2020,01,27, Monday
ルーベンスの動画の続編を考えているのだけれども、いろいろと確認したいことがあり、いろんな本に目を通しているところですが、本日はセネカの『人生の短さについて他二編』(中澤努訳)を読む。学生の頃に岩波文庫の旧訳を読んだことはあったけれども、内容をほぼ忘却しているので、改めに読んでみました。ルーベンスはセネカを大変尊敬しており、作品にもたびたび登場していることでもありますし。内容に関しては実は微妙にあまり私の好みの説教ではないというところはあるのですが、しかしそれはともかく、ローマ時代の人がギリシアの哲学や文学について言及するところが今は興味深くなってしまって、そういうところに関心がいってしまうというところもありますが。本格的に古代ギリシアのオリジナルの文化への研究が深まるのは新古典主義以降であり、バロックあたりまでは西洋もローマ人経由でギリシアの文明を解釈しているところがあるわけで。そういう意味ではプリニウスとウィトルウィウスも改めて読み直したいところです。
ところで、最近プラトンを読んでいるのですが、なかなか止まらないくらい面白いです。学生時代にも多少は読んだはずなのですが、あまり印象に残っておらないので、それはたぶん素養が足りなかったのでしょう。古代ギリシア史の本をいくつも読んで、叙事詩も悲劇もそれなりに読んでから、改めてふとプラトンを読んでみたら、もう面白いのなんのって、ちょっとその感動はなかなか言い尽くせない。ルネサンス期の文化人が夢中になるようやく理解できるようになってきました。あるいは、比較的最近に訳されたもので読んでいるので、昔風の堅苦しさが抜けて、すんなり理解しやすくなっているというのもあるのかもしれませんが。 材料技法についての本も読まねばと思って、TateのJoyce Townsend (著)Pre-Raphaelite Painting Techniquesも読み始めたのですが、これはなかなかいい本です。買った時はあちこち拾い読みしただけで終わっていましたが、昨年はラファエル前派の展覧会も観たし、アーツアンドクラフツの話を鳥越さんにしているときにも前派はたくさん出てきたので、関心が高まっているところですが、でもこれまでは中世からルネサンス、バロックあたりの技法を追いかけ気味であって、それ以降がおろそかになってしまう、というのは技法を関心のある者の間ではよくあることですが、画材製造業者発展期にあたるこの時代の方がいろいろと面白いことが多いということもあるので、こちらも着々と読み進めてゆきたいところです。 |
2020,01,17, Friday
届いてから少々時間が経ってしまいましたが、画家鳥越一穂氏の作品をお預かりしております。
![]() トロンプルイユということで、設置場所は額に合わせ天然木の壁面に、そして(写真ではわかりにくりですが)影の方向も合わさるように設置してみました。トロンプルイユの場合は、設置場所も非常に重要であるかと思われます。しかし、影の方向は時間帯によっても変わるのでそこは難しいところですが、どちらかというと照明の少ない時間帯の方が栄えるような気がします。かつての西洋の館のような、窓の小さな、暗く涼しげな部屋でこそというのもあるかもしれませぬ。 それはともかく細部の卓越した描写をご覧ください。 ![]() 何度見ても果実の艶めかしさがよろしいです。 支持体は銅板ですが、裏面には使用したメディウムまで表記されております。 ![]() 詳細等は下記をご参照ください。 https://torilogy.net/ さて、当webサイト改装ですが、CMSでレイアウトを考えていたら、どんどん時間が過ぎてしまって、これはもうなんというか、CMSというのは経費削減どころか膨大な人件費を消耗しているのではないか、と思ったりします。気にしなければどうでもいいことですが。 |
2020,01,09, Thursday
以前から欲しいと思っていた、世界美術大全集 西洋編 全巻を購入。定価では1冊28,000するので、全28巻と索引1冊をそろえると794,000円、仮に販売当時の消費税5%の税込なら83万円強くらいするわけで、なかなかの高額商品であるけれども、現在は中古市場では安ければ3万円ぐらい、送料含めてもたぶん4万円前後あたりが相場の模様でして、結構頻繁に取引されております。私も中古で入手してみましたが、なかなかの備品で、ケースがちょっと黄ばんでたりすることはあっても、中の本は新品同様みたいなものでした。中古なので、アンダーラインを引いたりとか、雑に扱おうと思っていたのですが、立派すぎてちょっともったいない気がしてきました。
