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顔料


管理人 さんのコメント
 (2002/11/10 05:30:50)

顔料についての濃い話をするスレッドです。


ラピスラズリ、使い方。

bonapa さんのコメント
 (2002/11/15 22:00:42)

ちわ。
Miyabioさんが色々とラピスラズリ、アズライトについて解説をしてくださって、「いつか聞こう」とおもいつつかなり日が経過していますが。

私は「これは本物のラピスラズリだよ」といわれて戴いた青い石の塊を持っています。

でも、先日Miyabioさんが書かれていたことを考えると、はたしてこれは本物の「ラピス」なのか「アズライト」なのか、よくわかりません。

私にその石をくれたのは画材やさんで日本画材料では都内では良く知られているお店でした。
お店では日本画の画材料として、その青い石を自家製で先生からのリクエストによって「番手」を調整してひいていました。(まるでシャルダンのようですな)で、その顔料については「天然群青」って名前ついてたんですけど、それが「ラピスラズリ」なのかどうか、今ひとつよくわかりません。

見分け方については専門家に鑑定していただくというのが一番だと思うので、ここではちょっと使い方について、詳しい方がおられたら、書き込みをお願いいたします。

使い方について、「油彩画」につかうのか、「水彩」なのか、など色々とちがいが出てくるのかと思うので、私は油彩についての顔料の挽き方が知りたいです。
「実際に塗ると油の場合には黒っぽくなる」というのをよんだので、おそらく(ここは推測)「数種の粒子の大きさの違うもの」をそろえて塗る段階によって使い分けてみたらいいかもしれない。
とおもったのでいくつかにはじめに大まかにわってみようとおもうのですがまぁ石自身があまり大きくないので「割る道具」「砕く道具」「挽く」道具についてはどういうものが使いやすいかもどなたかよい方法があったら教えてください。

絵の具の粒子によってかなり色合いもかわってくるので、ここが一番難しいところなんでしょうね。
特別な機械はもっていないし、かといって職人技をもっているわけでもなく、頼りになるほどの勘もない。  大胆なチャレンジとなりそうです。

孔雀石といわれている石もいただいたので、これもそのうち砕いて粉にしてつかってはみたいです。

おそらく色々なメディウムと混ぜて色をみたり定着感を試すだけで原石はなくなりそうな気がします。ま、それはそれでもいいです。

「顔料」についての濃い話ではなくて初心者ですが、宜しくです。


miyabiyoさんの記述をよんで、色々な辞書や書物を見てみたのですが、同じように間違い(かどうか私は良く解っていませんが)で「ラピスラズリ=アズライト」としている辞書外国にもありました。


アズライト

神崎 さんのコメント
 (2002/11/16 02:36:41)

アズライトは天然の岩群青でラピスラズリとは別物ですね。
クジャク石はマラカイトですね。
石の質によって色がかなり違いますから、お持ちのラピスラズリが画材に適した質のものか確認されるとよいかと思います。
顔料の良い砕き方ですが、日本画と同じく乳鉢を使って、その後に水簸というのが…(少ない量でしたら)
僕はかなり細かい粉末が(大量に)必要なのでボールミルという釉薬を作るときの粉砕器を使用します。
フィレンツェのドォーモの近くに「ゼッキ」という画材屋さんがあります。
いろんな挽きや質の違うラピスラズリ、マラカイトが置いてあります。
日本からメールやfaxで注文できますから、それを試されると良いかもしれませんよ。

顔料の粒が粗すぎると練り合わせの時に体力使うので死にかけですよ〜〜〜。
私が出来るアドバイスは「顔料に合わせて、練り合わせの時に(顔料の量と質に見合った)友人を用意すること」です。


どうもどす。

bonapa さんのコメント
 (2002/11/16 22:24:13)

神崎さん
早速のお返事ありがとうございます。

>お持ちのラピスラズリが画材に適した質のものか確認されるとよいかと思います。

そうですよね。
私は、その画材やさんが売っている物だからまぁ画材なんだろう、とは思ってはいますがすごく固い。ま、鉱物なら固くて当たり前だろう、とも思うのですが、それを自分の手でこまかくするのはかなぁぁぁりな疲労度がありそうな予感がします。


