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画材&技法 全般 (14)」からの続き。


画材&技法 全般 (15)


手練りのご質問について 補足

miyabyo さんのコメント
 (2005/10/23 00:06:18)


補足


『シュトラスブルグ手稿』から訳出した処方で、

≪それを使いたいときは蒸溜水で希釈せよ。≫とあるのに、

≪このように油彩用には白亜が使われた。≫

と書きましたが、この絵具は、「ラグカラー」とは異なり、油彩・水彩どちらにも使えることを前提に書いています。
したがって、油彩に使うときは、当然ながら蒸留水は使いません。


炭酸カルシウム、洋書、元ネタなど

オーテカ さんのコメント
 (2005/10/25 09:05:33)

miyabyo様、今回も懇切丁寧な回答ありがとうございました。

やっぱり、ラングレや飯田さんにも元ネタがあったんですね。ただ、一冊ぐらい邦訳されていても良いように思うのですが、絵画関連の書籍は昔から需要がないんでしょうね。

昔日の巨匠の炭酸カルシウムの添加については、miyabyo様が言われる通り、現場<修復家(特に化け学系)>の者でない限り、知る術はないのでしょう。今後の専門家たちの研究に大いに期待したいところです。

こんな時代に日本で、古典絵画を学ぶことはあまり環境に恵まれているとは言えませんが、それでもこうしてネットを通じていろんな方にアドバイスして頂けることは本当に幸運なことだと思います。もし、10年早く生まれていれば、このような恩恵を受けることもできずに、一人で悶々と訳も分からず絵を描いていたと思います。

そろそろ本腰を入れて洋書を読まなければなぁ、とつくづく感じています。でも、洋書を買うお金と読む時間がなかなか、ないんですけどね。


12/3 土曜日、京都で画材セミナー開催します。

ゆめ画材の水野 さんのコメント
 (2005/11/14 16:32:28 -
E-Mail Web)

管理人様、皆様、いつもお世話になります。ゆめ画材です。
12月3日土曜日、京都駅から徒歩約10分の所にある
テルサにて、画材セミナーを開催します。

ホルベイン工業株式会社の技術部長 荒木さん、
京都の筆メーカー株式会社中里の社長さんが
それぞれ、絵具について、筆について各2時間
講義します。
各2時間ありますので、ごく一般的なことから、
専門的な部分まで細かく教えてもらえます。
一通りの説明が終わったあとで、質問をする
時間を取っていますので、どうぞご参加ください。
※人数多い場合は抽選

荒木さんは、このサイトでもご活躍されていますが
今度は、生で見れますね!(私も会うのは初めてです)
詳しくは、下記をご覧下さい

http://www.yumegazai.com/owners/yumegazai/event/seminar/index.htm


膠について

ぐるー さんのコメント
 (2005/12/05 09:52:42)

 うさぎ膠について、教えてください。
 大体、何年ぐらい持つか、なるべく長く保存するのには、どうすれば安価で長く持つか、良い案があれば教えてください。ムードンや顔料(粉)についても同様です。


フレミッシュメディウム

Edo さんのコメント
 (2005/12/26 20:46:40)

ルフランのフレミッシュメディウムを絵の具に練りこんだり溶剤として使用する場合、目安としてどれくらいの分量までなら混ぜてもいいか教えて下さい。又、成分についてもわかる方がいれば教えて下さい。


油絵具のホワイトについて

九州男児 さんのコメント
 (2005/12/30 09:13:56)

油絵を描いている者なのですが、どの白を使えば良いのか分かりません。
基本的にはシルバーホワイトを使い、光が当たった明るい部分にはシルバーとチタニウムを一対一で
混ぜ合わせたホワイトを使って描いていたのですが、どうしても粉っぽい絵になってしまい納得出来ません。
 
ジングホワイトは亀裂の怖れがあるので使わない様にしてたのですが、仕上げ時に絵の表面に薄く
使う分には問題ないのでしょうか?ジングホワイトを使われている方はいますか?
もう、どうして良いのか分からないんです誰か教えて下さい。お願いします。<(_ _)>


油絵の具のホワイトの基本

ミチヨ さんのコメント
 (2006/01/06 18:04:28 -
Web)

