2021,05,29, Saturday
たまたま図書館で見つけまして、鷲田小弥太(著)『ローマ人の処世術 人生の苦しみに負けない言葉』なる本を読みました。プルタルコスを中心にローマの哲人達の言葉を紹介しつつ著者の人生訓が述べらるという、内容的には軽めの人生訓随筆書のような本です。内容は共感するものもあれば、それはどうだろうかという箇所もありますが、それは各人の環境や経験によって違うかとは思います。マルクス・アウレリウスについての評価が辛いのですが、あれは文字通りにとらえなくてもよくて、自己を奮い立たせる文言くらいに受け取って生きてゆくという活用方法でよろしんでないかな、とは思うのですが、しかしそのようなことは置いておくとして、個人的は本書の序文あたりで解説されている古代ローマからの西洋随筆文学の系譜のようなものがたいへん興味深かったのです。思わずモンテーニュやパスカル、セネカなどに関する諸々の本を注文してしまいました。その後よくよく確認してみると、本書で述べられていたことは特別なことでもなく、西洋随筆系譜としてはそれなりに常識だったようではありますが、私はこの辺に無学だったということで、今回勉強になったということなのでありましょう。プルタルコスについては列伝のイメージしかなかったので、その点においても、視野が広がりました。もっとも私はまだ列伝を読んだことがないので、そもそも勉強不足なのでありますが、だいぶ前から世界古典文学全集のプルタルコス巻を枕元においているのですが、優先順位がなかなか回ってきておりません。現在はヨハネ文書を読み進めているところですが、優先順を付けると、自分としては西洋美術にダイレクトに影響がありそうなものを優先しなければ、というような考えもなくはないので、後回しになってしまうところです。でもこの機会にちょっとだけ西洋随筆系譜をたどっておきたいなと思い、モンテーニュについて書かれた本、宮下志朗(著)『モンテーニュ 人生を旅するための7章』を購入、届いてすぐに目を通しました。形而上哲学書と違って素早く読み終えられるます。こちらはエセーを解説、紹介している本ですが大変面白いです。モンティーニュの頃の時代の情報源としても役立ちそうなところがあって、さらに買わなければならない文献が増えてきてしまいます。他にはパスカルとセネカも押さえておかねばならぬであろうと思いまして、山上浩嗣(著)『パスカル『パンセ』を楽しむ 名句案内40章』を読んでるところです。さらに中野孝次(著)『ローマの哲人 セネカの言葉』も購入しました。
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2021,05,15, Saturday
The Big Short (Music from the Motion Picture)を購入。CD版は無いようなのでAmazonでmp3データを購入。Amazon Musicでずっと聴いていたのですが、急に公開がなくなったら困ると思って、買っておきました。日本では『マネー・ショート華麗なる大逆転 』という邦題で公開された映画のサウンドトラックなのですが、BGMがとても気に入っていて、特に世界経済が破綻しそうな週末的なところで使われるBGMが、不幸な気分のときに聴くと益々不幸な気持ちになれます。コロナ渦の最初の緊急事態宣言時など、大変不安に充ち満ちた状況で聴いたら、世界の終わりっぽくてなかなかよろしかったと言ったら不謹慎過ぎますが。
私はアルバムを1500円で購入しましたが、お金がなければThe Big Short piano suiteという曲を150円で購入すれば、だいたいそれに詰め込まれているかと思ってよろしいかと。Glass Eye、Redemption at the Roulette Table、Smells Like Sheepというのもあれば、もはや個人的にはそれで不幸な気分には充分であります。アルバムでも38分くらいのサントラで、細切れな音楽が多々収録されているのですが、うまく繋げて曲っぽくて、自家用車用のBGMにすれば、日常的に大変不幸な気分になれそうです。 |
2021,05,12, Wednesday
岩波書店「新約聖書Ⅱ ルカ文書」読み終えました。新約聖書のうち、「ルカによる福音書」と「使徒言行伝」が納められているのですが、福音書の方はイエスの譬話が難解で、途中なかなか読み進めづらいところも正直ありましたが、使徒言行伝の方はパウロに関する本や、パウロ書簡等も読んでいたので、スラスラ読み進めることができました。というか、十二使徒について語られているかと想像していたのですが、初期教会の状況とペトロおよびパウロの物語であり、後半になるほどペトロの話だけになります。順序としてはこちらを読んだあとにパウロ書簡を読んだ方が正統だったのかもしれません。が、時系列的にはパウロ書簡の方が早かろうと思うので、その意味ではどっちが先でもいいのかもしれません。いずれにしても、様々の文書が関連しているところが面白いところと言えるかもしれません。もっとも解説によれば使徒言行伝の著者はパウロ書簡を読んでいなかったようですが、教義に関してはともかく、パウロの行動に関しては概ね物語が一致しているので、かえって史実を意外にもなぞってそうだな、という印象を受けました。
私はキリスト教徒ではないので信仰心はないのですが、パウロの活動については大変な尊敬の念を感じるようになっております。イエスについても、やはりどちらかというと史的イエスに関心がありますが、史的イエス像を探ってゆくと、おそらく実際の活動や思想であったものと思われるものに、なかなか言葉には言い表せない敬意を払うようになってくるようなところがあります。なお「新約聖書Ⅲヨハネ文書」も購入済みですので、次はヨハネによる福音書になるわけですが、読み終えたあとにヨハネ受難曲を聴き直してみるのは楽しみです。また、初期教会については、やはり教父時代に関する伝記や文書資料についての本を読んでゆかねばならぬと感じておりますが、既にけっこう買い込んでおります。文献が乏しいように思っていた教父に関しても、ちゃんと探してみればけっこうあるものですので、そちらも読み進めつつ順次紹介してゆきたいところであります。 |