スペイン産(アルマーデン鉱山)辰砂を砕く その1
前回は北海道イトムカ産芋辰砂を砕いてみましたが、もっとさまざまの辰砂を砕いて顔料にしてみたいとは思っております。イトムカ産芋辰砂は思っていたよりも純度が高くて、砕いただけでわりといい色になりましたが、量が少ないのが難点でありました。もっと純度の低そうな、そして比較的安価で大きめの石が買えそうな状態のものから、辰砂顔料を作り出せたら経済的といいますか、実用的でありましょう。正直に言えば、純度の低そうな石から顔料を得る工程というのが、ずっと面白そうな感じがするという理由もありますが...

というわけで、今度はスペイン産(アルマーデン鉱山)の辰砂原石を落札してみました。

24gの石なので、今回も小さいことにかわりはありませんが、3.9gの芋辰砂よりはずっと大きいです。

で、さっそく乳棒で叩いて砕いてみました。

芋辰砂よりずっと固いといえます。辰砂自体の硬度はかなり低いので、それ以外の構成物が硬さに影響しているのでありましょう。かなり思い切って乳棒をガツンと叩きつけないと割れません。防護メガネなど装着しておいた方がよろしいでしょう。


手応え的には孔雀石くらいの硬さがあるかなぁ、と思って砕いていたのですが、上の写真程度に細かくなると、その後はものすごくサクサクと粉砕されていったので、意外と短時間で済みました。孔雀石だとここから先もなかなか捗らないので、やはり辰砂は柔らかいと言えましょう。

なんか予想してたより鮮やかな状態になっております。

このまま使ってもいいような気もするんですが...

しかし、一応水で洗います。

乳鉢に水を注いで、さらに擦り上げつつ洗います。

辰砂が沈み泥的な水の色になったところで、その上澄みを取り除きます。

このくらい不純物が取り除けたら充分でしょう。

しかし、乾燥したところを見たところ、不純物がまだまだ残っている様子です。

灰色の粉がけっこう残っているのが見えますでしょうか?これはやはり取り除きたいところですが、水簸の方法を変えてみたいと思います。というわけで、次回にご期待ください。

| 絵画材料 | 11:19 PM | comments (0) | trackback (0) |
ヴェルデグリを作ろうかと考えております。
我がラクティスですが、ディーラーにて6ヶ月点検を済ませました。昨年からの大雪の影響か下回りがけっこう錆びておりまして、マフラー近辺など部品を交換しなければならないかもしれない的な心配もあったのですが、今はまだよろしかろうということで、通常の点検だけで終わりました。降雪地は融雪剤によって車が錆びやすいわけですが、おそらくは冬はあまり錆びないのであろうと思います。気温が低いので腐食の進行は遅くなるかと。夏に塩カルを綺麗に落として、特に化学反応の進行しやすいときにまめにシャーシをチェックするべきでありますな。金属を腐食させて顔料を作り始めてから、そんなことを思うようになりました。無事、9月の車検が通ったならば、きっとその後2年は乗れるのでありましょう。そこが潮時かなという予感もありますので、今度タイヤ買うときは安いのにしておいて、それからエンジン周りの寿命を延ばす添加剤的なものも入れなくてよいかな、という気がします。そもそも半年毎にオイル交換してるのだからそれで充分でありましょう。それよりも毎年の錆止めコートを欠かさずやってもらうのが車の寿命延長には良さそうな気がします。気に入ってる車なので長持ちして欲しいところです。

さて、3月はあまり仕事の予定が入っていないので、というか、ほぼ入ってないので、この期間を使って未だに試して居なかった顔料の製法を試みてゆきたいと考えております。まず標的となるのは銅系の人工顔料です。代表的なものはヴェルデグリでありますが、ヴェルデグリというと人工の緑青による緑色の顔料を表すのであろうかとというのが私のぼんやりした認識ですが、文献状での知識しかありませんので、ここは実践的な面を試して知識を補強したいところであります。ヴェルデグリは広義では緑青全般について、あるいは緑青的な青い緑色を差す色名となっているようでもあり、ちょっと定義を狭めると意図してかあるいは意図せずとも銅が腐食してできた緑青を差すであろうかと思われます。銅にできる緑青は塩基性炭酸銅、酢酸銅、その他いろいろあり、この場合は化学式的に限定するのはできません。意味的に限定的にすれば、最終的に狭義ではヴェルデグリは酢酸その他の銅を腐食させるガスに銅をさらして作った緑青となるかと思われます。古代では既にプリニウスが製法を書いていますが、酢を入れた容器の中に銅を吊してフタをするみたいな感じだったと思います。これはやってみたんですが、もっと反応して欲しいと思った印象が残っています。腐食して緑青ができるとそれが膜になって中の腐食は進まないという理由もありますが、酢酸以外のガスも供給するべきではなかったかという疑問もあります。何しろ鉛白の作り方も酢の容器に鉛を晒してフタをするというものでありましたから。炭酸ガスを供給したら炭酸銅的になるのでしょうか? それはともかく、ヴェルデグリの作り方としては、他にも酢酸液の中で銅を溶かして結晶化させるという方法もあるようで、酢酸ガスにさらしてできた緑青をさらに溶かして結晶化させるということもあるようです。ダイレクトに銅から溶かして実践している例もネット上にはありました。なお、私も実はやってみようとしたことがあるのですが、ジャムの空き瓶に入れて溶かしていたら、フタが腐食して崩壊するという事故で中断しておりました。当時はネット上の情報が少なかったこともありますが、簡単に諦めてしまいましたが、今回はちょっと粘り強く試してみたいと思います。それからヴェルディターとかバイスなどと呼ばれる銅系の顔料(青~緑色)もありますが、これは人工の塩基性炭酸銅系かと思われまして、製法は全く別となりますが、これも合わせて試してみたいところです。以上、試すべきことは多々ありますが、しかし何はともあれ、銅を酢酸ガスで腐食させるという行為に勤しむのが第一歩であろうと思います。この季節は気温が低くて化学反応も鈍いという、季節的に向いてないということもありますが、夏にやると酢酸に虫が大量に寄ってくるという困った問題がありますので、特に今回は密閉状態ではない状況で酢酸上記に晒したいという考えもありまして、今の時期に試みるのもまた悪くはないという考えがあります。なお、いっそのこと緑系をいろいろ試してみたく思っておりまして、ヴァーディター、サップグリーン等についてやってみるというか、少なくとも素材の入手ぐらいは進めておきたいようにも思います。クリソコラも砕いて、テルベルトにも詳しくなって、緑系に隙の無い知識を得たいと考えておるわけであります。

