2012,12,03, Monday
オーク材は、アルプス以北の板絵の支持体として使われたので、絵画関係者にもなじみ深い木材であるけれども、欧州のオークの樹を注意して見たことがある人は少ないんじゃないでしょうか。昔、欧州のオークは「樫」と訳されることがあったのですが、樫は常緑の樹木であり、ヨーロッパの北の方の話となれば落葉のオークを指すでしょうから、訳語としては「楢」の方が合っていると言えます(日本では、コナラ属の中で常緑のものをカシ、落葉のものをナラと区別するようです)。というわけで、日本の樹木で言えば、コナラ、またはミズナラが近いと言えます。自宅の庭に、コナラとミズナラを植えたという話は以前しましたが、山登りをするようになると、全然珍しい樹じゃないんで、植えててどうなのかなと思うこともあるんですが、とりあえず成長を見守りたいかと。里山や雑木林を構成している中心的な存在は、コナラ、ミズナラと言っていいんじゃないでしょうか。
しかし、ヨーロッパの楢と日本の楢はやっぱり雰囲気がだいぶ違うような気がするわけです。ヨーロッパ楢の葉っぱの形状は、手のような形をしていて、柏(カシワ)の葉に似ているんですが、柏もまたコナラ属の落葉樹なので、分類上はナラということで合っているんですかね。 下はwikipediaで見付けたんですが、19世紀の本に載っていたオークの葉のイラスト。 ![]() というわけで、ヨーロッパの楢も植えてみようかと、下記を注文してみました。 イギリスナラ:コンコルディア5号ポット[クエルカス・ロバー][コナラの仲間] ![]() 園芸用の品種らしく、ヨーロッパの森を構成してた巨大なオークほど成長しないみたいですが、巨大になられても困るのでちょうどよいと言えるでしょう。 葉の形が先のイラストと同じ形状です。 ![]() オークは、絵画の板材としてだけではなく、建築その他あらゆる分野で、ヨーロッパ、特に北のヨーロッパの文明はオーク材に負っているところが多いということを、ウィリアム・ブライアント・ローガン(著)『ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史』を読んで知ったわけですが、オーク材を語るならば、この本だけは真っ先に読まないといけない本だと思ってます。 |
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