海緑石(グロコナイト)その2
webサイトを再構築したいと思い立って早3年が立つような気がするのですが、顔料への基礎知識をもうちょっと高めないとどうにもならぬのところで、さっぱり進まず、今は顔料知識の促進に精進しておるところであります。

海緑石の件ですが、前回粉砕して乳鉢で摺ったところまでゆきましたが、まずは水簸してみます。

いや、ちょっとその前に湿らせ状態でさらに乳棒で摺ってみました。

濡れ色になると、けっこう濃い色調ですね。油彩画の時はこれに近い色になるかと思われます。

その後、水簸することにして、乳鉢に水をたっぷり注いでかき混ぜます。


落ち着いたところで、上澄み液を回収し、それをコーヒーフィルターで濾します。

海緑石の硬度2~3前後で柔らかめであったはずですが、水簸してみると砕けていない大粒の顔料が多く残っております。なかなかしぶといところでもありますが、水性媒材ならばこの粗い顔料の使い道もありそうなところでもあります。

コーヒーフィルター上で乾燥させると繊維が絡みつくような気がしたので、水が引けたところで皿に移して乾燥させました。


それを再び乳鉢で粉末化しました。


サンプル瓶に入れてテールベルト顔料の完成です。

後日、各種媒材で塗布してみたいと思いますが、水彩では概ねこの色味で、油性媒材では濡れ色のときの似たものになることでしょう。セラドン石の場合と比較してみたいというところもありますが、何か機会があったときにするとして、今は次の顔料にゆきたいところであります。

| 絵画材料 | 11:01 PM | comments (0) | trackback (0) |
ヘマタイトを砕いて顔料(ベンガラ)にしてみる その1
酸化鉄の赤、日本ではベンガラと呼ばれるところの顔料を作ってみたいと思います。

なお、テキストしては以下の論文を参考にしました。
児玉大成「亀ヶ岡文化を中心としたベンガラ生産の復元」日本考古学12巻(2005)20号
https://doi.org/10.11215/nihonkokogaku1994.12.20_25

できれば赤鉄鉱くらいは自分で見つけてきたいところですが、鉱物採集の知識がまだ足りず、今回はネットで買った腎臓状ヘマタイト原石を使うことにします。


楕円的な丸みの形状を腎臓状と言うらしいです。ヘマタイトはさまざまの形状や色の鉱物があって、たぶん、ツルッとした感じのものが固いのだと思いますが、固いものだと硬度5を超えてくると思われます。かつては鏡状のものや、つるっとしたものなど集めて、今も手元にあるのですが、全く赤くないのですが、でも条痕色は赤いので、砕けば赤、またはすくなくともパープルっぽい赤くらいの顔料にはなるかと思われます。

前傾の論文では赤鉄鉱の頁岩を採集し、頁岩は固いので、そこに付着しているコークス状の赤い部分を使って縄文人がベンガラを作ったという論になっております。コークス状の意味は最初ちょっとわからなかったのですが、石炭のコークスではなくて、多孔質という意味のようです。

実は今回の腎臓状ヘマタイトもひっくり返して裏を見ると、多孔質そうな赤い部分があるので、ここを中心に使えそうな気がします。

さて、これまではハンマーや乳棒で砕いておりましたが、今回の原石はちょっと堅そうに見えまして(実際はそうでもなかったのですが)、縄文人と同じように、石で砕いてみたいと思いました。

