2018,11,05, Monday
最近、スペイン史に関心があって、いろいろ読んでおりますが、最近読んだものは以下のとおり。
西川和子(著)『スペインレコンキスタ時代の王たち: 中世800年の国盗り物語』 イベリア大陸のキリスト教国家の変遷について読んでみたかったので、大変親切そうなこちらの本を読みました。アストゥリアス、レオン、カスティーリャ、ナバラ、アラゴン、バルセロナ等々の王国、伯領など、どんなふうに変わって、合わさってやがてレコンキスタを達成するのか、というのを何となく流れ的なものはわかったような気がしないでもないのですが、人名はさすがに記憶に留めるのは難しい。ほとんど同じ名前で、何世とかで区別されていても、それぞれの王国で同じ名前が登場するし、連合王国の場合はさらに複雑になるしで。まぁ、歴史が専門ではないので、別に覚えなくてもいいのだけれども。 西川和子(著)『スペインフェリペ二世の生涯:慎重王とヨーロッパ王家の王女たち』 カルロス1世の話は、けっこう読む機会があったように思いますが、フェリペ2世を扱った本というのはまだ読んでなかった気がしましたので。実はちょっと暗くて陰湿なイメージを持っておりましが、特にエル・エスコリアル宮殿というのが、現生に対して後ろ向きなふうに勝手に思ってましたが、本書を読んでだいぶイメージが変わった気がします。読んでみてよかったです。 ジョセフ・ペレス(著)『ハプスブルク・スペイン 黒い伝説:帝国ななぜ憎まれるか』 今回読んだ中でも、凄いと思ったのが本書です。日本で絵を描いている人にとってスペインはプラド美術館があったり、ピカソの出身地であったりして、むしろ良いイメージというか、憧れの地であるかと思うのですが、西洋人にとってはヨーロッパの中でも異質な存在であり、ときに非常にネガティブなイメージとなっていたりするのです。大航海時代の南米他での殺戮、異端審問所、長い間イタリアの大部分を支配していたこと、中世の長い間イスラムに支配されていたということと、イスラム教徒のみならずユダヤ教徒も多かったことなどから、ヨーロッパの大部分から見ると、異質なものとして見られていたというのはあるでしょう。そのような黒い噂を検証してゆく本です。結論から言えば、そのような噂は実はネーデルラント北部のプロテスタントによるプロパガンダによるところが大きく、過大に喧伝されてそれが史実のように語られてきたというものですが。特にネガティブなイメージを代表するのフェリペ2世であり、不思議なことに父親のカルロス1世の方は、なんだかんだで尊敬されてしまう存在なのですが、実際は、フェリペ2世はカルロス1世の方針を踏襲しているだけで、やっている事に違いはないのに、なぜそうなったのか。しかも、フェリペ2世に対しては制作に対してだけではなくて、個人の人格攻撃も凄まじいものがありました。オペラで有名なドン・カルロスの物語となるスキャンダルも、おそらく捏造なのでしょう。こちらはどの本でも史実はカルロス王子に問題があったとは普通書かれてありますが。しかし、この本はスペインの話かと思いきや、世界史規模の話になってゆきます。産業革命や近代科学の発展を享受したのは、ヨーロッパの北半分、主にプロテスタントであり、アングロサクソンあるいはゲルマン人の方であり、南側、イタリアやスペインは近代以降びっくりするぐらい急激に衰退します。アメリカ大陸でもプロテスタントでありアングロサクソン系のアメリカ合衆国の発展と比べると中南米のラテンアメリカは未だに貧困と混乱で、となると、プロテスタント諸国の自由主義ことが経済と科学の発展に相応しかったとなる。けれども、本当だろうか、と検証が進みます。その内容よりも、世界を分けると西洋文明とその他、という括りが真っ先に思い付くけれども、世界的にはラテンとプロテスタントというのでもけっこうきっちり別れているものだなと改めて思いました。この本の内容に付いてまだまだ書きたいことがあるくらいです。 |
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