2010,12,30, Thursday
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2010,12,29, Wednesday
先日は水簸に使えそうな身近な道具類に関して考えてみたが、今回はフィルターを濾過による粒子分けを考えることにして、その道具にスクリーン系版画用のメッシュを利用してみた。化繊のメッシュはいろんなところで売られているけれども、スクリーン版画用なら画材店で注文できるということで、ある意味身近な道具と言えるかと。
ちなみにスクリーン版画とは、絹などの薄い布を糊なんかで目を塞いだりして、塞いでいないところだけ塗料を通過させて版画を行なうやつでして、学生の頃にシルクスクリーンの授業とかありましたなぁ。 で、スクリーン生地(テトロン)を購入。 ![]() これは200メッシュだが、これより粗いものもあれば、細かいものもある。 枠は持ってないので、キャンバス用木枠を流用。 ![]() ガンタッカーでスクリーンを張る。 そこに乳鉢で砕いただけの粗制顔料を置き、樹脂製スクレイパーで顔料を動かして下に落としていく。 ![]() フルイのように揺すって落とそうとすると、細かい顔料が宙に舞ってちょっと嫌である。 スクレイパーで押しつけるから、化繊の柔らかい繊維だと、メッシュの規格よりやや大きな顔料も落ちてしまうのかもしれない。特に強く濾し出すと大きな顔料も出てしまうかもしれないから、やさしくやったほうがいいのかも。200メッシュというのはインチ毎に200メッシュという意味であろうけれども、それにしてはすらすらと顔料が通過していく印象があるから、剛性のメッシュとの違いも考えてみたいところである。でもまぁ特に厳密な大きさを気にせず、実用レベルのサイズに振り分けらればいいというか、絵具の展性の差し支えになりそうなものが取り除ければいいというレベルであれば、それほど気にしなくていいか。布で濾して細かい顔料を得るという原始的な方法を採用しているという感覚で。 メッシュの下に置いたコピー用紙上に、メッシュを通過した顔料が貯まる。 ![]() それを集めて完成。 ![]() 現代の絵具に使われている顔料から比較するとまだ粗いような感触である。もっと細かいメッシュのスクリーンもまだまだあるので、あとはお好み次第ということで。ちなみに、スクリーンは一回買えば、当分使えるほどの大きさがあるだろうから、顔料毎に使い捨てできるかと。 |
2010,12,19, Sunday
前回、集めた亜麻仁油の油煙(ランプブラック)、かき集めて瓶に入れてみたが、すっごい少なくて、しょんぼりである。
![]() 前回:http://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=853 試しに使うにしても、もうちょっと必要ですなぁ。 というわけで、今度はアルコールランプを使ってみた。 ![]() しかし、植物の油脂だと浸透するのが遅れるのか、芯の空気に触れている部分がほとんど燃えてしまい、最後のちょっとだけの芯で燃えるような状態になってしまう。 消えることはなくて、何時間でも燃え続けるが、火は小さい。 3時間かかって、これだけ。 ![]() やはり、数が重要であろうということで、お皿のランプに回帰、皿を2つに増やし、それぞれ3本づつ、計6本の芯でいってみる。 ![]() 油煙の受け皿が、ちょっと近すぎるかも。 遠い方が、キメの細かい顔料が得られるそうですが。 芯が6本にもなると、ガンガン煙が出てくる。受け皿も熱くなる。 こんぐらい集まった。 ![]() クリームスクレイパーでかき取って、瓶に集めてみた。 ![]() この方法で、皿を倍に、あるいは3倍に増やせば、一気に集まりそうである。 ↓こんなことができるぐらいに集まればいいですなぁ。 |
2010,12,11, Saturday
枯れたナナカマドを、染色などする際の燃料としてとっておいたのだが、火の着きが悪くていまいち活用しきれていなかった。ナナカマドの由来は窯で七度火にくべても燃え残るとか、七度火にかけるとよい炭になるとか、なければならないという説もあるそうだ。実際には、着火しずらいというだけで、盛んに燃えている火に入れれば、ふつうに燃えてましたけどね。
ということで、これを炭にしてはどうかなと。 ![]() 備長炭の高級品としてナナカマドが使われるという話がWikipediaに書かれておりました。 炭の作り方を調べたのだけれど、いろんな作り方があるものですなぁ。最も単純な話では、木を燃やすと、まず黒っぽいコゲ(炭)になり、さらに燃えてゆくと白い灰になるから、炭の段階で消せば、炭が得らるか。チェンニーニやウィトルウィウスの書にあるヴァインブラックの作り方は、葡萄の蔓を燃やして途中で水をかけて消すという方法である。あるいは、空気を遮断して、酸素と結びつかないようにして、熱を加えればしっかりとした炭ができる。チェンニーニの木炭の作り方では、密閉した素焼きの器に枝を入れて、パンを焼いた後の釜にいれておくというものだった。 googleで検索しまくったところでは、ドラム缶、あるいは一斗缶を活用されている例が多い。 ドラム缶は大がかりだけれど、一斗缶あたりでやってみようかと。 ちょうど、かりんとうが入っていた一斗缶もあったし。 一斗缶に材料を入れたところ。 ![]() ナナカマドの他にも、ツバキなど、余っていた木材を詰め込んだ。 一斗缶を使う場合にも、これまた様々な方法が見つかったのだけど、とりあえず単純に、缶に素材を入れて、フタをし、火にかけるという方法でいきましょう。 