油絵の具のホワイトについて、の返答します。
私は基本的にシルバーホワイトを使い、亀裂の恐れのあるジンクホワイトを仕上げ時に(たとえシルバーホワイトの上でも)使っています。

全部シルバーホワイトでも構わないと思います。
チタニウムホワイトを混ぜると粉っぽくなるというのはなぜかというと、チタニウムはとても乾きが遅いので、乾いた、と思っていても、他の絵の具に混ざってしまうからです。
ジンクホワイトをあまり恐れる必要はありません。きれいな白です。要は下地(書き始め)に使わなければ亀裂の心配はないといえます。

ま…シルバーホワイトはミノー社のもの以外亜鉛華が入ってるそうですが。

参考になりましたでしょうか?


RE:油絵具のホワイトの基本

九州男児 さんのコメント
 (2006/01/09 14:38:45)

ミチヨさん返答ありがとうがざいます。

現在は描き始めにシルバーホワイトを使い、描き込み・仕上げ時にはパーマネントホワイトを使ってましたがパーマネントホワイトは他のホワイトに比べ乾燥後の物質感が欠しく、質感があまり表現出来ませんでした。(なんと言うか、本物らしさが出なかったです。)

ミチヨさんの言われるとおり僕はジングホワイトを恐れていました。下手な絵ではありますけど数年後、絵がボロボロの状態なったら悲しいなと…。
ジングホワイトでしか作れない中間色もあるし、これからは仕上げにジングホワイトを使ってみようと思います。
ミチヨさんのコメントは大変参考になりました。


厦門磊晟石材進出口有限公司

厦門磊晟石材進出口有限公司 さんのコメント
 (2006/02/08 15:32:47 -
E-Mail)

拝啓 貴社益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。

弊社磊晟石材は中国福建省厦門市に輸出入業務を行う事務所を置き、石の故郷と呼ばれている泉州に自社工場があり、生産及び輸出入を一貫して行っている石会社です。
弊社は生産管理方法については、世界一品質の厳しい日本より導入し、日本人の方々から指導を受け、管理体制をもっと強化し、現在では、安定した品質を維持しており、お客様より「上位クラスの品質」と高い評価を得ており、品質には絶対の自信を持っております。
直接取引ですから、値段はよりやすく、日本の問屋さんに近いサービスも提供できると確認しております。
経営範囲: 
墓石、外柵(石種は国内産、外国材で様々多いです)
建築石材:板材、縁石、塀石、車止石、間知石、ピンコロ、敷石など
彫刻品:動物彫刻、人物彫刻(観音様、仁王様、地蔵様)、灯篭など
影彫り:風景、人物、動物など

石のことならば、何でも結構ですので、ご相談頂ければ幸いでございます。
最後に大変恐縮と存知ますが、御社よりのご用命心よりお待ちしております。


**************************************
中国・厦門磊晟石材進出口有限公司
TEL:86-592-5651792(日本語可)
TEL:86-592-6021792(日本語可)
FAX:86-592-5604127
E-mail: youkeitou@leishengtop.com
MSN: yini928@hotmail.com
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サンシックンド油の体積は減少しません

yamasaki さんのコメント
 (2006/02/14 14:05:40 -
E-Mail)

