王圻の『三才図会』にならって編んだ、全106巻からなる、わが国初の図入り百科事典。
 真柳誠(茨城大学・北里研究所)によれば「日本の本草研究に多大な影響を与え続けてきた『本草綱目』は、通説のように1607年に日本へ初渡来したのではなく、それより早く1604年以前にすでに渡来している。」(「『本草綱目』の日本初渡来記録と金陵本の所在」『漢方の臨床』45巻11号1431-39頁1998年)

○寺島良安『和漢三才図会』全一冊 吉川弘文館 明治39年 
○寺島良安『和漢三才図会』全二冊 東京美術 昭和7、59年 
○寺島良安『和漢三才図会』全18巻 島田勇雄 編訳 東洋文庫 平凡社 




『絵画博物館』1715-24年アントニオ・パロミーロ[1653 ;?-1726] スペイン
●Palomiro, de Castro y Velasco, Antonio, El Museo Pictórico y Escala Óptica, Madrid, 1715.
 『絵画博物館と光学的尺度(遠近法)』
 『スペイン黄金時代の画家の技法−画術書6書抄訳−』pp. 141-189.
 第5書第2〜6章、第7書第4章、第9書第15章の抄訳




○林守篤『画筌』1731年 絵師による技法書




『ヘルメネイヤHermeneia』18世紀前半(1730-34年頃)フルナのディオニュッソス
 原題は「画室の解釈」で、通称「アトス山の画術書」ともいわれる。ギリシャ北部のハルキディキ半島から三叉状に分かれている細長い半島、その内の最上部にある半島の最端に標高2033mの聖山アトスがある。ビザンチン美術の伝統を色濃く残すイコンやフレスコを今も描き続けている。フルナのディオニュッソスはここの教会主筆の地位にあってこの画術書を編纂。
○Didron, A. N.,“Manuel d’ Iconographie chrétienne, grecque et latine”, (Iconogr. Chrét, Paris, 1843), Paris, 1845. 『キリストイコンの手引き、ギリシャとラテン』
○Didron, A. N.,“Mount Atos Handbook”, Manuel d’ Iconographie chrétienne, grecque et latine, avec introduction et notes par Didron. Traduit par P. Durand. (Paris 1845) MSS. Du Moine Denys.
 『アトス山の書』 上記『キリストイコンの手引き、ギリシャとラテン』にディドロンの序文及び注釈、P. Durandの翻訳付で出版
●Hetherington, Paul,“The Painter’s Manual of Dionysius of Fourna”,The Sagittarius Press, London(1974)
 『フルナのディオニュッソスによる画家の手引き』
内容は以下のとおり。第1巻 絵画技術  第2巻 聖書画の記述  第3巻 聖徒画の記述  第4巻 教会に絵をいかに設置すべきか
●ディオニシオス・トゥ・エク・フルナ(上田恒夫・寺田栄次郎・中澤敦夫・木戸雅子訳)『東方正教会の絵画指南書:ディオニシオスのエルミニア』金沢美術工芸大学美術工芸研究所 1999. (非売品)

               研究書その他
○Didron (the Elder).,“Manuel d’ Iconographie chrétienne, grecque et latine”, Paris, 1845.
●川俣一英『聖山アトス−ビザンチンの誘惑』新潮選書 新潮社1989年
 技法書への言及は一切ないが、聖山アトスとそこのある聖パンテレイモン修道院を知るにはいい本だ。「二千点を数える収蔵イコンのうちには六世紀に遡るものが残されている。ミイラ木棺の肖像画と同じく蜜蝋画(エンコーステイク)である。この蜜蝋画法は初期イコンのみに見られ、テンペラ画法が興ると消えてしまう。」(p.143)とある。




『スペイン美術史概要』1749年 アントニオ・パロミーロ[1653 ;?-1726] スペイン
● Palomino, Antonio, Histoire abregée des plus fameux peintres, sculpteurs et architectes espagnols, Paris, 1749.
 『スペインの著名な画家、彫刻家、建築家の略史』
 仏訳版 PDFで所持(Institut national d’historie de l’art所蔵)




 『Elémens de chymie化学の初歩』1752年Herman Boerhaave(1668-1738)
●Boerhaave, Herman, Elémens de chymie, [Tome 1,2]. chez Corneille Haak,1752.
 



『画家・金箔置き師・ワニス塗り工の技術』ワーチン(1755) 仏国
●Watin, Le Sieur,“L’ art du peintre, doreur, vernisseur”,Paris(1755), rp.,L. Laget, Paris,1975
ジャック・マロジェにいわせると、この書は「芸術家にというよりは、ペンキ職人にとって興味深い内容で、しかも絵画技法としては大して重要でもない時代のものだ」と手厳しい。




『クヴァーケンブルクのヨハン・A・ミュラーの工房マニュアル』18世紀後半
●Lehmann, Jirina (Hrsg.), Das Werkstattbuch des Johan Arendt Müller zu Quakenbrück - eine Quellenschrift aus der zweiten Hälfte des 18. Jahrhunderts: Originaltext und Übertragung, Hildesheim, 2002.
 様々なワニスの処方を記した18世紀後半の手稿の原文とその現代独語訳。




『The Practice of Painting and Perspective Made Easy』1756年トーマス・バードウェル(1704-67)
肖像画家であるが、画家としてはまったく興味はない。彼の画術書に多少興味を持つのみ。
○Bardwell, Thomas, The Practice of Painting and Perspective Made Easy, 1756.
参考
●Talley, M. Kirby / Groen, Karin, Thomas Bardwell and His Practice of Painting: a comparative investigation between described and actual painting technique, Studies in Conservation, vol. 20, pp. 44-108, 1975.
●White, R. , An Examination of Thomas Bardwell’s Portraits – The Media, Studies in Conservation, vol. 20, pp. 109-113, 1975.



