松山壽一(著)『造形芸術と自然 ヴィンケルマンの世紀とシェリングのミュンヘン講演』読了
松山壽一(著)『造形芸術と自然 ヴィンケルマンの世紀とシェリングのミュンヘン講演』法政大学出版局(2015)

本書の主題はたぶんシェリングの芸術哲学なのであると思いますが、しかしそこに至るまでの状況説明に十分な紙数が割れており、というかまるまる半分以上を費やしており、ヴィンケルマンから始まってレッシング、ゲーテその他の新古典主義の発生から初期ロマン派に至るまでの芸術論と、彼らの物語が紡ぎ出されてなかなかの群像劇になっており、単に楽しみ読書としてもたいへん面白かったです。私は哲学分野は得意でないので、後半のシェリングの講演についての部分は正直なかなか意味を理解しがたいところが少なからずあって、肝心なところはなんとも言及しにくいところはあるのですが、そこは私の勉強不足に尽きるわけですが、そんな私でもとにかく前半は感動の嵐であり、他のことはだいたい放って読みふけってしまったところです。新古典主義、ロマン派とか、いろいろ解説書はありますが、本書を読んだあとだと、いずれもちょっと薄っぺらい内容であったと振り返らざるをえないところであります。それと本書の良いところは所謂ラオコーン論争をたいへんわかりやすく描写しているところでしょうか。そして美術教育と言いますか、古典主義的な絵画教育の歴史についてもたいへん勉強になるのもであるといえましょう。そしてドイツというものについて知るにもいいものであるかなと。しかしまぁ私は一番感じたのはゲーテについてもっと知らねばならぬ、というところですか。ただ少し気になるのはこれほどまでに重要な存在であるヴィンケルマンについての本が意外と少ない、翻訳も限られる、なぜであろうか。

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いろいろ購入
給付金10万円の申請書類がようやく届いたので、さっそく使わねばならぬと思って、ワコムの液晶ペンタブレットを購入、約4万円。それから勉強の為に本を。エミール・マール(著)『ロマネスクの図像学』(上下2冊)、『ゴシックの図像学』(上下2冊)、(中世末期の図像学は既に持っている)、それと簡易版かと思われるヨーロッパのキリスト教美術 12世紀から18世紀まで(上下)も注文。古すぎてどうかとは思ったけれども沢柳大五郎訳ヴィンケルマン『希臘芸術摸倣論』、旧漢字が満載であり一見読みにくそうであるけれども読んでみると意外とスラスラ読めます。ヴィンケルマン繋がりでは松山壽一『造形芸術と自然 ヴィンケルマンの世紀とシェリングのミュンヘン講演』も購入しましたが、届いてすぐ1/3ほど読みましたが、たいへん勉強になります。ヴィンケルマン繋がりというよりはラオコーンについてもっと読みたいという目的でもありますが、その意味でもたいへんよろしかろうかと。稲川直樹(著)『ブラマンテ 盛期ルネサンス建築の構築者』も注文。ブルネレスキ等に比べて不遇な扱いのブラマンテですが、ちゃんと読んでみなければと思って買いましたが、はじめの方を読んでみましたが並々ならぬ面白さであり、ブラマンテだけでなくてルネサンスそのものについての知識がぎっしり詰まっており勉強になりそうな予感がします。ヴォリンガーのこれも訳が古そうであったけど『抽象と感情移入』も注文。こちらは旧漢字なのは希臘芸術摸倣論と同じか、むしろこちらの方がやや活字が新しいような気はしますが、希臘芸術摸倣論よりも読みにくく、令和に読むにはしんどそうであります。とういわけでボタンを次々押したわけですが、実は大半が古書だったりすので経済貢献には微妙に中途半端な気もするので、カウントせずに新品商品の注文10万達せねばならぬだろうか。
そろそろ自粛による活動制限もなくなりつつあるので、今後はそこそこの忙しさというか日常が戻ってきそうですが、読書くらいはどんなときでもできるので、とりあえず買いだめしておけば、あとは読むだけでありましょう。植物もあとは運に任せて育つのを待つだけでありましょう。