自宅の庭石の中で平らな感じのものを選び、タワシやらクレンザーやらで、せっせと洗いまして、表面の汚れと藻のような植物を落としました。


で、写真のような丸みのある堅くて重くて、ある程度の大きさの石で摺り潰します。


まずは石の重さを使って上から叩き潰す感じで、ズシズシと潰します。

ハンマーでやるとどうしても飛び散ってしまうのですが、叩き用の石がそこそこの大きさだと、破片がどっかに飛んでいくようなことが少なくて、とても良い感じです。

ある程度砕いたところで、赤い部分だけ集めました。


この部分や柔らかいので、乳鉢と乳棒であっという間に細かくできます。


それから、腎臓状の黒い部分。

これもまぁ、細かく砕けば赤色になるとは思いますが、こちらは別に粉末化してみます。赤いコークス状部分よりちょっと堅いような気がします。

しかし、叩くときに使った石を、今度は体重をかけてハンドル操作風に左右に円を描いて擦ってみたところ、実に簡単に細かくなってくれました。


こんな感じであります。

概ね赤褐色になりました。先に砕いた赤いコークス部分を砕いたものより若干彩度が落ちてはおりますが、乳鉢もさらに砕けば差は縮まるかもしれません。それにしても、大きな石で砕くとめちゃくちゃ楽ですね。乳棒よりずっといい。ポットミルよりも短時間で済みそうです。これでマラカイトも砕いてみたいところですが、台の方の庭石が少々柔らかいので、堅い庭石を探さねばなりません。

そして、この後水簸に進むわけですが、件の論文では、土器で煮沸していたようで、そうすると鮮やかなものになるように読めるのですが、加熱しない水簸と何が違うかは気になるところです。200℃くらいで加熱すれば、赤色度は上がるかと思うのですが、お湯で煮るということは最大でも100℃なのではないか、という感じもありますが、とりあえずは鍋で煮てみたいと思います。

| 絵画材料 | 09:50 PM | comments (0) | trackback (0) |
海緑石(グロコナイト)を砕いております。
海緑石(グロコナイト)をネットで購入しました。

テールベルトの素材となる鉱物であろうかと思います。

まずは、かち割ります。

今回は小さな標本を砕くだけなので、全工程を乳鉢乳棒でいこうと考え、乳棒でガシガシ叩いたのですが、硬度2とされるので、砕きやすいかと思ったのですが、最初にかち割るときはハンマーでやるべきでありました。モース硬度は、削れやすさみたいな指標であって、割りやすさとはまた違うということですね。でもまぁ、乳棒でもいけます。なかなか割れなかったのですが、写真を見てもわかる通り端っこからボロボロ崩れてくるので、モース硬度的にはやはりかなり柔らかいのでありましょう。ちなみに、ある程度砕いたところで、茶色い部分は取り除いておきました。

マラカイトを砕いてみるたいな見た目になってきました。

マラカイトより若干砕きやすいです。辰砂とマラカイトの中間くらいでしょうか。

というわけで、細かくするにしたがって徐々にテールベルト感のある見た目になってきました。


このあと水簸等の工程をやっていきます。なお、テールベルトの元になる鉱物には他にセラドナイトもあるそうですが、機会があれがそちらも砕いて比較したいところあります。おそらくは今回の海緑石よりは明るい色調になるかと思います。天然のテールベルト顔料でも、色が暗いものから明るいものまでありますので、原石の違いであろうかという確認をしてみたいところです。なお市販のチューブ絵具は、テールベルト以外の顔料が含まれているか、あるいはテールベルトが全く含まれてない場合もありますが、それはラベルの表示で確認できますが、ラベルの表示が天然緑土だけであったとしても、実は他の顔料が含まれているケースが多いのではないかと思います。まぁ、別に結果的に好みのものを使えばそれで問題はないのですが。

それにしても3月ももうすぐ終わりなのですな。私の春休みも残りが少なくなっております。まだまだやり残したことは多いのですが。しかし、赤鉄鉱を砕こうと思って標本を注文済みです。赤鉄鉱および褐鉄鉱からベンガラを作りたいかと。なお、含水酸化鉄の方はなんとか近所の山から取ってこれないものかと思います。宮城県は辰砂も赤鉄鉱もテールベルトもいいものは見つけられそうにないのですが、せめて含水酸化鉄くらいはなんとかなろうかと。隣の岩手県では琥珀が採れるし、山形では辰砂とれそうなところもあるし、しかし宮城は何が採れるのであろうか。

| 絵画材料 | 11:02 PM | comments (0) | trackback (0) |
緑青を発生させております。
以前ヴェルデグリづくりをしたいということを書いていたわけですが、様々の方法で緑青を発生させております。