>「顔料に合わせて、練り合わせの時に(顔料の量と質に見合った)友人を用意すること」です。

そうですか、そのくらい大変なんですね。
神崎さんがお隣の家だったら見せていただく為にちょっとこの私の怪力でお手伝いしてみたい物ですが。力と同時に「技術」もすごく要りそうですね。
大量の分量を作るときって均一に安定した物を作るの大変そうだ。

「ゼッキ」は外国へ行ったときに買ってみました。(顔料ではないけど)ドォーモの近くにお店があるんですね。

話は横道にそれますが、そのような画材やさんイタリアでは親切ですか?「みるだけ」って入っても「怖い顔」されませんか?
いかにもプロの作家でしばしば買い物にきているひとには親切なのかもしれないけど。
愛想のいい画材やってであったことないんですが。

神崎さんが大量にラピスラズリ使って作られた作品一度拝見したいです。



海外の画材屋さんで

神崎 さんのコメント
 (2002/11/17 06:34:48)

顔料を練るときに一般的にはガラスの練り棒を使いますが、画材メーカーで市販されているものは高価で使い勝手が悪いものが大半です。(ホルベインで15000円くらいです。イタリアではもっと丈夫なものが1800円で売ってますね)
ガラスの細い取っ手では力が入りませんし体重がかけられないので大理石の角柱が良いかと思います。
とくに下地用のシルバーホワイトの練り合わせのような、顔料に対して11%のリンシードオイルといった硬めのものを素早く練り合わせる際には必需です。


>bonapa さん
僕がイタリアの画材屋さんは親切でしたよ。
高価な顔料を買うときに「高いけど大丈夫かな」って代用品や発色の良い他の顔料を紹介してくれたり、かなり親切にしてくれました。
見るだけでOKですが、買いたいものを見つける(ような)姿勢をしていればイヤな顔はされませんよ。
それと、細かい注文にも即座に対応してくれます。
瑪瑙棒の研磨を頼むと、買う前に無料でやってくれましたし。

あ、僕はラピス粉末にかぎらず、微粉末が大量に「必要なときがある」だけで常時使用していません(汗)
箔下との粉の代わりに顔料の微粉末を使うんです。
絵の具にするときの粗さでラピスを購入したら…中古車買えそうな勢いです。


代用品

bonapa さんのコメント
 (2002/11/17 17:51:08)

再びこんにちは。

神崎さん、イタリアの画材やさん全てではないかもしれないけれど親切ですね、やはり顧客として行く機会の頻度もあるかもしれない。
ところで色々とアドヴァイスくださる画材やさんで値段が高い時って「代用品」とか紹介してくださるのですね。それはいいですね、おしえてくれて、実際にそこで手にとって見られるのはいいですね。 昔、世界堂で値段が違うから「どんな風に違いとかありますか?」ってきいたら「みたとおり違うんです。」っていわれたのとは大違いですね。

粒子をこまかくするのは大変そうです。(今朝勇気をだして試してみましたが、もうつかれたから今は途中休み)神崎さんのように「微粉末」が必要な場合にはやはり機械が合ったほうが良いですね。私は油を混ぜて練ってゆく時にも好みとしては「細かい粒子」の物をやや柔らかめに練るほうがすきだと思うのでできれば微粉末のほうがいいぞ、と想像してみましたが、手持ちの石の塊を砕いてゆく作業はなかなか大変そうだから実験意外はやはりおみせから買うことになると思います。

そういえばフランスでも練る道具は大きさと形が違う物が4種類ぐらいおいていました。四角柱はなかったけれど、発注品で四角錘のを持っている人がいました。

>箔下との粉の代わりに顔料の微粉末を使うんです。

そうですか、金箔とかはってみがいたら粒子が細かいほうがよりピカピカになりそうですね。(←これは想像ですけど)





ラピスラズリの値段

神崎 さんのコメント
 (2002/11/20 17:13:40)

えっとですね、ゼッキのパンフレットで確認してきたところ
Lapislazzuli blu scuro- Macinato e purificato
gr10…247.90ユーロ gr100…2375.70ユーロでっす。
ラピスラズリの純粋に綺麗な部分だけのものでしょうね。
不純物入りは6分の1くらいの価格です。
それでも一塗りするのに中古車買えちゃいます。


ラピス・ラズリ雑感

miyabyo さんのコメント
 (2002/11/22 09:25:30 -
E-Mail)

bonapaさん、お久しぶりです。
ちょっと立ち寄ったのですが、顔料体験を始めちゃったんですか?
自分で作った絵具は、例え土系顔料でも、それを使うことで自分の中の何個かのねじがキュッと締まる感じがしますよ。

