2012,08,25, Saturday
前回、スオウとコチニールをアルコールで抽出したところまでを書いたけれども・・・、
■スオウ及びコチニールをアルコール抽出してみる http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1107 2日ほど過ぎて、スオウの瓶の方も液が随分赤く、というかドス黒くなってきたので、両者ともフィルターを通して残留物を取り除いた。 ![]() スオウとコチニールは色素としての役割しかないであろうから、ニスの本体として、シェラックフレークを溶かすことに。 ![]() 重量比で、シェラック20g+コーパル10gに対し、スオウで色づけしたエタノール40g、コチニールで色づけしたエタノール50gを投入。 よく振って、シェラックとコーパルを溶かす。 ![]() シェラックの方は数時間ほどで、コーパルも1日経過すると、だいたい溶解している。今回は試験的に消毒用エタノールを使用しているけど、無水アルコールなら、もっと綺麗に溶けてくれるであろう。コーパルはゴミが付いているので、本当はフィルターを通したいところだけれども、今回は省略。振ったときの泡がとっても赤い。 では、さっそく何か木工品に塗布してみるとして、理想としては木目の綺麗なちょっと高級な板に塗るべきなのだけれども、実習利用時の予算的都合を考慮して、安くて、サイズの小さなものを選択。 ↓これ「木彫印かん小箱ミニ(しな材)」 http://item.rakuten.co.jp/bicosya/30024/ ![]() 彫刻刀等で木彫してから彩色したりニスを塗ったりして仕上げる教材で、定価¥380(実売はもっと安い)。 たんぽで塗るか、刷毛で塗るか、微妙なところである。とりあえず、刷毛で塗ってみよう。 ![]() 刷毛塗りの場合、ニスが飛び散ると被害が甚大なのでご注意ください。大きなダンボール箱の中などで塗るといいかと。 一回目の塗りでこんな色に。 ![]() このニスは紙に塗ると、コチニール的なピンク色になるのだけれど、木に塗るとオレンジ色になるんですな。木材の色が影響しているということか。スオウが入っていなければ、もっと赤かったかもしれない。または、シェラックの色も影響しているかもしれない。なお、横山進一著『ストラディヴァリウス』には「・・・赤い色にちなんだ銘を持つストラディバリウスが数本ある。だが、つくられてから二五〇年、三〇〇年経った現在それらを見ても、赤に見えることはない」という件があり、麒麟血の経年変化ではないかと予想されている。スオウは著しく耐光性が悪いので、スオウで塗ったら尚更早くニスの色の変化が体感できるかもしれない。 本来は、しっかり時間をおいてから次の層を塗った方がよかれと思うけれども、実習で採用する場合は、時間的な都合で難しいであろうから、適当な頃合いを計りつつ、2時間弱の内に3層塗ってみた。アルコールの揮発にはそれほど時間はかからないので、塗ろうと思えば、もっと塗れなくもない。とくに最初の内は木材に吸い込まれる分もあってか、わりと早いペースで次を塗布できるかも。 というわけで、3層塗って以下のような状態に。 ![]() ちょっと光沢がでてきている。時間に余裕がない場合は、これで終わりでもいいかもしれない。 その後、乾燥期間など全く考慮せずに、アルコール分が揮発したかと思われるタイミングに合わせてどんどんニスを重ね、十数回塗ってみた。 ![]() 色に深みが出てきたような気がしないでもない。木目が綺麗な素材だったら、けっこう見栄えがしたかも。 |
2012,08,19, Sunday
前回はヴァイオリン制作に関する本をたくさん読んだという話をエントリーしたけれども、その知識を生かして、木工仕上げ用の赤いニスを作りたいと思う。知識と言っても、かなり漠然とした知識であって、しかも実行にあたっては、改めて下調べなどほとんどせずにやってみようという感じであり、陶工パリシー的に、最初はあまり調べずに行き当たりばったりで、いろいろ試して経験を得てゆくという方法でいきたいと思うので、以下、いろいろ不確かなことが書かれている可能性がある点をご了承願います。
で、天然染料による衣類などの、いわゆる草木染めという行為は、何年か前に熱中して、ブログにも度々記載したけれども、その際は、アカネ、コチニール、スオウなどの原料をお湯で煮だして、染液を作っていた。今回は木工用ということで、アルコール抽出をやってみようかと。なお、ヴァイオリン用ニスの染料と言えば、真っ先に挙げられるのはドラゴンズブラッド(麒麟血)であるけれども、これに関しては、中途半端ながらも以前シェラックニスに混ぜて塗布した話を書き込んでいるので、今回は不採用。 書籍やWebの情報を参照する限りでは、アカネはアルコールでは抽出し難くいが、スオウとコチニールはいけるという話である。スオウは大好きな染料であり、これで染めた布は、何とも言えない暖かい輝きがあって、個人的にはどの染料で染めた赤よりも好きである。ただし、耐光性が非常に悪く、短い期間で色が褪せて茶色っぽくなってしまうのが難点である。木工ニスの場合は、当初の赤が黒っぽく変色した的な色合いも悪くないだろうと思われる。数十年かかる色あせを数週間ぐらいで体現できるかもしれない的な期待もある。コチニールは現代でも説明不要の天然染料かと思う。最終的にはシェラックまたはコーパルをアルコールで溶かしてニスの母体にしたいと思うのだけれど、まずは、それぞれの原料をエタノールに入れるだけというシンプルな方法で、抽出の様子も観察したいから、スオウ、コチニールを別々の容器にてエタノールに入れてその様子を眺めてみることにした。 というわけで、こちらがスオウ。 ![]() これをアルコール(消毒用エタノール)に入れて、振るなどしてみる。 ![]() どれくらいの割合で抽出するのか、全く予備知識無しの状態で始めたが、ちょっと多目に、重量比にて、エタノール200g(大凡250ml)にスオウを50gほど投入した。 こんな感じである。 ![]() 1日経ったら、むしろ黒と言えるくらいに色が出ていた。 ![]() はっきり言って、スオウを入れすぎたかもしれないが、ニスとして薄く塗布すれば丁度よい濃さになるかもしれない。 次にコチニールである。 ![]() 乳鉢で磨り潰して、 ![]() エタノール200gに20gほど投入してみた。 ![]() なお、コチニールの凄いところは、少量の原料で、たくさんのものを染めることができる点であると、『完璧な赤』にも書かれていたし、普段布を染める際も、大きな容器の水に少量のコチニールを使って染液を作っているのだが、やはり200g(大凡250ml)に対して20gは多すぎたかも。 いずれにしても、塗ってみるまで結果はわからないので、シェラック母体で何か木工品にでも塗布してみたい。 |
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