 亜麻仁油などの乾性油は酸化と重合によって、液体から固体に化学変化します。乾燥とは正確ないい方ではなく、習慣として「乾燥」と称しているだけです。       乾性油を「煮詰める」ことは不可能です。大多数の絵画技法書にいう「乾性油を半分まで煮詰める」という表現は大嘘といわざるを得ません。「煮詰める」には「油を燃やす」以外の方法はありません。             こうした、初歩的な事実の観察すら無視されているわけです。例えば、有名な「絵画術の書」にも同様の事実誤認臥あるのです。現在の絵画技術書の大部分も実験や観察的事実を総括したものは非常に少なく、孫引き資料を羅列した書籍が多いのです。ですから、乾性油の濃縮とは粘度の増大ではありえても、乾燥という言葉とはまったく違ったものです。                      私の知り合いにも、伝統的絵画術にこだわる人間はいますが、科学技術が未発達な時代の「技術的制約」によってやむなく生まれた過去の方便という視点も持っていなければならないでしょう。現代において、絵の具を自製する、という行為は自分勝手を通すことでしかありません。画材を求める場合、便利さという意味が作画方法によって非常に異なってきます。絵の具を自製する目的は、画家が自分の勝手を追求する結果でしかありえないのです。ここでは便利さ、は作画の方法としてのそれであって、絵の具を作る工程や自製絵の具の保存という部分でのみ、便利や簡便さが放棄されているに過ぎません。           大多数の日本人画家はダンマル樹脂を使用しているようですが、ランニングしたコパル樹脂とは異なる性質、画肌になります。下手すると「いかにもダンマルの画肌」になります。日本では、なぜか「キオスマスチック」は非常に高価ですから、ダンマル樹脂が多用されるのでしょうが、画肌としても筆捌きという面でも「マスチック樹脂」の方が楽ができます。ギリシャでは大した値段ではありませんが、日本では異様に高価です。フランスでもかなり高価ではありますが日本ほどではありません。この樹脂の黄変は相当なものですから、果たして画材として妥当なものかどうか、難しいところです。かつて、W&Nで製品化されていましたが、黄変するメジウムとしてあまり評判がよいとはいえず、価格の点でも高価で需要がなかったのでしょうとっくの昔に消えてしまいました。
 マスチックは、現在も「メジウムマロジェ」に使用されていますが、保存という観点からは未知数というしかありません。私はマスチック樹脂を使用しておりますが、絶対的に信頼して使用しているわけではありません。使いやすさ、という作画の身勝手から使っているだけです。
 L&Bの「メジウムフラマン」は添加物が多くマロジェの原型とは大きく異なるものといえます。自製のフラマンとは全く質も効果も異なります。大量生産、工場生産に合わせて生産工程が異なっているのでしょう。
 最後に、現代人が忘れやすい油彩画の材料的側面に触れておきます。ルーベンスの時代、乾性油を希釈して塗装材として適切な濃度に調整することは重要な秘密のひとつであったと考えてよいでしょう。繊細な描写を可能にするのはテレビンなどの希釈液の発見と発展に支えられているといえましょう。ベネチアテレビン精油、ストラステレビン精油、ペトロール、ラベンダー精油等の発見がなかったとすれば油彩画が普及することはなかったと考えられます。


鉛の卵

miyabyo さんのコメント
 (2006/02/18 02:11:27)


yamasaki さん、はじめまして。

今回書き込まれた内容が一部私の過去レスとも拘っているようですので、私なりの認識をしたためることにしました。ただ、今回は気の進まないレスであることを正直に申し上げておきます。

============
●「乾燥」、「濃縮」、「重合polymerization(polymerize)」などについて
通常、例えば亜麻仁油をサンスィクンド油に加工する場合、描画に使用する前までのサンスィクンさせる工程の酸化・重合には、その見かけの現象に対して「濃縮」を、又それを含むヴィヒクルの描画後の経年に伴う見かけに関しては「乾燥する」というふうに言うことが多いように思います。
この場合の用語としてはまず問題はないはずです。

ただ、仮にこの場合の経年の見かけを「乾燥」といっていいのかとあえて言われ、その理由が、いくつかの材料から成るヴィヒクルの一材料であるサンスィクンド油は「乾燥」しているのではなく酸化・重合しているのだからとするならば、それは油彩画を描く人の世界の会話ではなくなります。別途研究室の中で化学者が議論すれば良いことなのだろうと考えます。

その経年現象を、物理的乾燥、物理化学的乾燥、化学的乾燥の中で、化学的乾燥に与する亜麻仁油だから「乾燥」とは言わないとなれば、膠やアラビアゴムなどの物理的乾燥にしか使えなくなります。
例えば、亜麻仁油とテレピンが混ざったヴィヒクルがあるとして、
「ヴィヒクルがある程度乾いたら(乾燥したら)次の色を塗る」ということが許されないとしたら、困ったことです。
「ヴィヒクルの中の亜麻仁油が20%程度酸化・重合し、テレピンが90%以上揮発したら次の色を塗る」とでも云った方がよいのでしょうか?仮に、そのヴィヒクルが予めブレンドしてある市販品であればおそらく表現は不可能。

