エリック・H・クライン著『トロイア戦争:歴史・文学・考古学』読了
以前『B.C.1177 古代グローバル文明の崩壊』を読んで面白かったので、同著者の『トロイア戦争:歴史・文学・考古学』も読んでみました。イリアスはいいですな。私は文学というジャンルはあまり読まないのですけれども、古代の文学は好きでしていろいろ読んだりはしているのですが、何か一番かというと、なんだかんだでイリアスは別格です。ありとあらゆる書物の中でも最も好きな本ともいえるかと思います。戦場で一騎打ちをはじめるイリアスのような戦争は現代では現実的でないとも言われておりますが、しかしまぁ戦争とは考えず人生のようなものかと思えば、我々は常に何かしかの困難の中にいて、そしてその中で命の長さは限られていて、その中でどうして生きてゆくべきかというとイリアスは規範でもあり慰めでもあります。作中ではどんどん容赦なく人が死んでゆくのに、その物語が慰めになるというのは不思議なものですが。イリアス自体も良いのですが、いったいどこまでが史実を反映しているのかとか、そのような考古学的な本を読んだりするのも楽しいというか、結局結論は出ないようなものですが、でも、そういうのも面白いのです。

西村賀子著『書物誕生 あたらしい古典入門 ホメロス『オデュッセイア』〈戦争〉を後にした英雄の歌』も読みました。ホメロス作品では、私は断然イリアス贔屓であり、それはたぶん歴史好きだからだろうかと思われます。文学好きならオデュッセイアなのでありましょう。というのを本書を読んで思いました。しかしいずれにしてもあまりオデュッセイアについて深く考えてこなかったのですが、本書を読んでみたらその内容といいますか構成の深さを知って自分の無学を恥じ入るばかりです。もう一度読み直さねば、と言いたいところです。とはいえ、実は本書の内容も前半はイリアスに割かれている記述が多く、特に古代から中世・近世にかけての受容史みたいな話はイリアスが中心となっており、その辺をついつい熱心に読んでしまったのは事実であります。特に中世にイリアスが西ヨーロッパでどのように認識されていたかというのは前々から気になっていたことでありました。その件に関する参考文献も多数紹介されてありましたので、追って入手に努めたいと思います。

吉岡幸雄著『日本の色を歩く』を読みました。天然染料をはじめ、朱や赤鉄鉱など、幅広く、そして読みやすく書かれておりますが、類書もたくさん読んではおりますが、しかし、何を読んでも、やはりまだまだ知らなかったことは多いなと思いました。とりあえず、クチナシの苗木を購入しました。さらに著者の父と思われる吉岡常雄著『帝王紫探訪』も購入して読んでおるところです。これは貝紫についての本ですが、私もついにこれを試してみたいという気分がわき起こってきておりまして、どうやって貝を入手しようか調べているところです。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 10:04 PM | comments (0) | trackback (0) |
市毛勲(著)『朱の考古学』読了
市毛勲(著)『朱の考古学』読了。新版(1998年版)は高値がついており買えなかったので、70年代くらいの古めのバージョンを入手しました。Amazonで数百円。とても面白かったです。「朱」がテーマとなっておりますが、この朱は広義の意味の朱色のことであって、辰砂だけではなくて、辰砂と赤鉄鉱を主に扱っているのですが、辰砂と赤鉄鉱の両方を砕いて顔料にしてみたからこそ、読んでいて面白かったのでありましょう。いやしかし私は古墳が好きであちこち見て回っているにも係わらず、朱に関してあまりにも無学でありました。もっと早く読んでおきたかったと言えましょう。

それはともかくとして、絵画材料的に参考となりそうな点をピックアップしたいと思います。

若杉山辰砂採掘遺跡(弥生時代後期~古墳時代前期)の石杵・石臼の写真(市毛勲『朱の考古学』より)を見ると、これなら辰砂他、鉱物を砕くのに良さそうな感じの形状なので、参考にしたいところです。鉱物の初期粉砕には乳棒的な石と石臼的な石で砕いたときの威力が凄まじく、ハンマー、乳棒&乳鉢や練り棒&大理石パレットなどばかばかしいくいに砕きやすいのです。これは研究するべきでありましょう。

