2023,03,18, Saturday
稲川直樹,桑木野幸司,岡北一孝(著)『ブラマンテ 盛期ルネサンス建築の構築者』読了。
とても勉強になりました。勉強になったとかを通り越して、けっこう感動してしまいました。ミラノ時代までは正直なかなかフラストレーションが溜まるというか、途中で読むのやめそうになりましたが、ローマに移ってからの超展開は胸が熱くなるものがあります。まさにこれが盛期ルネサンスなのでありましょう。それにしても、ブラマンテはイタリア盛期ルネサンスのビッグネームですが、一般の知名度が低いどころか、美術界隈の人でも知ってる人は少なかったりします。一般的な日本人だと、美術と言えば絵画・彫刻みたいなイメージがあるかと思いますが、西洋美術史的に重要なのは建築なのでありましょう。そしてルネサンス美術を知るにはブラマンテは読んでおかねばならぬように思うわけですが、さきほどチラッとAmazonを除いたところ、いずれの本も廃盤でプレミア価格になっておりますので、やっぱり読む人は少ないのでありましょう。 『仏教の思想 9 生命の海<空海>』読了。 個人的には密教への不信感みたいなものがけっこうありまして、特に加持祈祷や複雑な儀式、立派な法具など、原始仏教の情報が溢れてかえっている現代からすると、仏陀の教えとは正反対であるということはよく言われることでもありますが、とはいえ仏教美術といえば密教は外せませんので、しっかり読んでおかねばと思ったのですが、しかし本書を読んでみるとなかなか共感する点も多く、自分の中で空海密教のイメージがだいぶ好転しました。 『仏教の思想 10 絶望と歓喜<親鸞>』読了。 続けて第10巻の親鸞編も読みました。法然と親鸞の伝記は非常によく紹介されているので、私でも知っておりましたが、しかし、ここまで掘り下げて読んだことがなかったのでたいへん勉強になりました。 このシリーズの次の第11巻は道元なのですが、ちらっと数ページ読んでみたのですが、著者陣の気合いの入り方がものすごくて、序盤ですでに圧倒されかけてる気分であります。 |
2023,03,01, Wednesday
以下の2冊読了。
仏教の思想 7 無の探求<中国禅> 仏教の思想 8 不安と欣求<中国浄土> これで仏教の思想シリーズの中国編である、4~8巻を読み終えました。最澄、空海をはじめ、日本の名僧についての話は数多の出版物があって、よく読んだりしたものですが、たいていは中国に渡って修業を完成させていたりなどして、そのような話が幾度も出てきますが、その中国の仏教思想や名僧、寺院などについての詳しい解説みたいなものには出会えておらず、そこが自分としては理解を妨げていた感じがあって、何か読みたいと思っていたのですが、ようやく見つけることができたように思います。この中国仏教の流れの知識なくして、日本の宗派や名僧のことを読んでも、半端な理解しかないであろうか。なんで誰も教えてくれないのか、という気分ですが、でもまぁこの本も私が生まれる前に世に出ているわけで、私の勉強不足というか、アンテナの張り具合が不足していたということなのでしょう。 |
2023,01,31, Tuesday
自製した鉛白を練って作ったホワイトですが、現在、ほぼメインで使っております。
![]() 展性や柔らかさ加減等、練り具合が自分好みで非常に使い易いです。しかしそれは顔料がどうこうというより、普段描画用に使っているメディウムの組成に近い展色材で練ったから、というのが理由かと思われます。抜群の使いやすさですが、チューブ内での保管期間はせいぜい1年程度かと思われます。年に一回練ればよいと考えれば充分ですが。なので、展性などの具合の検証にはなってはおりますが、顔料の具合としては、期待以上の充分な白さを実感しています。このくらい白かったらもう何もいうことはありません。しかし、しばらく使い続けて思ったのですが、ちょっと白過ぎるというか、被覆力みたいものが想定よりも高い感じがして、透明感のある油絵的な描写が難しいような感じがしなくなくもありません。これはたぶん、1~2割程度の体質顔料を加えることで自然な感じになるのではなかろうかと思っております。というか、加えないと微妙な色調の調整に苦労しそうです。次回練る時は体質顔料を加えたいところなのですが、いったいどんなものを使えばいいのか、その辺の検証はそれはそれで時間がかかりそうな感じもあります。 |
2023,01,28, Saturday
寒波すごいですな。まず仙台方面は出勤するのに2時間運転しなければならなかったです。しかも、けっこうあちこち迂回路を探索して、裏路地とか通って辿り着く感じでした。まぁ、仙台の渋滞はどうにもならないですな。ちなみに帰りも2時間かかります。
それはともかく、1月は下記の本を読みました。 植木雅俊(著)『法華経とは何か その思想と背景』 江戸時代の哲学者、富永仲基は「法華経は褒める言葉と自画自賛ばかりで、教理らしきものが説かれていない」というふうに語ったらしいのですが、恥ずかしながら本書を読むまでは、私も法華経に中身がないというような印象を持っていたところはあります。法華経というのは不思議な構成で、読んでいると法華経のすばらしさをたたえ続ける表現が多くそれが延々と続くので、法華経という別の経典があって、これはその経典の宣伝本なのではないかという第一印象を持ってしまうのは仕方ないかな、と思うところです。しかし、本書を読んで、ついに全体の意図するところが理解できた気がします。なんとも不思議な経典ですが、本当に素晴らしい経典であります。ちなみに同著者の『仏教、本当の教え』も続けて読みましたが、前掲の書との重複部分が多くてけっこう飛ばし読みしましたが、でも、これもまた勉強になりました。 多川俊映(著)『唯識とはなにか 唯識三十頌を読む』 唯識の入門書を何か読みたいと思って、いろいろ探した結果、本書を注文したわけですが、読んでみると、これが一番だったように思います。他読んでないから知らんけど。世親の「唯識三十頌」の意訳を通して、唯識について知るような構成になっているのですが、説得力があるし、わかりやすいです。 鎌田茂雄,上山春平(著)『仏教の思想 6 無限の世界観<華厳>』 5巻<天台>に続いて<華厳>も読みました。思想的には<天台>ほどの感動はないものの、仏教美術鑑賞的には華厳の思想や歴史を理解しておくことは大事であろうかと思いまして。 |