不正確ではあっても、習慣的に使え、さしたる誤解もなく伝わる言葉があることは有難い事だと思っています。習慣的に使う「乾燥(する)」は、狭義にのみ使用するのでなく、上記の三つに分類可能な画材すべてを包括して「乾燥(する)」といって良いのです。

=============
●≪乾性油を「煮詰める」ことは不可能です。‥‥有名な「絵画術の書」にも同様の事実誤認がある≫
 これは、まったくおっしゃる通りです。写本しか残ってないので、真意は不明のままです。
 でも、今一度そのあたりの経緯を振り返ってみましょう。

第91章「亜麻仁油を‥‥計ってとり、それを新しい鍋に入れる。‥‥弱目の火を点ずる。‥‥半分まで煮つめれば、充分である。」

第92章「(第91章で作った油を)太陽が獅子座にあるとき、太陽に晒す。そして油が半分になるまで晒したら、これは、彩色用として完璧である。」

 この第92章の「そして油が半分になるまで晒したら」という部分を、
‘This makes nonsense of the whole paragraph, as no length of exposure to the sun would result in reducing the volume of oil in this way, and therefore we have to ask whether this is a correct translation, or whether there is some other explanation.’

と云ったのは、ローリーでした。そして、「半分」と訳されている mezzo爐慮豕舛鮓‘い靴董∈Fのイタリアで、‘faded’あるいは‘pale or bleached’おも意味することを導き、

and if you leave it so exposed till it be reduced to one-half.燹,髻
and if you keep it there until it is bleached, (it will be perfect for colouring).燹

と訳したらどうか、とローリーは提案しています。
つまり、第92章「(第91章で作った油を)8月に太陽の下に置け。そして油が漂白されるまでそこに晒しておくならば、それは彩色用として完璧である。」


ただ、トンプソンは、「油の総量は減少しない、それは本当である」としながらも、風や太陽に促進されて絵画用に適した状態になるまでには、量が半減するのかもしれないと言っています。
それを私なりに考えますに、例えば、熱っせられた牛乳が冷めるとできる上皮や、豆乳の湯葉のように、昼晩の温度差も手伝って、油の表面にできる膜を、おそらく何度か排除したのだとするなら、半減もありうることではないかとも思うわけです。

したがいまして、「初歩的な事実の観察すら無視」しているのかどうかは、留保しておいてもよいのではないかと思います。


邦訳の『絵画術の書』の≪用語解説≫は、油彩画関連の言及が少ないのが残念です。トンプソンの英訳も参照されておられるのに、トンプソンも註で引き合いに出しているローリーの指摘には、確か触れておられなかったと思いましたので、少し触れてみました。


=============
●絵具の自製について、あるいは、画家が自分の勝手を追求できなくなったら画家をやめるべし。

 ≪現代において、絵の具を自製する、という行為は自分勝手を通すことでしかありません。画材を求める場合、便利さという意味が作画方法によって非常に異なってきます。絵の具を自製する目的は、画家が自分の勝手を追求する結果でしかありえないのです。ここでは便利さ、は作画の方法としてのそれであって、絵の具を作る工程や自製絵の具の保存という部分でのみ、便利や簡便さが放棄されているに過ぎません。≫

実は、このくだりが良く理解できないのです。
この文章を英訳したとすると、やたらonlyを多用せざるを得ない文章ですから、キーワードである「絵の具を自製する」と「自分(の)勝手」をネガティブに考えておられるように思うのです。一方、「便利(さ)や簡便さ(使いやすさ)」は肯定的です。

つまり、「便利で簡便な画材(チューブ入りの絵具)がある現代において、絵具を自製するという行為は、自分の勝手を通しているだけであり、便利や簡便さを放棄しているに過ぎない。」と要約できます。

これはこれで、意見として良く分かります。
しかし、後のマスチック樹脂のところで、
≪私は‥‥使いやすさ、という作画の身勝手から使っているだけです。≫
とおっしゃっておられるので、えっ?と思うのです。
マスチック樹脂を使う理由を、肯定的語「使いやすさ」と、否定的語「身勝手」を使って説明なさっておられるからです。

「絵具を自製するという行為」を「身勝手」だと否定的な意味でおっしゃっておられるのですから、ご自分がマスチック樹脂を使う行為を「身勝手」とした上で肯定なさるのは変ではないでしょうか?