いずれにしても、新古典主義とか、ロココ期など、単行本では取り上げられることの少ないジャンルについて読もうと思うと、このような全集を買うがてっとりばやいということにもなりますが、はじめは必要なものを個々に買おうかと思ってたのですが、チマチマ買う手間も面倒が気がして、全巻セットを入手したわけですが、しかし、考えていたより大きくて、わりと大きめの本棚にも縦に収まらなかったし、人生のお荷物が増えた感じがして、届いた瞬間はどうしたものかと考え込みました。 ![]() 最近お気に入りの古代ギリシアが2冊に渡っているという構成が気に入っております。第3巻「エーゲ海とギリシア・アルカイック」そして第4巻「ギリシア・クラシックとヘレニズム」というような分け方ですが、読むのが楽しみです。ゴシックも2冊で構成されています。ゴシック建築に1冊、ゴシック期の絵画に1冊という感じです。 |
2020,01,07, Tuesday
数年前に植えたイングリッシュオーク、だいぶ伸びてきました。
![]() これ以上高くなるとメンテナンスが面倒なので、軽く芯止めをするような感じで剪定しようとておこうかと思いまして、ノコギリ付きの高枝鋏を買ってきました。 ![]() が、棒に付いたノコギリって使いづらいもので、慣れないと切るのは大変なもので、あまり格好良く切れたようには見えませんが、 ![]() まぁ、しかし、また枝葉が伸びれば自然な感じになってくれるでしょう。 そして剪定後の枝ですが、丁寧に小枝を削いでまとめておきました。 ![]() これを炭にして、燃料にしたり、黒顔料にしたり、灰にしてみたりなどして活用したいところです。西洋の手工芸ではオークは重要な素材でしたが、画用木炭にはどうなんだろうか、と考えてるんですが、小枝にも節が多すぎて、さらに樹皮が非常に厚そうで面倒そうだな、という見た目をしてます。 なお、webサイトの改装は、Wordpressのテーマの選定で考え込んでおります。 |
2020,01,06, Monday
どうしても読んでおきたいと思う古典が多々あるのだけれども、何も手に付かないような時は淡々と読み続けています。とりあえず、何はともあれ読んでおかねばと思っておった、ウェルギリウス『アエネイス』は、小野塚友吉訳で読み終えました。まず話題にあがることない翻訳といえますが、特徴としては叙事詩的な古い言い回しをばっさり切り捨てて、読みやすい現代口語訳になってり、註も無いのにだいたいわかるように訳されているから流れるように読めるので、かえって語りを聞いているようで、その点である意味リアルさがあるのではないかと思います。何よりも、たいへん面白かったです。小野塚友吉訳はオデュッセイアの方も存在してくれたらなぁと思います。なお、ちゃんと他の翻訳や解説書類も入手しているの順次目を通してゆきたいと思います。古典古代の文学ではイリアス、オデュッセイアが最高峰ではありますが、やはり古代ラテン語文学と言えば最高傑作はアエネイスであり、ルネサンスからバロックにかけては、アエネイスをはじめとするラテン文学を一通り読んでなければ内容についてほとんど理解できないというというところはやはりあろうかと思うんですが、しかし量が多いですな。ところでギリシア悲劇の代表作アイスキュロス『アガメムノーン』は、実はかつて呉訳を読んで途中で挫折してしまったので、このたび久保正彰訳・岩波文庫版を購入して読みました。文庫一冊を使っているだけあって、適切な改行と共に、註が非常に多く、コロスの意味不明な部分がたいへんよく解りまして、というか、解らない理由がわかったと言った方がいいのかもしれませんが、ギリシア古典では久保正彰訳が私の中で急上昇中です。解説では訳者の見解もたいへん勉強になりました。しかし私の苦手な呉訳も収録されている文学全集などによって読みやすかったりするので、いろいろ集めていると、註や解説その他の不運によってそうなっているケースもあるそうで、ともかくも収集が大事みたいですな。歴史書系はトゥキディデスとヘロドトスも着々と読み進めているのですが、その後もクセノポンとか控えていて忙しいですな。それから文学、歴史の他に膨大な哲学系の古典があるのですが、いずれの分野の古典も古書店で二束三文で売られているという点が、ルネサンス期の古典収集家が書物を探し回っていた頃のコストとは雲泥の差であり、金の掛からない趣味ではありますな。
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