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小学館 西洋美術館の「ギリシア・ローマ」読了
小学館『西洋美術館』全1199ページはふつう通読するようなタイプの本ではないかもしれませんが、最初のギリシアから順に読み進めております。ギリシアとローマの箇所を読み終わり、現在はヴィザンチンあたりをうろうろしています。ギリシアはなかなか面白かった。ギリシア美術史通史を一通り充分に紹介しつつも、普通の美術史では素通りしてしまいそうなところもしっかり取り上げており勉強になりました。それに比べてローマは寄せ集め的でまとまりに欠けるような気がしたのですが、これはローマ美術では仕方のないことかもしれませんが、美術史というよりは世界史的な説明になって、世界史図録を見ている感じになってしまったのはやや不満がありますが、でもいずれにしても読み物として大変面白いと言えるでしょう。しかし、これは初心者用のような体をしておりますが、各項目の様々な本を読んでいたら面白いかもしれませんが、いきなり読んでも意味不明かもしれないという心配はなきにしもあらずという心配はあります。まぁ、しょうがないところですが。しかし私は小学館の世界美術大全集全28巻を入手済みなので、そちらも通読しなければと思っているのです、何年かかるのかわかりませんが。ギリシアの2巻はちょっと見てるだけでも素晴らしい出来映えですが、ロマネスク、ゴシックも充実しているし、ロココに関するものはそもそも真剣に取り扱った単行本の少ないので、貴重な情報源でありましょう。ところで時間の空きをみて、一部営業再開された県図書館に行ってきましたが、鶴岡真弓(著)『「装飾」の美術文明史』を読んでから北方叙事詩への関心が再燃してとりあえず手始めにベオウルフの翻訳を一通り借りてきてみました。ベオウルフはサトクリフか何かの翻案版しか読んだことがなかったわけで、もうちょっと真剣に読んでみたいかな、と。どの訳がいいかなという感じでさらっと確認したかっただけではありますが、だいたいベオウルフの訳など開架には置いてないわけで、書庫からリクエストするわけですが、閲覧席が閉鎖中なので出してもらったら自動的に貸出みたいな状況なのであります。とりあえず借りてくるしかないわけですが、いろいろ見てみてはみるものの、どうも叙事詩の日本語の訳というのが、古そうな言い回しに訳しているわけですが、「それがし」はなんちゃらとかいう武士・侍みたいな語りがどうも洋物の訳に合ってないような気がして苦手でして、西洋叙事詩のほとんどの翻訳に馴染めないところがあり悩みの種ですが、ベオウルフもどれを買ったらいいかは保留中です。一応トールキンによる散文訳途中みたいなものは注文してあります。

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鶴岡真弓(著)『「装飾」の美術文明史 ヨーロッパ・ケルト、イスラームから日本へ』読了
ノートPCを薄型に買い換えて以来、スマートなビジネスバッグに換えて颯爽と歩きたいと考えておりまして、それから半年も経ってしまいましたが、イオンとかカインズを巡ってもいいものがなくて、Amazonで探して散々迷ったあげくに、560gという非常に軽いビジネスバッグを発見して、軽量という要素は大事であると考えて注文したのですが、届いてみたらネットの画像みたいなカッコいいものではなくスゴく安っぽくてガッカリしました。2500円をドブに捨ててしまいました。やはり見た目と軽さは両立しないか。
アイリスオーヤマのシュレッダーP3GM-Wというのを購入しました。これまで使っていた古いシュレッダーは、短冊状に切れるだけで、しかも短冊の太さが大学ノートの罫線くらの幅で裁断される為、文章が普通に読めてしまう代物だったのですが、しかし今回買ったのはかなり細かく切られるて、ほとんど粉みたいになってしまうほどであり、しかもけっこう安かったので文明の進化に関心してしまいました。素晴らしい。いい買い物をしました。
文化財保存修復学会の第41回大会は熊本会場で開催は中止となり、資料をUSBで送付し質問をメールで受け付けるという方式になったようですが、むしろ参加しやすくなったのでさっそく参加費を送金しました。

