ウィスキーはブレンドすることによって飲みやすくなると共に品質や味わいも安定させられるそうです。シングルモルトのウィスキーは特徴が強く出過ぎて、通好みの味ではあるけれども、受け付けられない人も出てくるという具合になります。乾性油もブレンドすることによって使いやすいものができないだろうかと、よく考えています。例えば、速く堅牢に乾燥するが黄変しやすいリンシードオイル、乾燥が遅く皮膜も柔らかいが黄変しにくいポピーオイルの両者を混ぜると両方の特徴をバランスよく調整できるのではないだろうかと。この話は一部の本には書かれてはいますが、そんなに頻繁には書かれてないと思います。単に等量混ぜるのではなくて、淡色、寒色にはポピーが多め、暖色系にはリンシードが多め、という具合に合わせるとか。油絵の解説書通りだと、ホワイトの場合、絵具の展色剤がポピー(またはサフラワー)、画用液として使うのもポピーと、100%ポピーになりがちですが、部分的にリンシードが混ざっていてもよいのではないか思います。どれくらいの黄変が許容範囲なのかは画風にも依りますが、そこは各人の調整しだいということで。実験したわけではないのですが、リンシードがよく乾燥し、そして堅牢であり、ポピーが乾きにくく柔らかいというのは使っていて実感はしますが、長期的に見ての堅牢性ではどうなのだろうかなという疑問もあります。例えば、油絵は数十年以上経つと柔軟性を失って、キャンバスの伸縮などによってひび割れが走るようになりますが、ポピーが柔軟性を与えて布の伸縮によるひび割れを緩和するとか、重合のスピードが遅くて、老化が遅くなるということはないだろうか、ブッチギるリンシードをやや控えめにするとか、ないだろうか、とか。まぁ油絵なら堂々とひび割れた方がかっこいいような気もしますが、それはともかく、これはどちらも単体で使えばリンシードの方が状態は上でしょうが、ブレンドしたときに丁度良くなって、良好な状態が長く続くという相乗効果があったりはしないかという可能性を考えています。いずれにしても全部想像ですが、しかしこれはなかなかテストのしようがないような気がして実際のところはわかりません。しかし、リンシードのいくらかポピーを混ぜておくとか、ホワイトなどポピーだけの絵具層にもいくらかリンシードを加えておくというのは、保険としてありかもしれません。画用液単体の堅牢性や黄変の試験の他に、ブレンドしたときの混合率の違いでの試験結果があると興味深いところです。もしかしたらあるかもしれませんね。あったら教えてください。
これは、画用液に限らず、ホワイト絵具にも言えるのではないかと思います。シルバーホワイトにチタニウムホワイトがいくらか混ざっていると、何かと丁度いいような気がします。シルバーホワイトを使う方とお話すると、現在の鉛白の製法が昔とは異なるという話題が度々取上げられるのですが、古い製法の鉛白によるホワイトを手に入れるなどの専門的な解決方法は大変ですが、ぐっと妥協して、現代鉛白とチタン白ブレンドならば、簡単に広く一般的な油絵愛好家にまで、無難なホワイトが使われるようになって現実的なような気がします。どのぐらいのブレンドならいいのか、というのはまた微妙なところですが、体質顔料のうまく活用して使いやすさ、透明感などを出したいところです。仮定の話ですが例えば、鉛白5、チタン白3、体質顔料2など。シルバーホワイトとチタニウムホワイトを混ぜたホワイトがよろしいかと思います。チタンとジンクや、シルバーホワイトとジンクの組み合わせは多くみかけますが、鉛白+チタン白はあまりありません。ホルベイン工業のファンデーションホワイトがありますが、展色剤がリンシードオイルなので、基本的に下地用です。リンシード油とポピー油のブレンドあるいは、ポピー単体だといいかなと。というわけで、私の考える白としては、鉛白+チタン白+体質顔料、そして展色剤はポピーとリンシードの混合、例えばポピー6~7にリンシード3~4となればいいものができるかもしれないと考えてます。
そして描画用画用液を自分で混ぜて作る場合ですが、これもリノレン酸系とリノール酸系の2つを混ぜてもよいのではないかと。しかし、自分で混ぜる場合は、スタンドオイル、サンシックンドオイルなども使えるので話が複雑になります。また、ホルベインから、重合度の低い低粘度のスタンドオイル、ポピーのスタンドオイルも出たので、どれをどれくらい混ぜるかというのはなかなか悩ましいところです。