前回、木炭を作った際に、けっこう臭いがきつかったので、それを緩和させられないかと思い、サツマイモも入れておいた。 ![]() イモの臭いが漂うのは、むしろいい匂いなので、近所迷惑にならないかもしれない的な発想である。結果的に、なぜか悪臭も出なかったし、イモの匂いもしなかった。イモも炭にはなるのだが、水分が多いので、他の素材の邪魔になりそうだから、イモの炭を作りたいという欲求でもなければ入れない方がいいかも。 で、さっそく火にかける。 ![]() 一斗缶の横にあるアルミの包みは、焼きいも目的のサツマイモ。 缶のフタから漏れる蒸気やら煙やらを観察しながら、炭ができているかどうか見極めつつ、推移を見守る。 夜になってしまった。 ![]() 焼きいもを食してみる。 ![]() 4時間近く加熱して、いい加減、そろそろいいだろうと思って、火を止める。 翌日になって、中を確認してみたが・・・、 ![]() 表面が黒くなっているだけで、中は生のままであって、非常にガッカリ。 と思ったが、缶の底の方の素材は、綺麗に炭になっていた。 ![]() ポキっと折ってみても、芯まですっかり炭である。 一部のサツマイモは、焼成中に缶の底に落ちたのか、綺麗な炭になっていたものもあった。 ![]() ■総括 炭を作るまでに、すごい燃料を消費するという点に驚きであった。溜め込んでいた廃材を全部使い果たしてしまった。 一斗缶という横に長い缶を使い、さらに炉の構造や缶の設置方法など、全体的に、熱を効率的に利用できなかった気がする。 あるいは下から熱するのではなくて、燃えた木材を一斗缶に入れて、フタをして蒸し焼き状態と作るという方がよかったかもしれない。 缶の隙間から、妙な液体が流れ出てきたのだが、木酢液とかタールとかいろいろ出てくるみたいな話を聞いたこともあるような。今はなんだかわからない。 |
2010,12,08, Wednesday
チェンニーニによると「・・・亜麻仁油の入ったランプを用意し、ランプを油で満たし、火をつける。こうして燃えているランプを、よく拭った鍋の下におく。炎は、鍋の底から指2、3本のところにくるようにする。炎から出る煙が鍋の底にあたり、固まりとなってくっつく。少しそのままにしておいてから、鍋をとり、この顔料、すなわち煤を、紙の上、あるいは絵具壺に、何かで払い落とす。粒子のごく細かい顔料なので、練ったり挽いたりする必要はない。このように、何度か、ランプを例の油で満たしては、繰り返し、鍋の下におく。お前が必要とするだけの分量をこうしてつくる」(岩波書店)
亜麻仁油は自室の棚にいくらでもあるので、まずはランプが必要である。アルコールランプがあるので、これに植物油を入れてもいけそうな気がするが、アルコールと植物油では、揮発性も、発火温度も違うので、そのまま使えるようには思えない(※実際後日試みてみたが、効率よく燃焼しなかった)。今回は、試しにやってみる程度の話なので、適当な容器をランプ替わりに使ってみることにした。 用意したのは、百均で買った磁器の器と、針金、極太凧糸(純綿)。 ![]() 芯が真っ直ぐ立つよう、針金で固定した。 ![]() それを器にセットし、画材用のふつうのリンシードオイルを入れて、火を着ける。 ![]() 炎が起ち上がり、炎の先から黒い煤がドバドバ出てくる。 これなら、煤をいっぱい集められそうな予感がする。 しかし、臭い。 古くなったリンシードオイルを使ったせいか、酸化した亜麻仁油のキツイ臭いが部屋に充満し、とても耐えられるような状態ではなかったから、すぐに消化した。 場所を屋外に移し、その後、いろいろ試しているうちに、実は単に綿の芯をオイルにぽちゃっと付けて、少しだけ出しておく、というのが、一番よさそうであることに気が付く。 効率よく煤を得るために3本の芯を入れた。 ![]() 着火すると↓このような感じである。 ![]() この方法だと、オイルを切らして、芯を駄目にしてしまった場合も、適当な長さに切った綿糸を入れるだけで、簡単に交換できる。 「ランプの原形は粘土を焼いた皿に植物油などを注ぎ一本の灯心を載せて火を灯すものだった」(Wikipedia)ということなので、非常に原始的な方法と言える。 ちなみに、アルコールやテレピン、灯油などは発火温度が低いから、この方法でやると大変危険なので、ご注意を。 火の上に、磁器の皿をセットして、煤を集める。 ![]() なお、古くなったリンシードオイルはあまりにも臭いということで、食用の低温圧搾亜麻仁油に代えてみた。これはほとんど臭わない。ほぼ無臭である。 数分で↓こんな感じに。 ![]() 3本の芯を入れているので、油がどんどん減ってゆく。まめに給油しないといけないが、たっぷり入れすぎて芯が埋まってしまうと、火が消える。あるいは火が非常に弱くなってしまうのでご注意。 1時間以上かかって↓このくらい集めたが、風が強くなってきたので、本日はここで終了。 ![]() それにしても、ランプっていうのは、大量の煤が出るものなんですなぁ。システィーナ礼拝堂の天井画も、主に蝋燭の煤であれほど暗くなっていたというのも納得。中世のイコン画も、煤で汚れて、砂で擦って落としたりしたとかいう話を読んだことがありましたな。書道用の墨は、炭じゃなくて、煤(ランプブラック)を膠で固めたものだそうである。実は、墨を作るぐらい集めたかったのだけど、この方法だと時間がかかりそう。 備考:日常生活でランプを使うということがなかったもので、オイルランプに関しては多少誤解があるかもしれない点を踏まえて読んで頂ければと思います。 |