2011,02,24, Thursday
西洋中世の写本にも使われたというタンニンと鉄のインク。西洋ではタンニンにオークのゴール(ナラの虫こぶ)が、鉄には、硫酸鉄(緑礬)が使われたようである(『色-世界の染料・顔料・画材 民族と色の文化史 』)。このインクが西洋文明にとってどれほど重要であったかは、ウィリアム・ブライアント・ローガン(著)『ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史』を参照されたし。
↓こちらのページで作り方を紹介されています http://www.youhishi.com/manuscriptmaking.html こちらでは、ヌルデの虫こぶが使用されていますが、染料の為のタンニンとしては、日本ではヌルデの虫瘤が有名です。ヌルデの虫こぶは個人的に好きな染料なので、ときどき染液を作って、Tシャツなどを染めていまして、その件については下記を参照ください。 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=470 http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=832 黒い染料とするには、硫酸鉄を入手するか、あるいは鉄クギと酢で鉄媒染液を作るなど、それなりの手間がかかるのだけど、先日読んだ『たのしい科学あそび 鉄の実験』という本で、お茶とスチールウールでインクを作るという、非常に簡単な実験が紹介されていたので、今回それをやってみることにした。この本に掲載されている実験は、しごく簡単な手順だけれども、ここでは、さらに思い切って極限まで簡略化してみた。 緑茶を濃く入れる。 ![]() スチールウールとひとつまみの塩を入れて、箸で掻き混ぜる。 ![]() すぐに黒い液体になるが、これで既にインクは完成である。なんとも簡単。 箸で文字を書いてみた。 ![]() 最初は薄いけれども、少し経つとちょっと濃くなる。 Gペンで書いてみた。 ![]() タンニンは渋味の成分で、お茶にも多く含まれているから、べつにお茶でもよかったのか。鉄はスチールウールでもいいと。 万年筆のブルーブラックも鉄とタンニンのインクらしいですね。 |
2011,02,15, Tuesday
近所のスーパーにて紫蘇油を買ってきた。
![]() ところで、食用油関連の本を読んでいて、エゴマ油とシソ油がどうにもよくわからなくなってきたところなんですが。。。 日本エゴマの会(編)『エゴマ つくり方・生かし方』には「シソ科の植物であるエゴマは、シソの変種ともされ、インドや東南アジア諸国の多くでは、シソとエゴマは作物としては区別されていないといいます。シソとの差としては、エゴマは(1)ペリラケトンによる香気(臭気)が強く、(2)茎葉や子実がゴマよりやや大きく、(3)葉は緑色系で、(4)子実は丸く油脂含有量が多いことがあげられます」という記述がありますが、まぁ、そんなところなんすかね。 紅花食品さんでは、紫蘇油と荏胡麻油の両方を販売されているので、同じものの名前違いではなくて、ちゃんと荏胡麻油は荏胡麻から、紫蘇油は紫蘇からなのでしょう。 両方ともリノレン酸を豊富に含むから、乾性油としての素質ありでありますなぁ。 荏胡麻は今年辺り栽培してみたいところだけれど、紫蘇なら普段から庭に植えられていて食用している。 実も採ってあり、塩漬けにしてタッパに入れてあった。 ![]() 剥いてみると、丸い実が出てくる。 ![]() 荏胡麻の実は、先日色麻町役場に行ったときに、地元製品を展示していたのだけど、これよりだいぶ大きかった。 |
2011,02,14, Monday
以前、伐採した庭木などを焼いて炭を作った話をエントリーしましたが、その出来具合にはそこそこ満足しているものの、どの枝にも皮が付いていて、市販の炭と比べると、その点がちょっと見た目的に良くない印象が無きにしもあらずなんですよね。備長炭なんかだと、高温で作るので皮が残らないとか、あるいは最後に全体に火を廻して皮を焼いてしまう、などという話を聞きますな。