神崎さんがある程度お答えになっていますので、私は、補足がてら、やや視点を変えて、bonapaの問いかけを三つに分けてお話します。

1.bonapaさんの貰われた石は、ラピスラ・ズリなのかアズライトなのか
2.「天然群青」を「本物のラピス・ラズリ」と言われたことについて
3.ラピスラズリの顔料製造に関すること(これは管理人さんのレス)・使用法(bonapaさん)など

1.についてですが、これは次のような実験ですぐ判明します。
 石を、覆いを作るなりビニール袋に入れるなりして、ハンマーで砕き、小片をひとつぶ採取してください(普通はビニール袋など使いませんが)。それをガステーブルなどの火にかけて赤熱させます。赤熱とは、まさに石が真っ赤になる状態を示します。赤熱させたら火から下ろして常温に戻します。

 もし石に何の変化もなければラピス・ラズリです。一方、黒変(この場合は火にかけている途中からその傾向がでますが)するならば、アズライトです。

 bonapaさんは東京にお住まいのようですから、目黒区美術館に行かれると良いと思います。
ここには、原石と顔料になったものの比較ができるように展示してあります(「引き出し博物館」と自称されています)。ちなみに、昨年の夏は「色の博物誌・緑−豊潤な影」という企画展示がありました(ちょうど芸大の『油絵を読む』展が開催されていたころ)。

 そのカタログは、マラカイト(岩緑青:孔雀石)をお持ちのbonapaさんを触発するかもしれません。

 過去に「色の博物誌・青」1992年、「色の博物誌・赤」1994年、「色の博物誌・白と黒」1998年と、なかなかユニークな企画展をしており、一般書として、『画材と素材の引き出し博物館』目黒区美術館 編 中央公論美術出版1995年があります。


2.については、<その顔料については「天然群青」って名前>と言われていることから、日本画材店で、「天然群青」といえば、アズライトを示しますので、その店に顔料ラピス・ラズリはないと推測します(本来日本画材店にラピス・ラズリがないのが普通)。
 多分、神崎さんもこのあたりを判断の大きなポイントにされたのだろうと考えます。ちなみに、その日本画材料店が、文京区の「喜屋」であれば、100%アズライトです。

ただ、<「これは本物のラピスラズリだよ」といわれて戴いた>

というのが、私には非常に引っかかります。何十年にも渡って天然岩群青を作っている方が、素材そのものの名称を識らないはずはないと思いたいのですが。

そのお店にラピス・ラズリでつくった顔料があるとして、それを「天然群青」と呼称しているとしたら、通常「天然群青」と呼称するアズライトの方をなんと呼称しているのかが‥‥問題。

アズライトで天然群青を作ってはいるが、それを「ラピス・ラズリ」と信じている可能性は、ないとはいえないと考えました。‥‥ちょっと次の文章を見てください。

《 中央アジアのソグド地方で、青い貴石ラピス・ラズリが使われていた八、九世紀頃から数世紀後、西欧のイタリアでもジオットやマサッチオ、フラ・アンジェリコなどの手で教会の壁に群青鮮やかな宗教画が登場した。「群青は高貴、美しく、他のいかなるものより優れた顔料である」。そうルネサンスの画家チェンニーニは群青のつくり方を詳述した。
 日本の美術は、その当初から天然顔料の群青、緑青の岩絵の具を千年余に渡り使い続けてきた。隅の線に赤や緑、青の色美しい大和絵巻や金碧障屏画には、高価貴重な緑青や群青がふんだんに使われた。天然の緑青や群青を繊細優美に大胆豪華に使った美術は世界でもまれだ。松や杉の草木の緑や山や土坡(どは)を象徴させた緑青や流水や波涛(はとう)となった群青など、天然の顔料そのままの色彩の輝きをとり去ったら、日本美術の魅力は色褪せる。》村瀬雅夫『美の工房』日貿出版社1988年110頁

この書は、絵画材料が今ほど豊富に入手できる時代はないが、日本画・洋画などを支える様々な画材が、その伝統を守る後継者がいなかったり、国外の安価なものに取って代わられようとして、その技や伝統が消えようとしている、という警鐘を込めたルポタージュで、私は好感をもったのでした(各界の有名老舗・職人・画家が登場します)。