『美術家用語事典』ペルネティエ(1757) 仏国
●Pernety, A. J.,“Dictionnaire portatif de peinture, sculpture et gravure, avec un traité pratique des différentes manières de peindre”, Paris, 1757, rp. Minkoff, Genève, 1972
結構重宝する事典



『The Handmaid to the Arts』Dossie, Robert (1758/1764) 英国
 ロバート・ドッシー(1717-77年)は化学者で、その方面の著書以外に、芸術との接点で有名な著書がこの書。全2巻であるが、特に第1巻では顔料、展色材、乾燥剤、琺瑯画、箔置き、染付け、漆、などの製法・技能を詳述しており、当時の技術を知る格好の書といえる(この書は、彼の実名はなく、ただ頭文字のみが記されている)。ラピスラズリの処方を見ると、15世紀のチェンニーニの『画術の書』、『ボローニャ手稿』、更に17世紀の『ド・マイエルン手稿』などに見える処方とほぼ同等の内容であり、18世紀当時の科学的見地から効率の良い処方が開発されたという形跡はない。1600年代まではもっぱら実作者たち又は聞き取りをした者の手になる手稿として残っている絵具の製法である場合がほとんどであり、英国内では、ド・マイエルン手稿を更に進めて「顔料製法」に対して、より客観的な視点で書かれてあるという見方もできる。この書の序文に依れば、英国の芸術協会の会員であったロバート・ドッシーが、「敵国フランス」に負けない芸術・技術の振興を意図して書かれたことが判る。また、この書には、「絵画及び描画のワニス掛けと保存の方法について」や「絵画及び描画の修理と洗浄について」の章があり、それまでの関連の書とは性格を異にする。また、かなりのページを割いて漆(Japanning)、箔置きについて書いてある。
 完成が1730〜34年とされる通称『アトス山の画術書』のわずか数十年後の書であるが、この中世の規範にのっとったままの書と比較すると、その情報の落差に驚く。

●Dossie, Robert, The Handmaid to the Arts, London, (1st edit. 1758) 1764; 21 x 13cm. Full contemp calf. 2nd ed. Vol 1. (27 + 506 + Index.)
 Dossie, Robert. The handmaid to the arts. London, J. Nourse, 1758. 2 vols.
 Dossie, Robert. The handmaid to the arts. London, 2nd ed.. His Majesty Stationary Office, 1764. 2 vols.
 Albus, Anita, The Art of Arts, 2000. にラピスラズリの処方が載っていてこの書を知る。Albus, Anitaの第4部≪View with Ten Lost Colors≫にもかなり引用されている。
 
参照(その他の著書)
○Dossie, Robert, Les Secrets et les fraudes de la chymie et de la pharmacie dévoilés par l’exposition de plusieurs pratiques nouvelles. Ouvrage trad. de l’anglois, P. Gosse, La Haye, 1759.
○Dossie, Robert, Memoirs of agriculture and other oeconomical arts, 2vols., London: J Nourse, 1768.



『エンコスティック画と蠟画に関する覚書』ド・ケイルス伯 / M. J.マジョー(1775) 仏国
ド・ケイルス伯(考古学者兼銅板画家)/ M. J.マジョー(パリ大学医学博士)
●De Caylus, C. / Majault, M. –J.,“Mémorie sur la peinture à l’ encaustique et sur la peinture à la cire”, Genève et Paris (1775), Rp. Minkoff, Genève (1972)(1999)
 「エンコスティック」の項参照 



  染色関連 
●Haigh, James, The Dyer's Assistant in the art of dying wool and woollen goods, (1778)T. WILSON and R. SPENCE, High Ousegate, York, 1800.
 http://www.elizabethancostume.net/dyes/assistant.html にて入手可




『色材概論』1779年 仏国
●D’ Apligny, le Pileur,“Traité des couleurs matérielles”, Paris (1779), Rp. Minkoff, Genève (1973)
結構重宝している。



『鉱物学者の手引き』1792年
●Bergman, M. Torbern, Manuel du Minéralogiste ; ou Sciagraphie du Règne Minéral, Paris, 1792.
 


  染色関連 
●Asa Ellis, Jun, The Country Dyer's Assistant, E. Merrian & Co for the Author Brookfield, (Massachusetts:), 1798.
 http://www.elizabethancostume.net/dyes/countrydyer.html にて入手可


次回は19世紀で、このシリーズ最後となります。
20世紀以降はこちらのいくつかのスレッドで折に触れて多少とも文献を挙げておりますので、割愛します。


.昔の技法書/手記 全般 (6)」へ続く。


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