↓皮が残っている。 ![]() で、『炭と墨の実験(たのしい科学あそび)』を読んでいたら、「炭の皮花火」という実験が紹介されていて、要約すると、粉にした炭をティッシュにくるんで火を付けるという、見た目的には線香花火のようなものなのだけど、炭の皮という点がポイントで、同書によると、ナラ属の木の皮の部分にはいろいろが不純物が含まれていており、火を付けるとパチパチ弾けるのだという。 私が炭の原材料に使ったのは、確か、ナナカマドなので、ナラ属じゃないけど、とりあえずやってみましょうや。 皮を剥がして指で細かく砕いた。 ![]() ちなみに、細かくし過ぎると駄目なんだそうである。 ティッシュを細長く切ったものに先ほどの樹皮の炭を載せる。 ![]() くるくるとネジって完成。 ![]() 火を付けてみた。 ![]() なるほど、ちょっと線香花火っぽいですかね。 火の勢いが強いとこんな感じに。 ![]() 絵画用のヴァイン・ブラック顔料も試してみたところ、一応、花火っぽくならないこともなかったのだが、細かすぎるのか、ティッシュが燃えてすぐに、顔料がゾゾっと下に落ちてしまって、いまいちであった。 |
2011,02,12, Saturday
![]() 昨年末はランプブラックを作るために、オイルランプにつかうための皿とか油とかいろいろ試したりしていたのだけれど、1本の芯のオイルランプというのは実に暗いもので、ほとんど光の点でしかない。これ一本で夜中に読書や手仕事をするのは、今から想像すると不可能に近いが、昔はこれが普通だったのだろう。芯を二本にするとけっこう明るくなり、三本にすると眩しさすら感じないでもないが、燃料の油も急速に減っていくので、油の高価だった頃にはそれも適わなかったであろう。自分で菜種を栽培して油を手に入れたという二宮尊徳は伝説もありますなぁ。 ところで、植物の油脂ではなくて、テレピンのような揮発油だとどうなるんだろうかと、実際に見てみたいと思って、ちょっと危ないとは思ったがやってみる。 これはヤバイですな。 ![]() 揮発しながら燃えるから、このくらいの勢いになるのだろうか。 ちなみに、屋外で周りに可燃物のない状態でやっています。 油脂のランプは風が吹くと消えるけど、テレピンの場合は風が吹くほど火が燃え上がるし、ちょっと水をかけたくらいでは消えることもない。 テレピンバルサムにも着火してみた。 ![]() これもよく燃えますなぁ。針葉樹の樹脂だから、松材で作った松明(たいまつ)に近いものがありますかな。 油彩画の画用液は大半が引火性のものなので、火には注意しましょうということで。 |
2011,02,11, Friday
googleで検索してると、リノレン酸を多く含む亜麻仁油や荏胡麻油などが身体に良いらしいという話が山のように見つかるんですが、亜麻仁油って、すこし前の本だと食用にはあまり適してないような感じに書かれることが多かったような気がするのだけど、最近はスゴク身体にいいという話になっているみたいで。
先日も図書館で油脂のことを調べてたら、『油の正しい選び方・摂り方 - 最新油脂と健康の科学』という本があったんでパラパラと見てたんですが、(亜麻仁油はあんまり出て来ないけど)荏胡麻油(及び紫蘇油)の絶賛本であった。ネット上にもすごい勢いで同じような記事が溢れており、思わず業界総動員の宣伝活動かしらと思ってしまわないでもないですが(最近は妙に疑り深くなって、テレビの健康科学番組も見なくなりました)。それに対して少々分が悪い、というかまるで悪役のようにされてしまっているのがリノール酸で、諸悪の根源のように書かれている(リノール酸も必須脂肪酸なので、食用油が全般的にリノール酸主体になっていたのが悪いという話なのだと思われる)。 ![]() 食品売り場で売っている紅花油は以前より「ハイオレイック」という種類になっており、リノール酸が少なく、オレイン酸が多くなっているものになっていたけれども、リノール酸主体じゃないということは、油絵具には向かないということですかね。もともとはリノール酸悪玉説ではなくて、酸化しにくいという利点でハイオレイックになったのだろうけど、健康科学的にも悪いってことになっているようで。ちなみに、ハイオレイックとはたぶん、オレイン酸の割合が高い意味なんでしょう。さらに、ヒマワリ油をみたら、それもハイオレイック版になっていた。ハイリノール紅花油の市場が小さくなったら、油絵具の価格が上がるということもあったりするのだろうか。 |
↑上に戻る↑ :