| その他 | 10:29 PM | comments (0) | trackback (0) |
イトムカ産芋辰砂顔料完成
北海道イトムカ産の芋辰砂ですが、砕いて、簡易水簸を行なったまでは、既に先日書きましたが、その後乾燥させまして、結果の以下の如くです。


水洗い前よりはやや泥臭さが改善された顔料が残っているような気がします。気のせいかもしれませんが。よく見ると、一部に泥色の粒子が見えます。辰砂よりは軽いということなのか、辰砂の上にのるような状態にあるので、水簸のタイミングの問題なのかもしれません。あるいは何かうまい方法があるのかもしれません。

とりあえずは、これにて完成ということにして、小瓶に入れました。

3.9gのイトムカ産芋辰砂から作った天然顔料ですが、2.5g前後あります。途中で何度か試し塗りなどして減っていることを考えるとまぁまぁかと。やってみる前の予想からすると、かなり赤い顔料ができたというのが正直な感想です。

さて、紙コップの方に移して水簸した、より細かい方の辰砂ですが、こちらも乾燥してから、よく見ると泥色といいますか灰色の顔料がはっきりと見えます。

これも辰砂顔料の上にのっかっている感じであります。しかし、油彩技法の場合は、この色は屈折率でほぼ見えなくなるような予感もあるのですが、それはおいおい試していきたいかと思いますが、油絵具では彩度の高いものが欲しいならば、水銀と硫黄から作るバーミリオンがありますので、というかカドミウムレッドがありますので、天然辰砂としては現段階くらいの精度の方が魅力的な予感がします。もっとも、量が少なく過ぎて今はどうにもなりません。というわけで、次はスペイン産辰砂を砕いてみたいと思います。さらに、結晶状の辰砂も砕いてみたいところですが、ちょっと値段が高いので、いつになるかはわかりません。

| 絵画材料 | 11:13 PM | comments (0) | trackback (0) |
自製鉛白を乳鉢で摺りつつ水で洗う方法
昨夏にせっせと鉛板から発生させた自製鉛白、まだまだありますので、これを油絵具にしてゆかねばなりません。

鉛白を発生させるよりもこちらの方が実は大変だと思います。今回は、鉛白を水で洗う方法を変えてみます。海外サイトで書かれていた方法です。

乳鉢に自製鉛白を入れまして、そこに水を注ぎます。

ちなみに乳鉢の大きさはφ15cmです。

そして、乳棒で摺ります。

塊になっている感じのところを潰してゆきつつ、水で洗うというふうに考えております。ダマになっているところが、手練りの際に時間のかかる原因になっておりますので、これで手練りも若干は短縮されるかもしれないという期待をしております。

1~2時間放置すると、鉛白は下に沈殿します。

白い顔料の場合は、ガラス製の透明な乳鉢の方が視認しやすいのかもしれません。白い磁器製乳鉢だと鉛白の色に近すぎて、少々わかりずらいところがあります。

沈殿したら上澄みの水だけを別容器に移します。

ゆっくりと水を流せば、綺麗に上澄みの水を取り除けます。

そしたら、また水を入れて同じ行為を繰り返します。今回は4回洗いました。回数の目安は今のところわかりません。
参考にした海外サイトの記述では、濾紙とキッチンペーパーで水気を取り除くのですが、私の場合は、平らなさらに注いで自然乾燥を待つことにしました。

埃の落ちてこない場所に置かねばなりません。ちょっと皿に顔料を入れすぎで乾燥が遅そうに見えるので、もう1つ皿を用意して分散し、厚さを小さくしたいところです。この乾燥方法だと、水干絵具みたいに固まって、やはり手練りに手間取ります。あとは、あまり水に浸けたままにするより、素早く水気を切ったいいような疑問がちょっとあるのです。いずれにしても、練ってみるまでわかりませんが。なお、現時点での反省点ですが、乳鉢に顔料と水をたっぷり入れた状態で摺っても、あまり顔料は細かくならないようで、少なめの水で充分摺ってから水を追加するとよいのではないという気がしました。けっきょく塊はけっこう残りましたので。

| 絵画材料 | 09:40 PM | comments (0) | trackback (0) |

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