最も単純な方法であるワインビネガーを入れた容器に銅板を入れて酸性の蒸気に曝す的なもの。


酢酸またはその他の腐食液を入れた容器に、銅板を吊すパターン。


そして画家鳥越一穂氏より頂いた大きな銅板、これは普及品ビネガーにて。

鳥越さんは銅板を支持体に描いておられるので、使わない銅板がないか聞いてみたら、けっこう大きなものを置くって頂きました。

純銅タワシがよいという情報も頂きましたので、それも試しております。


さて、シンプルに緑青を集めて使うだけでしたら、これで顔料完成みたいなものでありますが、絵画材料事典はじめ、諸々の文献では、単に発生した緑青と、結晶化させた緑青で色が違うとか、特に油絵具としてときの彩度が異なるというような話が書いてあったような記憶があるので、結晶化させてそれと比較したいわけですが、さて、どうするのでしょうか。酢酸に溶かして緑色の濃い液体にした状態で熱して、あるいは熱した状態でさらに溶かすようにして飽和溶液に近づけてゆき、その後それをゆっくりと冷ましてゆくと結晶化してくれるのでしょうか。あるいは結晶化は水の方に変えてできるであろうか。この辺はよくわからんですな。試しながらやってみますかな。中世の書物だと熱い尿をかけたりしてるので、そういう意味もあったのだろうか。いずれにしても私は何もわからん。テオフィルスが何を言ってるかもほとんどわからぬのです。

| 絵画材料 | 10:49 PM | comments (0) | trackback (0) |
クロウメモドキ(ラムナス)の苗を購入。
気がつけばもう春っぽくなってきておりますので、植物を買う時期になっております。毎年、いろいろ考えつつ、主に色材となっているような植物を中心に、美術史に関連するものなども買っていたりするのですが、日本の東北で育ちそうなものはたいてい植えた気はしているつもりになったりしますが、よくよく勉強を続ければ、まだまだ手の掛かってないものは多いのです。終わりはないと考えてよろしいところでしょう。

というわけで、まず本シーズン一発目ですが、クロウメモドキ(ラムナス)の苗を買いました。

実から緑の染料が採れるようで、それが本来のサップグリーンですが、絵画材料事典によれば、潰して液にするぐらいで緑にはなるようで、ドロドロの状態で家畜の臓器の革袋に入れて売られている場合もあるし、ミョウバンに染着することもあるというふうに書いているけれども、それは昔の話でありましょう。現在市販のサップグリーンは合成有機染料であり、本物の方は耐光性も甚だしく悪いようなので、売られることもないあまりないでしょうし、使うのも推奨できないかと思われますが、それはともかく緑が採れるか試したいところです。植物は緑色をしていることが多々ありますが、実用的な緑の染料が採れることはあまりないので、気になるところです。なおこの果実は人体には有毒のようです。

それから植物ではありませんが、土性顔料について試してみたいことが多々あります。幸い、大きなポットミルと回転台を譲り受けることができましたので、こちらも活用できないかと考えております。

以前このブログにも書いた小さなポットミルと回転台ですが、試行錯誤した末に顔料作りに役立つという程のものではなかったという感じであります。やはりある程度の大きさは要るかと思います。このポットミルは中のセラミックボールもずっしりと重く、大概のものを細かく粉砕しそうな予感がします。もっとも、まだ使ってみたことはないのですが。
ちなみに、回転台の方は、ロクロ回転機でありまして、その上に棒があって、ポットミルを回転させられうようになっている模様です。

ですから、本来は釉薬を作るといいますか、釉薬を砕くのが目的なのかと思われます。

| 絵画材料 | 10:08 PM | comments (0) | trackback (0) |

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