上記の石杵・石臼は辰砂採掘現場で発掘されたもので、粗めの粉砕に使われたのかもしれません。古墳出土の石杵・石臼の方は、採掘場のものより仕上げ段階の細かな辰砂作りの為に使われるのたのかもしれません。

しかしこれも練り棒&大理石パレットより使い勝手がよさそうな予感があります。注ぎ口的なところが、このまま流水水簸もできそうな気もしないでもありません。


『朱の考古学』は奈良に有名な酒船石、あれを辰砂の流水水簸システムであると説いてますが、ちょっとそれは無理があるんじゃないかと思わずにはいられませんが、真偽はともかくとして、比重選別水簸ツールとして参考にしたい点がいろいろあります。辰砂は重いから水が流れているところにあれば不純物から流れ去ってゆきます。粉砕した辰砂粉末に水を注ぐと、先に不純物が流れて、とても鮮やかな赤が残るのですが、古墳の埋葬のように大量の辰砂を水簸するとしたら何らかの形状の流水水簸ツールが必要であることは確かでありましょう。図の下で紹介されている、出水から出土したという石像物は、流水水簸システムとしては、なかなか現実的な感じがします。しかし酒船石みたいに途中に池があると、そこから水簸された辰砂を掬い出すことができそうな感じもありますし、いずれにしても想像で話しても仕方ないのでやってみたような気もしますが、数キロ単位の大量の辰砂が要るでしょうから難しいことではありますが、もうちょっと小規模な形で流水水簸システムを構築できないであろうかというのはちょっと考えて、また辰砂を落札してみました。この前よりも大きめです。

しかし、これでもまだ足りないので、あと2、3個欲しいところです。私は赤い顔料ならよく使うので実用上も無駄にはならぬでしょうし。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 12:01 AM | comments (0) | trackback (0) |
澤田典子著『アテネ 最期の輝き』読了
先日確定申告に行ってきました。実は申告する内容自体がほとんどないようなものですが、それはともかく実は今回はじめて国民健康保険が控除の対象だったことに気がつきました。社会保険の時は控除証明書が送られてくるのですが、国保はそういうのないので気付かずにいたのであります。まぁ、国保に切り替えたのも3年くらい前のことなので、不慣れではあったか。それはともかくその控除の方法なのだけれども、聞いてみたところ、そんな解釈でよいのだろうかという感じの控除の仕方でびっくりしました。これがありなら昨年度の還付金も倍ぐらいあったような。ともかく、いいことか悪いことかはわかりませんが、申告の手間がほぼかからなかったので、その分の労力を別の活動に注ぎ込むのであります。まずは本を読みました。

澤田典子著『アテネ 最期の輝き』読了。カイロネイア敗戦後のアテネについては、世界史系の本はほぼアレキサンダーの話となり、その後はプトレマイオス朝やローマに関心が移ってゆくので、あまり読む機会ないのですが、まさにアリストテレスがアテネで活動していた時期であり、最近アリストテレスについて読んでおるところでありまして、気になっていたところではありました。本書の主役はデモステネスですが、ギリシア・ローマ文化について読んでいるとなかなか重要な人物であり、その辺りを読むことができてたいへん勉強になりました。

入間田宣夫著『集英社版日本の歴史(7)武者の世に』を読了。こちらは書いてある内容の半分くらいしか理解できませんでした。私の不勉強のせいかとは思いますが。とはいえこれも面白かったです。もっと簡単な書を読んだ方がいいかと思いまして、県図書館のこども図書室にゆき、木暮正夫(著)『火の鳥伝記文庫 奥州藤原氏四代 黄金の王国平泉』というものを発見して、これをちらっと見たところ、びっくりするほど親切でわかりやすかったので、まさに自分のレベルにぴったりであると感激しました。しかし理由はわかりませんが、ただの文庫本なのに館内利用のみの本となってまして、しょうがないので館内の小さな椅子に座って速読してまいりました。児童向けの本とはいえ、いっきに通読するのは大変でしたが、約1時間半で読み終えて帰ってきました。最近遠くに旅行にゆけていないので、隣県の岩手にある平泉に行ってみようかと考えておりまして、もうちょっとこのあたりを読み進めたいところであります。