さて、リーグルの美術様式論を読みはじめて以来、装飾美術への関心が高まっておりまして、いろいろ買ったり読んだりしております。リーグルはなんだかんだでギリシアを中心としているところがありましたが、本日読了の鶴岡真弓(著)『「装飾」の美術文明史 ヨーロッパ・ケルト、イスラームから日本へ』はケルトからはじまり広い地域と文明で装飾を、特に西洋文明との繋がりで述べられており大変勉強になりました。どちらかという広く浅くという感じでありますが、さまざまの図書が紹介されており、まだ未読のものは読んでおかねばと思って、思わず何冊も注文して散財してしまいました。それにしても、今までならスルーしてしまったようなもので大変面白く感じるのは、一回リーグルを読んだからなのかと思います。リーグルは書かれたからだいぶ経つ本でですが、名著と言われるものは何かに関して惹きつけるような力みたいなものがあるのでしょう。ジャンルを美術に限っても多数の名著があるので、少なくとも暇をもてあますというようなことはないのかと思いますが。
それとリーグルを参考に登場する植物を次々植えておりますが、主にギリシア中心でしたが、もっと幅広く文様の大本になった植物をみてゆきたい気もするのですが、そうすると日本の装飾美術に限っても相当な数になりそうで難しいところです。例年は何かと心をかき乱す雑事に追われて、買った苗を放置して枯らしてしまったりとか、なんかかろうじて植えてあとは天候任せみたいな感じだったのですが、今回は外出自粛によりいつもより時間の余裕があったので植物の世話をする余裕もありました。普段はこうはいきませんが。しかし第二波とかは来ないでくれるといいのですが、どうしようもないものはそれに合わせて何か有効に活動するしかありません。一応秋に植えられるものについて選定しておこうかと。

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アロイス・リーグル(著)『美術様式論 装飾史の基本問題』長広敏雄訳、岩崎美術社 美術名著選書 1970 読了
国民年金年一括分194,320円、自動車税34,500円、文化財保存修復学会の年会費8,000円など支払いました。間もなく住民税、そして夏には車検となかなか大変でありますが、払えるときに払ってしまいたい質なので、年一括で払えるものは払うのです。それにしても国民健康保険は高いなぁとずっと思っていたのですが、新型コロナの件を経てみると、いざというとき誰でもちゃんと診てもらえるということ考えると安いものであったなとちょっと改心しましたが、それはともかくとして、ゴールデンウィークはいっぱい本を読むぞと思っていたのですが、ずっとリーグル(著)『美術様式論 装飾史の基本問題』長広敏雄訳を読んでいて、そして連休明けて数日経ってようやく読み終わったところです。とてもとても勉強になりました。今まで見えてなかったものが見えてきたといいますが、見ても大して関心の無かった図像にメラメラと関心が沸いてくると言えます。19世紀に書かれた本であるからして、最近の論とも照らし合わせていろいろ確認したいところですが、それもまた楽しみであります。本書の中心は古代ギリシアであるけれども、その流れでビザンチン美術やアラベスクへと話は続くのでありますが、しかし今考えるともやは19世紀までの全て時代の装飾に理解が深まるのではないかと思われます。絵画とか彫刻とか建築への関心で終わっているうちはまだまだ美術の入り口に居るに過ぎないと言ってもよいのではないか。美術が何かと語るにはまだまだほんの一部しか見ていないのではないか。
読むのに時間がかかったのは、登場する植物を手当たり次第に買っては植えていたということにもよります。アイビーやらアカントスやら、地上に植えられるもの、そして東北でも植えられそうなものは全部植えました。ロータスはさすがに池でもなければ難しいので、保留にしてありますが、でもロータスの花の季節になったら、伊豆沼にでも行ってみますか。それにしても、19世紀の書であるからして、まだ絵画の世界で抽象表現が現れる前と考えると、その点でも興味深い。とはいいつつ、文章で装飾を説明されても理解に時間がかかるのか、いやでもやはり文章がすこぶる読みにくい気がしたのだけれども、細かい部分については、たぶん半分どころか1/3も理解してないような気がするのですが、しかし全体としての大意は伝わってきたような。どうだろう。なお、『様式への問い 文様装飾史の基盤構築』加藤哲弘訳、中央公論美術出版、2017という新しい翻訳もあるようなのですが、税抜定価28000ということで手が出なかった。リーグルの代表作『末期ローマの美術工芸』は33,000円なのか。しかし、春休みから連休にかけて読むはずであった本が山ほど積んであるので、それどころではないのでまぁいいのだけれども。

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