読売新聞に連載されて好評だったために単行本化した、と本の腰巻に書いてありました。

しかし、読んでお判りのように、第1節と第2節は、「群青」という言葉で一見うまくつながっていますが、前者の「群青」はラピス・ラズリで、後者のそれはアズライトということになり、この文章の内容自体がねじれを起こしています(1988年8月上旬に、手紙にて本人にお知らせしましたが、no answerでした)。

職人さん方が、この書を読んだか、あるいは、間接的にこうした情報を聞いて信じてしまったとしたら、bonapaさんが聞いたという内容は、ありえる話となります。でも、もしもそうだとしたら、とても悲しい話です。

ところで、この著者が参考にしたと思われる中村彝訳の『芸術の書』第62章では、アズライトのことを「アジュール・ダルマーニュ(ドイツ空色)」、ラピス・ラズリのことは「群青(ブルー・ド・ウートルメール)、岩紺青」とあります。
これが、最近の辻茂訳の『画術の書』では、前者を「群青」、後者を「オルトレマリーノ」としてあります。ドイツ青(アズライト)、オルトレマリーノ(ラピス・ラズリ)として訳すべきだったのですが‥‥。

こうした連鎖の根底には、ほとんどの日本人が顔料ラピス・ラズリを見たことはないし、使用したという文化もない、という現実があるからです。このままずっと共同幻想を続けるのでしょうか? 情けない話です。

このような誤認を、誰も気づかなかったのかといえば、実はそうでもないのです。
特に、日本では、自分の専門とする以外の分野に関しては、だんまりを決め込むというある種の文化もあるのです。「本人が気づくまでほっとけ」調の先生方も多いのです。
日立デジタル平凡社の『世界大百科事典』もしかりなのでしょう、たぶん。
そういえば、その後やはり音信不通です。ネット上の内容も変えてありませんでした。
もう少しクレームの数が揃わないと行動に移さないのでしょうか? ちゃんと、確認資料まで明示したのに、これも情けない話です。


3.ラピス・ラズリの顔料の製造に関すること(これは管理人さんのレス)・その使用法(bonapaさん)など

 顔料の製造は、チェンニーノ・チェンニーニの『画術の書』第62章に基づいて、とにかくやってみることです。
何度かやれば、この処方の問題点にも気づかれるでしょうし、とはいえ水簸だけの場合よりは良い顔料になることも了解できるでしょう。

助言として、現在では高価な乳香(マスティック樹脂)は、ダンマル樹脂で代用して結構です。
また、ロジン(松脂)は、テレピンなどを抽出したあとの滓なので、絵具メーカーさんにもあるはずですが、自社抽出はされていないだろうと思いますので、染料材料店などで入手してください。

神崎さんは<顔料の良い砕き方ですが、日本画と同じく乳鉢を使って、その後に水簸というのが…(少ない量でしたら)>と書いておられます。少なくとも握りこぶし大の量は必要です。それよりも少ない量であればあるだけ、パテ(捏ねもの)を使う場合に、かなりの量がパテに残って、青粒子がなかなか外に出てこないという事実に唖然とされるでしょう。したがって、神崎さんのおっしゃる「水簸」というややもったいない方法に頼るということになります(方解石などが、ちょうど青絵具に白を混ぜるように、色味を薄めてしまうのです。もっとも、12世紀前後の頃までは、もっぱらこの水簸によるものでしたが)。

通常は、水簸によってある程度粒状度を揃えるか、あるいは粒状度を揃えずにいきなり、パテと一緒に捏ねて‥‥という手順がそのあとにあるのです。

● 良い石の見つけ方。
比較したい石を2個持って、「ハーーーッ」と湿った息を吐きかけてください。石が湿ると、その本来の色が現れますので、色の浅い方をはじきます。それを繰り返せば、ひとまず、その店にある石の中でも良いものが選べます(やらせてくれない店もありますが)。それでもやってみてください。bonapaさんならきっとできます。 ? !
御徒町界隈は、宝石商の店がたくさんあります。狭いエリアで探すなら、場数を踏むのに手頃な場所でしょう。ただし、良い石はあまりないです。宝石に加工するものを横取りするのが一番てっとり早いかもしれません。
(原石の買い付けをする方たちも同じようにしています。バケツの水にぶち込んで比較できれば理想的)