あとは、岡田和一郎著『中国の歴史・現在がわかる本第2期(2)2度目の中国ができるまで』を読了。なかなか記憶に残らない五胡十六国時代について、多少印象に残ったような気もしますが、やはりすぐ忘れてしまような気もします。それからひろさちや他著『仏教コミックス 21 四国八十八箇所』読了。お遍路についてあまり知らなかったので、勉強になりました。同『仏教コミックス 90 白隠の坐禅』、そういえば、白陰の書画はよく目にするけれども、白隠自身についてまるで知らなかったので、この機会にもっと読んでみたいところ。同『仏教コミックス 97 まんが仏教死に方相談』も読了。これは正直、なんだこれはという感じではあるけれども面白かったです。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 09:49 PM | comments (0) | trackback (0) |
The Art of Barylli Quartet バリリ四重奏団の芸術(CD 22枚組)聴了
我が自家用車は後期型ラクティスですが、発売から10年過ぎており、既に10万キロに達した所有者も多くなって買い換えている方も多くなってきて、私もそろそろ次の車を考えなければならぬ時期にきております。何しろ昨年の大雪による、たぶん融雪剤の影響による錆びも酷いもので。しかし現在は新車の納期も遙か先であり、中古車も高騰中なので、多少の修理費をかけてもしばらく乗りたい。できればあと2年半ほど乗りたい。たぶん、部品が手に入るかどうかによるのだけれども。そんなことはともかくとして、車で移動中にCD再生しているわけですけれども、ここ最近はThe Art of Barylli Quartet バリリ四重奏団の芸術(CD 22枚組)を聴き終えました。CD22枚組を¥4,720で購入したものですが、モーツァルト、ベートーヴェンなどの弦楽四重奏曲、希にその他の室内楽が含まれておりますが、いずれもたいへん味わい深い演奏ばかりでした。1950年代くらいのちょっと古めの録音なのですが、弦楽器の音というのはすこし古さを感じる音源がなかなかよろしいのです。バリリ四重奏団の演奏では、実はこのセットの中のベートーヴェンは既に所有しておりまして、私の最も愛聴する弦楽四重奏曲全集なのでありますが、モーツァルトなど他の作曲家のも手に入れていた思って、結局これを買った方が総合的にお買い得であったので、買ったわけですけれども。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は様々の録音のものを普段からよく聴いているのですが、モーツァルトのものはそんな聴いてこなかったので、今回はその点でけっこう刺激になりました。モーツァルトのカルテット、すごくいいですな。ベートーヴェンはけっこう聴き込んでわかってくるようなものが多いわけですが、それに比べると初見でいい気分になれたりするところがありますし、もちろん繰り返し聴いても素晴らしいです。ちょっと枯れたような感じの音質でありますが、全体的にじっくりと音符をじっくり拾ってゆく感じの演奏であり、モーツァルトは初見でも聴きやすく、またベートーヴェンは聴き始めは多少理解できないこともあるかもしれませんが、じっくり聴けばいずれもが名作名演であり、弦楽四重奏CDの最もお薦めのセットであると言えましょう。