ところで、私は市販のチューブ入り絵具も、自製の絵具(市販の乾燥顔料及び自分で採取した土や石など)も使いますので、自製の経験のないyamasakiさんよりは、それぞれの言い分が理解できます。

【時間のロス】
例えば、作画に極力多くの時間を割いて納得いく作品にしたいという点では、市販のチューブ入り絵具の方がはるかに合理的です。
しかしながら、それは単なる物理的時間に関してで、創作の多くが精神的時間重視であることを考えれば、大差ないといっても良いかもしれません。

【コスト】
1.練り盤、練り棒、などの初期費用も、以前レスしましたように、石材屋さんを利用すれば、ほとんどかかりませんし、かかるのは、空のチューブ代、一部の顔料(真性ウルトラマリンなどの原石)。以上を差し引いてもかなり安上がりだと実感しています。
2.絵具を作る段階で、2種以上の乾燥顔料を掛け合わせて自分だけの絵具ができるというのは、コストで計れない効能。
3.全ての材料を吟味できるので、増量剤が多い、何が入っているか判らないなど、不確実な情報に左右されなくて済む。これもコストでは計れない。

【品質】
手練りは完敗。
ヴァーミリオンなど一部の絵具は、不満はあっても市販のチューブ入りのほうが良い。
私の場合、植物炭黒は、市販品をまったく信用していない。
土系顔料や鉱物系顔料は、自分でその粒状性と色味を自由に変えられる。
(テル・ヴェルトの乾燥顔料は今もっているストックのみ使用。最近色の良い天然物を見たことがない)
ほとんどのメーカーは、多くの土系顔料の色のばらつきをなくすために人工顔料に頼っている。これは大いに結構なことです。しかし、私は手練りの色のばらつきは愛嬌で済ませています。

思いつくままに書きましたが、手練りが大半である日本画を描かれている方に聞かれたら、私よりもっと適切な話が聞けるかもしれません。


「便利や簡便さが放棄されているに過ぎません」に似たフレーズは、デザイン系の学生さんが、いわゆるファインアート系の学生さんを十把一絡げにして言うときにありがちだったことを思い出します。

「目くそが鼻くそを笑う」たぐいにならぬようそれぞれのスターンを認め合いましょう。


●「メジウムマロジェ」とL&Bの「メジウムフラマン」
 ≪L&Bの「メジウムフラマン」は添加物が多くマロジェの原型とは大きく異なるものといえます。自製のフラマンとは全く質も効果も異なります。大量生産、工場生産に合わせて生産工程が異なっているのでしょう。≫

マロジェはいくつかのメジュームを提案しておりますが、そのひとつに、メリメの乳剤説に与するメジュームがあり、また、ブラックオイルを含むメジュームがあります。
ラングレ風に云えば、
前者が「フランドルの第一の技法」に与し、ファン・エイクのメジューム。
後者が「フランドルの第二の技法」で、『ド・マイエルン手記』などを利用して考案したルーベンスのメジューム

前者は、卵黄+(ボイルド油+テレピン精油のワニス)+水
後者は、ブラックオイル+(マスティック樹脂+テレピンのワニス)+ヴェネツィアテレピンバルサム

私は「メジウムマロジェ」というのは使ったことがないのですが、上記のどちらなのでしょう?

また、マルク・アヴェルによるL&Bの「メジウムフラマン」(ペースト状)は
マスティック樹脂+焼いた乾性油+石灰+一酸化鉛

したがいまして、マルク・アヴェルを含む技術員の発案とされる
L&Bの「メジウムフラマン」(ゼリー状)が、マロジェを原型とするという風には認識しておりません。


●Maroger, Jack, “The Secret Formulas and Techniques of the Masters”, New York 1947 (Hacker 1979)
 この書は、とかく彼の提唱するメジュームの方ばかりが云々されますが、彼がラッキィングライトの光を頼りに観察した多くの巨匠のブラシュストロークからメジュームを推理していくプロセスには大いに感動したものでした。それは読んでいる自分まで、マロジェと一緒の視点になり、一般の我々が近づくことがかなわぬその距離で解説を聞いている気になれたからかもしれません。
もっと冷徹に、もっと科学的に書かれた報告書は多く読んでいますが、既にかなり古い情報に基づく書でありながら、まだこの書を越える感動を味わっていません。