● 仕上がった顔料の色味について
一つの指標として挙げておきますと、現在Dry pigment (Pigment powder) として売られているなかで、ターレンスの人工ウルトラマリン504(たまたま家にあるので)の色味を基準にすると、私が作っている天然顔料の6段階のグレイド(1が一番素晴らしい顔料として)でいえば3に相当します。品質の良い原石とある種の方法で行えば、さらに深味のある色が抽出できます(チェンニーニにある、着色という手段を使わなくとも)。
bonapaさんの作った顔料の判断材料にしてみてください。

そのある種の方法は、かってこの絵具を作っていたウィンザー&ニュートンも、基本的には昔の処方に則って作っているといってそれ以上言わなかったように、ひとまず極秘事項としておきます。

ラピス・ラズリが実際に使用された絵画の分析によると、いかなる高純度の顔料ラピス・ラズリといえども、純粋なラズライトではなく、不純物としての方解石他が多少混入しており、それがまた、真贋の、あるいは人工ウルトラマリンとの区別ともなるのです(人工は粒子が丸いが、本物は圧し潰した証拠として貝殻状の模様が粒子にあります)。
さらに付け加えますと、この方解石などは複屈折をするために、ある程度混入させておいた方が、適度な明るさを顔料にもたらし、味のある色を醸しだします。

私は、この顔料ラピス・ラズリは、個人蔵の作品意外には使用しません。
神崎さんの情報では、顔料ラピス・ラズリ100gが約29万円(1ユーロ≒122円として)するとのこと。原石以外購入したことがないので、この私でも、やはり高いなあと思いました。

かっての日本には、いい銅山が多く、良質のアズライトがあったおかげで、ラピス・ラズリを顔料にして使用するまでもなかったのでしょう。でも、そのアズライトも今はもっぱら輸入に頼っています。


ううんやっぱし疑惑はふかまりました。

bonapa さんのコメント
 (2002/11/25 21:58:07)

Miyabiyoさん
色々とごせつめいいただきありがとうございました。

熱して見るという方法でみわけられるんですね。

私がこのいただいた石をちょっと「疑惑の目」でみていた理由は、母親が海外へ出かけた時に「ラピスラズリ」といって買ってきた石をペンダント(とは思えない大きさだったけど)にしてもっていた石とはずいぶん質感がちがったので、「おかしい、?どっちかが違わないか?」と思っていたのがきっかけです。

ところで結果は「ラピスラズリ」ではありませんでしたぞ。火にかけたあと黒ずんでいました。
これで母親のペンダントも焼いてみれば「ほんものかどうかわかるのですが、いつそれを実行できるのか、今はまだわかりません」

>何十年にも渡って天然岩群青を作っている方が、素材そのものの名称を識らないはずはないと思いたいのですが。

そうですねぇ、うん今これがラピスじゃないってわかったからこそ、そのお店の名前いいづらいなぁ。 っていうよりは言えないか。

>こうした連鎖の根底には、ほとんどの日本人が顔料ラピス・ラズリを見たことはないし、使用したという文化もない、という現実があるからです。このままずっと共同幻想を続けるのでしょうか? 情けない話です。

はい、仰せの通りです。ブルーに限らずなんですが。エメラルドとか本当につかっていた時代にふんだんにつかえた作家がうらやましいです。

>宝石に加工するものを横取りするのが一番てっとり早いかもしれません。
そうなんですか、では、うちの親がもうそんなペンダントを持っていたのも忘れた頃にそっと砕いて使ってみます。


miyabyoさんへ

りさ さんのコメント
 (2002/11/27 14:02:05)

随分前にコメントを頂きながら、途中で掲示板の見方がわからなくなり、ご返信していただいているとは、全くしりませんでした。miyabyoさん、
本当に丁寧な解説どうもありがとうございました。本当に勉強になりました。
レスが大変遅くなったことをこの場をお借りして
お詫びいたします。ご無礼お許しください。
(しかも、技法のところに間違ってカキコした後に気づいてこちらにそのまま、コピーしました。
すみません)

(miyabyouさん )
私の研究した『ラピスラズリを顔料にするにあたっての若干の考察』(1987)の「第6章ラピスラズリは色材としてどのように使用されたか」から引用しておきます。

 miyabyouさんは、顔料に関する研究をなさって
 いらしゃるのでしょうか?
 この「ラピスラズリを顔料とするにあたっての
 若干の考察」は書籍になっているのですか?
 大変興味あるのですが、入手する方法があれば
 教えてください。