先日触れましたカルキディウスによるプラトン『ティマイオス』註解(西洋古典叢書)は既に到着して、まずは解説を読みましたが、非常に興味深い内容でありましたが、実は付属の月報の解説の方がむしろ重大な感じが私にはしたのですが、購入された方は月報も読んだ方がよろしかろうかと思います。『カルキディウスとその時代』も届いておりますが、今の私には少々難易度が高かったのですが、1年後には読みたいと思います。この方面はまだまだ初学者なので吸収してゆく速度も速いような気がして、1年後には読めるんじゃないかという感じがあります。そして本日は宮城県図書館にゆきまして、L.D.レイノルズ,N.G.ウィルソン他『古典の継承者たち―ギリシア・ラテン語テクストの伝承にみる文化史』を借りてきましたが、これは中古価格も高騰してちょっと購入するのに勇気がいることろですが、パラッとみたなかなか素晴らしい内容です。なんとか入手したいところですが、もう手元に置いておかなければということは断念して、借りたものを読んでしっかり記憶に焼き付けてしまうという訓練も必要なのかなと思ったりしているところです。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 11:02 PM | comments (0) | trackback (0) |
ポットミル+回転台試用、およびプラトン『ティマイオス』読了
新年を迎えましたが、1年の抱負みたいなものはあまり考えない方がよろしいなぁというのが、我が人生経験で得た教訓です。特に念入りに計画を立てたりするのもよろしくないです。計画を立てすぎると予測不能な自体が起こったりして頓挫してしまうことが多いのです。その日その日にできることを淡々とこなしてゆくしかありません。といいつつも機会が訪れたら颯爽と実行に移せるように、やれたらこれをやろうみたいなものを箇条書きをしておくことは大事です。チャンスが来たときに即座に決行できるように、無為に見過ごしてしまわないように、心の準備は要るのでありましょう。というわけで1年の抱負とか年間計画とかはないのだけれども、これこれをやっておかねば的なリストはあるわけですが、それはチラシの裏とか要らぬ紙に念仏を唱えるようにときどき繰り返して書いて、しばらくしたらゴミ箱に捨てるというくらいにしておきたいかなと。

それはともかく年末年始においては、鉛白の精錬のために入手したポットミルの性能を確認してみたいと思いまして。でも鉛白は毒性があるから気軽に試すというわけにもいかないし、鉛白の前に別の安全そうなもの試したい。ということもありまして、鶏卵の殻を入れてみることにしました。丁寧に内側の膜を取り除いた卵殻を乳棒で2mm大くらいまで砕き、ポットミルに入れて3時間程ほど回転させてみました。むろん、セラミックボールと水も入れてあります。3時間後の結果ですが、あまり変化はなかったです。ポットミルのサイズが小さく、なかのセラミックボールのサイズもそれに合わせて小さいので、粉砕能力は低いと言えます。そもそも卵の殻というのはちょっと柔軟性があるような素材でもあるので、この機械には不向きであったと言えるでしょう。固い鉱物系のものならまた違ったかもしれません。でも、回してみて感じたのは、もう一回り大きなポットミルもいけそうである。そして、多少大きめのボールを入れてもいいんじゃないかな、という感触であります。鉛白は毒性がありますから、気軽に試せないこともあって、卵殻で試したわけですが、結果はともかく機械の動きはわかってきたので、よしとしましょう。

音は多少うるさいものの、洗濯機くらいかな、という程度でした。回転させている近くで、ずっと読書してましたが、プラトン著『ティマイオス/クリティアス』を読みつつ年末年始を過ごしてしまいました。プラント言えば、現代ならば、ふつうは「弁明」「饗宴」「クリトン」「パイドン」などを真っ先に読むかと思いますが、それらはもはや名作中の名作とも言える文学的傑作であって、時代を超えて誰が読んでも感銘を受けるに違いないところですが、このティマイオスに関しては、その世界観は現代人には受け入れがたい感じの内容であり、いきなりこれを読むのははばかられるようなところはあるかと思います。世界古典文学全集、世界文学大系のいずれのプラトン巻でも収録されておりませんでした。しかしながら、中世ヨーロッパで読まれたプラトンの著作はこのティマイオスだけあったらしいですね。古代ローマの知識人はギリシア語を読めた為に、ギリシアの哲学書をラテン語に翻訳するということはまれであったようですが、ティマイオスはラテン語に翻訳されたということで。現代人はにわかに共感しづらい内容ではありますが、中世キリスト教哲学に非常に近いような内容であり、影響力という面では非常に大きそうでありますし、中世を理解するうえではこれは読んでおかねばならぬであろうと思いましたし、以上のような観点で読んでるとこれがけっこう面白いのです。カルキディウスによるプラトン『ティマイオス』註解(西洋古典叢書)西洋古代末期思想研究会編『カルキディウスとその時代』も注文したところです。

| 書籍・雑誌・漫画・アニメ | 09:51 PM | comments (0) | trackback (0) |

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