A. P. Laurie,‘Note on the Medium of Flemish Painters’, Technical Studies in the Field of the Fine Art, vol. 2, no. 2, 1934, pp. 124-128.
によれば、ローリーが実験用にマロジェからもらったリンシード油は、コールドプレスしたものであったとあることを、付け加えておきます。

============
≪ルーベンスの時代、乾性油を希釈して塗装材として適切な濃度に調整することは重要な秘密のひとつであったと考えてよいでしょう。繊細な描写を可能にするのはテレビンなどの希釈液の発見と発展に支えられているといえましょう。≫

基本的に同感です。
テレピンの発見は既にA.D.1世紀のディオスコリデスも報告していますが、油彩画への応用は1400年代のある時期までなされなかったようです。アンドレア・マッチオーリによれば、1500年代には使われていました『Il Dioscoride dell' eccellente Dottor medico』(1549)。
『ド・マイエルン手記』では、幾人かの画家の口から極秘だと告げられたのは、アスピック油やテレピンなどの揮発精油でした。何度か今までも書いてきましたように、この書は、そうしたことを直接聞いて書き記した稀有で貴重な史料と言えるでしょう。


ミスのお詫び

miyabyo さんのコメント
 (2006/02/20 00:57:16)


ある文献の件でイタリアから問い合わせがあって以来断続的にメールのやり取りのあるIさんから、ご指摘を受けました。
読み返しましたところ、確かにこれはまずいと思いましたので、以下記します。


第91章「亜麻仁油を‥‥計ってとり、それを新しい鍋に入れる。‥‥弱目の火を点ずる。‥‥半分まで煮つめれば、充分である。」

第92章「(第91章で作った油を)太陽が獅子座にあるとき、太陽に晒す。そして油が半分になるまで晒したら、これは、彩色用として完璧である。」


第91章はボイルド油について

第92章がサンスィクンド油について

で、あるわけですが、yamasakiさんの表題が「サンシックンド油の体積は減少しません」でありながら、引用されているのがボイルド油の部分であるため、まずその間違いを指摘した上で第92章の吟味をしているつもりでしたが、その指摘をしないままいきなり第92章の話ばかりしておりました。

≪でも、今一度そのあたりの経緯を振り返ってみましょう。≫
といいながら、このままでは、「半分まで煮つまる」ことが当然のボイルド油の「初歩的な事実の観察すら無視」することになります。

≪これは、まったくおっしゃる通りです。≫とひとまず申し上げたのは、「サンシックンド油の体積は減少しません」の現象に対してであることを明記しておきます。


一つ一つ紐解きながらコメントするというのはどうにもやり切れません。


●別件
以前≪チェンニーニ『芸術の書』≫のスレッドで、「『トンプソン教授のテンペラ画の実技』出版によせて」という書き込みをしました折に、別途金沢美術工芸大学美術工芸研究所から発刊されているいくつかの報告書についてご紹介したわけですが、その後多くの方が同所へ問い合わせをなさっておられるようです。

同所の報告書の入手につきましては、お近くの公的図書館や大学図書館を通じて、図書館への寄贈という形が取れるようになされば、ある程度対応されているようです。

Iさんのご指摘に感謝いたします。


ルフランのシルバーホワイトについて

angelo さんのコメント
 (2006/02/20 11:06:08)

はじめて書き込み致します。よろしくお願いします。
最近、知人から日本語で色名、警告文が書いてあるルフランのシルバーホワイトを頂き、そこには「spescil made」とも書いてありますが、肝心の顔料名、番号が全く記載されておりません。
今はシルバーホワイトといってもジンクホワイトが混ぜ込まれていたりして、正直使用するのも戸惑ってしまいます。

どなたかお詳しい方、よろしくお願いします。


画材&技法 全般 (16)」へ続く。


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