(miyabyouさん)
 A.B2冊の調査報告書より
A資料:<ラス・メニーナス>を含む7作品の試料から同定(1988年)
青色:アズライト、天然ウルトラマリン(ラピスラズリ)、スマルト。
赤色:ヴァーミリオン(シナバー)、赤レーキ
黄色:鉛-錫-黄(土系顔料として黄土)
緑色:混色(土系顔料テル・ヴェルト使用)
紫色:ラピスラズリ+赤レーキの混色
白色:鉛白
黒色:植物性黒と/又は動物性黒
土系顔料:黄土、レッド土、アンバー/ブラウン土、テル・ヴェルト
ブラウン:有機系ブラウン(ヴァンダイク・ブラウン?)

B資料:(1998年)
青色:アズライト、ラピスラズリ、スマルト。
赤色:赤酸化鉄、人工ヴァーミリオン、有機赤レーキ
オレンジ色:オレンジ酸化鉄、人工ヴァーミリオン
黄色:鉛-錫-黄、黄色酸化鉄、ナポリ黄=鉛−錫−黄(のちに控えめに)
緑色:アズライト+酸化鉄+酸化マンガンの混色
紫色:アズライト+有機赤レーキの混色
白色:鉛白と方解石で作られたもの
黒色:植物又は動物による有機性の黒
ブラウン:ブラウン酸化鉄、酸化マンガン

 随分、詳しい資料ですが、A資料、B資料という
 のは、やはりご自身の研究されたものなのです
 か?もし、さしつかえなかったらどういう
 資料なのか教えて頂きたいのですが・・・
 厚かましいでしょうか?


現在、ヨハネスパウリークの書いた「色彩の理論」と「色彩の実践」を読んでいます。
古典技法ではありませんが・・・
色彩学と絵画とを関連ずけて勉強しています。
みなさんの中で、古典技法で、どの画家、または
どの時代の画家がどういう色材を用いたか、そういう資料をご存知の方がいらしゃったら、情報をお願いできないでしょうか?
すみません、初心者用の掲示板に書いたほうがよかったかもしれませんが・・・
もし、ご存知のかたよろしくお願いします。
みなさんがやっていることと、ジャンルは違うのに書き込ましていただいてすみません。


RE:ラピス・ラズリ雑感

管理人 さんのコメント
 (2002/11/28 04:56:51)

■ miyabyoさん、

いっきにいろいろとラピスラズリのことを知って、大変勉強になりました。
いつも刺激的な書き込みをありがとうございます。
一回読んだだけでは足りずに、何度も読み返してしまいました。

まず、良い原石を集めてみたいと思います。
以前から、絵具の原材料に近づいてみたいという気持ちもあって、ラピスラズリ以外にも顔料の原石などを集めようと何度か試みたのですが、なかなかいい購入場所がみつからず、あまり集まっていないです。と言っても、ほとんどはサンプルとして集めていただけで、顔料にするには至っていませんが、ラピスラズリの場合は顔料が高いだけに、原石からの顔料作りにはかなり興味を持ちました。
鉱石マニアの店などに行ってみようかと思っていたのですが、とりあえず御徒町界隈も回ってみます。

目黒区美術館「色の博物誌・緑−豊潤な影」展、そう言えば、私も見に行きました。
あれは見てて楽しかったです。カタログは残念ながら買いませんでしたが。

>原石と顔料になったものの比較ができるように展示してあります(「引き出し博物館」と自称されています)。

なるほど、これは常時見れるのですか。折をみてまた訪れてみようと思います。

今後の展覧会などで、材料に関するものなど、情報が入りましたら、是非知らせてください。


■ bonapaさん、

宝石や鉱石関係のホームページでも、ラピスラズリの本物と模造品、あるいは違う石との見分け方は、けっこう話題になってますね。
どこまで、正しいかどうかは、ちょっと私には判断できないので、信憑性はわかりませんが。
でも、違う石をラピスラズリとして売ってたり、模造品だったりすることは多いみたいですね。とくにアクセサリに加工してあるものは、青く着色した瑪瑙だったりするようですし。
でも、まあ、いろいろ試して、顔料スレッドを盛り上げてください。ペンダント破壊したら報告してくださいね。


顔料 (1)」へ続く。


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